数位発展部 (中華民国)
数位発展部(すういはってんぶ、繁体字中国語: 數位發展部、公式略称は數位部[1][2]だが、數發部[3]の略称も用いられる)は、中華民国政府のデジタル事務の最高主管機関(二級行政機関[注釈 1])である。行政院に属し、2022年8月27日に、行政院資通安全処など関連機関を統合して設置された[5]。業務範囲は、情報、電気通信、コミュニケーション、サイバーセキュリティ及びインターネットの五大領域の企画振興を行うとともに、デジタル技術応用、デジタル経済産業発展の政策を担当する。また、資通安全署において、サイバーセキュリティ政策及び計画の企画・指導を行うとともに、国家レベルにおけるサイバー防護演習、インフラ防護の業務を行う[3]。日本語ではデジタル発展省[6]やデジタル省[7]とも表記される。英語表記はMinistry of Digital Affairsであるが、英略称のmòdaは馬達(モーター)を掛けており、デジタル発展の原動力となる意味を込めている[8]。
数位発展部 數位發展部 | |
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役職 | |
部長 | 黄彦男 |
組織 | |
上部組織 | 行政院 |
概要 | |
所在地 | 台北市中正区延平南路143号 |
定員 | 598 |
設置 | 2022年8月27日 |
ウェブサイト | |
https://moda.gov.tw/ |
数位発展部 | |
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各種表記 | |
繁体字: | 數位發展部 |
簡体字: | 数位发展部 |
拼音: | Shùwèi fāzhǎn bù |
注音符号: | ㄕㄨˋ ㄨㄟˋ ㄈㄚ ㄓㄢˇ ㄅㄨˋ |
英文: | Ministry of Digital Affairs |
歴史
編集2019年12月5日,中華民国科技部主催の「2019未来科技展」の開会式で、蔡英文総統は、「5GとIoTの時代が来た。デジタル技術は産業と人々の生活を大きく変える」と演説した。これを受け、行政院は情報、電気通信、電気通信、インターネット及びコミュニケーションの五大領域にまたがるデジタル発展を所管する行政機関設置の検討に着手した[9][10]。2020年5月20日、蔡英文総統が再選された際の就任演説で再度、行政院は「数位発展部」設立を推進すると述べた[11]。2020年12月、行政院がまだ行政院組織改造法案を策定する前に、与党民主進歩党の蘇巧慧立法委員らが行政院組織法を一部改正して「数位発展委員会」を設置する議員立法を提案、対する野党中国国民党の鄭麗文立法委員らは「数位権及び個人情報保護委員会」を設置する議員立法を提案した[12]。
2021年2月18日,行政院は数位発展部(国家通訊伝播委員会の通信産業と指導業務、交通部の郵電司、経済部工業局の一部の業務、国家発展委員会資訊管理処の一部業務及び行政院資通安全処を統合)の設置を優先推進法案に位置付けた[13]。3月25日、関連法案が行政院会議で決定(閣議決定に相当)され、まず行政院数位発展部準備作業室を設置。立法院が法案可決後、「数位発展部準備処」を設置することとした。[14][15]。12月28日、立法院は関連法案を可決した[16]。
2022年1月19日,数位発展部組織法が公布[17][18][19]。同年8月27日数位発展部が設置され、定員598人のほか、組織法の規定により最大300人の契約職員を雇用することとなった[20]。数位発展部設置当初、庁舎は2か所に分かれ、台北市中正区延平南路の旧国家通訊伝播委員会北区監理処庁舎を本庁舎とし、同区忠孝西路の新光人寿保険ビルの一部フロアを借用して分庁舎とする[8]。
組織
編集- 部長
- 次長(政務次長2名、簡任第14職等。常務次長1名、簡任第14職等)
- 主任秘書(1名。簡任第12職等、局長級)
- 参事、技監(簡任第12職等、局長級)
- 次長(政務次長2名、簡任第14職等。常務次長1名、簡任第14職等)
内部部局
編集- 業務組織
- 数位策略司:中華民国の数位発展政策を推進し,政策計画と資源の企画調整を行う。
- 靭性建設司:中華民国の通信網の強靭性とデジタル応用の円滑性を維持する。
- 資源管理司:デジタル通信資源の分配管理を行い、その使用が公共の利益に沿っていることを保証する。
- 数位政府司:デジタル応用を深化させ、政府の効率を向上する。
- 民主網絡司:国際デジタル民主主義ネットワークに参加し、中華民国の国際社会への貢献を強化する。
- 多元創新司:情報の運用とイノベーション、アプリケーションを発展させる[23]。
- 官房組織
- 秘書処
- 人事処
- 政風処
- 主計処
- 資訊処
- 法制処
所属機関
編集- 資通安全署:2016年8月1日設置された行政院資通安全処(繁体字中国語: 資通安全處。行政院の業務単位)を、数位発展部設置に伴い三級行政機関に格上げ・改称・移管。行政院サイバーセキュリティ会議(繁体字中国語: 國家資通安全會報)の事務局、サイバーセキュリティ政策・計画の企画・実施、国家レベルにおけるサイバー防護演習、インフラ防護の業務を行う。
- 数位産業署:デジタル技術の応用の推進、デジタル経済産業発展の政策を立案する。
- 所管法人[3]
歴代部長
編集代 | 氏名 | 肖像 | 就任日 | 退任日 | 政党 | 備考 |
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数位発展部部長 | ||||||
