親水(しんすい)は、水と親しむこと[1]。水や川に触れることで水や川に対する親しみを深めることを指す造語で、1960年代の後半、都市河川が水害や公害に悩まされた時期に東京都の河川計画の技術者の自主的な研究活動が支えとなり、東京都土木技術研究所(現·土木技術支援・人材育成センター)の山本彌四郎らが使った用語である。1969年から1970年に土木学会年次学術講演会で発表され広まった [2]

古川親水公園東京都江戸川区江戸川)は最古の親水公園である。
親水公園の例。東京都日野市

古来、河川の氾濫は人々に大きな被害をもたらしてきたため、治水行政にとって重要な課題であった。従来の治水、利水の機能は物理的な機能に重点を置いたものであり、「流水機能」と位置付けられるものであった。これに対置するように、景観エコロジーレクリエーション気候調節、心理的存在などを包含する新しい概念として「親水機能」の概念が生み出された。また、河川が人間とのかかわり合いのもとに自然的、社会的に存在するだけでなく、人間の心理的、精神的な関係までに象徴化し、捉えることの重要性が強調された[3]

近年、環境問題がクローズアップされ、河川においても、治水利水のほかに「親水」が重視されるようになった。治水のためにコンクリート護岸になってしまった川を、自然護岸あるいはそれに近い状態に戻すことによって人と川との障壁を取り払い、川への親しみを取り戻し、水質汚濁を防ぎ生物にやさしい川を回復したいという市民の欲求が高まり、各地に「水に親しむ」ことを目的とした親水公園が作られている。

親水の取り組み編集

 
鶴生田川の親水大作戦
鶴生田川館林市)の親水大作戦
館林市街地の活性化に取り組んでいる「まち研」の中のグループの1つ「花水木」は、2002年(平成14年)以来毎年2回、川沿いのプランターの花の植え替えとともに、子供たちにボートによる川下りを体験してもらい、川への親しみを深めてもらおうという取り組み(親水大作戦)を続けている。

親水公園編集

親水公園(しんすいこうえん)は、水質汚濁護岸工事などの影響で水辺から遠ざけられた都市住民のために、河川湖沼海浜など水辺の地形を利用して、水と親しめるように(=親水)作られた公園である[4]。日本の親水公園は1968年(昭和43)に江戸川区に開園した古川親水公園に始まる[5][6]

