松本エンギザ(まつもとエンギザ)は、長野県松本市大手4丁目9-21にあった映画館。経営は平形興行株式会社。閉館時には5スクリーンを有していた。

松本エンギザ
Matsumoto Engiza
2010年7月5日撮影
情報
旧名称 演伎座
閉館 2010年6月27日
収容人員 (5館合計)615人
設備 ドルビーデジタルDTS
用途 映画上映
運営 平形興行株式会社
所在地 長野県松本市大手4丁目9-21
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歴史 編集

明治時代に創設された芝居小屋の演伎座が前身であり、1921年(大正10年)に映画館に転換した。後に塩尻東座の経営者となる合木茂夫は、塩尻東座に赴任する前にエンギザに勤めていたことがある[1]

1960年(昭和35年)11月中旬、隣接地に鉄筋コンクリート造3階建てのビルを建てて2館体制となった[2]

1997年(平成9年)11月18日、2館を有する鉄筋コンクリート造4階建てのビルに建て替えた[3]。1階と2階には飲食店が入り、3階に2スクリーンの映画館が入った[3]。映画館の建て替え直前に上映した『もののけ姫』の大ヒットによる影響により、近くにある広場を埋め尽くすほどの行列が発生し、近隣の店舗から苦情があったため、同時期に入れ替え制を導入した[4]

2000年(平成12年)には松本市郊外の東筑摩郡山形村シネマコンプレックスアイシティシネマが開館した。2008年(平成20年)には松本市中心市街地にあった松本テアトル銀映が閉館し、郊外にシネコンのシネマライツ8が開館した。2001年(平成13年)3月期時点で松本エンギザを経営する平形興行の売上高は約2億7500万円だったが、このように競合相手が増えた結果、2009年(平成21年)3月期には約2億円にまで落ち込んだ。

2010年(平成22年)6月27日、松本エンギザは突如として営業を終了し、平形興行は6月28日付で事業を停止して自己破産申請の準備に入った[5]。2014年(平成26年)12月には松本エンギザの跡地にマンションのプレシス松本城公園が竣工している。

なお松本市内では、2004年(平成16年)に松本中劇松本東宝セントラルが、2008年(平成20年)に松本テアトル銀映と上土シネマが閉館している。中心市街地の老舗映画館が相次いで姿を消し、松本エンギザの閉館によって中心市街地から映画館がなくなった。7年以上経った2017年(平成29年)9月21日、イオンモール松本にシネコンのイオンシネマ松本が開館し、中心市街地に映画館が復活している。

基本情報 編集

  • 所在地:長野県松本市大手4丁目9-21
    アルピコ交通バス「大名町」停留所から徒歩約3分、「東町」(国道143号沿い)停留所から徒歩約3分。
  • 運営:平形興行株式会社
    • 代表:平形芳朗[6]、支配人:平形友宏[5](いずれも2010年時点)

スクリーン 編集

スクリーン 座席数
シアター1 130
シアター2 100
シアター3 90
シアター4 180
シアター5 115

音響は DTSSRD(『シアター4』のみDTS・SRD・SRD-EX

脚注 編集

  1. ^ 合木こずえ「映画館から 塩尻会館東座 細腕館主奮戦記」『映画芸術』1996年夏号、379号、pp.84-85
  2. ^ 「映画館ニュース」『キネマ旬報』1960年10月15日、269号
  3. ^ a b 「映画館の街 松本に新しい風 エンギザ きょう新装オープン 人気の飲食店同居・明るい館内・最新音響設備」『信濃毎日新聞』1997年11月8日
  4. ^ エンギザ(港町キネマ通り)” (2009年10月). 2021年10月20日閲覧。
  5. ^ a b “松本の映画館「エンギザ」が突然の閉館 - 市街地の映画館、消滅へ”. 松本経済新聞 (みんなの経済新聞ネットワーク). (2010年6月28日). http://matsumoto.keizai.biz/headline/687/ 2011年1月19日閲覧。 
  6. ^ “松本市の「上土シネマ」が14日閉館 22日から記念特別上映”. 信濃毎日新聞 (47NEWS). (2008年11月5日). http://www.47news.jp/CI/200811/CI-20081105-00292.html 2015年9月26日閲覧。 

外部リンク 編集