独立自主管理労働組合「連帯」
独立自主管理労働組合「連帯」(どくりつじしゅかんりろうどうくみあい れんたい、通称:連帯、ポーランド語: Niezależny Samorządny Związek Zawodowy „Solidarność”、略称:NSZZ „Solidarność”)は、ポーランドにおいて労働組合から公然たる反共運動へと発展した組織である。1980年、社会主義国として初の労働者による自主的かつ全国規模の労働組合として結成。
概要
編集「連帯」は、ポーランドにおける民主化運動において、主導的な役割を担った。
同労働組合は、自由な組合活動が認められていない中で成立したもので、成立当時、ポーランドの労働組合といえば政府主導の「労働組合中央評議会」であった。ポーランド政府によって一度非合法化されたものの、その後も活動を続けた。その後、ミハイル・ゴルバチョフによってペレストロイカが始まると、その流れの中でポーランド政府は「連帯」等の勢力との妥協を模索し、「連帯」運動は合法的地位を獲得する。
円卓会議が開催されると、政権維持を模索するポーランド統一労働者党に対し、「連帯」は民主化を求める民衆勢力を背景として強気の姿勢で交渉に臨み、最終的には、民主的手続きによる政権奪取に成功した。
なお、ポーランド出身のローマ教皇であるヨハネ・パウロ2世は、ポーランド政府による「連帯」の非合法化に対して度々憂慮する発言を行っていた上に、「連帯」を事実上支持する発言を行っていた。さらにアメリカのCIAが「連帯」への資金調達を行う際の抜け道として、ヨハネ・パウロ2世の黙認のもとで、ローマ教皇庁の資金管理、運営組織である宗教事業協会が利用されたという報道がなされたこともある。
略歴
編集詳細についてはポーランド民主化運動#略歴を参照の事。
歴代議長
編集カトリック教会の社会教説
編集教皇ヨハネ・パウロ2世は、カトリック教会の社会教説の主要文書である『Sollicitudo rei socialis』で、福音の構成要素としての共通の善への人間の関与は、貧困者と疎外された人々との連帯の概念であると示す。ローマ・カトリック教会は、教皇ヨハネ・パウロ2世の指導の下で労働組合の非常に強力な支持者であり、その成功に大きな責任を負っていた。カトリックの信仰を公に表明したヴァウェンサは、教皇の影響を確認し次のように述べている。「教皇は、彼の集会を通して私たち多数に指導した。恐れないようにと教皇は私たちに語った[1]。」
また、ストライキ中の労働者に定期的に説教を与えたイエジ・ポピエウシュコ神父は、後に彼の団体と連帯のために共産党政権によって殺害された[2]。ポーランドの労働者自身も教会と密接に関係していた。それは1980年代のストライキの間に撮られた写真で見ることができる。いくつかの工場の壁には、聖母マリアまたはヨハネ・パウロ2世の肖像画が掛けられている。
2017年に、連帯はポーランドの司教によって支持された動きである日曜日の買い物を禁止する、日曜法を制定するという提案を支持した[3]。日曜のほぼすべての取引を禁止する2018年の新しいポーランドの法律が施行され、1990年代にリベラルなショッピング法が導入されて以来、大型スーパーマーケットおよび他のほとんどの小売業者は初めて閉鎖された。法廷はマテウシュ・モラヴィエツキ首相の支持を得て立法を可決した[4][5][6][7]。
脚注
編集- ^ Repa, Jan (August 12, 2005). “Analysis: Solidarity's legacy”. BBC News. 2017年1月29日閲覧。
- ^ “BBC ON THIS DAY - 30 - 1984: Pro-Solidarity priest is murdered”. bbc.co.uk. 2019年3月10日閲覧。
- ^ “Polish bishops for total ban on Sunday shopping” (English). BBC (23 August 2017). 29 August 2017閲覧。
- ^ https://www.usnews.com/news/business/articles/2018-03-11/most-stores-shut-in-poland-as-sunday-trade-ban-takes-effect
- ^ “Stores shut across Poland as Sunday shopping ban takes effect”. 2019年3月10日閲覧。
- ^ “Sunday trading ban comes into effect in Poland” (11 March 2018). 2019年3月10日閲覧。
- ^ “Stores closed as Poland phases out Sunday shopping”. 2019年3月10日閲覧。
参考文献
編集- "Solidarnosc: Acid Test for Trotskyists" (Pamphlet published by the Bolshevik Tendency in 1988)
- 『世界革命過程と日本共産党 ポーランド反革命の挫折と日本革命の途』著者・発行者 後藤和夫/発売 ウニタ書舗
関連項目
編集- 自主管理
- 円卓会議
- グダニスク造船所
- 東欧革命
- ポーランド民主化運動
- アンジェイ・ワイダ
- レフ・ヴァウェンサ(レフ・ワレサ)
- ヴォイチェフ・ヤルゼルスキ
- ヤツェク・クーロン
- アダム・ミフニク
- ヴワディスワフ・バルトシェフスキ
- ドナルド・トゥスク
- ヤロスワフ・カチンスキ
- レフ・カチンスキ
- イェジ・ブゼク
- イエジ・ポピエウシュコ
- 梅田芳穂 - 民主化に活躍した日本人
- 「連帯」選挙行動 - 1996年に結成されたキリスト教的価値観を重視する穏健保守政党を中心とした政党連合。
外部リンク
編集- 公式サイト (ポーランド語)
- Presentation The Solidarity Phenomenon (PL, EN, DE, FR, ES, RU)
- 『連帯』 - コトバンク