福島県東方沖地震

1938年に福島県沖で発生した地震、あるいは福島県沖で発生した一連の群発地震
塩屋崎沖地震から転送)

福島県東方沖地震(ふくしまけんとうほうおきじしん)は、1938年昭和13年)11月5日福島県沖で発生したMj 7.5の地震、あるいは11月5日から同年12月にかけて福島県沖で発生した一連の群発地震活動を指す。塩屋崎沖地震(しおやさきおきじしん)とも呼ばれる。同年5月23日に茨城県沖で発生した地震を前駆活動として、あるいは一連の地震活動の一つとして含めることもある[1][2]が、本記事においては11月以降に発生した地震を扱う。

概要 編集

1938年11月5日17時43分にMj 7.5の地震が発生し、宮城県、福島県、茨城県で震度5を観測したほか、この地震により津波が発生し、宮城県花淵で113cm・鮎川で104cm・福島県小名浜で107cm等が観測された。その後11月5日19時50分にMj 7.3、11月6日にMj 7.4と、正断層型・逆断層型を取り混ぜて規模の大きな地震が連続して発生し、地震調査研究推進本部はこれらの地震を繰り返し発生する福島県沖地震として扱っている[3]

その後、群発地震活動となりM5からM6クラスの地震が多発した[4]。一連の地震活動では11月中に有感地震を300回、12月に23回観測し、11月30日までに津波を7回観測している[5]。これらの津波の波源域は重なりながらも徐々に南から北へ移動し、その全長は200kmにも及んだ[6]

被害 編集

一連の地震で福島県で死者1名・負傷者9名。また、福島県で建物の全壊20棟・半壊71棟・崖崩れ4カ所などの被害があった。

M7以上の地震 編集

1938年11月5日17時43分 編集

福島県東方沖地震
 
 
地震の震央の位置を示した地図
本震
発生日 1938年(昭和13年)11月5日
発生時刻 17時43分18秒
震央   日本 福島県 いわき市東方沖
北緯36度55.5分
東経141度55.1分(北緯36度55.5分 東経141度55.1分 / 北緯36.9250度 東経141.9183度 / 36.9250; 141.9183
震源の深さ 43 km
規模    気象庁マグニチュード(Mj)7.5
最大震度    震度5:宮城県 福島県 茨城県
津波 あり
地震の種類 低角逆断層型 海溝型地震
プロジェクト:地球科学
プロジェクト:災害
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1938年11月5日17時43分に北緯36度55.5分、東経141度55.1分の福島県いわき市東方沖を震源として発生した。地震の規模はMj 7.5(Mw 7.8)、震源の深さは43kmで、プレート境界で発生した低角逆断層型の地震である。宮城県、福島県、茨城県で最大震度5を観測した。大きく2つのアスペリティがすべったとされ、アスペリティ1の平均すべり量は3.69m、アスペリティ2の平均すべり量は3.27mだった[2]津波の初動はすべて押し波であり、これは地震波の解析から低角逆断層型であったことに対応する。津波の全振幅は小名浜で107cmのほか、宮古八戸でも観測した。波源域の南半分は同年に発生した茨城県沖の地震の波源域とも重なり、波源域の全長は130kmと余震域と合致しない[6][1]

各地の震度 編集

震度4以上を観測した地点は次の通り。

震度 都道府県 観測所
5 宮城県 仙台石巻
福島県 福島小名浜
茨城県 水戸筑波山測候所
4 山形県 山形
茨城県 柿岡
栃木県 足尾測候所・宇都宮
群馬県 前橋
埼玉県 熊谷
東京都 東京
神奈川県 横浜
山梨県 甲府船津

1938年11月5日19時50分 編集

福島県東方沖地震
 
 
地震の震央の位置を示した地図
本震
発生日 1938年(昭和13年)11月5日
発生時刻 19時50分14秒
震央   日本 福島県 浪江町東方沖
北緯37度25.7分
東経141度28.3分(北緯37度25.7分 東経141度25.7分 / 北緯37.4283度 東経141.4283度 / 37.4283; 141.4283
震源の深さ 30 km
規模    気象庁マグニチュード(Mj)7.3
最大震度    震度5:宮城県 福島県
津波 あり
地震の種類 低角逆断層型 海溝型地震
プロジェクト:地球科学
プロジェクト:災害
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最初の地震から約2時間後の1938年11月5日19時50分に北緯37度25.7分、東経141度28.3分の福島県浪江町東方沖を震源として発生した。地震の規模はMj 7.3(Mw 7.7)、震源の深さは30kmで、プレート境界で発生した低角逆断層型の地震である。宮城県と福島県で最大震度5を観測した。最初の地震よりも陸寄りの大きく3つのアスペリティがすべったとされ、アスペリティ1の平均すべり量は2.95m、アスペリティ2の平均すべり量は2.97m、アスペリティ3の平均すべり量は2.91mだったほか、アスペリティの一部が17時43分ごろの地震の一部に重なっている[2]。津波は17時43分ごろの地震によるものに重なって観測されたが、位相の変化から波源域は北方に移ったものと推定される。初動は押し波で、これは地震波の解析から低角逆断層型であったことに対応する[6]

各地の震度 編集

震度4以上を観測した地点は次の通り。

震度 都道府県 観測所
5 宮城県 仙台石巻
福島県 福島小名浜
4 岩手県 宮古
山形県 山形
茨城県 水戸柿岡筑波山測候所
埼玉県 熊谷
山梨県 甲府

1938年11月6日17時53分 編集

福島県東方沖地震
 
 
地震の震央の位置を示した地図
本震
発生日 1938年(昭和13年)11月6日
発生時刻 17時53分51秒
震央   日本 福島県 浪江町東方沖
北緯37度25.7分
東経141度28.3分(北緯37度25.7分 東経141度25.7分 / 北緯37.4283度 東経141.4283度 / 37.4283; 141.4283
震源の深さ 10 km
規模    気象庁マグニチュード(Mj)7.4
最大震度    震度5:福島県
津波 あり
地震の種類 正断層型 プレート内地震
プロジェクト:地球科学
プロジェクト:災害
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1938年11月6日17時53分51秒に北緯37度22.1分、東経141度53.5分の福島県浪江町東方沖を震源として発生した。地震の規模はMj 7.4(Mw 7.7)、震源の深さは10kmで、正断層型の地震である。福島県で最大震度5を観測した。11月5日19時50分の地震よりも沖合を波源域とし、ABE(1976)は気象庁による震央よりも大幅に沖合いに震央を再決定した。小名浜鮎川で津波の初動を引き波で観測し、特に鮎川の引き波の初動は明瞭だった。これは陸寄りの海底が沈降したことを示し、地震波の解析により正断層型の地震であったこととも対応する[6]内閣府の想定ではこの地震をプレート内で発生した地震としている[7][8]

各地の震度 編集

震度4以上を観測した地点は次の通り。

震度 都道府県 観測所
5 福島県 福島小名浜
4 宮城県 仙台石巻
秋田県 秋田
山形県 山形
茨城県 水戸柿岡筑波山測候所

脚注 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集