親水公園・親水緑道は、公園としての用途のみならず、消防水利、延焼遮断帯、大規模災害時の生活用水及びトイレ用水等の雑用水の水源避難場所、通路等として利用される。

おもな親水公園編集

北海道
福島県
 
逢瀬川親水公園
 
あぶくま親水公園
茨城県
 
一の関ため池親水公園
群馬県
栃木県
埼玉県
東京都
 
芹ヶ谷公園
神奈川県
千葉県
山梨県
京都府
徳島県
その他地域

親水護岸編集

護岸は本来、水流から構造物の侵食を防ぐ施設であるが、親水機能を持たせた護岸が各地で設けられている。

  • あぶくま親水公園 - 白鳥桟橋の親水護岸。
  • 水の広場公園 - 水辺に親しめるように親水護岸が整備されている。
  • 石澄川 - 一部に親水護岸が見られる。
  • 引地川 - モデル事業の指定を受けて以来、遊水地建設とともに引地川親水公園(藤沢市)親水護岸などが設置される。
  • 旧中川 - 現在、親水護岸整備が進行中。
  • 湯殿川 - 河川整備に伴い遊歩道、親水護岸が設置されている。
  • 初立池 - 周辺は「初立池公園」として親水護岸や散策路が整備されている。
  • 白沢川 (名古屋市) - 護岸整備が行われ、小幡緑地や城土公園の川縁に親水護岸が設置されている。
  • 山形五堰ふれあい通り親水護岸
  • 芦田川堂々川砂留群・堂々公園 - 周辺親水護岸や公園が県により整備されている。堂々川の護岸は石組で作られた親水護岸で、河川敷に芝生が植えられている他、公園も日本庭園風に造られている。
  • 境川 (東京都・神奈川県) - 神奈川県が多自然型川づくり・親水護岸整備など都市河川重点整備計画「safetyリバー50」を策定して整備。
  • 水俣湾親水護岸 - 2006年水俣病慰霊の碑が建立された。
  • ハウステンボス石積み - ハウステンボスでは親水護岸と呼んでいる。白鳥などの水鳥も、運河から容易に陸部にアプローチできる。
  • 葛南港区習志野親水護岸 - 千葉市と習志野市にまたがる海岸に、延長470m(千葉市部分70m、習志野市部分400m)親水護岸の整備が進められている。
  • 相野谷川親水護岸 - 国土交通省近畿地方整備局で整備。
  • 天神川 - 支流の御室川が合流するまでの区間の大部分は親水護岸が整備されている。
  • 梅田橋親水護岸 - 茅ヶ崎市、普段締め切られている親水護岸で川遊びを実施。

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ デジタル大辞泉. “親水とは” (日本語). コトバンク. 2020年11月30日閲覧。
  2. ^ 親水の意味は? 日本初の親水公園をつくった江戸川区”. 江戸川フォトライブラリー. 2019年7月24日閲覧。
  3. ^ 親水工学試論. 信山社. (2002) 
  4. ^ デジタル大辞泉. “親水公園とは” (日本語). コトバンク. 2020年11月30日閲覧。
  5. ^ 古川親水公園”. 江戸川区. 2019年7月24日閲覧。
  6. ^ 59 全国初の古川親水公園”. 江戸川区. 2020年3月28日閲覧。

参考文献編集

  • 親水施設計画設計ガイド - リバーフロント研究所
  • 「親水公園を活かした緑地のネットワークと住民の緑地利用に関する研究」(廉 晟振 , 呉 垠錫 , 李 志雄、『日本緑化工学会誌』2011年8月号)
  • 「住民参加による親水公園づくり――寝屋川幸町公園の計画・設計」(藤長 愛一郎『大阪府立工業高等専門学校研究紀要』 44, 13-18, 2011年2月号)
  • 「会員だより 親水公園内警報発令システムの構築について」(木村 拓寛『防災』 (736), 23-27, 2010年10月号)
  • 「一之江境川親水公園沿線の景観地区指定」(上山 肇『環境情報科学』39(3), 96-99, 2010年9月号)
  • 「川遊び15選――花火/橋/花見/釣り堀/スポーツ/屋形船/バードウォッチング/暗渠・緑道/バーベキュー/サイクリング/湧水/水門/ボードウォーク/船/親水公園」(網倉 俊旨『東京人』 25(10), 76-87, 2010年8月号)
  • 「川、水門、親水公園……、水に触れる旅--和船/荒川ロックゲート/扇橋閘門/旧中川/小名木川/清澄排水機場/新砂水門/豊洲水門/大島川水門ほか (江東区を楽しむ本)」(枝川 公一『東京人』 25(6), 30-37, 2010年4月号)
  • 「環境整備事業に伴う生活圏拡張の可能性と課題 : 山形県長井市駅前親水公園事業を事例にして」(川端不美二、宮本景太郎、山田浩久『季刊地理学』62(1), 44, 2010年3月)
  • 「親水公園における四季を通した微気象に関する調査研究」(弓削 龍 , 畔柳 昭雄『ランドスケープ研究』 73(5), 465-468, 2010年)
  • 「7005 「一之江境川親水公園沿線景観地区」におけるマンセル表色系による色彩認定の分析(都市計画) 」(沖中 千津留 『研究報告集 II』, 建築計画・都市計画・農村計画・建築経済・建築歴史・意匠 (79), 137-140, 2009年3月)
  • 「川めぐり 小松川境川親水公園」(江戸川区環境促進事業団 『ぽんぷ』 (41), 15-17, 2009年3月号)

関連項目編集