自由貿易協定(じゆうぼうえききょうてい、: Free Trade Agreement[1][2]FTA)とは、2ヶ国以上の国・地域が関税、輸入割当など貿易制限的な措置を一定の期間内に撤廃・削減する協定である[3]。締結国・地域間の自由貿易および投資拡大を目的として関税/非関税障壁を取り払う[3]米国・メキシコ・カナダ協定等の多国間協定と、2国間協定とがある[4]

経済連携協定 (EPA) と呼ばれるものは、FTAに加えて、投資、政府調達、知的財産権、人の移動、ビジネス環境整備など広範囲な取り組みを含む協定であり、締約国間の貿易・投資の拡大を目指す協定である[3]と理解されていたが、現在では後述するようにほとんど同義となっている。

自由貿易協定とWTO協定との関連編集

自由貿易協定により、協定の当時国間でのみ関税の引下げ・撤廃を行うことが、WTO上の一般最恵国待遇に違反しないのは、次の規定に合致する場合である。

2021年10月8日時点で、350の協定がWTO(世界貿易機関)に有効のもの(in force)として通報[5]されている[6]。WTOに通報されたものは、関税同盟や経済連携協定 (EPA) と呼ばれているものを含む。350の協定の根拠別内訳は下記のとおり[6]。多くの協定は物品とサービス貿易の双方について規定しているため、数に重複がある。種別の詳細は、WTOのHP[7]を参照。最新の通報は、2021年8月31日に通報されたとASEAN自由貿易協定(2020年5月17日発効)である。2020年12月31日に、イギリスがEU離脱に伴い締結した協定28件(2021年1月1日発効)を通報したため、大幅に増加した。この中に日英包括的経済連携協定も含まれているおり、イギリスとEUとの協定も通報された。しかし、2020年1月1日に発効した日米貿易協定、2020年8月1日に発効した日本・ASEAN包括的経済連携協定第一改正議定書は、2021年10月8日現在、通報されていない[7]

  • GATT第24条:319
  • GATS第5条:188
  • WTOの授権条項:61

また、2020年11月27日の参議院本会議において、日英包括的経済連携協定の趣旨説明が行われた際の質疑で、立憲民主・社民の白眞勲議員から質問に対して茂木敏充外務大臣は、「WTOのホームページでは、現在、五十四の自由貿易協定がいまだに通報されていないことが公表されており、この中には、香港ASEAN貿易協定やオーストラリア・インドネシア貿易協定も含まれております。」[8]と答弁している。このWTOのHPとは、2020年9月26日のWTO地域貿易委員会の文書[9][10]であるが、このリストには日米貿易協定は含まれていない。

FTAとEPAの違い編集

「自由貿易協定」 (Free Trade Agreement, FTA) は、特定の国や地域とのあいだでかかる関税や企業への規制を取り払い、物品やサービスの流通を自由に行えるようにする取り決めのこと[11]。通商政策の基本ともいわれる[12]

経済連携協定」 (Economic Partnership Agreement, EPA) は、物品やサービスの流通のみならず、人の移動、知的財産権の保護、投資、競争政策など様々な協力や幅広い分野での連携で、両国または地域間での親密な関係強化を目指す協定[13][12]

地域間の貿易のルールづくりに関しては、過去世界貿易機関 (WTO) を通した多国間交渉の形が取られていたが、多国間交渉を1つ1つこなすには多くの時間と労力が取られるため、WTOを補う地域間の新しい国際ルールとして、FTAやEPAが注目されている[11]

ただし、日本政府の公式見解では「free trade agreement」について、国際的に確立した定義があるとは承知しておらず[14]としており、従ってEPA、FTAの相違についても国際的に確立した定義によるものは日本国政府としてはあるとはしていない。

日本は東南アジアインドとの経済の連携協定を進めてきたように、FTAだけでなくEPAの締結を求めており、GATT(関税及び貿易に関する一般協定)およびGATS(サービスの貿易に関する一般協定)に基づくFTAによって自由化される物品やサービス貿易といった分野に加え、締結国と幅広い分野で連携し、締約国・地域との関係緊密化を目指すとしている[11][12][15][11]。その理由は、関税撤廃だけでなく、投資やサービス面でも、幅広い効果が生まれることを期待していることによる[15]