1 | 唐鳳 | 2022年8月27日[5] | 2024年5月20日 | 無所属 | 数位発展部設立まで、行政院政務委員(政府情報化関連事務担当)を務めた。 | |
2 | 黄彦男 | 2024年5月20日 | 現職 | 無所属 |
その他の国・地域の類似機関
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ 呂雪彗 (2022年2月27日). “數位部長不是他 傳郭耀煌請辭未獲准”. 工商時報 2022年8月12日閲覧。
- ^ 數位部公務預算57億元佔行政部門總預算0.2% 皆需受立法院審查與監督
- ^ a b c d 王若樸 (2022年8月11日). “數發部揭露2署6司職責,年底將成立國家資安研究院、強化政府資安韌性” (中国語). iThome. オリジナルの2022年8月11日時点におけるアーカイブ。 2022年8月11日閲覧。
- ^ “中央行政機關組織基準法”. 全國法規資料庫 (2022年1月19日). 2023年2月6日閲覧。
- ^ a b 賴于榛 (2022年8月5日). “數位發展部8/27掛牌 唐鳳任部長致力發展3目標” (中国語). 中央社. オリジナルの2022年8月11日時点におけるアーカイブ。 2022年8月11日閲覧。
- ^ “デジタル発展省が発足、台湾デジタル化の一里塚に”. 台北駐日経済文化代表処 (2022年8月29日). 2023年2月5日閲覧。
- ^ “Ministry of Digital Affairs 數位發展部 Twitter” (2022年8月30日). 2023年2月16日閲覧。
- ^ a b 唐政務委員鳳辦公室 (2022年8月11日). “數位發展部:台灣數位發展的馬達”. 行政院全球資訊網. 行政院. 2022年8月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月11日閲覧。
- ^ “2019未來科技展:蔡英文總統宣示進軍太空產業、研議設立數位發展部會”. TechNews. (2019年12月6日). オリジナルの2022年6月26日時点におけるアーカイブ。 2021年3月26日閲覧。
- ^ 蘇秀慧 (2019年12月11日). “唐鳳:成立數位發展部、數位發展委員會 研議中”. 中國時報. オリジナルの2019年12月12日時点におけるアーカイブ。 2021年3月26日閲覧。
- ^ “蔡英文「六大核心戰略產業」鎖定5G:行政院將成立數位發展部”. ETtoday新聞雲. (2020年5月20日). オリジナルの2021年2月5日時点におけるアーカイブ。 2021年3月26日閲覧。
- ^ “朝野有異見 數位發展部踩煞車”. 中國時報. (2020年12月14日). オリジナルの2022年8月12日時点におけるアーカイブ。 2021年3月26日閲覧。
- ^ “政院20法案列新會期優先法案 組改先推數位發展部”. 中央廣播電臺. (2021年2月18日). オリジナルの2021年2月18日時点におけるアーカイブ。 2021年3月26日閲覧。
- ^ “16項組改法案通過 政院將設數位發展部 最快2022掛牌”. 中華新聞雲. (2021年3月26日). オリジナルの2021年6月14日時点におけるアーカイブ。 2021年3月26日閲覧。
- ^ “政院推組改新設數位發展部 最快2022年掛牌”. 中央通訊社. (2021年3月25日). オリジナルの2021年6月14日時点におけるアーカイブ。 2021年3月26日閲覧。
- ^ “立院三讀行政院組織法 增設數位發展部”. 中央通訊社 (2021年12月28日). 2021年12月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月28日閲覧。
- ^ “總統令:制定數位發展部組織法”. 總統府 (2022年1月19日). 2022年5月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月30日閲覧。
- ^ “總統令:制定數位發展部數位產業署組織法”. 總統府 (2022年1月19日). 2022年5月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月30日閲覧。
- ^ 鄭鴻達 (2021年12月18日). “立院三讀增設數位發展部 科技部改國科會”. 聯合新聞網. オリジナルの2022年5月30日時点におけるアーカイブ。 2022年5月30日閲覧。
- ^ “唐鳳打破官僚文化 數位部募新血不重學歷看即戰力【專訪】” (中国語). 中央通訊社. オリジナルの2022年8月12日時点におけるアーカイブ。 2022年8月10日閲覧。
- ^ “行政院通過組改法案! 設數位發展部、科技部改制為國家科學及技術委員會”. iThome. (2021年3月25日). オリジナルの2021年4月4日時点におけるアーカイブ。 2021年3月26日閲覧。
- ^ “業務職掌”. 數位發展部. 2022年8月27日閲覧。
- ^ “數位部感謝立委認同數位韌性重要性 籲請支持數位部前瞻預算”. 數位發展部 (2022年9月3日). 2022年9月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月3日閲覧。
外部リンク
編集- 數位發展部
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