パレンバン

インドネシアの都市

パレンバン(インドネシア語Kota Palembang)は、インドネシアスマトラ島南部にある都市南スマトラ州州都である。中国語では巨港と呼ぶ。

パレンバン
Kota Palembang
インドネシアの旗
パレンバンの市旗
市旗
位置
の位置図
位置
パレンバンの位置(スマトラ島内)
パレンバン
パレンバン
パレンバン (スマトラ島)
パレンバンの位置(インドネシア内)
パレンバン
パレンバン
パレンバン (インドネシア)
パレンバン(南ジャワ州)の位置図
パレンバン(南ジャワ州)
地図
座標 : 南緯2度59分28秒 東経104度45分24秒 / 南緯2.99111度 東経104.75667度 / -2.99111; 104.75667
行政
インドネシアの旗 インドネシア
  南スマトラ州
 市 パレンバン
市長 H. Eddy Santana Putra
地理
面積  
  市域 400.5 km2
人口
人口 (2021年現在)
  市域 1,753,269人
  備考 統計[1]
その他
等時帯 インドネシア時間(WIB) (UTC+7)
市外局番 0711
公式ウェブサイト : www.palembang.go.id/

歴史

編集

パレンバンは、かつてはシュリーヴィジャヤという仏教徒王国の一部で古代首都だったが、1025年インド南部のチョーラ朝からの海賊の襲撃を受けたことによって次第に勢力を失っていった。シュリーヴィジャヤ王国の首都はやがて北方のジャンビ-マラユに移った。

1602年オランダ東インド会社が創立され、以降インドネシアは長年に渡りオランダ植民地であり続けたため、主要地であったパレンバンでは当時の洋式建築遺跡がみられる。1659年にはパレンバン王国(スルターン国)となり、1823年に東インド会社によって解体されオランダ領東インドに編入されるまで存続した。ピティスと呼ばれるスルターン国時代の貨幣は現地で豊富に産出されたで鋳造された。

 
パレンバン王国のピティス錫貨

オランダ統治時代、当地で石油資源が発見され油田開発が行われた。パレンバン油田での1年間の産油量は当時の日本の年間石油消費量を上回るほどであったため、太平洋戦争における蘭印作戦では日本軍の攻略目標となった。開戦後の1942年2月14日、「空の神兵」と謳われた大日本帝国陸軍空挺部隊である第1挺進団挺進第2連隊が、オランダ軍が守備するパレンバン油田・製油所飛行場に対し奇襲落下傘降下、これらをほぼ無傷で占領する。(パレンバン空挺作戦en:)。パレンバン油田は連合軍による通商破壊で日本本土への石油輸送が困難になるまでの間、主要産油地として貴重な石油を供給し続けた。

2018年にはジャカルタとともに2018年アジア競技大会の開催地となった。

交通

編集

鉄道

編集
  • パレンバン郊外のクタルパティ駅からルブックリンガウ間305kmの鉄道路線は、周辺から産出する石炭の輸送ルートであり、途中に貨物専用線があり、一部区間は複線化されている。クタルパティ駅から12km地点から支線が出ており、スリウィジャヤ大学への通学輸送の為に造られたものである[2]
  • クタルパティ駅から途中のプラブムリーで分岐し、スマトラ島南端のランプン州州都バンダルランプンのタンジュン・カラン駅(389km)まで鉄道路線が敷設されており、同市のバカウニ港からの連絡船でジャワ島メラクへ、首都ジャカルタまで乗り継ぐ事ができる。しかし国営バス会社のジャカルタガンビル駅-メラク港-(連絡船)-バカウニ港-バレンバンの直通バスのほうが早く利便性がある[3]
  • 初の都市型公共交通機関となるパレンバンLRTライトレール、総延長23.4km・13駅)が2018年に開業、営業中[4][5][6]

