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旗屋と大漁旗
居酒屋にある大漁旗(2011年2月4日〜2月11日)
八戸漁港に停泊するイカ釣り漁船に掲げられた大漁旗(青森県 八戸港

大漁旗(たいりょうばた)とは、日本に出た漁船が、大漁で帰港する際に船上に掲げる。地方によってマネ、フライ(福来)旗とも呼ばれる[1]

デザインの多くは、海上からでもよく目立つよう、あるいは出産祝いに子供の初節句[2]飾り旗祝い旗(祝旗)として家に飾るなど縁起を担ぐ目的で派手な色彩や大胆な構図で描かれることが多い。船名のほか、「大漁」「祝 大漁」などの文字日の出(旭日)や恵比寿宝船などの絵柄などが描かれる。 基本となるデザインは50種ほど存在し、多くの場合進水式に併せて親戚や関係者などから寄贈される祝儀の一種であり、寄贈者の名が入れられている[1]

概説編集

大漁旗の起源については諸説ある。11世紀ごろの船印に由来し、豊漁の報償として船主が漁師に贈った晴れ着である万祝の図柄や技法を元に作られたという説がある[1]。また、南北朝時代の瀬戸内において制海権を保持していた村上水軍が通行手形代わりに充てた旗を起源とする説がある。この説は漁民と通過する船舶を判別するため、漁民の旗と手形旗を異なる色にしたというものであるが、現在まで決め手となる有力な文献は出てきておらず、幾つもある村上伝説の四方山話の一つと見る向きが多勢である[3]。同様の説として平家の落人が瀬戸内を船で逃れる際、漁民に成りすますために軍旗に様々な彩を施し、後にそれが大漁旗となったという奇説もある[3]。 前述の奇説を除けば、1651年(慶安4年)伊勢国桑名の漁民が豊漁を知らせる旗を掲げたという旨の記録が残っており、はっきりとした起源は定かでは無いものの、江戸期中期には大漁旗に類似するものが使用されていた事が分かる[3]。現代では漁や祝い事に用いられる。船自体には出港式と寄港式などイベント時に掲げられる。送り迎えの人々が出迎えにも用いる。長寿や出産など新たな門出を祝う機会に飾られたり、震災後には復興を祈って催し物など復興の象徴に使われることも多い[4][5][6][7][8][9][10][11][12][13][14][15][16][17][18][19][20]。三陸沿岸で大漁旗は「福来旗」とも呼ばれ、漁船完成時や大漁・航海安全を祈願して船主に贈られてきた。2019年には7月27日から9月8日まで東日本大震災からの復興のシンボルとして親しまれている大漁旗を東北の被災3県から集めて展示するイベントが宮城県七ケ浜町の七ケ浜国際村で開催された[21]

脚注編集

  1. ^ a b c 石子順造『キッチュの聖と俗:続・日本的庶民の美意識』太平出版社 1974年 p.22-24.
  2. ^ 産まれて最初に迎える男子なら端午の節句、女子なら桃の節句のこと。
  3. ^ a b c 川島, pp.240-241
  4. ^ 千住真理子さん、復興支援で演奏 富岡漁港「またがんばっぺ」|全国・海外のニュース|徳島新聞” (日本語). 徳島新聞Web. 2019年10月23日閲覧。
  5. ^ 大漁旗掲げ「ただいま」 福島・富岡漁港で帰港式 8年4カ月ぶり再開” (日本語). 毎日新聞. 2019年10月23日閲覧。
  6. ^ INC, SANKEI DIGITAL. “復興の象徴、大漁旗ずらり 宮城で展示イベント” (日本語). 産経フォト. 2019年10月23日閲覧。
  7. ^ <アングル岩手>職人親子伝統守る 一関・大漁旗作り” (日本語). 河北新報オンラインニュース. 2019年10月23日閲覧。
  8. ^ 大型客船「ぱしふぃっくびいなす」大漁旗でお出迎え 復興支援に感謝込め” (日本語). 河北新報オンラインニュース. 2019年10月23日閲覧。
  9. ^ 東野真和. “「人生に迷ったら旅館に」底抜けに明るい女将が失い、見つけたもの - withnews(ウィズニュース)” (日本語). withnews.jp. 2019年10月23日閲覧。
  10. ^ 「Support Our Kids東日本大震災 被災児童自立支援プロジェクト」レポート” (日本語). TORJA (2019年9月4日). 2019年10月23日閲覧。
  11. ^ 復活の海上渡御、鮮やかに 石巻・寄磯浜で熊野神社の例祭” (日本語). 河北新報オンラインニュース. 2019年10月23日閲覧。
  12. ^ 安全と豊漁願い漕出式 大漁旗はためかせ海へ 銚子漁港” (日本語). www.chibanippo.co.jp. 2019年10月23日閲覧。
  13. ^ たろう大漁まつり:豊漁と復興願い海上をパレード 宮古 /岩手” (日本語). 毎日新聞. 2019年10月23日閲覧。
  14. ^ 日本酒BAR四季 [相沢冬樹と大宮賢悟の酒と肴と男と女 - 大阪日日新聞]”. www.nnn.co.jp. 2019年10月23日閲覧。
  15. ^ にぎわい増す港町 境港 夏の風物詩・みなと祭、山陰中央新報社”. www.sanin-chuo.co.jp. 2019年10月23日閲覧。
  16. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2017年10月2日). “玄界灘に秋の訪れ 漁船200隻が大漁旗 豊漁祈願、世界遺産の宗像大社秋祭” (日本語). 産経WEST. 2019年10月23日閲覧。
  17. ^ オリックス増井応援グッズは故郷焼津市の大漁旗原案 - プロ野球 : 日刊スポーツ” (日本語). nikkansports.com. 2019年10月23日閲覧。
  18. ^ 近海巻き網漁船を新造 共和水産、20年ぶり | 日本海新聞 Net Nihonkai”. www.nnn.co.jp. 2019年10月23日閲覧。
  19. ^ おいしいもん見っけ隊:ちりんちりんツアーズ 木津の朝市 前編 買い物、楽しく遊んで /大阪” (日本語). 毎日新聞. 2019年10月23日閲覧。
  20. ^ 6年ぶり新造船 伝統儀式や餅まきで祝う 小平・臼谷漁港:北海道新聞 どうしん電子版” (日本語). 北海道新聞 どうしん電子版. 2019年10月23日閲覧。
  21. ^ INC, SANKEI DIGITAL. “復興の象徴、大漁旗ずらり 宮城で展示イベント” (日本語). 産経フォト. 2019年10月23日閲覧。

参考文献編集

  • 川島秀一 『漁撈伝承』 法政大学出版局、2003年。 ISBN 978-4588210914
  • 天明屋尚 『BASARA: 越境する日本美術論縄文土器からデコトラまで』 美術出版社、2010年。 ISBN 978-4-568-10389-2

外部リンク編集