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多自然型川づくり(たしぜんがたかわ-)とは、平成元年度から旧建設省が実施している河川事業の一つ。 この事業名称で、1991年11月の建設省(現・国土交通省)が全国通達したことに端を発している。

治水の項にあるように、日本では、"近自然的な"河川整備を日本的に咀嚼した河川づくりとされているが、この近自然的河川づくりとは、1970年代ヨーロッパスイスドイツオーストリアで誕生したWasserbau(かわづくり)という河川整備観念のうち、自然をいかした川づくりに2つの種類naturnahとmehr Naturがあり、naturnahを近自然、mehr Naturを多自然と日本では訳している。関正和ら当時の建設省河川技術陣は、後者を事業名に採用したとされている。一方のNaturnaher Wasserbau の方は、学術名として「近自然河川工法」という工法名称を生み出した。

Mehr Naturでの多自然という意味は、自然が多いという意味ではなく、自然の捉え方、多様性という意味を指している。全国の は現在、上記の通達「多自然型川づくりの推進について」を転機にして、その後の河川法改正とあわせ、今後の河川計画の基本とされるようになる。

多自然型川づくりの名称をめぐっては、特定の工法や区間にのみ適用されるという印象を与える「型」を除き、現在では「多自然川づくり」へと名称変更がなされ、全ての川づくりの基本とされ現在に至る。

多自然型川づくりに関する主な人物編集

参考文献編集

  • 「多自然型川づくり」への取り組み 静岡県静岡土木事務所 1993年2月
  • 河川管理施設等構造令 日本河川協会 山海堂 2000年
  • トゲウオのいる川 森誠一 中公新書 1997年
  • 川とつきあう 小野有五 岩波書店 1997年
  • 雑誌「河川」2000年11月号 玉井信行 多自然型川づくりから自然復元へ
  • 魚から見た水環境 森誠一篇 信山社サイテック 1998年
  • 河川環境事業としての「多自然型川づくり」田中誠 環境社会学研究3 1997年
  • 近自然の歩み 福留脩文訳 クリスティアン・ゲルディ著 信山社サイテック 2004年
  • 多自然型川づくりを越えて 吉川勝秀・妹尾優二・吉村伸一著 学芸出版社 2007年
  • 実用河川計画 千田稔 理工図書 1973年
  • 自然環境復元の技術 杉山恵一・進士五十八編集 朝倉書店 1992年
  • ヨーロッパ近自然紀行 新見幾男 風媒社 1994年
  • 環境創造の思想 武内和彦 東大出版会 1994年
  • 土木学会誌199年12月号 住民参加の川づくり 亀岡徹
  • 自然環境復元の展望 杉山恵一 信山社サイテック 2002年
  • まちづくりの実践 田村明 岩波新書 1999年

関連項目編集

  • ビオトープ
  • 魚道 - 近自然型といったより自然に近づけた魚道、多自然型魚道と呼ばれる魚道
  • 親水
  • 新郷瀬川 - 自然環境が比較的良好に保たれており、それを生かして多自然型川づくりの試験施工が行なわれている。
  • 大安寺川 - 1990年代後半からの改修工事で植生護岸による多自然型川づくりが行なわれ、自然の豊かな河川となる
  • 揖保川
  • 精進川
  • いたち川 (横浜市) - 都市部における多自然型河川の整備の草分けとして土木雑誌等にしばしば取り上げられるほか、多自然型護岸などを用いるなど、周辺環境との調和に配慮した整備が進められている
  • ヒナモロコ
  • リバーフロント整備センター - 主な業務は水辺の空間創造のほか、多自然型河川の調査研究・技術開発
  • 河川環境楽園 - 多自然型の水路などがある。