ロンサム・ジョージ

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ピンタゾウガメChelonoidis abingdonii)は、爬虫綱カメ目リクガメ科ナンベイリクガメ属に分類されるカメ。

ピンタゾウガメ
ピンタゾウガメ
ピンタゾウガメ Chelonoidis abingdonii
保全状況評価[1][2][3]
EXTINCT
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: カメ目 Testudines
: リクガメ科 Testudinidae
: ナンベイリクガメ属 Chelonoidis
: ピンタリクガメ C. abingdonii
学名
Chelonoidis abingdonii (Günther, 1877)[4][5]
シノニム

Testudo abingdonii Günther, 1877[4]

和名
ピンタゾウガメ[5]
英名
Pinta Island giant tortoise[4]
Pinta Island tortoise[5]

分布

ガラパゴス諸島(Pinta島)に分布していた[5]

形態

最大甲長98センチメートル[5]。背甲は細長く扁平で、鞍型[5]。背甲の前縁は顕著にめくれあがる[5]

人間との関係

19世紀に食用の乱獲により生息数が激減し、1959年にPinta島では人為的移入されたヤギによって植生を破壊されたことで絶滅したと考えられていた[3][5]。1971年にオスの1個体が再発見され、「ロンサム・ジョージ」と名付けられダーウィン研究所で飼育された[5]。2012年にこの個体が死亡したことで絶滅した[3][4]。イサベラ島北部のウォルフ火山周辺で種間雑種と思われる個体が発見されているが、2016年現在は純粋な本種は再発見されていない[3]。1975年にワシントン条約附属書Iに掲載されている[2]

ロンサム・ジョージ

ロンサム・ジョージ(Lonesome George、1910年頃? - 2012年6月24日)は、ガラパゴス諸島ピンタ島に生息していたガラパゴスゾウガメの亜種(独立種とする説もある)ピンタゾウガメ(Geochelone nigra abingdoni)の最後の生き残りだった1頭の愛称。

生涯

19世紀ごろ捕鯨船などの船乗りたちの航海中の食糧とするため、ガラパゴス諸島に生息していたガラパゴスゾウガメは徹底的に狩られた[6]。人間による乱獲に遭って個体数が激減して、1頭もガラパゴスゾウガメがいなくなってしまったとされていたピンタ島で、1971年12月1日に[7]、60年ぶりにオスが発見された。発見時は2頭であったが、1頭は発見後まもなく死亡。2012年6月24日に飼育先で死亡しているのが見つかった。DNA鑑定によれば確かにピンタ島固有の亜種であり、他のどのゾウガメとも違う遺伝子である。体重88kg、体長102cm[6]

サンタクルス島のチャールズ・ダーウィン研究所で保護飼育され、1993年から近い亜種の2頭の雌とのペアリングが試みられたが、老齢のためかあまり興味を示さず、繁殖には成功しなかった[6]。とはいえ、ゾウガメは長命であるため、人間でいえばまだ中年ほどの年齢ともされた。

2007年4月には、ピンタ島から近いイサベラ島にてロンサム・ジョージと同じピンタゾウガメの半分の遺伝子(雄親がピンタゾウガメだったと推定できる)を持つ雄のガラパゴスゾウガメをエール大学を中心とする研究チームが見つけた。これは亜種間雑種個体と思われ、少なくとも過去のイサベラ島においてはロンサム・ジョージ以外のピンタゾウガメが生きていたことを示している。しかし純粋なピンタゾウガメの生きている個体については、ロンサム・ジョージを除いて依然確認できていない。

2008年7月から9月にかけてロンサム・ジョージのつがいの雌のゾウガメが計16個を産卵したが、そのうち13個は無精卵であり、残る3個は人工孵化が試みられたが、結局は孵化することなく腐敗していたことが2009年1月23日に公表された。

2012年6月24日、ロンサム・ジョージが死亡したことが発表された[8]。推定年齢は100歳以上だったと見られる。これにより、ピンタゾウガメは完全に絶滅した可能性が高いと見られている。

2012年11月19日の報道によると、エール大学の研究チームがイサベラ島のウォルフ火山付近に生息するゾウガメの遺伝子を調べた結果、1,667頭のうち17頭の遺伝子にピンタゾウガメのDNA断片が混入している事実を突き止めた[9]。17頭の内訳は雄3頭、雌9頭、子ども(20歳未満)5頭であり、特に子どもの存在は純血種が存在する可能性を示しているという。

注釈

  1. ^ Chelonoidis nigraとして掲載

出典

  1. ^ Appendices I, II and III<https://cites.org/eng>(Accessed[リンク切れ] 05/8/2017)
  2. ^ a b UNEP (2017). Chelonoidis niger. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (Accessed 05/8/2017)
  3. ^ a b c d Cayot, L.J., Gibbs, J.P., Tapia, W. & Caccone, A. 2016. Chelonoidis abingdonii. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T9017A65487433. http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-1.RLTS.T9017A65487433.en. Downloaded on 05 August 2017.
  4. ^ a b c d Turtle Taxonomy Working Group [Rhodin, A.G.J., Iverson, J.B., Bour, R. Fritz, U., Georges, A., Shaffer, H.B., and van Dijk, P.P.]. 2017. Turtles of the World: Annotated Checklist and Atlas of Taxonomy, Synonymy, Distribution, and Conservation Status (8th Ed.). In: Rhodin, A.G.J., Iverson, J.B., van Dijk, P.P., Saumure, R.A., Buhlmann, K.A., Pritchard, P.C.H., and Mittermeier, R.A. (Eds.). Conservation Biology of Freshwater Turtles and Tortoises: A Compilation Project of the IUCN/SSC Tortoise and Freshwater Turtle Specialist Group. Chelonian Research Monographs 7:1–292. doi: 10.3854/crm.7.checklist.atlas.v8.2017. (Downloaded on 5 August 2017.)
  5. ^ a b c d e f g h i 安川雄一郎 「ゾウガメと呼ばれるリクガメ類の分類と自然史(後編)」『クリーパー』第33号、クリーパー社、2006年、16-48頁。
  6. ^ a b c 横山雅司『極限世界のいきものたち』彩図社、2010年10月22日、44-45頁。ISBN 978-4-88392-764-7 
  7. ^ 新木秀和『エクアドルを知るための60章』(第2版)明石書店〈エリア・スタディーズ57〉、2012年、255-256頁。ISBN 978-4-7503-3709-8 
  8. ^ Lonesome George, last-of-his-kind Galapagos tortoise, dies Chicago Tribune 2012年6月25日閲覧 Archived 2012年6月25日, at the Wayback Machine.
  9. ^ ロンサム・ジョージ、仲間が生存か ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 2012年11月23日閲覧[リンク切れ]

関連項目