ヤマボウシ
ヤマボウシ(山法師、山帽子、学名 Cornus kousa)はミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木。
ヤマボウシ | ||||||||||||||||||||||||
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![]() ヤマボウシの花(6月)
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Benthamidia japonica syn. Cornus kousa | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ヤマボウシ(山法師) | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Kousa Dogwood Japanese Flowering Dogwood |
特徴編集
高さ5~10メートル。幹は灰褐色。葉は対生し、楕円(だえん)形または卵円形で長さ4~12センチ、全縁でやや波打つ。花は6~7月に開き、淡黄色で小さく、多数が球状に集合し、その外側に大形白色の総包片が4枚あり、花弁のように見える。
果実は集合果で9月頃に赤く熟し、直径1~3センチで球形、食用になる。種子は約3ミリで、大きい果実には3~4個、小さい果実では1個入っている。果肉はやわらかく黄色からオレンジ色でありマンゴーのような甘さがある。果皮も熟したものはとても甘く、シャリシャリして砂糖粒のような食感がある。果実酒にも適する。
山地に普通に生え、本州から九州、および朝鮮半島、中国に分布する。街路樹・庭園樹・公園樹としても用いられる。材は器具材として用いられる。近縁にハナミズキ(アメリカヤマボウシ)があるが、こちらの果実は集合果にならず、個々の果実が分離している。
庭木などにも利用されるが、本来山の谷筋などに自生する樹木であるので、水はけのよい常に水が存在する場所を好む。夏に乾燥すると葉の回りが枯れたり、小枝やひどい場合は全体が枯れたりするので、乾燥させないことが必要である。また、粘土質の土壌では根の張りが悪くなりがちなので、土壌改良などをして水はけのよい状態にして根が伸び易いようにしてやることが必要である。花・果実・紅葉と3回楽しめるので、庭木にもよく用いられるが10m近くまでに育つ樹であるので周囲に空間を必要とする。
病気では特に目立ったものはないが、害虫ではアブラムシ、カイガラムシが付くことがあり、すす病(昆虫の排泄物に黒いカビが生えたもの)を誘発する。また、幹に穴を開けて食害するテッポウムシが付くことがあり、注意が必要。
ヤマボウシは、同じヤマボウシ亜属の近縁種であるハナミズキ(アメリカヤマボウシ)の深刻な病害であるハナミズキ炭疽病に抵抗性がある。ハナミズキ炭疽病の感染地域では、感染によってハナミズキの街路樹が枯死すると、ハナミズキ炭疽病に抵抗性があるヤマボウシまたはハナミズキのヤマボウシ交配品種に植え替える病害対策が行われることがある。
また、ヤマボウシの果実は食用にできるが、ハナミズキの果実には毒があり食用にできない。この点からも公園など公共の場に植えられているハナミズキがヤマボウシに置き換えらるケースもある。自宅の庭にヤマボウシがある環境の子供の場合、同じものと誤解してハナミズキの実を誤食しかねないのでハナミズキを公共の公園などに植える場合は、少なくとも子供の手が届く位置に実がなるような枝を剪定し、中毒事故を防止する対策を行うのが望ましい。
名称編集
ヤマボウシという呼称は、頭状の花序を僧兵の頭に、総苞片を白い頭巾に見立てた事によるとする説がある[1]。 ヤマボウシの日本一の名所といわれる箱根[2]では昔「クサ」と呼ばれていたので学名に kousa とつけられた[1]。
品種編集
品種改良によって、実の大きな品種(ビッグアップル)、斑入りの品種(ウルフアイ)、赤みがかった花をつける品種(源平・サトミ)、黄色の花をつける品種(金陽)などの多彩な種が流通している。 なお、トキワヤマボウシあるいはホンコンエンシスという園芸名で流通している常緑の品種は中国原産のB.hongkongensisである。
市町村の木編集
- 市の木
- 町の木
脚注編集
- ^ a b 『樹に咲く花 離弁花➁』 p.645
- ^ 『樹に咲く花 離弁花➁』 p.642,644
参考文献編集
- 高橋秀男(他)『山渓ハンディ図鑑4 樹に咲く花 離弁花➁』川畑博高(他)、㈱山と渓谷社、2012年5月1日、2。