日本政府は、このようにFTAとEPAを区分けしているが、「一般的な名称ではなく、WTOでも使われていません。FTAは当初は貿易に特化していましたが、その内容は年々幅広くなっていて、もはやほぼ同義で使われています[16]]との「実際、近年世界で締結されているFTAの中には、日本のEPA同様,関税撤廃・削減やサービス貿易の自由化にとどまらない、様々な新しい分野を含むものも見受けられる[11]」との指摘もあり、国によってはFTAとEPAを区別せずに包括的にFTAに区分することも少なくない[注釈 1]。特に米国は、署名・締結した協定において、ほとんどが自由貿易協定[注釈 2]としており、経済連携協定としているものはないが、内容的には関税撤廃・削減やサービス貿易の自由化にとどまらず、環境・労働等の分野を含んでいる[注釈 3]。更に日米貿易協定の国会承認の質疑において、後藤(祐)委員の質問に対して茂木外務大臣「包括的なFTA、ここにおきましては、物品貿易に加えて、サービス全般の自由化を含むものを基本とし、さらに、知的財産、投資、競争など、幅広いルールを協定に盛り込むこと[17]」と答弁し、更に「FTAについて、国際的に確立した定義も、御案内のとおり、あるわけではありませんが、我が国では、これまで、特定の国や地域との間で物品貿易やサービス貿易全般の自由化を目的とする協定、そういった意味でFTAという語を用いてきた」と付け加えた。また内閣官房澁谷TPP等政府対策本部政策調整統括官は「ガット二十四条に整合的な協定でございますので、経済連携協定だと認識」と答弁したこれはそのあとの答弁にあるように「関税の関係法、国内法でございますけれども、関税暫定措置法の施行令[注釈 4] におきまして経済連携協定という言葉が載っておりまして、経済連携協定で合意された関税率の適用に当たっては、協定が直接適用される[注釈 5]、こういう規定でございます。私ども、TPP、日・EU・EPA、それから今回の日米貿易協定も含めて、この関税法に言うところの経済連携協定だという認識[17]」ということである。

更に日本の外務省は、公的報告書である外交青書において、2020年版[18]においては「経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)」と記述し、脚注で「EPA:Economic Partnership Agreement (貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素などを含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定): FTA:Free Trade Agreement(特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃することを目的とする協定)」としていたが、最新版である2021年版[19]においては、「経済連携協定(EPA/FTA)」と記載し、脚注においても「EPA:Economic Partnership Agreement  FTA:Free Trade Agreement」のみ記載しそれぞれの説明や訳語は記載していない。従って日本においてもFTAとEPAを区分けしないのが外務省の公的な見解となっている。

2020年1月時点で日本政府が外国又は特定地域と締結した協定(発効ずみのもの)は、2018年12月に発効した環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)及び2020年1月に発効した日米貿易協定を除き、すべてEPA(経済連携協定)となっている。CPTPPと2018年2月に署名した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は、いずれも内容的にはEPAであるが、協定名は「パートナーシップ協定」となっている。日本・ASEAN包括的経済連携協定は、名称はEPAであるが、サービス貿易及び投資について規定する日本・ASEAN包括的経済連携協定第一改正議定書が、2020年8月1日に発効するまでは、関税関係のみに留まっていた。日米貿易協定は、関税撤廃・削減だけ規定している。

EUによるFTAの分類編集

EUは、その公式HPに、新しい機会を提供するEUの自由貿易協定という記事を掲載しているが、このなかでEUが世界各国・地域で結んでいる自由貿易協定には、次の4種類があるとしている。

1. 第一世代協定(First generation agreements)

主に2006年以前に締結され、関税撤廃に焦点が置かれている。スイス、ノルウェー、地中海・中東諸国、メキシコ、チリとの協定やトルコとの関税同盟、また、西バルカン諸国との「安定化・連合協定(Stabilisation and Association agreements)」が含まれる。

2. 第二世代協定(Second generation agreements)

韓国、コロンビア、エクアドル、ペルーのほか中米などが対象。ここでは知的財産権やサービス、持続可能な開発への取り組みも含まれる。日・EU経済連携協定(EPA)は、名称は異なるがこの種類に該当する 。

3. 深化した包括的自由貿易地域(Deep and Comprehensive Free Trade Areas=DCFTA)

EUとジョージア、モルドバ、ウクライナといった近隣諸国の間で、より強い経済関係を創出する。

4. 経済連携協定(Economic Partnership Agreements=EPA)

