気象病
気象病(きしょうびょう、英: meteoropathy[1])は、近年認知されつつある病名で、気象の変化によって症状が出現する、あるいは悪化する疾患の総称。症状は「天気が悪いと古傷がうずく」といった天気痛のほか、メニエール病、喘息、めまい症、うつ病、頭痛、腰痛、肩こり、神経痛、関節炎、リウマチ、蕁麻疹、吐き気など様々である。心臓発作や脳卒中のきっかけになり、生命にかかわる場合もある。
概要編集
メカニズムの詳細は不明であるが、気圧や気温、湿度などの急激な変化に人体が対応しきれないことが原因とみられる。 特定の季節に起きやすい花粉症などの「季節病」とは異なるが、熱中症のように気象病・季節病の両方の面を併せ持つ病気もある。ドイツでは気象と病気の関連を調べる「生気象学」の研究が進んでおり、医学気象予報を国民に提供している[2]。日本では、2015年6月15日に世界の原著論文と日本の個別的な状況を科学的にまとめた啓蒙書として、医師が書いたはじめての気象病の一般書が執筆された[3]。その後医師からの一般書の出版が続いている。
具体的には、内耳など気圧を感じるセンサーからの信号により自律神経系のバランスが交感神経優位となり、それがストレス刺激となってさまざまな疾患のメカニズムを惹起するという考えがある[4]。また、気圧の低下により人体の押される力が減り血管が拡張しやすくなるのが原因[5]。
対策・治療法編集
主な治療法は、「規則正しい生活」、「十分な睡眠」や「正しい食生活」などであるが、他の原因による症状についてはこの限りではない。体力のない人が気象病になりやすい[5]。
このほか、空調に過度に頼らず気温変化に身体を慣れさせることや、ストレッチ、ヨガが予防と症状緩和に有効であるとの意見や、乗り物酔い薬で症状を軽くできるケースもある。
脚注編集
- ^ 文部省、日本気象学会編『学術用語集 気象学編』日本学術振興会、1987年、増訂版。ISBN 4-8181-8703-8。
- ^ 世界と日本・大図解シリーズNo.1101「気象病」『東京新聞』朝刊サンデー版(2013年6月30日)
- ^ その痛みやモヤモヤは 「気象病」が原因だった. Watanabe, Takanori., 渡邊, 章範. 青春出版社. (2015.7). ISBN 9784413039574. OCLC 913775619
- ^ “「気象病とは何か」(視点・論点)”. 『NHK』解説委員室. (2017年9月12日)
- ^ a b 読売新聞、2015年6月7日掲載。