弾道ミサイル潜水艦

弾道ミサイル潜水艦(だんどうミサイルせんすいかん)は、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載した潜水艦。実戦配備されているものは全て原子力潜水艦であることから、戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)とも呼ばれる。

SLBM搭載数世界最大のオハイオ級

概要編集

弾道ミサイル潜水艦の特徴は、敵国攻撃用の長距離弾道ミサイルを搭載しているプラットフォームとして、潜水艦が有する秘匿性により生存性が高いことにある。この生存性の高さにより、報復核戦力として有用とされ、相互確証破壊(MAD)をはじめ、核抑止の一端を担ってきた。一般的なSSBNには、長距離弾道ミサイルを搭載するに足る十分な艦の大きさと生存性確保のための隠密性が求められる。2020年現在、アメリカ合衆国ロシアイギリスフランス中華人民共和国インドの6ヶ国がSSBNを保有しており、また、朝鮮民主主義人民共和国は実験的な通常推進弾道ミサイル潜水艦(SSB)を有している[1]

 
艦後部のSLBMハッチ

第二次世界大戦中に、世界で初めて実用化された弾道ミサイルであるV2ロケットにおいても、すでに潜水艦への搭載構想が生じており、防水キャニスターに収納しUボートで曳航、大西洋上からアメリカ本土を攻撃する計画を有していた[2]。これは実用化されなかったが[2]、世界初の弾道ミサイル潜水艦として、ソ連冷戦期の1959年2月に実戦配備している[3]。これは通常推進のズールー型潜水艦(611型)を改造し、SS-1B Scudの改造型であるR-11FMをセイルに2基搭載した[3]。続いてアメリカで1960年に作戦航海を開始したジョージ・ワシントン級原子力潜水艦は、16基のポラリスA1(射程2,200km)を搭載した[3]

冷戦終結後、イギリスでは航空機搭載核爆弾が退役し、フランスでは陸上配備弾道ミサイルが廃止される等、核戦力が整理されたがSSBNの配備は続けており、中国も094型(晋級)の配備によるSSBNの増勢を行う等、SSBN戦力の維持・増加が続けられている。

世界の弾道ミサイル原子力潜水艦
 955型(ボレイ型)  094型(晋級)  ル・トリオンファン級  ヴァンガード級  オハイオ級
船体 水中排水量 24,000 t 12,000 t 14,335 t 15,900 t 18,750 t
全長 170 m 135 m 138 m 149.9 m 170.67 m
全幅 13.5 m 12.5 m 12.5 m 12.8 m 12.8 m
吃水 9.0 m 不明 12.5 m 12 m 11.1 m
主機 機関 原子炉+蒸気タービン+発電機 原子炉+蒸気タービン+発電機+電動機 原子炉+蒸気タービン
方式 ギアード・タービン ターボ・エレクトリック ギアード・タービン
出力 n/a 41,500 hp 27,500 shp 60,000 shp
水中速力 25 kt 20 kt以上 25 kt 24 kt(推定)
兵装 水雷 533mm魚雷発射管×6門 533mm魚雷発射管×4門
SLBM 3M14×16基 JL-2×12基 M51×16基 トライデントD5×16基 トライデントC4/D5×24基
同型艦数 8隻予定 6隻予定 4隻 4隻 18隻(4隻はSSGNに改装)


弾道ミサイル潜水艦の一覧編集

アメリカ合衆国編集

就役中
退役
計画中

イギリス編集

就役中
退役
計画中

ソビエト連邦・ロシア連邦編集

就役中
退役
計画中

フランス編集

就役中
退役
計画中
  • SNLE 3G

中華人民共和国編集

就役中

インド編集

就役中

北朝鮮編集

就役中
  • ゴラエ型(シンポ型)

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ 世界の潜水艦2020く,岡部いさく,世界の艦船,2020年4月号,海人社,P85-90
  2. ^ a b ナチスUボートのミサイル搭載計画,阿部安雄,世界の艦船,2002年12月号,海人社,P84-85
  3. ^ a b c 核戦略の主軸 SLBMの出現と発達,浜田一穂,世界の艦船,2002年12月号,海人社,P88-91