ボキラス温泉(ボキラスおんせん、: Boquillas Hot Springsラングフォード温泉(: Langford Hot Spring:Langford Hot Spring)は、 アメリカ合衆国テキサス州ビッグ・ベンド国立公園内にあり、アメリカ合衆国国立公園局が管理する温泉[1]

ボキラス温泉(ラングフォード温泉)
ボキラス温泉。リオ・グランデ川の向こうはメキシコ
温泉情報
所在地 アメリカ合衆国テキサス州ブリュースター郡ビッグ・ベンド国立公園
座標 北緯29度10分39秒 東経102度59分6秒 / 北緯29.17750度 東経102.98500度 / 29.17750; 102.98500座標: 北緯29度10分39秒 東経102度59分6秒 / 北緯29.17750度 東経102.98500度 / 29.17750; 102.98500
交通 空路でアメリカ合衆国テキサス州の空港まで飛び、空港から
鉄道 - なし
バス - なし
車 - エルパソ (テキサス州)から5時間、サンアントニオから6時間、オースティンからは8時間
泉質 塩化物泉
炭酸カルシウム硫酸カルシウム硫酸ナトリウム塩化ナトリウムリチウム
泉温(摂氏 40.6 °C
湧出量 約946 t/日(1936年測定)
(約660 L/分)
宿泊施設数 0(車で1時間でロッジがある。車で20分でキャンプ・RVサイトがある)
総収容人員数 10人程度。不明 人/日
外部リンク Hot Springs / Geothermal Areas - Big Bend National Park
(U.S. National Park Service)
特記事項 屋外、混浴、水着着用、無人、無料
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名称は、地名のボキラス(英語版)(Boquillas)や、この温泉を開発したラングフォード(J.O. Langford)にちなんでいる。100年以上の歴史があり、現在、温泉宿や現地管理人はおらず、無人の露天風呂で、観光客が自由に利用している。

特徴 編集

リオ・グランデ川沿いの露天風呂である。混浴水着着用、無人、無料。

米国の温泉の一般論との対比 編集

米国の温泉の常識慣習ルール文化に従っている。温泉と似た施設である、ヌーディスト用の全裸混浴の風呂・プールは、ここでは除外した。

ボキラス温泉では、以下の8,11以外はあてはまる。

  • 日本と異なる点。
  1. 湯を汲むがない場合が多い。
  2. 身体を洗う設備概念がない。自室の浴室で身体を洗ってから温泉に入ることが前提で、温泉浴室シャワーや蛇口がないことが多い。単にお湯につかるだけである。
  3. サウナがない場合が多い。
  4. 岩盤浴はない。
  5. ぬる湯である。じっくり浸かるので、出てから身体がほかほかする。
  6. お湯が透明で濁っていない。
  7. お湯に硫黄などの匂いがない。
  8. 浴槽の中央部は1~1.5メートルほどと、深めである。
  9. 通常、「水着着用」「水着自由(全裸と水着が混在)」「混浴」「女性のみ」などの表示がある。他人と共用風呂に入るなら、基本的には同性でも水着着用である。個人風呂は全裸で良い。水着着用の場合、当然のように外部から丸見えである。性的振る舞いは厳格にご法度である。
  10. 飲用はしない。
  11. 温泉施設ではスパの後、マッサージなどのトリートメントがある。有料だがこのために温泉に来る人も多い。
  • 日本と共通な点。
  1. 米国のホテル浴室では使用後、浴槽の栓を抜いてお湯を流すが、温泉では栓を抜かない。
  2. 1と関連するが、浴槽内に石鹸を持ち込まない。
  3. のんびりするための施設である。
  4. 個室浴室はドアを室内から施錠できる。
  5. 男女の全裸混浴は基本的に存在しない。

注意点 編集

 
ビッグ・ベンド国立公園の地図。4時方向の赤い線の右端近くが温泉地
 
駐車場からボキラス温泉トレイル入口
 
ビッグ・ベンド国立公園内に唯一の宿泊施設・チゾス・マウンテンロッジ(Chisos Mountains Lodge)
  • 越境メキシコ人に、寄付・食べ物・水など与えてはいけない。越境メキシコ人から、置いてある土産物・麻薬を買うのは違法である[2]

歴史 編集

  • 1882年1月16日、テキサス州政府のテキサス・レンジャーが鉄道敷設のためにこの地を調査し、テキサス州政府が土地を所有した。[3]
  • 1909年、ミシシッピ生まれのラングフォードはこの地を購入し、妻・ベシー(Bessie)と1歳半の娘ロビー(Lovie)とともに、この地にリゾート温泉施設を設けた。以後、周辺にいくつもの温泉が設けられ村が形成された。
  • 1913年、盗賊にたびたび襲われた。
  • 1914年7月、郵便局が開設された。
  • 1916年、盗賊に襲われるのを避け、ラングフォード一家はこの地を去った。
  • 1927年、ラングフォード一家は戻ってきて、施設を再建する。温泉建屋、7室のモーテル、小売店を建てる[4]
  • 1930年代、温泉はリゾート施設としてかなり繁盛した。
  • 1932年10月、リオ・グランデ川の洪水で温泉建屋が水没した。この時以外にも、しばしば水没した。
  • 1933年、テキサス州はこのあたり一帯をビッグ・ベンド州立公園とする。
  • 1942年、ラングフォードは土地をテキサス州に売却した。実質的には、ビッグ・ベンド国立公園に寄付したのである。温泉施設は、スミス夫妻(Maggy and H. Baylor Smith)が1952年まで運営した。
  • 1944年6月12日、アメリカ合衆国連邦政府が、ビッグ・ベンド国立公園を設立する。
  • 1974年9月17日、アメリカ合衆国国家歴史登録財(National Register of Historic Places)に登録される。[5][4]
  • 1980年代、温泉建屋は壊れてなくなったが、現在と同じように、観光客は、温泉に浸かり、廃墟となった郵便局、モーテル、ラングフォードの家を見ることができる。

アクセス 編集

アクセス手段は車しかない。アメリカ合衆国テキサス州のエルパソから5時間、サンアントニオから6時間、オースティンからは8時間かかる。

ビッグ・ベンド国立公園内に唯一の宿泊施設、チゾス・マウンテンロッジ(Chisos Mountains Lodge)がある。そこから車で約1時間かかる。リオグランデ村(Rio Grande Village)には、キャンプ・サイトとRVサイトがあるので、そこに宿泊すれば、車で約20分である。

舗装された主要道路から未舗装道路を数分走ると、無料駐車場がある。無料駐車場から温泉まで、平地を約10分、リオ・グランデ川沿いに歩く。リオ・グランデ川によって頻繁に水没する。ボキージャスとしても知られるリオグランデ村の西約3.2 kmにある未舗装の道路でアクセスできる[6]

関連項目 編集


脚注・文献 編集

  1. ^ Take a Soak in the Hot Springs”. 2014年4月3日閲覧。
  2. ^ Visiting a Border Area - Big Bend National Park (U.S. National Park Service)。2014年4月3日閲覧。
  3. ^ HOT SPRINGS, TX | The Handbook of Texas Online| Texas State Historical Association (TSHA)。2014年4月3日閲覧。
  4. ^ a b Battle, David G. (1974年2月). “National Register of Historic Places Inventory - Nomination Form: Hot Springs”. National Park Service. 2014年4月3日閲覧。
  5. ^ Hot Springs - Big Bend National Park (U.S. National Park Service)。2014年4月3日閲覧。
  6. ^ Take a Soak in the Hot Springs”. 2011年10月31日閲覧。

外部リンク 編集

動画 編集