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印籠

薬などを携帯するための小さな容器

印籠(いんろう)とは、などを携帯するための小さな容器のことを言う。当初はを入れたことから印籠と称される。数える単位は合(ごう)、または具(ぐ・そなえ)。

目次

機能編集

日本へは中国から印判入れが渡来し、この印判入れは食品の入れ物や床の間の置物にも利用されていた[1]。この印判入れが小型化し薬などの携帯に用いるようになったものが印籠である[1]。一方、茶の湯の文化との関連性も指摘されており、茶器の(なつめ)が積み重ねの様式をもつ「印籠」の名を借りて薬の携帯容器に発展したものとも考えられている[2]

印籠は平たい長方形をしており、素材は木製または金属製で3段から5段くらいに分割できるようになっている。各段の両脇に(緒締め=おじめ)を通して、落下防止用の根付けで留め、紐を帯に挟んで使用した。特に螺鈿蒔絵などが施されたものもある。

尺素往来』や『日欧文化比較』の記述から、室町時代には日本人が香料や薬、火打石などを入れた小さな袋を腰に下げて持ち歩く習慣があったとみられている[3]。やがて貴重品である薬を数種類携行できる頑丈な積み重ねの容器として印籠が登場した[4]

印籠の登場で江戸時代の武士や町人には印籠で常備薬を携行する習慣が浸透した[4]。しかし、次第に印籠の実用的な機能は失われ装身具から愛玩品へと変容し美術工芸品として扱われるようになった[4]。印籠は江戸時代の浮世絵や様々な史料に頻繁に登場し、そこから江戸時代の一時期、印籠が権力や地位を象徴する装身具であったとみられている[5]。テレビドラマ「水戸黄門」では権力のシンボルとして描かれてる[5]

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転義編集

「いんろう」という言葉は、転じて以下の意味にも使われる。

  • 建築や機械の分野では、外から見た接合面に隙間が無く、内部が位置決めや荷重を受ける働きを持つ構造をインローと呼ぶ。
  • 日本料理用語で、野菜イカなどの中心部に具を詰め込むことを印籠(射込み)と呼ぶ。稲荷寿司も、油揚げの中にを詰め込んだ印籠寿司の一種である[6]

出典編集

  1. ^ a b 服部昭 『印籠と薬』 風詠社、2010年、15頁。
  2. ^ 服部昭 『印籠と薬』 風詠社、2010年、15-16頁。
  3. ^ 服部昭 『印籠と薬』 風詠社、2010年、14-15頁。
  4. ^ a b c 服部昭 『印籠と薬』 風詠社、2010年、16頁。
  5. ^ a b 服部昭 『印籠と薬』 風詠社、2010年、14頁。
  6. ^ 重金敦之『すし屋の常識・非常識』24p 朝日新聞社

関連項目編集

  • 水戸黄門 - “雲水に三つ葉葵”(徳川家家紋)柄の印籠を掲げての「この紋所が目に入らぬか!」の決め台詞で知られる、長年に渡って放映された時代劇テレビドラマシリーズ。