ナンバーを隠し集団で群れながら走行する。
大きな騒音を撒き散らしながら走行する

旧車會(きゅうしゃかい)とは、旧車と呼ばれる古いオートバイを入手して昔の暴走族を模した改造を施し、コールと呼ばれるエンジンを高回転でリズミカルに空ぶかしさせる行為や、ミュージックホーンと呼ばれるラッパを鳴らしながら集団走行などを行う団体。「」の字に旧字体である「」を用いることが多く[1][2][3]クラシックカーや旧型のオートバイなどを愛好する旧車とは意味合いが異なる[1][2][3]#「旧車会」との混同節を参照)。

旧車會は従来の未成年者が主体となる暴走族よりも平均年齢が高く、普段は会社員など仕事をしている傍ら休日に朝から集まることが多いため、ヘルメットを装着しない等のノーヘル運転や、信号無視などの交通違反を堂々と行うことはないものの、路上でコールやラッパを鳴らしながら迷惑運転を繰り返す傾向がある。これはノーヘル運転や信号無視等のあからさまな暴走行為を行わない限り共同危険行為として警察に検挙され難くする為である[4]

旧車會に集まる車両の多くはマフラーを消音効果が少ない大きな音がする物に交換または改造されていたり、ナンバーを見え難く隠蔽する等の暴走族と同様の改造が施されていることが多い[5]。コールやラッパ等の騒音に対する近隣住民の苦情や公共の駐車場等を長時間占拠する等の行為から、警察へ110番の通報が入る場合も多い。警視庁では当初は共同危険行為の有無と、他者へ直接の危害を与えない年齢層から大目に見られていた時期もあったが、苦情が多く寄せられるにつれて、たとえヘルメットを着用していても、目に余る迷惑運転を行う者に対しては暴走族と同様に共同危険行為として取り締まるケースが見られるようになった。旧車會イベント時の大規模な集団になるとパトカーが付き添う形で監視する場合が多い。近年では一斉検問を行う等の取り締まりも見られ、警察でも暴走族の一形態として取り扱われるようになってきている[6][7]

旧車會は、違法行為を敢行する者として警察が把握した数で、2018年時点で5,882人である[8]

概要編集

旧車會は主に成人した大人で構成されており、未成年の暴走族とは違い、集団走行は主に週末や休日の真昼に行われる事が多い[9]。当初は少年期に暴走族経験のある成人が主体となっていた。近年ではネットが普及した事で地元のチーム形式ではなく県外からも広く仲間を募る事が多くなってきている。近年では顔見知りでない者と一緒に走行する事も珍しくはなく、少年期に暴走族経験のない参加者も存在する[9]

また一部の旧車會は、違法走行を行わないことを装いながら、警察の目の届かないところでは、暴走族と変わらない違法走行を敢行している者もいる。そのほかに、最近は改造車両が参加する大規模な集会が、広場や商業施設等の駐車場で管理者の許可無く行われている場合もあり、警視庁は旧車會に対しても暴走族と同様に取り締まりを強化する様になってきている[10]

縮小傾向にある国内のオートバイ事情に活気をもたらすのではないかと期待する声もある[9]が、道路交通法違反(料金所の突破[11]や迷惑走行[12]など)で逮捕される事例も発生している[13]。暴走族OBである旧車會メンバーが、後輩である現役暴走族メンバーに指示を出していた事例も確認されており[13]、暴走族との関連は深いという指摘もある[13]

2005年の時点で全国に約200団体[13]2011年の時点では約650団体があり[11]、増加傾向にある[11]。旧車會の摘発事例は2015年には1771件に及んだ[12]

旧車會が報道された事件編集

2011年2月、改造バイクに乗り、集団で高速道路の料金所を突破したとして、大阪府警高速隊は1日、道路整備特別措置法違反(料金所突破)容疑で、バイク販売修理店経営(34)=大阪市東淀川区大道南=と、生コン会社員(27)=大阪府岸和田市八阪町=の両容疑者を逮捕した。2人はそれぞれ元暴走族で、改造した旧型バイクを連ねて走る「旧車會」のメンバー[14]

2015年6月、旧車會、昭和倶楽部(しょうわくらぶ)が初日の出暴走と呼ばれる、元旦に初日の出を目指し集団で暴走行為をしたとして、警視庁交通執行課は1日、道交法違反(共同危険行為)容疑で、埼玉県狭山市根岸の会社員(40)ら男3人を逮捕した。同課によると全員容疑を認め、容疑者は「若いときの暴走行為が忘れられない。パトカーに追われて昔の血が騒いだ」と話しているという。20kmほど逃走するも自分のバイクから漏れたオイルで滑って転倒し身柄確保された[15]

