五井火力発電所
五井火力発電所(ごいかりょくはつでんしょ)は千葉県市原市五井海岸にあるLNG火力発電所(ただし、五井火力発電所ではLNGを受け入れてはおらず、袖ケ浦火力発電所や富津火力発電所に併設されたLNG基地でLNGから発生させたガスをパイプラインにより受け入れている)。JERA、ENEOS、九州電力の3グループが出資する五井ユナイテッドジェネレーション合同会社が運営している。元は東京電力の発電所であった。
五井火力発電所 | |
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正式名称 | 五井火力発電所 |
国 |
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所在地 | 千葉県市原市五井海岸1 |
座標 | 北緯35度32分48.5秒 東経140度04分21.1秒 / 北緯35.546806度 東経140.072528度座標: 北緯35度32分48.5秒 東経140度04分21.1秒 / 北緯35.546806度 東経140.072528度 |
現況 | 運転中 |
運転開始 |
1号機:2024年8月1日 2号機:2024年11月14日 3号機:2025年3月1日 |
事業主体 | 五井ユナイテッドジェネレーション合同会社 |
発電所 | |
主要動力源 | LNG |
発電機数 | 2基 |
発電量 | |
定格出力 | 234万kW |
ウェブサイト JERA 五井火力発電所 | |
2024年8月現在 |
種類 | 合同会社 |
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本社所在地 | 千葉県市原市五井海岸1-2 |
設立 | 2019年3月29日 |
業種 | 電気・ガス業 |
法人番号 | 5010403020481 |
主要株主 |
JERAパワーインベストメント合同会社 (60%) ENEOS Power株式会社 (33.3%) 九電エナジーインベストメント合同会社 (6.7%) |
外部リンク | https://www.goi-united.com/ |
概要
編集東京電力により建設され、1963年6月に1号機が運転を開始、6号機までが建設された。燃料は当初、重油・原油であったが、のちにLNGに転換された。1号機の運転開始から約50年が経過したため、設備更新が計画・発表された。
東京電力の分社化により、2016年4月、当発電所は東京電力フュエル&パワーに移管された。1~6号機は2016年4月1日に全機長期計画停止となり[1]、2018年3月30日に全機廃止された[2]。
更新計画は東京電力フュエル&パワーからJERAに引き継がれたが、その後、JERAとJXTGエネルギー(現・ENEOS)が合弁会社を設立して進めることになった[3]。2019年、JERAグループ(JERAパワーインベストメント合同会社)とJXTGエネルギー(現・ENEOS)の出資により、新たな設備を建設・運営する主体として五井ユナイテッドジェネレーション合同会社が設立された[4]。JXTGエネルギーとしては川崎天然ガス発電所の増設計画(東京ガスとの合弁事業)を中止し[5]、五井火力発電所の運営会社への出資に乗り換えた形となった。
2023年10月、九州電力の子会社(九電エナジーインベストメント合同会社)が同社に対する出資持分の一部をJERAから譲り受けた[6]。その結果、JERA、ENEOS、九州電力の出資比率は60% : 33.3% : 6.7%となった[6]。九州電力としては、千葉県袖ケ浦市におけるLNG火力発電所の共同開発計画(東京ガスとの合弁事業)から撤退し[7]、五井火力発電所の運営会社への出資に乗り換えた形となった。
建設工事は2019年に東芝グループ(東芝エネルギーシステムズ・東芝プラントシステム)が受注した[4]。2024年8月に1号機が、同年11月に2号機が運転を開始した。2025年3月、3号機が運転を開始した。
発電設備
編集- 総出力:234万kW(2025年3月1日時点)
- 敷地面積:約40万m2
- 1号機
- 発電方式:1,650℃級コンバインドサイクル発電(More Advanced Combined Cycle II)方式
- 定格出力:78万kW
- ガスタービン × 1軸
- 蒸気タービン × 1軸
- 使用燃料:LNG
- 熱効率:約64%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始:2024年8月1日
- 2号機
- 発電方式:1,650℃級コンバインドサイクル発電(MACCII)方式
- 定格出力:78万kW
- ガスタービン × 1軸
- 蒸気タービン × 1軸
- 使用燃料:LNG
- 熱効率:約64%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始:2024年11月14日
