トロットサンダー
この記事は「旧馬齢表記」が採用されており、国際的な表記法や2001年以降の日本国内の表記とは異なっています。 |
トロットサンダー[1]は日本の競走馬・種牡馬主な勝ち鞍に1995年のマイルチャンピオンシップおよび1996年の安田記念、東京新聞杯。
| トロットサンダー | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 欧字表記 | Trot Thunder[1] | |||||||||||
| 品種 | サラブレッド[1] | |||||||||||
| 性別 | 牡[1] | |||||||||||
| 毛色 | 鹿毛[1] | |||||||||||
| 生誕 | 1989年5月10日[1] | |||||||||||
| 死没 | 2004年11月??日（15歳没） | |||||||||||
| 登録日 | 1994年6月2日 (JRA) | |||||||||||
| 抹消日 | 1996年9月26日 (JRA) | |||||||||||
| 父 | ダイナコスモス[1] | |||||||||||
| 母 | ラセーヌワンダ[1] | |||||||||||
| 母の父 | テスコボーイ[1] | |||||||||||
| 生国 |
 日本（北海道鵡川町）[1] | |||||||||||
| 生産者 | フラット牧場[1] | |||||||||||
| 馬主 |
（有）有匡 →藤本照男 [1] | |||||||||||
| 調教師 |
津金沢正男（浦和） →相川勝敏（美浦） →内藤一雄（美浦南） →相川勝敏 [1] | |||||||||||
| 厩務員 | 矢作忠永[2] | |||||||||||
| 競走成績 | ||||||||||||
| 生涯成績 | 22戦15勝[1] | |||||||||||
| 獲得賞金 | 3億6436万1000円[1] | |||||||||||
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概要
- 特記事項なき場合、本節の出典はJBISサーチ[3]
デビュー前に育成牧場で大けがを負い、その影響で競走馬としてのデビューが遅れた。
1992年7月1日、浦和競馬場の4歳一般戦でデビューし、1着。1993年1月3日のC級一般戦で2着となるまで5連勝を記録し、次走からは3連勝を記録するが、2連勝目のあとに後肢管骨を骨折し、その症状は競走能力を維持できるかどうか疑わしいほどの重傷であったが1年以上の療養を経てレースに復帰し、復帰戦を優勝して3連勝とした[4]。この骨折する前から中央競馬へ移籍する計画が持ち上がっており、このレースを最後に移籍することとなる。
1994年7月17日、札幌競馬場の900万下特別日高特別が中央初戦となり2着とするが、年末まで休養に入り、12月の美浦特別と年明けて1995年1月の初富士ステークスを連勝。初重賞出走の中山記念はフジヤマケンザンの7着に終わるも、5月東京競馬場の府中ステークスを勝ってオープンクラスに昇級する[4]。札幌記念は1番人気に支持されるも7着、続く函館記念も7着に終わるが、秋に入り毎日王冠でスガノオージの3着に入ると、マイルのオープン特別アイルランドトロフィーに優勝。この頃は「重賞では足りない」という評価が多かった[4]。西下して出走のマイルチャンピオンシップでは、ここまで重賞未勝利ながら4番人気に支持され、レースでは後方から進めて最後の直線で末脚を繰り出して優勝、重賞初制覇とともにGI初制覇を達成した[4]。
1996年、初戦の東京新聞杯を制してマイル戦7勝目とし[4]、道中窮屈になる不利があった京王杯スプリングカップ3着[2]を経て参戦の安田記念では1番人気に支持され、逃げたヒシアケボノをタイキブリザードと連れ立って差すと、もつれたままゴール板を通過し、14センチ差のハナ差で勝利をもぎ取った[2][4]。
7月、年内に毎日王冠と天皇賞（秋）に出走して競走馬を引退することが発表された。しかし、し毎日王冠へ向けて調整が進められていた9月に両前脚のトウ骨に骨膜炎を発症し、馬主の藤本照男が所有する藤本牧場へ放牧に出されたが、その最中の9月末、馬主の名義貸し事件が発覚（後述）し、マイル戦は8戦無敗、1800メートル以上ではわずか1勝という「マイルのスペシャリスト」[2][4]のまま引退に追い込まれた。
2000年に日本中央競馬会が行ったファン投票による名馬選定企画「Dream Horses 2000」では、1469票を集めて61位に付けられた。
名義貸し事件
名義貸しとは、馬主資格を持つ者が資格を持たない実質的な所有者のために名義を貸す行為をいい、競馬法第11条の規定[5]に違反する。
ある馬が地方競馬から中央競馬に転厩する場合、それまでの馬主が中央競馬の馬主資格を持っていれば、そのまま継続して所有を続けられるが、そうでない場合は資格を持つ別の馬主への譲渡が必要となる。地方競馬時代の馬主は「有限会社有匡」であったが、同社は中央競馬の馬主資格を所持していなかったため、移籍の際にその所有権が中央競馬馬主の藤本照男に移されたとされていた。しかし1996年秋になって実質所有が未だ有限会社有匡であり、藤本は名義を貸しているのみであったことが判明。藤本は競馬法第11条に違反したとして馬主資格を剥奪された。またその影響で半ば強制的に引退に追い込まれたといわれている。
なお、相川もこれより前の時期に、他の馬の名義貸しに関わっていたとして4か月の調教停止処分を受けたため、その間は内藤一雄厩舎に移籍していた。東京新聞杯優勝は、内藤一厩舎に移っていた時のものである[6]。
競走成績
以下の内容は、JBISサーチ[3]およびnetkeiba.com[7]に基づく。
