ホウキギ
ホウキギ(箒木、学名: Bassia scoparia)はヒユ科(アカザ科)バッシア属の一年草。別名、ホウキグサ(箒草)。
ホウキギ | ||||||||||||||||||||||||
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![]() 秋のホウキギ
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Bassia scoparia (L.) A.J.Scott | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ホウキギ(箒木) | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
summer cypress Mexican burningbush Mexican fireweed mock cypress |
バッシア属のうちホウキギなど数種は、一時、花被の特徴から、ホウキギ属 Kochia(コキア)に分離されていた。
名称編集
和名は、乾燥した茎を箒に使うので、「ホウキギ」の名がつけたものである[1]。園芸(鑑賞)用途においては「コキア」が一般的である。地方により様々な呼び名があり、ハハキギ[1]、ニワクサ[1]、トンブリ[1]などの地方名がある。中国植物名(漢名)では地膚(じふ)とよばれる[1]。学名のスコーパリア(scoparia) は「ほうき状の」の意。
特徴編集
ヨーロッパ、南アジア、中国などのユーラシア原産といわれ[1][2]、日本へは古くに渡来し、栽培されている[2]。一年生の草本[2]。箒のような細かい茎が特徴で、秋に紅葉、茎も同様に赤くなる。耐塩性が高い。
茎は直立、もしくは枝分かれして、はじめのうちは緑色をしているが、後に赤くなり、全体が球形から楕円形になる[2]。8 - 9月頃に赤みを帯びた茎枝は、固くなる[2]。葉は線状披針形である[2]。夏から秋にかけて、葉腋から多数の淡緑色の花が束のように生えてくる[2]。花は雄花と雌花に分かれており、雄花からは黄色い葯が出る[2]。一方、雌花は深緑色で目立たない[2]。果実は、宿存萼に包まれて、星形になる[2]。
栽培編集
種子は極めて小さくて軽いため、前年に植えた周辺から生えた苗を移植する方法も採られている[2]。日本での栽培地は、秋田県・山形県が主な産地である[1]。ツツミノガ類が主な害虫である[3]。
利用編集
果実は、薬用・食用にされ、若芽は食用にされる[2]。昔は夏から秋に固くなった茎を根元から切り採って乾燥し、束ねて箒として利用した[2]。同時期には果実も成熟しており、ビニールを広げて天日で乾燥し、打ち落としてから、風を送って実とかすを選別する[2]。
乾燥させた果実は地膚子(じふし)と称される生薬になり、滋養や強壮のほか、膀胱炎、皮膚のかゆみ、疥癬、湿疹、蕁麻疹に効果があるといわている[1][2]。民間療法では、1日量3 - 10グラムを、水500 - 600 ccで半量になるまで煎じ、3回に分けて服用する用法が知られている[1][2]。皮膚病に対して、50グラムほどを布袋に入れて浴湯料として使用してもよいとも言われているが、皮膚が冷えているときの使用は禁忌とされる[1]。
また成熟果実は秋田県の郷土料理「とんぶり」の材料となる。実はその性状から「畑のキャビア」「陸のキャビア」ともいわれ、煮付けて大根おろしやとろろに加えて食べられる[1][2]。
脚注編集
参考文献編集
- 貝津好孝 『日本の薬草』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年7月20日、195頁。ISBN 4-09-208016-6。
- 馬場篤 『薬草500種-栽培から効用まで』大貫茂(写真)、誠文堂新光社、1996年9月27日、104頁。ISBN 4-416-49618-4。