人気の高い車種編集

 
改造されたCBX400F

主体となるのは暴走族全盛期に流行った1970年代から1980年代に製造されたオートバイ、特にカワサキ・Z400FXKH250・400スズキ・GT380GSX250E・400Eホンダ・CB400TホークIICB400NホークIIIなどである[9]。なかでもホンダ・CBX400Fスズキ・GS400Eは最も人気がある車種であり、販売当時の新車価格をはるかに上回る高値で取引されるため盗難被害率が高く、ホンダ・CBX400Fについては盗難保険の加入を拒否されたことで話題となった。

こういった旧車と呼ばれる古い時代の希少車をベースに、マフラー三段シートロケットカウル等を装着し個性的な“族車”に改造して使用される[9]

「旧車会」との混同編集

旧車会」と呼ばれる古い自動車やオートバイを愛好する一般の集まりとは、旧車を用いる点では共通するものの、旧車は暴走族や不良を意識した集団であり、一般のオートバイ愛好家から成る旧車とは異なる。両者は旧字のと新字のの使い分けで区別される[1][2][3]。ただし旧車のことを「旧車」と表記する報道(例えば[13][16])も見受けられ、こうした漢字の使い分けによる区別が広く徹底されているわけではない。一般人の旧車が混同されて迷惑に感じていると報じられており[13]、旧車の側で名称を変更するケースも見られる[要出典]

脚注編集

  1. ^ a b c “(読むキーワード)旧車會 成年版の暴走族 旧式バイクを改造”. 朝日新聞東京朝刊: p. 37. (2006年3月15日) 
  2. ^ a b c “ことば:旧車會”. 毎日新聞東京夕刊: p. 13. (2008年5月2日) 
  3. ^ a b c “〈解〉旧車會”. 読売新聞東京夕刊: p. 15. (2015年12月19日) 
  4. ^ 時事ドットコムニュース ナンバープレートを折り曲…
  5. ^ 時事ドットコムニュース ナンバープレートを折り曲…
  6. ^ 暴走族等に対する取締り 警視庁
  7. ^ 大阪府警察 | 暴走族を追放しよう! 暴走をしない、させない、見に行かない
  8. ^ 警察庁 (2019). 令和元年度警察白書 第5章安全かつ快適な交通の確保 第5節道路交通秩序の維持 第1項交通事故防止に資する交通指導取締り (Report). https://www.npa.go.jp/hakusyo/r01/honbun/index.html 2019年10月14日閲覧。. 
  9. ^ a b c d e 整然と走行中「中年暴走族」 『AERA』2012年12月17日号
  10. ^ 暴走族及び違法行為を敢行する旧車會員等に対する取締りの実施 警視庁 2019年5月30日
  11. ^ a b c イザ!:「改造バイク集団で料金所突破 大阪府警、旧車會メンバー逮捕」(2011年2月1日) - iZA - (2012年1月6日時点のアーカイブ
  12. ^ a b 加藤園子 (2016年12月24日). “急増する旧車會 初日の出暴走に警戒 SNSで集合、迷惑行為も”. 産経新聞東京朝刊: p. 23 
  13. ^ a b c d e f レスポンス - 2005年07月19日 - 旧車会は暴走族に近い…警察庁が実態把握急ぐResponse.
  14. ^ “旧車會メンバー、料金所突破容疑で逮捕”. 産経新聞大阪朝刊: p. 27. (2011年2月2日) 
  15. ^ 初日の出暴走で40歳男ら逮捕「若いときの血騒いだ」警視庁 産経ニュース (2015年6月2日)
  16. ^ 韮澤琴音 (2018年4月28日). “県警:暴走族や旧車会、取り締まり強化 GW期間中 /茨城”. 毎日新聞地方版/茨城: p. 25 

関連項目編集

  • チャンプロード - 暴走族・旧車會を主に取り扱う専門雑誌。誌名で直接的に「旧車會」を謳った別冊ムックも刊行している。
  • 旧車会 - 「旧車會」以前より存在する旧車の愛好家の集まり。
  • 旧車 - クラシックカー・ビンテージカー・絶版車などとも呼ばれる古い車両。オートバイだけでなく自動車も含めて呼ばれる。

外部リンク編集