- 3号機
- 発電方式:1,650℃級コンバインドサイクル発電(MACCII)方式
- 定格出力:78万kW
- ガスタービン × 1軸
- 蒸気タービン × 1軸
- 使用燃料:LNG
- 熱効率:約64%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始:2025年3月1日
廃止された発電設備
編集- 総出力:188.6万kW(2018年3月30日時点)[2]
- 1号機(廃止)(2016年4月1日より長期計画停止)
- 発電方式:汽力発電方式
- 定格出力:26.5万kW
- 使用燃料:LNG(当初は重油、原油)
- 熱効率:42.4%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1963年6月 - 2018年3月30日
- 2号機(廃止)(2016年4月1日より長期計画停止)
- 発電方式:汽力発電方式
- 定格出力:26.5万kW
- 使用燃料:LNG(当初は重油、原油)
- 熱効率:42.4%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1964年8月 - 2018年3月30日
- 3号機(廃止)(2016年4月1日より長期計画停止)
- 発電方式:汽力発電方式
- 定格出力:26.5万kW
- 使用燃料:LNG(当初は重油、原油)
- 熱効率:42.4%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1965年7月 - 2018年3月30日
- 4号機(廃止)(2016年4月1日より長期計画停止)
- 発電方式:汽力発電方式
- 定格出力:26.5万kW
- 使用燃料:LNG(当初は重油、原油)
- 熱効率:42.4%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1966年1月 - 2018年3月30日
- 5号機(廃止)(2016年4月1日より長期計画停止)
- 発電方式:汽力発電方式
- 定格出力:35万kW
- 使用燃料:LNG(当初は重油、原油)
- 熱効率:42.2%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1968年1月 - 2018年3月30日
- 6号機(廃止)(2016年4月1日より長期計画停止)
- 発電方式:排気再燃型1,100℃級コンバインドサイクル発電方式
- 定格出力:47.6万kW
- 蒸気タービン:35万kW × 1軸
- ガスタービン:12.6万kW × 1軸
- 使用燃料:LNG(当初は重油、原油)
- 熱効率:45.7%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1968年3月 - 2018年3月30日
- 設備増強:1994年7月7日
東北地方太平洋沖地震による被害
編集2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震により当時運転中だった4号機が運転を停止した[8]。翌日には運転を再開した[9]。
アクセス
編集出典
編集- ^ 当社火力発電設備の長期計画停止について 2016年4月1日 (PDF) 東京電力フュエル&パワー株式会社
- ^ a b “五井火力発電所1号機~6号機の廃止について 2018年3月30日”. http://www.tepco.co.jp. 2018年4月15日閲覧。 東京電力フュエル&パワー株式会社
- ^ “五井火力発電所更新計画の共同開発検討に関する基本合意について”. JERA (2018年9月6日). 2018年9月29日閲覧。
- ^ a b 株式会社JERA (2019年6月28日). “五井火力発電所更新計画における発電設備建設工事請負契約の締結について”. 株式会社JERA. 2023年11月1日閲覧。
- ^ JXTGエネルギー株式会社ほか (2017年7月14日). “川崎天然ガス発電所3・4号機増設計画の事業化検討の中止について”. 川崎天然ガス発電株式会社. 2025年3月4日閲覧。
- ^ a b 株式会社JERA (2023年10月23日). “エネルギー安定供給および脱炭素社会の実現に向けたJERAと九州電力による包括的協業検討について”. 株式会社JERA. 2023年11月1日閲覧。
- ^ 九州電力株式会社 (2022年6月15日). “千葉県袖ケ浦市におけるLNG火力発電所共同開発検討からの撤退について”. 九州電力株式会社. 2025年3月4日閲覧。
- ^ 東北地方太平洋沖地震における当社設備への影響について【午後11時現在】 2011年3月11日
- ^ 東北地方太平洋沖地震における当社設備への影響について【午前1時現在】 2011年3月12日