集団自殺(しゅうだんじさつ)とは、複数の人間もしくは動物が1箇所もしくは数箇所で、連携をとって一つの共同意思において自殺もしくは、複数の同意殺人が行われることをいう。

集団自決とはニュアンスが異なる[1]が、過去の出来事・事件の中にも、「集団自殺」「集団自決」の両方の語彙が使われるものもある。

概要

編集

日本では「自殺系サイト」と呼ばれるウェブサイトを起点に、全国各地から集まった者が練炭により一酸化炭素ガス中毒で集団自殺を図る事例が2003年ごろから多発し社会問題となった。また太平洋戦争などにおいて、戦地から脱出できない一般市民や、戦闘能力を喪失した軍人や傷病兵らの集団での自殺を集団自決と呼ぶが、原因において議論がある。また、オーストラリアでは、日本人捕虜が射殺される目的で、収容所から集団で脱走をおこなった事件が自決目的といわれている。

家族や恋愛関係にある男女が同意の上で揃って自殺を図る場合は心中と言い、集団自殺とは分けられることが多い。一方、日本の場合は同意を得ないで他者を巻き込む「無理心中」も自殺の一種として扱う場合があるが、同意が無い場合は殺人となり、特に幼児や年少者など、死の意味の理解できない者については、同意を得ていたとしても、それは無効である。また、前述の日本で社会問題となった各種事件の一部には、家族関係・恋愛関係がないにもかかわらず心中に近い要因のものもあり、大規模な場合には、宗教的な思想や団体(カルト教団)が関与している場合もある。

日本アメリカドイツフランスイタリアロシア連邦などや、イスラム法系国家以外の多くの国で、集団自殺や心中を行った者は、その関与の度合いや役割により殺人罪自殺関与自殺幇助等により刑事罰の対象になる場合がある。

集団自殺・自決の例

編集

ネットの集団自殺の例

編集

集団自殺を扱った作品

編集

動物による集団自殺

編集
  • 人間以外では、レミングが集団で自ら水に飛び込み溺死する事象が有名で、動物の集団自殺の例とされることがあるが、これは誤りであり、人間以外の動物は自殺しないとされている。詳しくはレミングのページを参照。
  • 沿岸部でクジラの群れが砂浜に乗り上げ、集団で死ぬ原因については、これらの場合ほとんどが母子などの血縁関係にある集団のクジラでみられる傾向であり、一頭が湾岸部に迷いこみ進路を誤って乗り上げる(その原因は寄生虫磁気異常など諸説ある)とそれに随伴していたクジラがその場を去らないことから、次々に乗り上げるとされている。座礁鯨を参照。
  • クジラの集団座礁に類する例としては、バッファローの集団転落死が挙げられる。バッファローは前方の視界が悪い為、集団行動時に先頭の一頭が崖バタへ追い立てられたり誘導されたりすると、連動的に並走や追走をしてしまい、図らずもそのまま死線を踏み越え、結果として連鎖的な集団投身が起きてしまうというものである。カナダの先住民族はこの性質を利用して、効率的にバッファロー狩りを行なっていた。

脚注

編集
  1. ^ 辞書によっては自殺と自決で違う語義説明をしている。出典:大辞林『自殺』大辞林『自決』

関連項目

編集