アフリカ、カリブ諸国、太平洋地域の開発需要に焦点を当てたもの。日・EU間のEPAはこれに該当しない。

上記のように、EUは、一般的にはEPAは「開発需要に焦点を当てたもの」を意味し、日EUEPAは、関税に加えて知的財産権やサービス、持続可能な開発への取り組みも含まれる第二世代協定と理解している。

TAG編集

2018年9月26日の日米共同声明[20]において、日米両国は「日米物品貿易協定 (TAG)[21]について」交渉を開始すると発表した。これについて安倍総理は、記者会見において「今回の、日米の物品貿易に関するTAG交渉は、これまで日本が結んできた包括的なFTAとは、全く異なるもの」、「今回合意を致しましたTAG、これはFTAとは違いますが、しかし、正に物品貿易に関する交渉であります」と発言[22]しているが、TAGは、GATT第24条に定義する自由貿易協定そのものであり、サービス分野その他の分野を含まない物品貿易に限定した自由貿易協定ということになる。協定の性格は名称でなく、実質決まるものであり、「北米自由貿易協定」 (North American Free Trade Agreement, NAFTA) の再交渉の結果として合意された協定は、「米国・メキシコ・カナダ協定」 (United States-Mexico-Canada Agreement, USMCA) と「自由貿易」 (Free Trade) を含まない名称となったが、これにより自由貿易協定でなくなったわけではない。

また、物品貿易協定 (TAG) という用語は「日米共同声明に存在しない」との指摘がある[23]。共同声明は英語が正文[24]とされそこには "for a Japan-United States Trade Agreement on goods,as well as on other key areas including services, that can produce early achievements" とあり、日本の外務省の訳[20]は「日米物品貿易協定(TAG)について,また,他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについて」としている。しかし、在日米国大使館の訳文[25]では「早期に成果が生じる可能性のある物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定の交渉」とあり、物品とサービスを含むその他重要分野が並列で日米貿易協定を修飾している。少なくともTAGという略語がないことはあきらかである。これについて、玉木雄一郎・国民民主党代表は、「ちょっと言葉を強く言えば捏造だ。あえて正しく英文を訳さずにTAG(物品貿易協定)という略語を創設し、FTA(自由貿易協定)ではないという国内向けの説明をするために、意図的に誤訳をして作られた捏造文書だと言っても良い」とコメントした[26]

また、この協定の交渉開始について、トランプ大統領より米国議会へ通知[27]されているがこのなかで関税及び非関税障壁と明示している。

利点と欠点編集

自由貿易協定には、経済的利益のみならず、政治的利益が期待される。

経済的メリットとしては、自由貿易の促進拡大により、スケールメリットや、協定国間における投資拡大の効果も期待される[28]。また、地域間における競争促進によって、国内経済の活性化や、地域全体における効率的な産業の再配置が行われ、生産性向上のメリットも期待される。

政治的メリットとしては、協定国間の地域紛争や政治的軋轢の軽減や、地域間の信頼関係の熟成が期待され、また貿易上の問題点や労働力問題なども、各国が個々に対応するよりも協定地域間全体として対応をすることができる。

一方でデメリットも憂慮される。協定推進の立場の国や人々は、地域間における生産や開発の自由競争や合理化を前提にしていることが多く、自国に立地の優位性がない場合、相手国に産業や生産拠点が移転する可能性がある。このため、国内で競争力があまり強くない産業や生産品目が打撃を受けたり[29]、国内消費者が求める生産品の品質を満たせない製品が市場に氾濫するなど、生産者にとっても消費者にとってもデメリットが生じる可能性が存在する。国外から入ってきた製品が独特のニーズに応えられるかどうかは未知数であり、他の自由貿易協定 (FTA) 地域で起きたメリットと同じことが、また別の国家間で結ばれたFTAにおいても起こるとは限らず、むしろ国民が望まない方向へ経済的にも政治的にも進む可能性もある。

自由貿易地域の一覧編集

 
世界の経済統合の段階 (各国の色は、各国が参加する統合段階の最も高いものによる):

全ての関税同盟、貿易共同市場経済同盟関税通貨同盟及び経済通貨同盟もまた自由貿易地域を有するが、これらは各記事においてのみ記載される。

東・東南アジア地域におけるFTA締結の動き編集

東・東南アジア地域では授権条項に基づくバンコク協定などを除き、FTA締結の動きは遅れた。ASEAN諸国は、ASEAN自由貿易地域 (AFTA) を1992年に締結し、段階的な貿易自由化を行い始めた。ASEAN域内での関税非関税障壁 (NTB) の引き下げを行い、貿易の自由化、それに伴う経済の活性化、発展を目的とするものである。しかし、東アジア諸国がFTA締結に取組始めるのは、1990年代末以降である。また、中国や台湾はそれぞれ、2001年、2002年までWTOにも加盟しておらず、WTO加盟国とのFTA締結はできない状況にあった。

