消費者団体訴訟制度

消費者団体訴訟制度(しょうひしゃだんたいそしょうせいど)とは、契約トラブル等により被害額は少額だが、被害者が多数にのぼるサービスを提供している事業者に対して、一定の要件を満たす消費者団体(適格消費者団体)が、被害者に代わって訴訟を起こすことができる制度である。

日本国政府の新しい消費者行政の一環で、消費者団体に公益を担わせている。同制度を盛り込んだ改正消費者契約法が、2006年平成18年)5月31日に成立。2007年(平成19年)6月7日から施行された。

概要編集

契約トラブル等の悪徳商法は、被害額が少ないと泣き寝入りとなるケースが多く、結果として悪徳業者が得をする。また、放置しておけばさらに被害者が増えるが、2005年時点においては個人が業者の行為を差し止めることはできなかった。

このような状況を止めるために、消費者団体が業者に対し訴訟を起こし、契約や勧誘の差し止めを請求することができる(ただし、損害賠償の請求はできない)。また、他の団体による消費者団体訴訟によって確定判決が出ている場合、原則として差し止め請求を行うことができない。

また、いきなり訴訟を起こすことはできない。まず、事業者に対して書面で契約や勧誘の差し止めを請求し、その書面の到達から1週間経過する必要がある。事業者が差し止めを受け入れれば、当然、訴訟にはならない。

2009年(平成21年)4月23日には、この制度に基づく訴訟で、初の判決が京都地方裁判所で言い渡された。内容は、滋賀県大津市消費者金融会社が定めた『早期完済違約金条項』が消費者契約法に違反するというもの[1]

訴訟等の範囲編集

訴訟や訴訟外の請求の対象は、当初消費者契約法に違反するものに限定されていた(不当な契約条項、不当な勧誘)。その後、2009年4月には景表法違反の行為のうち表示に関する違反(優良誤認表示)が、2009年12月からは特定商取引法法第五章二に規定される「訪問販売」(不実告知等、クーリング・オフ、過大な違約金)「通信販売」(不実告知等)「電話勧誘販売」(不実告知等、クーリング・オフ、過大な違約金)「連鎖販売」(不実告知等、クーリング・オフ、中途解約条項)「特定継続的役務提供」(不実告知等、クーリング・オフ、中途解約条項)「業務提供誘引販売」(不実告知等、クーリング・オフ、過大な違約金)に関しても、適格消費者団体は差止め請求ができるようになっている。従って、何に対してでも差し止め請求を行えるわけではない。例えば一般的な企業活動への訴訟は起こすことはできない。

立法論をめぐっては、基本的に、企業関係は「範囲を厳格に」。弁護士、消費者団体は「もっと対象範囲を広く」というスタンスとなっている。主な意見対象となっているのは、認定要件、認定期間、同一対象への請求の制限などである。

消費者団体の認定編集

消費者団体訴訟制度の当事者となれる消費者団体の認定は、特定非営利活動法人(NPO)、公益法人が対象となる。いくつかの要件(継続的に活動を行うことができるか、理事は特定の業種関係者が多くならないようにしているか、暴力団と関わりがないか、消費者問題や法律の専門家が助言できる体制にあるか等)を満たせば、内閣総理大臣の認定を受けることができる。窓口は内閣府で、認定期間は3年。

認定を受けた団体は、適格消費者団体という[2]

適格消費者団体編集

2018年9月現在、以下の19団体が認定を受けている(認定順)[3]

事業者に契約条項の変更や勧誘の差し止めを請求ができる適格消費者団体の中で、更に要件を満たし内閣総理大臣に認定を受けた特定適格消費者団体は、被害に遭った消費者個人の損害賠償を求める訴訟も被害者に代わって起こすことができる[4][5][6]。2018年4月現在、上記の適格消費者団体の内、末尾に◆印の付いた3団体が特定適格消費者団体である[7]

脚注編集

関連項目編集

外部リンク編集

法改正にあたって多くの団体がパブリックコメントを表明していたが、代表して日本経済団体連合会日本弁護士連合会のものを載せる。