| 年月日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 頭数 | 枠番 | 馬番 | オッズ （人気） |
着順 | 騎手 | 斤量 [kg] |
距離（馬場） | タイム （上り3F） |
タイム 差 |
勝ち馬/（2着馬） | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1992.7.1 | 浦和 | サラ系4歳七 | 10 | 7 | 8 | （1人） | 1着 | 桃井十四秋 | 54 | ダ1400m（稍） | 1:28.9 | -0.4 | （ワンダースラッガー） | ||
| 7.29 | 浦和 | サラ系4歳四 | 9 | 6 | 6 | （1人） | 1着 | 本間光雄 | 54 | ダ1400m（良） | 1:28.8 | -1.8 | （マコールビー） | ||
| 8.17 | 浦和 | サラ系4歳二 | 6 | 6 | 6 | （1人） | 1着 | 桃井十四秋 | 54 | ダ1400m（良） | 1:29.2 | -1.0 | （ムサシワンダー） | ||
| 9.8 | 浦和 | 若武蔵特別一 | 6 | 3 | 3 | （1人） | 1着 | 桃井十四秋 | 54 | ダ1400m（良） | 1:28.2 | -0.6 | （ミタカダンサー） | ||
| 10.10 | 浦和 | サラ系一般C1六C2二 | 11 | 2 | 2 | （1人） | 1着 | 桃井十四秋 | 56 | ダ1400m（良） | 1:27.2 | -0.7 | （シーガルレコード） | ||
| 1993.1.3 | 浦和 | サラ系一般C1四 | 10 | 7 | 8 | （1人） | 2着 | 本間光雄 | 55 | ダ1400m（良） | 1:29.4 | 0.1 | コスモチユー | ||
| 1.21 | 浦和 | サラ系一般C1三 | 11 | 7 | 8 | （1人） | 1着 | 本間光雄 | 55 | ダ1400m（良） | 1:29.1 | -0.3 | （ヘイセイソブリン） | ||
| 2.21 | 浦和 | ヒヤシンス特別 | C1 | 9 | 7 | 7 | （1人） | 1着 | 本間光雄 | 55 | ダ1600m（良） | 1:42.9 | -0.1 | （イシノハワイアン） | |
| 1994.5.23 | 浦和 | あやめ特別 | C1 | 9 | 8 | 9 | （1人） | 1着 | 桃井十四秋 | 56 | ダ1600m（良） | 1:40.6 | -0.8 | （ハシモクロタカ） | |
| 7.17 | 札幌 | 日高特別 | 900 | 10 | 3 | 3 | 6.7 | （4人） | 2着 | 横山典弘 | 57 | 芝1800m（良） | 1:48.7 (36.0) | 0.1 | タケノクラウン |
| 12.4 | 中山 | 美浦特別 | 900 | 14 | 2 | 2 | 3.4 | （1人） | 1着 | 横山典弘 | 56 | 芝1800m（良） | 1:47.7 (35.6) | 0.0 | （マイネルロカビリー） |
| 1995.1.21 | 中山 | 初富士S | 1500 | 14 | 1 | 1 | 3.4 | （1人） | 1着 | 横山典弘 | 55 | 芝1600m（良） | 1:33.6 (35.4) | -0.3 | （クアドリフォリオ） |
| 3.12 | 中山 | 中山記念 | GII | 12 | 3 | 3 | 12.0 | （4人） | 7着 | 横山典弘 | 57 | 芝1800m（稍） | 1:50.8 (35.1) | 0.5 | フジヤマケンザン |
| 5.20 | 東京 | 府中S | 1500 | 18 | 6 | 11 | 2.9 | （1人） | 1着 | 横山典弘 | 56 | 芝1600m（良） | 1:33.8 (35.3) | -0.4 | （シンコウキング） |
| 7.2 | 札幌 | 札幌記念 | GIII | 13 | 5 | 7 | 2.0 | （1人） | 7着 | 横山典弘 | 53 | 芝2000m（良） | 2:01.8 (37.1) | 0.4 | スーパープレイ |
| 8.20 | 函館 | 函館記念 | GIII | 16 | 4 | 8 | 7.6 | （3人） | 7着 | 横山典弘 | 56 | 芝2000m（重） | 2:03.4 (37.1) | 1.0 | インターマイウェイ |
| 10.8 | 東京 | 毎日王冠 | GII | 14 | 4 | 6 | 19.6 | （6人） | 3着 | 横山典弘 | 57 | 芝1800m（重） | 1:48.9 (35.0) | 0.5 | スガノオージ |
| 10.28 | 東京 | アイルランドT | OP | 11 | 7 | 8 | 2.3 | （1人） | 1着 | 横山典弘 | 55 | 芝1600m（良） | 1:33.3 (34.5) | -0.5 | （エアチャリオット） |
| 11.19 | 京都 | マイルCS | GI | 18 | 7 | 13 | 8.5 | （4人） | 1着 | 横山典弘 | 57 | 芝1600m（良） | 1:33.7 (34.8) | -0.2 | （メイショウテゾロ） |
| 1996.2.4 | 東京 | 東京新聞杯 | GIII | 16 | 6 | 11 | 2.2 | （1人） | 1着 | 横山典弘 | 58 | 芝1600m（良） | 1:34.4 (34.1) | -0.1 | （メイショウユウシ） |
| 5.11 | 東京 | 京王杯SC | GII | 15 | 5 | 8 | 3.3 | （2人） | 3着 | 横山典弘 | 59 | 芝1400m（良） | 1:21.2 (34.1) | 0.1 | ハートレイク |
