ダフニスとクロエ (ロンゴス)
『ダフニスとクロエ』(古代ギリシア語: Ποιμενικὰ κατὰ Δάφνιν καὶ Χλόην、もしくは Δάφνις καὶ Χλόη)は、2世紀末から3世紀初め頃の古代ギリシアで書かれた恋愛物語。ロンゴス(Λόγγος ; ラテン語表記では Longus、生没年不詳)作と伝えられているが、作者に関することはほとんど何もわかっていない。

フランスの彫刻家ジャン=ピエール・コルトーの作品『ダフニスとクロエ』(ルーヴル美術館所蔵)

フランスの画家ラファエル・コランの作品『ダフニスとクロエ』

フランスの画家ルイーズ・マリ=ジャンヌ・エルサンの『ダフニスとクロエ』、1810年代
全4巻がほぼ完全な形で現存しており、エーゲ海に浮かぶレスボス島の牧歌的な情景を舞台に、少年と少女に芽生えた純真な恋とその成就が、恋敵との諍い・海賊の襲撃・都市国家間の戦争などの逸話を絡めて、抒情豊かに描かれている[1]。
何度か映画化されているが、日本では、1963年ニコス・コンドゥロス監督によるギリシアの映画が『春のめざめ』の題で公開されている。
登場人物編集
- ダフニス
- クロエ
- ラモン - 山羊飼い。 ダフニスの養父
- ドリュアース - クロエの養父
- ドルコン - 牛飼いの青年。ダフニスの恋敵
- フィレータス - 老人
- リュカイニオン - 年増女
- ディオニュソファネス - ミュティレネの富豪。ダフニスらの住む村一帯の持ち主
- クレアリステ - その妻
- アステュロス - その息子
- グナトーン - ディオニュソファネスの雇い人で男色家
- ランピス - 牛飼い。クロエの求婚者
- メガクレス - ミュティレネの富豪
など
文献編集
- ロンゴス『ダフニスとクロエー』 松平千秋訳、岩波文庫、1987年 ISBN 4003211219
- ロンゴス/呉茂一訳 『ダフニスとクロエ』 グーテンベルク21、2015年。旧版は角川文庫ほか
- 中谷彩一郎『『ダフニスとクロエー』の世界像 古代ギリシアの恋物語』慶應義塾大学教養研究センター選書、2022年。新書判での作品論
- クーリエ『ダフニスとクロエ』 川路柳虹訳、日本教文社「世界文庫」[注 1]、1949年
注釈編集
出典編集
- ^ 小林頼子 『花と果実の美術館 名画の中の植物』八坂書房、2010年、34頁。ISBN 978-4-89694-967-4。
- ^ 川路.1949.