この地域において、FTAに最も積極的なのは、シンガポールである。AFTAにおいても、提唱国のタイと並ぶ推進者であった。AFTAだけではなく、域外国とのFTA締結にも熱心であり、2000年11月にニュージーランドとの間でニュージーランド・シンガポール経済連携緊密化協定 (ANZSCEP[30]) に調印した。その後、日本、EFTA(2002年)、オーストラリア、アメリカ(2003年)、ヨルダン(2004年)、インド、太平洋4カ国(チリ、ニュージーランド、ブルネイ)FTA、韓国、パナマ、カタール(2005年)などとの間で締結済みである。

今日の東アジア経済統合において、ASEANは事実上中核的な位置を占めている。中国や日本、のちに韓国はASEAN諸国全体とのFTA (ASEAN + 1FTA) をそれぞれ締結し、それをまとめたものをASEAN+3FTAとして事実上の東アジアFTAを構築するのが既定路線としていた。2002年に日本の小泉首相がASEAN+5構想を提唱し、オーストラリアやニュージーランドも含むべきだと主張したが、これもASEANを中心とする枠組み構築に沿ったものであった。オーストラリア、ニュージーランドはすでにANZCERTA[31]を締結し、このCER[32]とAFTAの間のFTA構想も交渉が行われた。

また、ASEANでは広域FTAの中核となるだけではなく、域内経済統合の深化を模索する動きもある。2003年に、第9回ASEAN首脳会議はASEAN経済共同体と他2分野における共同体の創設を目指す「第二ASEAN共和宣言(バリ・コンコード II)」を採択した[1]。ただし、このASEAN経済共同体はFTA+αとして議論されており、ヨーロッパにおける経済共同体 (EEC) やEC市場統合などと比較できるレベルのものではない。これらの地域でのFTA交渉は、2012年に地域的な包括的経済連携協定(RCEP)交渉として、ASEANとオーストラリア、中国、日本、ニュージーランド、インド、韓国の間で交渉が行われ、2020年11月にインドを除く15か国でRCEP協定に署名がされた。

日本のFTA戦略編集

日本は、1998年12月に、日韓自由貿易協定の効果等についてのシンクタンクによる韓国との共同研究を行い(2000年5月終了)、ついで日韓自由貿易協定ビジネス・フォーラム:2001年3月 - 2002年1月、日韓自由貿易協定共同研究会:2002年7月 - 2003年10月を経て2003年10月、日韓両国首脳は交渉開始に合意した。しかし、韓国とのFTA交渉は2004年11月の日韓自由貿易協定交渉第6回会合を最後に中断となった[33]その間に日本はシンガポールとの間で交渉を進め、2002年に日本初の経済連携協定日本・シンガポール新時代経済連携協定)が発効されるに至った。その後、ASEAN諸国それぞれとの二国間交渉に乗り出し、またメキシコとも経済連携協定を締結した。2007年4月に開始された日本・オーストラリア経済連携協定の交渉については、農業・酪農に関する関税が撤廃により日本産の農作物や乳製品が圧倒されると予想され、北海道などで反発が相次いでいたが、日本・オーストラリア経済連携協定は、2015年1月発効した。

