ハドフィールド (ダービーシャー)

ハドフィールド: Hadfield)は、イングランドダービーシャー州のハイ・ピーク英語版に位置する町。ハイ・ピーク・ディストリクト・カウンシル[注 1]に含まれる南北2つの区を持つ。2011年の国勢調査によると、2つの区合わせて6,305人が在住している[2][3]。地区はダービーシャーとグレーター・マンチェスターの境界を成すエスロー川 (River Etherow[訳語疑問点]の南側に位置する。またピーク・ディストリクト英語版の西端を成し、娯楽施設や公共サービス施設があって繋がりが深いグロソップ英語版にも程近い。

ハドフィールド

ハドフィールドのメインストリート、ステーション・ロード(英: Station Road
ハドフィールドの位置(ダービーシャー内)
ハドフィールド
ハドフィールド
ダービーシャーにおけるハドフィールドの位置
人口6,305人 (Wards 2011)
英式座標
SK021963
非都市ディストリクト
シャイア・カウンティ
リージョン
構成国イングランドの旗 イングランド
イギリスの旗 イギリス
郵便地域GLOSSOP
郵便番号SK13
市外局番01457
警察ダービーシャー
消防ダービーシャー
救急医療ノースウェスト
欧州議会イースト・ミッドランズ
英国議会
場所一覧
イギリス
イングランド
ダービーシャー
北緯53度28分 西経1度58分 / 北緯53.46度 西経1.97度 / 53.46; -1.97座標: 北緯53度28分 西経1度58分 / 北緯53.46度 西経1.97度 / 53.46; -1.97

地理 編集

ハドフィールドはボトムス貯水池英語版とグロソップ・ブルック[注 2]の間に位置する。また、エスロー川 (River Etherow[訳語疑問点]の谷から南側にあたり、この場所はロングデンデール英語版として知られている。地区の海抜は394フィート (120 m)から690フィート (210 m)である。またマンチェスターから12.5マイル (20.1 km)の位置にある。

歴史 編集

ハドフィールドは元々グロソップ荘園(英: The Manor of Glossop)の一部で、ドゥームズデイ・ブックの調査時には征服王ウィリアム1世の土地だった[4]。彼の息子ヘンリー1世は、この土地をウィリアム・ペヴェリル英語版に下賜した。1157年ヘンリー2世は土地をベイジンワーク修道院英語版に下賜した。1537年にはヘンリー8世シュルーズベリー伯爵英語版[注 3]に土地を下賜し、さらにハワード家ノーフォーク公家)の手へと渡った。1810年代、ハワード家がグロソップの発展に責任を持っていた頃、サイドボトム家(英: The Sidebottom family)がハドフィールドの開墾を行った。彼らは1820年に、ジョン・ターナー(英: John Turner)とジョン・ソーンリー(英: John Thornley)からウォーターサイド・ミル、ブリッジ・ミルを買い取っている[注 4]

サイドボトム家は3代をかけて自分たちのミルを開発し、大きな紡績機と機織り機を備えた工場にした。彼らはミルへ向かう鉄道の脇線を引いたほか、1880年には293,000本の紡錘と4,800台の織機を用意した。ブリッジ・ミルは1899年に焼失したものの、ウォーターサイド・ミルはジョン・ガートサイド(英: John Gartside)とアシュトン・アンダー・ライン会社(英: Co of Ashton-under-Lyne)によって買い取られた。ガートサイドはミルに米国製のノースロップ自動織機英語版を導入し、新しいエンジンや電灯を追加した[5]

第一次世界大戦1914年 - 1918年)の間、ミルはグリーンフィールド・ミル・カンパニー[注 5]に引き継がれたが、工場の一部は軍需品製作に転用された。戦後会社は倒産し、1940年にはロンドンの工場が焼失して引き払ってきたマコノヒー食料品有限責任会社(英: Maconochie's Foodstuffs Ltd)がこのミルを所有するようになった。1954年までには、元々あった建物の半分は破壊され、立ち退きを余儀なくされた。1976年にはこの場所が再開発され、「ハドフィールド貿易地区」(英: The Hadfield Trading Estate)と再命名された[6]

