ルーレット式おみくじ器

ルーレット式おみくじ器[1][2][3][4][5](ルーレットしきおみくじき、卓上おみくじ器[6])は、自動販売機の一つ[7][8]。正式名称は「卓上小型自動販売機」である[7][8]

飲食店のテーブル上に設置された「ルーレット式おみくじ器」
(2019年4月、岐阜県にて撮影)

概要

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多くは喫茶店レストランなど飲食店のテーブル上に設置されており、100円硬貨を投入してレバーを引くと本体上部のルーレットが回転し、ロール状に巻かれた小さなおみくじが排出される仕組みになっている[1][2][3][4][5][6][7][8]。硬貨の投入口は黄道十二星座別に分かれており、自分の該当する星座の投入口に硬貨を入れ[2][7][8]、ルーレットが示した数字とおみくじの数字を照らしあわせて占う手順となっている[3][4][5][8]血液型を元に占うタイプもある[5][6]

2014年平成26年)現在、製造・保守を行っているのは岩手県滝沢市鵜飼狐洞の金属加工業者である有限会社北多摩製作所のみである[1][2][4][5]。同社では、本業のかたわら副業として[1]1983年昭和58年)[3][注 1]から製造を行っている。当時、他社の製品において本体の上部部分が灰皿になっているものが流行っていたことから、同社ではドライフラワーを施した製品を販売したがあまり売れず[3][7]、後にギャンブル好きな客を視野に入れ、当時まだ珍しいものであったルーレットを取り付けることになったという[7]。おみくじの排出と同時にルーレットを回転させる構造の開発に3年かかったとしている[7]。稼働には電源が一切不要で、不正や悪戯を防止するため100円以外の硬貨は使えない仕組み[注 2]となっている[7]。かつては実用新案権が登録[10]されていた。「今から新規に製造しようとする人はいない」「100円硬貨しか受け付けない仕組みの調整は他社に真似できない」などといった理由で2012年時点では更新していない[注 3][7]。本体内部にはおみくじが最大59枚充填可能である[7]。おみくじは150種存在し、くじの内容は販売開始当初から変更していなかったが[7]2012年(平成24年)頃に時代に合わせて内容が一部変更された[11]

昭和50年代当時には星占いブーム[12]、喫茶店ブーム[4]が起こったこともあって、最盛期には年間約20万台を製造[5]、1店舗だけで月に約8万円売り上げを出すこともあったという[7]。製造開始当時、コーヒー1杯の相場が150 - 200円であった時期から1回100円で提供していたため、店舗側の利益率も高かったとしている[4]。その後は喫茶店自体の減少もあってブームは去り、北多摩製作所1社のみが細々と製造を続けていたが、2013年(平成25年)に自社ホームページを立ち上げて製品情報を掲載しメールで注文を受け付けるようになってから問い合わせが急増[5]。2014年(平成26年)現在で月間約100台[1]2017年(平成29年)現在で月間約200台[8]ないし年間約2000台[5][12]製造されており、設置している店舗数は約200軒[7]であるとも、稼働台数は推定100万台[1]であるとも報じられている。NHKの2013年度(平成25年度)上半期の連続テレビ小説あまちゃん』においてルーレット式おみくじ器が登場したことから、再び注目を集めるようになった[1][5][12]

本体は1台約8000円で販売しているが[1][2][4][9][12]、基本的にはリース契約であり設置費用はかからず、売上金の30%が店舗側に配分される仕組みとなっている[3]。個人向けの販売は2010年代に入ってから開始し、2016年(平成28年)現在は売上の約半数が個人向け販売である[4]

各種イベントで特別バージョンが製造されることもあり、例としてフジテレビお台場冒険王』用に「トロバージョン」が製造された事例や[7]、滝沢市の市制移行記念として伝統行事『チャグチャグ馬コ』をあしらったバージョンが製造された事例がある[1][2][5][9]。また、滝沢市のふるさと納税の特典品にも選ばれている[4][5][8][13]

類似品

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類似品の「Secret Ball」
土台部分に呼び出しベルが付いたモデル

1970年代に流行した類似品に「Secret Ball」が存在した[14]。こちらは100円硬貨を入れると運勢を記載した紙の入ったボールが排出される形式となっている[14]

