応援広告(おうえんこうこく)とはアイドルアーティストなどのファンが自分の推しを応援するために自らが広告主となって広告を出稿・掲出することである。「センイル広告」や「推し広告」とも呼ばれている[1][2][3]

概要

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この応援広告は元々は「センイル広告」といい、2016年頃に大韓民国(韓国)にて放映されたオーディション番組『PRODUCE 101』(Mnet)を機に同国内で急速に浸透した[1][4]。アイドルのメンバーの誕生日[注 1]やグループの結成周年記念、イベントの告知などに合わせ、私設ファンクラブの会員などがカカオペイなどといった送金アプリを使って、自主的にお金を出し合い、誕生日や結成周年当日などに駅構内やバスラッピング商業施設の大型ビジョンなどにお祝いの言葉などを掲出する[5]

日本では2018年頃から一部の広告代理店にて応援広告の事業が開始されていたが、当時の広告業界は企業との取引が中心だったことや日本人アーティストの場合は権利元の許諾関係が厳しい芸能事務所も多いこともあり、ごく少数の事例しか無かった[注 2][4][8]。しかし、2019年に前述の『PRODUCE 101』の日本版である『PRODUCE 101 JAPAN』(TBSテレビ)が放映されることになり、同番組の運営事務局が条件付きではあるが、ファンが広告主となって、アイドル練習生を応援する広告を屋外などに掲示することを容認したことから、首都圏の駅構内を中心に急増[2][7]。その後、新型コロナウイルスの影響により、企業による広告出稿が減少したこともあり、広告代理店や鉄道会社なども個人による応援広告の受け入れを開始した[8]

ジェイアール東日本企画によると、応援広告の市場規模は2023年度で推計377億円としており、これは屋外・交通広告費の約1割を占めているとしている[2][8]

脚注

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注釈

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  1. ^ 「センイル」とは韓国語で誕生日を意味しており、「センイル広告」の語源もここから由来している。
  2. ^ 過去には2016年12月31日にジャニーズ事務所の人気アイドルグループであるSMAPが解散することを受けて、解散前日の30日にファン有志による呼びかけで8ページにわたって、同グループに感謝を伝えるメッセージ広告を朝日新聞に出稿した事例がある[6][7]

出典

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  1. ^ a b 株式会社IW (2023年12月18日). “「推し広告」で推しの成功を自分事のように喜び、応援したい。センイル・応援広告専門サポート「センイルJAPAN」のブランドヒストリーと、人々が「推し広告」を出す理由”. PR TIMES STORY. 2024年5月25日閲覧。
  2. ^ a b c 村松魁成 (2024年5月22日). “ファンが駅にアイドルの「応援広告」、新たな「推し活」のカタチ…「推し電車」を走らせることも”. 読売新聞. 2024年5月25日閲覧。
  3. ^ TBSテレビ (2024年6月13日). “推しビジネス最前線!”. がっちりマンデー!! note編 がっちりスクール!!. note(ノート). 2024年6月16日閲覧。
  4. ^ a b コティマム (2024年2月28日). ““推し”を応援する韓国発祥の広告文化、日本でも急増 「日プ女子」で拡大「立ち上げから倍以上に」”. ENCOUNT. 2024年5月25日閲覧。
  5. ^ 日下部元美 (2020年9月13日). “K-POP 勝因の一端「センイル広告」”. 政治プレミア. 毎日新聞. 2024年5月25日閲覧。
  6. ^ Kikka (2016年12月30日). “「SMAP大応援プロジェクト」朝日新聞朝刊に8ページのぶち抜き応援メッセージ公告掲載 隠しメッセージも存在”. ねとらぼ. 2024年5月25日閲覧。
  7. ^ a b 小沢あや (2019年12月11日). “日本でファンによる「応援広告」が急増したワケ”. 東洋経済新報. 2024年5月25日閲覧。
  8. ^ a b c “推し活”が駅周辺広告の「空き枠」を埋める 市場規模どんどん拡大、業界の救世主に”. 日刊ゲンダイDIGITAL (2024年5月22日). 2024年5月25日閲覧。

関連項目

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