月面のアヌビス』(げつめんのアヌビス)は、1995年12月22日に日本のイマジニアから発売されたスーパーファミコンアドベンチャーゲーム

月面のアヌビス
ジャンル サウンドノベル
対応機種 スーパーファミコン
開発元 アクセス
MIT
発売元 イマジニア
プロデューサー 飯田祥一
ディレクター 浦本昌宏
志羽貴
デザイナー 石岡信寛
江良哲智
シナリオ 志羽貴
石岡信寛
江良哲智
津田浩一
プログラマー PON高橋
木村信明
NOB
音楽 天現寺広尾
窪寺義明
藤岡央
飯塚博
柴田浩明
岩田昇
遠藤智博
美術 道園重成
古野裕一
人数 1人
メディア 24メガビットロムカセット[1]
発売日 日本 199512221995年12月22日
その他 型式:SHVC-ALEJ (JPN)
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面に作られた研究所を舞台としたサウンドノベル。人物はシルエットで表現されている。同社から同日に発売されたサウンドノベル『ざくろの味』とは姉妹品的な関係にあり、本作中にも「ざくろの味」という単語が登場している[2]。『ざくろの味』とは違い、章単位の読み返し機能が存在する。独自の要素としては、序盤の選択肢によって主人公の性格が決定される「性格システム」がある[2]

開発はアクセスおよびマルチメディア インテリジェンス トランスファーが行い、プロデューサーは『制服伝説 プリティ・ファイター』(1994年)を手掛けた飯田祥一、ゲーム・デザインは後にセガサターン用ソフト『RONDE -輪舞曲-』(1997年)を手掛けた石岡信寛および江良哲智、音楽は『パワー オブ ザ ハイアード』(1994年)を手掛けた天現寺広尾、窪寺義明、藤岡央、遠藤智博などが担当している。

ストーリー 編集

日本人としては初めて月面研究所に滞在することになった宇宙飛行士・啓介と香織。何事もなく到着し歓迎を受けるが、そこには人智を超えた事件が待ち受けていた。

シナリオの分類 編集

便宜上、選択肢によって以下のシナリオに分類される。その為、作中の真相は一定ではなく、結末も違ってくる。

寄生生物編
最初に出現するシナリオ。調査中に人間に寄生し、活動する謎の宇宙生物が猛威を振るう。この生物は次々と宿主を増やしていき、寄生された本人にも自覚が無い為、登場人物全員が疑心暗鬼に陥ってしまう。
記憶喪失編
主人公が月面に着陸する寸前に、何故か病院のベッドの上で目覚め、それまでの記憶を思い出すシナリオ。さらにシナリオが分岐され、「実は記憶を思い出す為の装置が最新型のバーチャルゲームだった」、「高度な知性を持った生物兵器と主人公たちとの戦い」の2種に分かれる。
爆弾処理編
登場人物の1人が、ある組織のスパイであり、それが仕掛けた爆弾を処分していくシナリオ。爆弾は時限式で、読んでいる最中でもカウントが進む為、難易度が高い[2]
忍者編
主人公とヒロインが、スパイとして潜伏した忍者だったというシナリオ。このシナリオに分岐されると選択肢は存在せず、一方通行で終わる。
暗号解読編
アメリカ政府に隠された、ヒロインの父が残した機密ファイルを解読するシナリオ。その為、他のメンバーが悪役として登場する。
アヌビスのナイフ編
作中のタイトルにもなっているアヌビスを象ったナイフ。これを持った者が性格が豹変し、人を殺していくというシナリオ。分岐点は存在するものの、忍者編同様、ハッピーエンドは存在しない。

登場人物 編集

説明書の人物紹介欄には、性格や趣味など詳細な設定が記載されているが、作中では触れられないものが多い。また、シナリオによっては性格や人間関係などの設定が大きく異なることも珍しくない。なお軍人の登場人物は全員アメリカ人である。

