バプトルニス(学名:Baptornis、「潜水する鳥」)は、白亜紀後期の8700万年前から8000万年前に存在した飛べない水鳥である。タイプ種であるBaptornis advenus の化石は、アメリカ合衆国カンザス州で発見された。当時、そこは、西部内陸海路という浅い海であった。

バプトルニス
生息年代: 白亜紀後期, 83.5–80.5 Ma
Marsh1880-193.jpg
足根中足骨のイラスト図, 1880年
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: ヘスペロルニス目 Hesperornithes
: バプトルニス科 Baptornithidae
: バプトルニス属 Baptornis
学名
Baptornis Marsh1877[1]
シノニム

Parascaniornis Lambrecht, 1933

B. advenus

オスニエル・チャールズ・マーシュは、1870年代にこの鳥の化石を最初に発見した。これは始祖鳥とともに初めて科学的に知られるようになった中生代の鳥類である。

生態編集

バプトルニス・アドベヌス(B. advenus )は、おそらくヘスペロルニス・レガリス(Hesperornis regalis )を例外として、ヘスペロルニス目に属する他の鳥類よりも生存していた痕跡が多く残されているが、よくわからない点も多い。アビ属の鳥類の大きさぐらいで、その近縁種では中間の大きさであり、著しく細長い首を持っていた。おそらく、それは今日のヘビウと同様な動作をし、バプトルニスより大きな近縁種より、動きのある獲物を多く狩っていた。しかしヘビウとは違って、獲物をつき刺すことができなかったが、その代わりに、今日のカワアイサのようなくちばしで狩っていた。

バプトルニスが生息していた海域は、かなり浅い大陸棚あるいは沿海であった。先史時代の海岸から遥かに遠くの場所で発見された化石は、それが思い切って遠くまで乗り出したのか、島で繁殖していたかのいずれかを示唆している。相当数の若年個体の標本が知られている。これらは、現在のカナダとアラスカに相当する生息域の北部でよく見つかる傾向があるが、現在のカンザス州でも発見されている。これはこの鳥が、現在の数種のペンギンのような渡り鳥であったことを示し、繁殖のため夏に極地へ移動したものと思われる。白亜紀は今日より、ずっと暖かい気候であり、バプトルニスが生息した海域は、亜熱帯に温帯であった。

その足はおそらく浅裂ではなく水かきであったので、長い首は必要に応じて余分な機動性を提供していた。ひいては操縦性ではなく、高速度に向けて適応した。緻密な骨のために、その動物はおそらくヘビウ属のように半分水没した状態で泳いだ。その翼は運動では大きな役割を果たしていないが、潜水艦の潜水舵やの胸ビレのように潜水時の深さ、方向を変更する際に助けになるものと思われている。

バプトルニスは、泳ぎや潜水に適応したが、陸に上がると動作が不器用であったと考えられている。陸上での移動では、歩くというより、岩に沿って足で自分自身を押しているようであった。下肢の自然な位置は体にぴったりであり、足を横に伸ばしていた。そのため、転倒せずに直立して移動することはできなかったと思われる。自身の腹で滑るかアザラシのようにどたばた歩くしかできなかったと考えられているヘスペロルニスとは対照的に、バプトルニスの下肢は、胴体の側面に固定されていなかった。つまり、つま先が前方に向くように胴体の下にもってきて小さく跳ぶか、体を地面すれすれによたよた歩いていたとされる。

ヘスペロルニス目の鳥類が食べていた餌は、バプトルニスのある特定の標本により明らかとなった。バプトルニスの標本である「UNSM 20030」は、糞石とともに発見された。糞石は、直径1cmほどの小さな丸い塊であり、これらには、エンコドゥス英語版Enchodus )おそらくEnchodus parvus の化石が含まれていた。糞石の質量のうちエンコドゥスが占める割合はわずかであり他のほとんどの内容物は判別できなかったため、バプトルニスの胃液は強力であり、生きた魚を食べるほとんどの鳥のように、獲物の消化しにくいほとんどの部位をペリットとして吐き戻していたと考えられている。

系統編集

バプトルニスは、それより大型でよく知られているヘスペロルニスと関係があった。両者はヘスペルオルニス目に属し、潜水や泳ぎに適応し、歯を持っていた。始祖鳥エナンティオルニス類のような恐竜に似た形態よりむしろ、現生鳥類にかなり類似していた。

バプトルニスがヘスペロルニス目で非常に独特だったので、バプトルニス科(Baptornithidae)が設けられた。現在、バプトルニスは、バプトルニス科の単型である。しかし、最近スウェーデンのイボ島の白亜紀後期の地層から発掘された「白亜紀フラミンゴ」とされるParascaniornis stenisoei は、フラミンゴアビ目ミズナギドリ目のいずれでもなく、バプトルニス属に属すと提案された[2]。しかし、比較のための適切で十分な試料がないので、B. advenusの下位同物異名またはバプトルニス属の2つ目の種であるかどうかは不明である。

2004年には、バプトルニス属の第2の種であろうとされる試料が発表された。この標本は、B. advenusのタイプ標本の約2倍の大きさであった。骨はアメリカ合衆国サウスダコタ州のピエール・シェールで発見されていた[3]。ジェームズ・マーティンとアマンダ・コルドパーソンは、2007年にBaptornis varneri と命名したが、それは後にブロダビス属英語版Brodavis )の種として再分類された[4]

ポタモリニス英語版属(Potamornis )は、ヘスペロルニス目の鳥類である可能性が高い。しかしどの鳥類と近縁であるのかは不明であるが、ヘスペロルニス科に属す場合もある。

さらに興味深い、あるいは物議を醸すのが、Neogaeornis である。チリで発見されたその化石鳥類は、バプトルニスの仲間かもしれないが、アビ目、またはミズナギドリ目のいずれの現生鳥類に関連すると考えられている。

注記編集

  1. ^ Brands, S. (2012)
  2. ^ Rees & Lindgren (2005).
  3. ^ Person (2004).
  4. ^ Martin, L.D. et. al (2012)

脚注編集

外部リンク編集