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本に埋め込まれたタバコ
コンクリートブロックに埋め込まれたタバコ
コカイン袋を飲み込んだ運び屋のレントゲン写真
麻薬密輸漁船の臨検

密輸(みつゆ)とは、正規の手続きを経ず、物品の輸出入を行うことである。

概要編集

密輸を行う目的としては、

が挙げられる。多くの場合、暴力団マフィアなどの犯罪組織が関わっており、それらの組織の資金源となっている。

歴史編集

日本編集

古代以前、弥生時代前期(石器と金属器時代の中間)、中国大陸からカイコ種やクワの種が伝来するが、当時の中国は養蚕法やカイコ・クワの種の国外持ち出しを厳しく禁じていたことが文献記述にあり(後述書 p.12.養蚕業も参照)、これも密輸だったといえるが、京都工芸繊維大学名誉教授の布目順郎によれば(カイコ種の遺伝子調査結果の上で)、「国禁を犯して日本に伝えたのは漢民族ではなく、華中地方にいて漢民族と対立していた戦国族の末裔やミャオ族といった少数民族の人達であったのではないか」と指摘している(柏原精一 『図説・邪馬台国物産帳』 河出書房新社 1993年 p.12)。

中世期、室町時代に流入した宋銭によって、一時期、貨幣経済が安定するが(銭貨も参照)、側は銭の輸出を禁じていたため、基本的には民間商人による密貿易で成立していた(五味文彦 『日本の中世』 財団法人放送大学教育振興会 第2刷1999年(1刷98年) p.156)。この日宋貿易で輸入された銭の総量は2億にものぼる(五味文彦 『日本の中世』 p.88)。すなわち、中国銭自体が密輸品であり、その密輸品で中世日本経済が成立していたといえる。

近世期、江戸時代になり、徳川幕府が中国・朝鮮・オランダとのみ、公式な交易関係を定め、鎖国によって、外国からの帰国を禁じることとなるが、諸では密貿易を幕末まで続けていた。例として、加賀藩では銭屋五兵衛という商人が藩ぐるみでロシアと交易し(後述書)、のちに投獄され、浜田藩では回船問屋の会津屋八右衛門の提案で、朝鮮・スマトラ・ジャワにまで密貿易し(竹島事件)、長州・薩摩・佐賀藩では、密貿易の収入で財政を立て直し、幕末においては倒幕のための軍費として用いられることになる(水戸計 『江戸の大誤解』 彩図社 2016年 p.142)。

このように古代・中近世を通して、前近代では経済や歴史を動かす原動力として密貿易が関わっていた面もあり、負の側面ばかりではない。

中国編集

代、1796年アヘン密輸を取り締まるようになるが、その甲斐なく、蔓延していき、社会危機を起こし、大英帝国との阿片戦争へとつながっていく。清は阿片戦争による大敗によって、大国としての地位を失うことになる。

現代では外国人麻薬密輸者の死刑判決が問題になっている(2010年中国における日本人死刑執行問題。日本法刑罰では、麻薬密輸は無期懲役のための摩擦)。

ロシア編集

ソビエト連邦時代に起きたベレンコ中尉亡命事件において、ベレンコ中尉がアメリカ亡命のために乗って来た戦闘機MiG-25自体が正規の手続きを得たものではなく、盗難自動車と同様、乗り物の密輸である(この場合、報酬は亡命である)。冷戦下のアメリカにとってはソ連の軍事機密の一端を知る機会を得たとはいえ、調査した上で最終的には返却している。

朝鮮民主主義人民共和国編集

2013年7月15日、パナマ政府が北朝鮮船籍の貨物を調べた際、申告の無い武器・兵器の部品(MiG-25など)が密輸されていることが判明し、のちにキューバ政府が老朽化したMiGの修理を依頼していたことが判明している(詳細は2013年#できごとの7月15日を参照)。

主な密輸品編集

密輸が問題となる主な貨物は以下のとおり。

輸入禁制品・規制品編集

密輸出される物品編集

シラスウナギの密輸編集

2007年に台湾でシラスウナギが輸出禁止になると香港から日本への輸入が増加した。香港ではシラスウナギ漁の実態が無く、台湾からの密輸されている可能性が高いと指摘されている。2018年12月と19年1月に香港から日本へ約6トンシラスウナギが輸入されている。これは、同じ期間に日本の養殖池に入れられた稚魚の約8割を占めていることが明らかになっている[1][2]

その他編集

建築ラッシュが続いている国では、建築資材の不足、特に金属不足と高騰になるが、そこに目を付けた金属泥棒が他国から銅線などを奪い、密輸につながる。

対策編集

日本では2005年から試験的に事前旅客情報システムを導入。2007年から義務化された。出発空港において搭乗者の情報を到着空港に送り、特に組織ぐるみの密輸対策を強化している。

密輸が危惧されるもの編集

ソビエト連邦崩壊にともない、テロリストへの核燃料流出が懸念され、2002年にはアメリカがソ連式原子炉に用いられた濃縮ウランの追跡を行った(詳細は、「核テロリズム」を参照)。こうした事態を未然に防ぐための国際条約としては、核拡散防止条約がある。今後は条約から脱退した朝鮮民主主義人民共和国が崩壊した場合にも同様の懸念が生じる。

密輸を題材とした作品編集

映画編集

脚注編集

関連項目編集