タカネトンボ (植物)

ラン科の種
ミヤケランから転送)

タカネトンボ(高嶺蜻蛉、学名Platanthera chorisiana)は、ラン科ツレサギソウ属の地生の多年草[3][4][5][6]

タカネトンボ
岩手県八幡平 2019年7月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
: ツレサギソウ属 Platanthera
: タカネトンボ P. chorisiana
学名
Platanthera chorisiana (Cham.) Rchb.f.[1]
シノニム
  • Limnorchis chorisiana (Cham.) J.P.Anderson[2]
和名
タカネトンボ(高嶺蜻蛉)[3][4]

特徴 編集

は伸長し一部は肥厚し、別に少数のヒゲ状の根がある。の高さは8-20cmになり、茎に稜がある。は地表近くに2個が対生状につくが2葉はやや離れている。葉身は円形または広楕円形で、長さ2-6cm、幅2-5cmになり、先端は円頭、基部は狭くなってやや鞘状になって茎を抱く。葉質は多少肉質で、表面は深緑色で光沢がある。その上部には少数の鱗片葉があり、線状披針形となる[3][4][5][6]

花期は7-8月。は淡黄緑色で、径3-4mmの小さな花を数個から約10個、総状花序につく。花柄子房の基部に線形のがつき、花柄子房より長い。背萼片と側萼片はほぼ同じ形で、長楕円形から楕円形、長さ2mmになり先は円頭になる。側花弁は卵形または広卵形で、萼片より少し短い。唇弁は卵円形で先は鈍頭、萼片と同じ長さで、質はやや厚い。は太く鈍頭で、長さ-1.3mmで楕円体になり、先端が前に突き出る。花粉塊柄は短く、花粉塊は卵形となる[3][4][5][6]

分布と生育環境 編集

日本では、北海道、本州の中部地方以北(東北地方、日光北アルプス八ヶ岳白山)に分布し、高山の湿った草原や林縁などに生育する[3][4][5][6]。世界では、千島列島サハリンカムチャツカ半島アリューシャン列島、北アメリカのアラスカ州からワシントン州にかけて分布する[5]

タイプ標本はアリューシャン列島のウナラスカ島で採集されたもの[1][3][4]

名前の由来 編集

和名タカネトンボは、「高嶺蜻蛉」の意で、高山に生えるトンボソウの意味[6]

種小名(種形容語)chorisiana は、植物画家の Louis Choris (1795 – 1825) への献名[7]

種の保全状況評価 編集

絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト

(2017年、環境省)[8]

ギャラリー 編集

ミヤケラン 編集

下位分類として、変種にミヤケラン(三宅蘭[3]Platanthera chorisiana (Cham.) Rchb.f. var. elata Finet[9])がある。基本種のタカネトンボに似るが、茎の高さは20-40cmになる。2個の葉は離れてつき、長さ4-7cmの広楕円形から楕円形になり、先は鋭頭になる。花は20数個つく。基本種との中間型もあるという。分布域は基本種と同じであるが、基本種よりやや北方型で、日本では、北海道、本州(東北地方)に分布し、低地から山地の樹林下に生育する[3][10][11]。変種名 elata は、「背の高い」の意味[12]

脚注 編集

  1. ^ a b タカネトンボ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ タカネトンボ(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d e f g h 『山溪カラー名鑑 日本の高山植物』p.533
  4. ^ a b c d e f 『山溪ハンディ図鑑8 高山に咲く花』p.385
  5. ^ a b c d e 『改訂新版 日本の野生植物1』p.223
  6. ^ a b c d e 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.251
  7. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1488
  8. ^ タカネトンボ、日本のレッドデータ検索システム
  9. ^ ミヤケラン「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  10. ^ 『日本の野生植物 草本I単子葉類』p.195
  11. ^ 『新版 北海道の高山植物』p.274
  12. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1492

参考文献 編集

外部リンク 編集