| 6.9 | 東京 | 安田記念 | GI | 17 | 6 | 12 | 3.4 | （1人） | 1着 | 横山典弘 | 58 | 芝1600m（良） | 1:33.1 (34.5) | 0.0 | （タイキブリザード） |
引退後
引退後は種牡馬となり、初年度の血統登録頭数は64頭を数えた[8]。年ごとに種付頭数は減少したとはいえ、8年間の供用で一けた台の種付頭数は末期の2003年と2004年の二度のみで、8年間で196頭の血統登録頭数、うち出走頭数は166頭を数えた[8]。2004年8月に種牡馬廃用となり、その年の11月に死亡したと言われている[9]。ウツミジョーダンが後継種牡馬入りしたが、ほとんど産駒も出さないまま用途変更になっており、父系としては残らなかった。
主な産駒
血統表
| トロットサンダーの血統 | （血統表の出典）[§ 1] | |||
| 父系 | ネアルコ系 |
[§ 2] | ||
父 ダイナコスモス 1983 鹿毛 |
父の父 *ハンターコムHuntercombe 1967 黒鹿毛 |
Derring-Do | Darius | |
| Sipsey Bridge | ||||
| Ergina | Fair Trial | |||
| Ballechin | ||||
父の母 シャダイワーデン1977 栗毛 |
*ノーザンテースト | Northern Dancer | ||
| Lady Victoria | ||||
| シヤダイプリマ | *マリーノ | |||
| ナイトアンドデイ | ||||
母 ラセーヌワンダ 1969 栃栗毛 |
*テスコボーイ Tesco Boy 1963 黒鹿毛 |
Princely Gift | Nasrullah | |
| Blue Gem | ||||
| Suncourt | Hyperion | |||
| Inquisition | ||||
母の母 ラ・セーヌ1956 栗毛 |
*リンボー | War Admiral | ||
| Boojie | ||||
| ラシフォード | *アスフオード | |||
| ラシモア | ||||
| 母系(F-No.) | フラストレート系(FN:1-b) | [§ 3] | ||
| 5代内の近親交配 | 5代内アウトブリード | [§ 4] | ||
| 出典 | ||||
脚注
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “トロットサンダー”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年4月5日閲覧。
- ^ a b c d “【Ｇ１温故知新】１９９６年安田記念優勝 トロットサンダー”. スポニチアネックス - ギャンブル. スポーツニッポン (2017年5月31日). 2020年4月5日閲覧。
- ^ a b “トロットサンダー 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年4月5日閲覧。
- ^ a b c d e f g “トロットサンダー 生涯マイル戦無敗 1996年”. 安田記念 歴代優勝馬ピックアップ. JRA-VAN. 2020年4月5日閲覧。
- ^ 「日本中央競馬会が行う登録を受けた者でなければ、中央競馬の競走に馬を出走させることができない」
- ^ “11R 東京新聞杯 GIII 1996年2月4日（日）2回東京4日”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年4月5日閲覧。
- ^ “トロットサンダーの競走成績”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2020年4月5日閲覧。
- ^ a b “トロットサンダー 種牡馬情報：世代・年次別（サラ系総合）”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年4月5日閲覧。
- ^ “トロットサンダー”. 競走馬のふるさと案内所. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年4月5日閲覧。
- ^ “ウツミジョーダン”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年4月5日閲覧。
- ^ “トロットヒーロー”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年4月5日閲覧。
- ^ “トロットテイオー”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年4月5日閲覧。
- ^ “スターオブブリッジ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年4月5日閲覧。
- ^ a b c “トロットサンダー 血統情報：5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年4月5日閲覧。
- ^ a b c “トロットサンダーの5代血統表”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2020年4月5日閲覧。
参考文献
関連項目
- オーバルスプリント - 浦和競馬の重賞競走。「トロットサンダー記念」と冠している。
外部リンク
- 競走馬成績と情報 netkeiba、スポーツナビ、JBISサーチ、Racing Post エラー：
|racingpostname=が未定義です。(参照1・参照2) - トロットサンダー - 競走馬のふるさと案内所