発効済みの協定(EPAを含む)編集

日本が締結手続きを完了したが未発効の協定(EPAを含む)編集

交渉中のEPA/FTA編集

交渉延期中または中断中の協定(EPAを含む)編集

学者の見解編集

利益団体
自由貿易協定は、ある特定の利益団体が恩恵を受けるために発効されるものであり、特定の団体の利益になるように『管理』されているのが普通である。アメリカであればUSTR(アメリカ合衆国通商代表部)が、政治的に重要なグループの利益を代弁している。二国間の貿易協定が発展途上国に多大な犠牲を払わせている[53]
経済成長
貿易の自由化が経済成長をもたらす証拠はない。国際貿易協定が発展途上国を経済成長に導けなかった一因にバランスの欠如がある。先進国には裁量的な関税率が認められる一方で、途上国には平均して4倍の関税率を設けてきた。また、途上国が国内産業への補助金を撤廃させられた一方で、先進国は巨額の農業の補助金が認められてきた[54]
雇用
一般論として、輸出増で増えた分の雇用が輸入増での雇用減によって相殺されてしまうため、自由貿易は雇用創出をもたらさない[55]。貿易によって雇用が増えるか、或いは減るかといった問題の立て方そのものが誤解している。NAFTAが雇用にどのような影響を与えようと他の経済政策、特に金融政策によって必ず相殺できるという事実が見落とされている[56]
賃金
北米自由貿易協定 (NAFTA) とその後続協定は、アウトソーシングを容易にするものだったために、労働者の賃金を下げる。NAFTAによって米国の鉄鋼所職工や自動車製造労働者が、発展途上国の低賃金労働者との競争にさらされ、その結果米国の製造業労働者の賃金低下を招いた[57]
NAFTA成立から10年間で、アメリカ・メキシコ両国間の所得格差は10%以上広がり、メキシコ経済を急成長させるという結果ももたらさなかった。メキシコの10年間の経済成長率は、実質で一人当たりの国民所得で1.8%に過ぎなかった。また、NAFTAはメキシコの貧困を悪化させた一因となった。NAFTAは関税を撤廃させた一方で、非関税障壁が丸ごと存続された[58]。関税にとらわれ過ぎた結果、メキシコは競争力強化に必要な措置をおろそかにした[59]
規制
環境保護、安全、健康などについての基準は民主的に選ばれた政権によって規制がかけられる。大企業は、NAFTAその他の協定を利用して規制を妨害できる。米国では、とある特許政策のために、抑制されないほどの独占が数十年間も製薬会社に与えられていた。環太平洋戦略的経済連携協定でも同じことが起こる可能性がある[57]

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ 例えばオーストラリア政府のHP(Australia's free trade agreements (FTAs)
  2. ^ 自由貿易協定という名称でないものは、発効済みの米国・メキシコ・カナダ協定及び日米貿易協定並びに未発効で米国は署名のみの環太平洋パートナーシップ協定、である。
  3. ^ 日米貿易協定のみ関税撤廃・削減だけ規定している。
  4. ^ 関税暫定措置法施行令第10条の2に規定がある。なおこれは関税暫定措置法第7条の3、第7条の8に基づくもの
  5. ^ これは関税法第3条ただし書の規定で条約の直接適用のことであるが経済連携協定にのみの規定ではない。関税暫定措置法施行令にいう経済連携協定の規定は、協定に基づくセーフガードの実施のためのものである
  6. ^ 日・ASEAN包括的経済連携協定第一改正議定書第8条
  7. ^ CPTPP協定第3条第2項

出典編集

  1. ^ 経済連携協定の意義と課題-日本の通商政策は転換したか、「東アジア共同体」結成は間近か-RIETI 法律時報 2005年6月号
  2. ^ 第22回「自由貿易協定(FTA)の効果」RIETI 2014年4月15日
  3. ^ a b c テーマ別 FTA/EPA、WTO FTAの潮流と日本 - ジェトロ
  4. ^ JETRO オーストラリアのFTA政策と産業界への影響 2004年3月
  5. ^ 2006年のWTO決定(WTO文書WT/REG/16)に基づく。
  6. ^ a b List of all RTAs, including accessions to RTAs”. WTO (2021年6月14日). 2021年6月14日閲覧。
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  9. ^ WT/REG/W/151
  10. ^ LIST OF RTAS WHICH HAVE APPEARED IN FACTUAL PRESENTATIONS (ISSUED UP TO 14 SEPTEMBER 2020) AND HAVE NOT YET BEEN NOTIFIED TO THE WTO”. WTO (2020年9月26日). 2020年1月7日閲覧。
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  13. ^ 「EPA/FTAって何?」 外務省 FTA広報動画
  14. ^ 答弁書第八号 内閣参質一九七第八号 参議院議員山本太郎君提出日米通商交渉に関する質問に対する答弁書。”. 参議院 (2018年11月2日). 2018年11月16日閲覧。
  15. ^ a b 「EPA/FTAのメリットとは?」 外務省 FTA広報動画
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  31. ^ : Australia New Zealand closer economic relations trade agreement
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  33. ^ 日韓経済連携協定について(経緯と現状) 外務省HP
  34. ^ 経済産業省HP 日本とインドネシア間の「日・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定」運用開始に関するお知らせ
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  59. ^ ジョセフ・E・スティグリッツ 『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す』 徳間書店、2006年、118頁。

関連項目編集

外部リンク編集