脚注

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注釈

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  1. ^ 初見健一の書籍(2006年)では1983年から販売開始した旨の記述があり[3]、岩手日報(2014年)[1]やデイリーポータルZ(2012年)[7]の記事では「約30年前」、ITmedia(2016年)の記事では「約35年前」[4]、河北新報(2017年)の記事では「1980年代」[5]から製造開始した旨の記述があるが、滝沢市観光協会が運営するネットショップ上では「1962年昭和37年)の創業当初より製造を行っている」[9]との記述がある。
  2. ^ 10円硬貨は入らないサイズの投入口となっており、5円硬貨50円硬貨は投入できてもおみくじが排出されない仕組みとなっている[7]
  3. ^ 実用新案登録第1816965号に関するJ-PlatPatの経過情報[10]によると、1996年11月12日に存続期間満了により抹消された旨の記載があり、2012年現在において出願人自らの意思により更新していないとの記述は誤りである可能性がある。

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j “ルーレット式おみくじ再人気? 滝沢で国内唯一製造” (日本語). 岩手日報 (岩手日報社). (2014年4月12日). オリジナルの2014年4月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140412231110/http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20140412_9 2014年11月25日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f 手塚さや香 (2014年1月3日). “雑記帳:1日に市制移行した岩手県滝沢市の金属加工業「北多摩製作所」が…” (日本語). 毎日新聞(東京朝刊) (毎日新聞社): p. 25  - G-Searchにて2014年11月24日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g 初見健一 (2006). まだある。今でも買える“懐かしの昭和”カタログ〜生活雑貨編〜. 大空出版. pp. 198-199. ISBN 978-4903175027 
  4. ^ a b c d e f g h i j 赤祖父 (2016年2月22日). “街中ロストガジェット:100円で買う時間 喫茶店のおみくじルーレットマシン” (日本語). ITmedia PC USER. アイティメディア. 2016年2月24日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l “人気再燃 ルーレットおみくじ器、注文殺到” (日本語). 河北新報 (河北新報社). (2017年5月13日). オリジナルの2017年5月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170517102237/https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201705/20170513_33002.html 2019年3月2日閲覧。 
  6. ^ a b c 伊藤唯行 (2016年6月2日). “帰ってきた卓上おみくじ器 40代「何度も引く夢実現」” (日本語). 朝日新聞 (朝日新聞社). オリジナルの2016年6月3日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/2016.06.03-193205/http://www.asahi.com/articles/ASJ614WTPJ61UTIL02V.html 2017年12月18日閲覧。 
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 大坪ケムタ (2012年9月12日). “ルーレット付おみくじ機、最後の工場” (日本語). デイリーポータルZ. 2024年6月23日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g “うどん、おみくじ…レトロ自販機ブーム再燃” (日本語). 日テレNEWS24 (日本テレビ放送網). (2017年5月30日). http://www.news24.jp/articles/2017/05/30/07362897.html 2017年12月18日閲覧。 
  9. ^ a b c ルーレット式おみくじ器 滝沢市誕生記念 プレミアムチャグ馬バージョン” (日本語). チャグまるしぇ滝沢. 滝沢市観光協会. 2014年11月25日閲覧。
  10. ^ a b JP 実用新案登録第1816965号, 佐藤陽太郎, "御籤放出器", issued 1990-10-17, assigned to 有限会社北多摩製作所 
  11. ^ "年間2000台! 喫茶店で見かけたアレ". 所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!. 21 November 2014. テレビ東京. 2014年11月25日閲覧
  12. ^ a b c d "(1)昔懐かしいアレを大調査! 昭和ファクトリー". 所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!. 21 November 2014. テレビ東京. 2014年11月25日閲覧
  13. ^ C-13 ルーレット式おみくじ器 滝沢市誕生記念 プレミアムチャグ馬バージョン” (日本語). ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」. トラストバンク. 2019年4月19日閲覧。
  14. ^ a b 高橋モータース@dcp (2013年7月19日). “最近とんと見かけない懐かしのアレ「ペナント」「宝石箱アイス」「喫茶店の占い器」” (日本語). マイナビウーマン. マイナビ. 2014年11月25日閲覧。

外部リンク

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