水運

編集

ムシ川は河口からパレンバンまで約6.5mの深さに浚渫されていて大型船が航行できるようになっている。港湾施設は主に石油、ゴム、石炭の輸出に使われている。

地理

編集

市を東西に通過する形で、ムシ川が流れていて、「ジュンバタン・アンペラ」と称する大きな昇降橋が結んでいる。

気候

編集

ケッペンの気候区分では、熱帯雨林気候に区分され、一年を通して降水量が多く晴れが少ないが、6~9月にかけては比較的雨が少なくなる。極端な暑さになることは少なく、最低気温も一年を通して25度を下回る日が多い。

パレンバンの気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平均最高気温 °C°F 30.8
(87.4)
31.2
(88.2)
31.5
(88.7)
32.1
(89.8)
32.4
(90.3)
31.9
(89.4)
31.8
(89.2)
32.1
(89.8)
32.5
(90.5)
32.6
(90.7)
31.9
(89.4)
31.1
(88)
31.83
(89.28)
日平均気温 °C°F 26.8
(80.2)
27.1
(80.8)
27.2
(81)
27.7
(81.9)
28.0
(82.4)
27.4
(81.3)
27.0
(80.6)
27.2
(81)
27.5
(81.5)
27.7
(81.9)
27.4
(81.3)
27.0
(80.6)
27.33
(81.21)
平均最低気温 °C°F 22.9
(73.2)
23.0
(73.4)
23.0
(73.4)
23.4
(74.1)
23.6
(74.5)
22.9
(73.2)
22.3
(72.1)
22.4
(72.3)
22.5
(72.5)
22.9
(73.2)
23.0
(73.4)
23.0
(73.4)
22.91
(73.22)
降水量 mm (inch) 277
(10.91)
262
(10.31)
329
(12.95)
263
(10.35)
213
(8.39)
122
(4.8)
104
(4.09)
107
(4.21)
120
(4.72)
186
(7.32)
274
(10.79)
366
(14.41)
2,623
(103.25)
平均月間日照時間 169 118 130 150 174 127 130 149 118 160 132 120 1,677
出典1:Climate-Data.org
出典2:Deutscher Wetterdienst[7][8]

経済

編集

その他

編集

最近では2007年に行なわれたサッカーAFCアジアカップ日本代表が3位決定戦を当地で韓国代表と行い、PK戦の末敗れている。

2009年4月21日には当地で行われたサッカーAFCチャンピオンズリーグ2009で、前回大会王者ガンバ大阪が当地でスリウィジャヤFCと対戦し、3-0で勝利。ガンバ大阪はこの試合を以ってグループリーグ突破を決めた。

姉妹都市

編集

脚注

編集
  1. ^ statisticstimes”. 16 Dec 2022閲覧。
  2. ^ 出典・古賀俊行著『インドネシア鉄道の旅』第6章「スマトラ島各線案内」234‐240頁、「黒ダイヤを運ぶ産業動脈・南スマトラ鉄道その1」
  3. ^ 出典・古賀俊行著『インドネシア鉄道の旅』第6章「スマトラ島各線案内」234‐240頁、「連絡運輸は難しかったか・南スマトラ鉄道その2」
  4. ^ 全国的な鉄道網整備に注力 インドネシア、経済活動活性化sankeibiz 2016年1月19日
  5. ^ 武内彩 (2018年10月). “トラブル続く次世代型電車 ジャカルタ”. 毎日アジアビジネス研究所. 2020年12月29日閲覧。
  6. ^ Lenny Tristia Tambin, Heru Andriyanto (2018年8月1日). “Palembang LRT Begins Operations, Jakarta to Follow Next Week”. Jakarta Globe. 2020年12月29日閲覧。
  7. ^ ftp://ftp-cdc.dwd.de/pub/CDC/observations_global/CLIMAT/multi_annual/sunshine_duration/1961_1990.txt
  8. ^ ftp://ftp-cdc.dwd.de/pub/CDC/help/stations_list_CLIMAT_data.txt