第11回JBCクラシック
第11回JBCクラシックは2011年11月3日に大井競馬場で開催された競馬競走である。トランセンドとスマートファルコンによる、ダート最強を決める事実上のマッチレースとして注目された。
レース施行時の状況
編集JBCは毎年、全国の地方競馬場を持ち回りで開催され、第11回目の開催となった2011年は地方競馬随一の規模を誇る大井競馬場で行われた。本年より行われることになった牝馬限定のレディスクラシック、スプリントがともに31年ぶりのコースレコードが更新され、クラシックはJBC3競走の3つ目のレースとして行われた。
JBCクラシックはフルゲートで地方所属馬10頭、中央所属馬6頭が出走できたが、最終的に出走した地方所属馬8頭、中央所属馬4頭の計12頭で争われた。当時ダート4強といわれていた内の中央所属のエスポワールシチーと地方所属のフリオーソが出走を回避したため、残る2頭のトランセンド・スマートファルコンとそれ以外の出走10頭の力の差は歴然としており、事実上2頭によるダート最強決定戦となった。
スマートファルコン(牡6歳)は、3歳の夏に出走した小倉のダート戦以後は一貫して地方競馬の交流重賞のみを走り続け、本競走には2010年のJBCクラシックから6連勝で乗り込んだ。今年度の最大目標をドバイワールドカップと設定し、秋の2戦目として日本レコードを出した大井競馬場2,000mの舞台が選ばれた。
トランセンドは前年のみやこステークス優勝以後、ジャパンカップダート、フェブラリーステークスとGIを2連勝し、ドバイワールドカップでも2着。海外遠征の休み明け緒戦となった第24回マイルチャンピオンシップ南部杯も勝ち、こちらはJRAのレースでは無敗だった[1]。こちらもドバイを目標としていたが、スマートファルコンと戦いたいというオーナーの希望により[2]JBCクラシック出走を決め、ファンが待ち望んでいた決戦が実現した。
出走馬と枠順
編集枠番 | 馬番 | 競走馬名 | 性齢 | 騎手 | オッズ | 調教師 | 馬主 |
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1 | 1 | シビルウォー | 牡6 | 吉田豊 | 29.2(3人) | 戸田博文 | (有)社台レースホース |
2 | 2 | サイレントスタメン | 牡5 | 金子正彦 | 541.3(10人) | 足立勝久 | 宮澤静雄 |
3 | 3 | フィールドルージュ | 牡9 | 酒井学 | 298.5(9人) | 西園正都 | 地田勝三 |
4 | 4 | アプローチアゲン | 牡7 | 永森大智 | 740.2(12人) | 雑賀正光 | 松本和男 |
5 | 5 | ボンネビルレコード | 牡9 | 的場文男 | 111.7(5人) | 庄子連兵 | 塩田清 |
6 | タガノサイクロン | 牡8 | 木村健 | 257.5(7人) | 森澤友貴 | 八木良司 | |
6 | 7 | スウィングベル | 牝4 | 宮川実 | 237.5(6人) | 松木啓助 | 石本鈴雄 |
8 | コロニアルペガサス | 牝4 | 吉井友彦 | 638.1(11人) | 山中輝久 | (有)ホースケア | |
7 | 9 | トランセンド | 牡5 | 藤田伸二 | 2.4(2人) | 安田隆行 | 前田幸治 |
10 | スマートファルコン | 牡6 | 武豊 | 1.2(1人) | 小崎憲 | 大川徹 | |
8 | 11 | グランシュヴァリエ | 牡6 | 本橋孝太 | 270.9(8人) | 雑賀正光 | 宮崎忠比古 |
12 | テラザクラウド | 牡4 | 今野忠成 | 59.8(4人) | 荒山勝徳 | 海野修太郎 |
レース展開
編集トランセンドはスマートファルコンの3馬身後方につけ、さらに4、5馬身差でシビルウォー、以後9頭は大きく離れてレースが進んだ。第3コーナーからトランセンドが前を捕らえに行くが、直線に入ってスマートファルコンが追い出して差を広げ、一時は4馬身ほどの差を付けた。残り100mを過ぎてからはスマートファルコンの脚色が鈍りトランセンドが差を詰めたが、最終的に1馬身の差を付けてスマートファルコンが逃げ切った。2着トランセンド、3着シビルウォーが入線し、4着以降は大差となった。
スマートファルコンは前年・船橋競馬場で行われたJBCクラシックから連覇達成。重賞通算17勝とし、歴代1位のオグリキャップと並んだ[3]。鞍上の武豊騎手はJBCクラシック5年連続、6回目の勝利を挙げた[4]。
全着順
編集着順 | 馬番 | 馬名 | 勝ち時計 |
1着 | 6 | スマートファルコン | 2:02.1 |
2着 | 10 | トランセンド | 1 |
3着 | 8 | シビルウォー | 3 1/2 |
4着 | 7 | グランシュヴァリエ | 大差 |
5着 | 2 | テラザクラウド | クビ |
6着 | 5 | フィールドルージュ | 1 3/4 |
7着 | 11 | ボンネビルレコード | 1 |
8着 | 9 | サイレントスタメン | 5 |
9着 | 3 | タガノサイクロン | クビ |
10着 | 4 | スウィングベル | 8 |
11着 | 12 | コロニアルペガサス | 5 |
12着 | 1 | アプローチアゲン | アタマ |
払戻
編集単勝式 | 1 | 120円 |
複勝式 | 10 | 100円 |
9 | 100円 | |
1 | 120円 | |
枠連 | 7-7 | 100円 |
馬連 | 9-10 | 100円 |
ワイド | 9-10 | 100円 |
1-10 | 140円 | |
1-9 | 150円 | |
枠単 | 7-7 | 110円 |
馬単 | 10-9 | 150円 |
3連複 | 1-9-10 | 160円 |
3連単 | 10-9-1 | 250円 |
データ
編集1000m通過タイム | 60.7秒 |
上がり4ハロン | 49.4秒 |
上がり3ハロン | 34.4秒 |
2頭のその後
編集2頭はジャパンカップダートで再戦すると思われたが、スマートファルコンが疲労を理由に回避した[6]。スマートファルコンは当年度から国際GI格付けとなった大井の東京大賞典を辛勝、川崎記念を圧勝した後、ドバイワールドカップに出走。スタート直後に躓いて10着に終わった。帰国後は秋シーズンの復帰を目指したが、9月に屈腱炎を発症し引退し、社台スタリオンステーションで種牡馬入りした[7]。
トランセンドは同年のジャパンカップダートこそ勝ったものの、翌年のフェブラリーステークスではハイペースに巻き込まれて7着に惨敗し、ドバイワールドカップでもハイペースの逃げとなり13着に終わった。以後も精彩を欠き、2012年12月の東京大賞典後に引退、アロースタッドで種牡馬となった[8]。
脚注
編集- ^ 当年は東日本大震災の影響でマイルチャンピオンシップ南部杯が東京競馬場で行われていた。
- ^ 【MCS南部杯】トランセンド前田オーナー、底力再確認ギャロップオンライン 2011年10月11日
- ^ オグリキャップは地方重賞5勝を含む。
- ^ 2005年をタイムパラドックスで、2007~2009年をヴァーミリアンで制している。
- ^ 競走成績南関東4競馬場
- ^ スマートファルコン JCダート回避で放牧へスポーツニッポン 2011年11月12日
- ^ スマートファルコン電撃引退…種牡馬にデイリースポーツ 2012年9月4日
- ^ トランセンド登録抹消…北海道で種牡馬にスポーツ報知 2013年1月6日