ヒュンダイ・シータエンジン
θ(Theta、シータ)エンジンは、現代-起亜自動車グループの開発・製造する直列4気筒エンジンのシリーズ名。
概要編集
元となったワールドエンジンは、提携関係にあった日本の三菱自動車工業、韓国の現代自動車、ドイツ・米国のダイムラー・クライスラー(以下DC。現・ダイムラーAG)により共同設立されたGEMA(Global Engine Manufacturing Allianceの略)により設計されている。また、エンジンブロックとシリンダーヘッドの初期設計は現代自動車が担当している。同様にワールドエンジンの設計を受け継いだエンジンは、三菱自動車(三菱・4B1型エンジンを参照)とクライスラーにも存在する。また、ワールドエンジンは全てを共有することは考えられていなかった。共用するのはエンジンの基礎的な部品のみであり、市場の需要に対して各社が自由にエンジンの性能を決定出来るだけの余地が残されており、各社自由な仕様のエンジンが存在する。
2005年には、中国国内で生産する自社モデルに搭載するためのエンジン製造工場を建設した。
DC、三菱にも供給していると一部韓国メディアで報道されたが、DCや三菱もシータエンジンの搭載モデルが存在せず誤報であり、2008年7月現在、本機を上記二社が採用した事実は存在しない。
また、NFソナタ(前期型・韓国仕様車)の場合、へッドカバーには"θ-VVT"と記載されているが、輸出仕様車ではヒュンダイCIマークと共に"DOHC 16V"と記載されている(写真)。
韓国仕様車でもグレンジャーTGの場合"DOHC 16V"であるが、ソナタのヘッドカバーとは配色が異なり黒尽くめである。
シータ2エンジン編集
2007年以降、NFソナタのマイナーチェンジに伴い、本機も改良され、θII(シータ2)と呼ばれるものに換装された。吸気側にCVVTを装備し、若干高出力・高回転型となったほか、ヘッドカバーデザインの変更が加えられた。シータ2エンジンは、排気量2.0、2.4リットルを基本にMPI仕様、ターボ仕様、直噴(GDI)仕様およびそれらの組み合わせた多様なラインナップが用意され、2010年代を通じてヒュンダイやキアのCセグメント車、Dセグメント車に搭載された[1]。
2016年、シータ2エンジンから発火するトラブルなどを経験していた社内の技術者の一人が、アメリカ道路交通安全局(NHTSA)や韓国政府にエンジンの欠陥を放置している状況を内部通報。この通報を契機にアメリカ道路交通安全局は、リコールに関する調査を行った[2]。 2020年10月、ヒュンダイはシータ2エンジンに振動や停止するなどの欠陥があったことを認め、2010年-2019年製の車両を保有する顧客に対して、生涯保証プログラムを提供することを決定した[3]。
諸性能編集
エンジン型式 | G4KF(2.0L) | G4KC(2.4L) | ?(2.4L) |
---|---|---|---|
搭載車種 | ジェネシスクーペ韓国仕様 | NFソナタ日本仕様 | YFソナタ韓国仕様 |
排気量 | 1,998 cc | 2,359 cc | |
過給器・特筆事項 | ターボ | なし | 直噴 |
シリンダー配置 | 直列4気筒DOHC16バルブ | ||
ボア | 86mm | 88 mm | ?mm |
ストローク | 86mm | 97 mm | ?mm |
圧縮比 | 9.4:1 | 10.5:1 | ?:1 |
燃料供給方式 | 電子制御式 | 電子制御直噴(GDi) | |
最高出力 | 275ps/ 6,000 rpm | 164ps/ 5,800 rpm | 201ps/ 6,300 rpm |
最高トルク | 38.0kgf·m/ 2,000 rpm | 23.1kgf·m/ 4,250 rpm | 25.5kgf·m/ 4,250 rpm |
主な採用車種編集
- ヒュンダイ
脚注編集
- ^ “進化を続ける元祖グローバルエンジン[Theta II]”. Motor-Fan (2020年1月23日). 2020年10月20日閲覧。
- ^ “現代自動車のエンジン欠陥内部告発者に「過去最多級の報奨金」2400万ドル”. 中央日報 (2021年11月10日). 2022年1月20日閲覧。
- ^ “エンジン欠陥問題の現代・起亜車、株価が急落”. 中央日報 (2020年10月20日). 2020年10月20日閲覧。