ステーション・ミル(英: Station Mill)は、1834年にトーマス・プラット、エドワード・プラットによって建てられた。プラット家は何代もロングデンデールを開発してきた家族である。彼らは1923年にE・ウィルマンズ&サンズ(英: E. Wilman & Sons)に売り払うまで、このミルを綿工場として68年稼働させた。ミルは売り払われた後ノイル英語版紡績を扱う工場に変わり、1989年に閉鎖された。

ハドフィールド・ミルズは、穀物工場として1819年以前から稼働していた。1874年にはトーマス・ローズ・アンド・サンズ(英: Thomas Rhodes and Sons)がミルを綿生産工場に作り替えた。1873年には1,000人の労働者を雇う工場だったが、1932年に閉鎖された。1940年にはハドフィールド・ワースティド英語版・ミルズ有限責任会社(英: Hadfield Worsted Mills Ltd)によって、布地生産工場として再オープンされた[6]

地域行政 編集

ハドフィールドの行政は、タウン・ディストリクトバラレベルではハイ・ピーク・バラ・カウンシル英語版カウンティレベルではダービーシャー・カウンティ・カウンシル英語版によって管轄されている。

ダービーシャー・カウンティ・カウンシルの議員選出は、グロソップ・アンド・チャールズワース(: Charlesworth)、そしてエスロー[訳語疑問点]の2選挙区に分けられており、町の大半はエスロー地区に含まれる。この地区には、ハドフィールド北、ハドフィールド南、ゲイムズリー(英: Gamesley)、そして広大で人口密度の低いティントウィスル区(英: Tintwistle ward)が含まれる。グロソップ・アンド・チャールズワース地区は他のパドフィールド区(英: Padfield ward. メイン商店街であるステーション・ロードの北側に位置する地区)を含む。これらの境界線は2013年に定められた。

ハドフィールドには行政教区カウンシルは存在しない。

ハイ・ピーク国会選挙区 (High Peak constituencyの選出議員は、2010年から保守党アンドリュー・ビンガム英語版である(現在2期目)[7]2010年イギリス総選挙では4,677票、2015年イギリス総選挙では4,894票の得票差を付けて、いずれも労働党のケイトリン・ビスクネル(英: Caitlin Bisknell)に勝利している[7]。ビンガムの前任は労働党のトム・レヴィット英語版だった。

ダービーシャー・カウンティ・カウンシル議会議員
所属政党 境界線 選出議員
労働党 エスロー / Etherow デイヴ・ウィルコックス / Cllr Dave Wilcox
労働党 グロソップ・アンド・チャールズワース
Glossop and Charlesworth
ダミアン・グリーンホール[訳語疑問点] / Cllr Damien Greenhalgh
エリー・ウィルコックス / Cllr Ellie Wilcox
ダービーシャー・カウンティ・カウンシルホームページより[8]
ハイ・ピーク・バラ・カウンシルの議会議員
所属政党 選挙区 選出議員
労働党 ハドフィールド北 / Hadfield North ヴィクトリア・エリザベス・マン / Cllr MANN, Victoria Elizabeth
労働党 ハドフィールド南
Hadfield South
エドワード・シダル / Cllr SIDDALL, Edward
労働党 ロバート・ジョゼフ・マコーエン[訳語疑問点] / Cllr MCKEOWN, Robert Joseph
ハイ・ピーク・バラ・カウンシルホームページより[9]
国会選出議員
所属政党 国会選挙区 選出議員
保守党 ハイピーク / High Peak アンドリュー・ビンガム / Andrew Bingham

交通 編集

 
パドフィールド(Padfield)にあるハドフィールド・ミルズ(Hadfield Mills)

この地区にはハドフィールド駅英語版ディンティン駅英語版があり、どちらもマンチェスター=シェフィールド=ワス・エレクトリック・レイルウェイ英語版が乗り入れている。ハドフィールドは終点で、全ての列車はディンティンを通ってグロソップ駅英語版に向かい、折り返して再びディンティンを通りマンチェスター・ピカデリー駅に向かう。ウッドヘッド・トンネル英語版を通り、ペニストーン駅英語版シェフィールドに向かう鉄道もあったが、ウッドヘッド線英語版として知られたこの路線は、1970年に廃止されている。グッズ鉄道(英: Goods trains)は1981年まで運行され、同じくハドフィールドを終点としていた。東部へ向かう線路の路床はロングデンデール・トレイル英語版の小道として転用されている。スネーク・パス英語版を通ってマンチェスターからシェフィールドへ繋がるA57号線 (A57 roadは、ウーリー橋[注 6]からディンティン谷[注 7]までハドフィールドの南側を通る。ロングデンデールのウッドヘッド・パス[注 8]を超えて、マンチェスターからバーンズリーやシェフィールドへ向かうA628号線 (A628 roadは、ホリングワース英語版ティントウィスル英語版を通ってエスロー川の反対側を走る。モトラム – ティントウィスル・バイパスにはA628号線の渋滞緩和が期待されている。

