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レミフェンタニル(Remifentanil)は超短時間作用性の合成麻薬である。効能・効果は「全身麻酔の導入および維持における鎮痛」であり、他の全身麻酔薬の併用が必須である。

レミフェンタニル
Remifentanil.svg
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
法的規制
投与方法 Intravenous
薬物動態データ
生物学的利用能 Not applicable (intravenous administration)
血漿タンパク結合 70% (bound to plasma proteins)
代謝 cleaved by non-specific plasma and tissue esterases
半減期 1-20 minutes
識別
CAS番号
132875-61-7
ATCコード N01AH06 (WHO)
PubChem CID: 60815
DrugBank APRD01216
KEGG D08473
化学的データ
化学式 C20H28N2O5
分子量 376.447 g/mol
物理的データ
融点 5 °C (41 °F)
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薬物動態学編集

投与編集

レミフェンタニルは塩酸塩の形で供給される。投与経路は静脈内投与で投与速度は体重1kgに対し1分間に0.1µg〜0.5µgである。なお、添付文書に記載されている投与速度はこれよりも多く、最大で2µg/kg/分となっている。この使用量は患者の年齢や疾患の重篤度、侵襲の程度に応じて増減される必要がある。目標制御注入法(TCI)による投与も行われている。

代謝編集

合成オピオイドの多くが肝臓で代謝されるのに対し、レミフェンタニルは組織および血漿中の非特異的なエステラーゼにより代謝されるのが特徴である。そのため長時間投与後の蓄積性がなく4時間投与後のCSHT(context sensitive half-time:持続投与中止後、血中濃度が50%に低下するまでの時間)は4分である。代謝産物はレミフェンタニルの4,600分の1の作用を持つ。

このようにレミフェンタニルの代謝が非常に速く、作用時間が短いため全身麻酔中の投与量を多くすることができる。また、レミフェンタニルの鎮静作用は他の鎮静薬、たとえばプロポフォールと相乗作用があるため、鎮静薬の使用量を減らすことができる。その結果麻酔終了後の回復が早くなる。

血漿中でも分解されるため、静脈から投与する際は血液製剤との混和を避ける必要がある。

副作用編集

レミフェンタニルはオピオイドμ受容体の特異的アゴニストであるため、鎮痛作用の他に交感神経抑制作用、呼吸抑制作用を持つ。用量依存的に心拍数は減少、血圧・呼吸数・一回換気量は低下する。また、骨格筋の硬直も観察される。

最も多い副作用は眩暈瘙痒感嘔気である。対処法としては投与量の変更、鎮静薬や抗ヒスタミン薬の投与である。

重大な副作用とされているものは、筋硬直(3.0%)、換気困難、呼吸停止、呼吸抑制(1.8%)、血圧低下(41.2%)、徐脈(22.1%)、不全収縮、心停止、ショック、アナフィラキシー、全身痙攣である[1]。(頻度未記載は頻度不明)

剤形編集

レミフェンタニルは粉末で販売・保管され、生理食塩水等で希釈して経静脈投与でのみ用いられる。先述の通りレミフェンタニルはあらゆる組織で分解されるため、経口投与・経皮投与・皮下注射投与はできない。また現在商品化されている製剤はすべて添加物に緩衝剤としてグリシンが用いられており、直接脊髄周辺に投与すると神経伝達物質としての作用を発揮してしまうため、硬膜外腔・くも膜下腔への投与も適さない。

生物由来のエステラーゼが存在しなくても室温の水溶液中では徐々に分解されるため、希釈後は24時間以内に使用することが望ましいとされる。

力価編集

モルヒネの2,100倍、アルフェンタニルの70倍とされている。

出典編集

  1. ^ アルチバ静注用2mg/アルチバ静注用5mg 添付文書” (2016年10月). 2016年11月6日閲覧。