啓介
主人公。身長175cm。名前は変更可能。23歳にして日本人初の月面研究所滞在者に選ばれた。性格は序盤の選択肢によって「慎重」「臆病」「ふざけた」などに変化する。
香織
ヒロイン。22歳。身長165cm。名前は変更可能だが、変更しても章題では「香織」のまま。啓介とは一緒に訓練を受けた仲だが、彼を内心見下していたり、既に交際済みだったりと、シナリオごとに彼との関係は異なっている。
ヨーゼフ大佐
55歳。身長182cmのがっちり型。月面研究所の所長。
マシュー少佐
45歳。身長172cmのずんぐり体型。研究所のドクターで、副所長的存在。ヨーゼフの親友でもある。
スコット大尉
32歳。身長185cmの筋肉質。発着船のパイロットで、研究所のメンバーの中では最初に登場する。
マックス中尉
35歳。身長180cmの骨太型。整備主任。
ジェフ中尉
31歳。身長190cm。研究所のコックで気さくな性格。
リカルド少尉
29歳。身長175cmで金髪。通信技術者。
ハリー少尉
24歳。身長189cmのひょろひょろ体型。黒人。コンピューター技術者。
呂芳(ろほう)
33歳。身長165cm。宇宙での植物栽培を研究する、中国人の生物学研究者。シナリオによっては、研究所と無関係の心理学者として登場する。美人で巨乳。説明書では「呂」と表記されている。
マリー
30歳。身長は160cmで、登場人物では一番の小柄。フランス人の地質学研究者。パリジェンヌという言葉が似合う美人で、人当たりが良い。
ジュリアン
29歳。身長190cmのひょろひょろ体型。マリーの相棒であるフランス人の研究者。マリー以外の人間には、無愛想に接することが多い。
レオナルド
7歳のチンパンジーで、身長140cm。基地の実験動物として飼われている。

スタッフ 編集

  • エグゼクティブ・プロデューサー:神蔵孝之、柴田達二郎
  • プロデューサー:飯田祥一
  • スーパーバイザー:田代成治
  • チーフ・マネージャー:飯田就平
  • パブリシティー・マネージャー:櫻井甲一郎
  • パブリシティー・スタッフ:堀切禎史
  • ディレクター:浦本昌宏、志羽貴
  • アシスタント・ディレクター:松田隆、大須賀篤、岡比呂志、本間一郎、松本准一
  • ゲーム・デザイナー:石岡信寛、江良哲智
  • シナリオ・ライター:志羽貴、石岡信寛、江良哲智、津田浩一
  • デザイナー:道園重成
  • イラストレーター:古野裕一
  • ビジュアル・プランナー:北村馨、河野秀
  • キャラクター・デザイナー:今泉美緒
  • プログラマー:PON高橋、木村信明、NOB
  • グラフィッカー:中村純子、林茂樹、佐藤貴志、NOM、朱雀蛍
  • サウンド・クリエイター:天現寺広尾、窪寺義明、藤岡央、飯塚博、柴田浩明、岩田昇、遠藤智博

評価 編集

評価
レビュー結果
媒体結果
ファミ通23/40点[3]
ファミリーコンピュータMagazine18.3/30点[4]
ユーゲー肯定的[5]
  • ゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」では6・6・6・5の合計23点(満40点)[3]、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、18.3点(満30点)となっている[4]
項目 キャラクタ 音楽 お買い得度 操作性 熱中度 オリジナリティ 総合
得点 3.0 3.1 3.0 3.2 3.0 3.0 18.3
  • ゲーム誌『ユーゲー』では、本作のメインストーリーが映画『エイリアン』(1979年)を彷彿させるパニックものであると指摘した上で、「安易におどろおどろしい描写を重ねるのではなく、いろいろ工夫の跡が見える」と肯定的に評価した他、同ジャンルのゲームにおいてSFを題材としたものが少なく希少価値が高いと主張した[5]。また、ゲームシステムに関しては凡庸であり特段目新しい要素はないとした上で、初期段階の主人公の行動によって新たな選択肢が出現する「性格診断システム」が特徴的であるとしたが、一部のシナリオのみ対象となっている事に苦言を呈した[5]

脚注 編集

  1. ^ 前田尋之「Chapter 2 スーパーファミコンソフトオールカタログ 1995年」『G-MOOK176 スーパーファミコンパーフェクトカタログ』ジーウォーク、2019年9月28日、198頁。ISBN 9784862979131 
  2. ^ a b c 株式会社QBQ編 『懐かしスーパーファミコン パーフェクトガイド』 マガジンボックス(M.B.ムック)、2016年。ISBN 9784866400082 p48
  3. ^ a b 月面のアヌビス まとめ [スーパーファミコン]” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2020年9月26日閲覧。
  4. ^ a b 「超絶 大技林 '98年春版」『Play Station Magazine』増刊4月15日号、徳間書店/インターメディア・カンパニー、1998年4月15日、209頁。 
  5. ^ a b c 「ノベルゲーム あなたの知らない世界」『ユーゲー 2003 Vol.05』第7巻第4号、キルタイムコミュニケーション、2003年2月1日、63頁、雑誌17630-2。