ハドフィールドはグレーター・マンチェスターとの境界に近く、これを念頭に置いたサービス展開もなされている。ダービーシャーイースト・ミッドランズの域内にありながら、ハドフィールドの交通機関は、一部トランスポート・フォー・グレーター・マンチェスター英語版によって運営されている。またグレーター・マンチェスターのテイムサイド英語版に拠点を置く、テイムサイド・アンド・グロソップ・アキュート・サービス[注 9]は、この地区を担当するNHSトラスト英語版である[注 10]

メディアでの利用 編集

 
ハドフィールドの戦没者慰霊碑

テレビシリーズ『リーグ・オブ・ジェントルマン 奇人同盟!』は、舞台を架空の町ロイストン・ヴェイジー英語版に設定し、この町で撮影された。スピンオフ映画 "The League of Gentlemen's Apocalypse" (enでは、この町が架空の町ロイストン・ヴェイジーではなく、ハドフィールド自身として登場し、テレビシリーズの登場人物が教会の下にある通り道を抜けて現実世界にやってきた(但しこの教会シーンはアイルランドで撮影された)。シリーズや映画のオープニングで現れる像は戦没者記念碑で、第一次世界大戦第二次世界大戦での戦没者を悼むものである[注 11]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 英: High Peak District Council. 「ハイ・ピーク州自治区地方自治体」との訳が当てられる[1]
  2. ^ 英: The Glossop Brook. "Brook" とは「小川」の意味。
  3. ^ 伯爵家の概要については記事シュルーズベリー伯爵を参照のこと。
  4. ^ 2つのミルの名前は "The Waterside and Bridge Mill complex."
  5. ^ 英: the Greenfield mill company
  6. ^ 英: Woolley Bridge
  7. ^ 英: Dinting Vale
  8. ^ 英: Woodhead Pass
  9. ^ 英: Tameside and Glossop Acute Services
  10. ^ NHSトラストとは、英国の保険制度であるNHS (National Health Service) を運営する機関。NHSの詳細についてはナショナル・ヘルス・サービス (イングランド)英語版を参照のこと。
  11. ^ 英語版にアップロードされたテレビシリーズのタイトルカード(en:File:TheLeagueOfGentlemen-TitleCard.jpg)では、戦没者慰霊碑を画面左側に確認することができる。

出典 編集

  1. ^ 小西友七; 南出康世 (25 April 2001). ジーニアス英和大辞典. ジーニアス. 東京都文京区: 大修館書店 (published 2011). ISBN 978-4469041316. OCLC 47909428. NCID BA51576491. ASIN 4469041319. 全国書誌番号:20398458
  2. ^ Hadfield South Ward population 2011”. Neighbourhood Statistics. Office for National Statistics. 2016年3月25日閲覧。
  3. ^ Hadfield North Ward population 2011”. Neighbourhood Statistics. Office for National Statistics. 2016年3月25日閲覧。
  4. ^ Domesday Book: A Complete Translation. London: Penguin, 2003. ISBN 0-14-143994-7
  5. ^ Perkins, Helen. Old Ordnance Survey Maps Hadfield and Tintwistle 1907. Gateshead NE11 9BD: Alan Godfrey Maps. ISBN 0-85054-647-8 
  6. ^ a b Quayle, Tom (2006). The Cotton Industry in Longdendale and Glossopdale. Stroud,Gloucestershire: Tempus. pp. 96–108. ISBN 0-7524-3883-2 
  7. ^ a b Andrew Bingham MP”. www.parliament.uk. 2016年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年6月25日閲覧。
  8. ^ Derbyshire County Council election results” (2013年5月3日). 2013年5月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  9. ^ High Peak councillors”. 2011年1月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。

外部リンク 編集