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Intel 8742 のダイ。8ビットマイクロコントローラで、CPU、128バイトRAM、2048バイトEPROMI/Oが1つのチップに集積されている。
プリント基板を使った電子回路

電子回路(でんしかいろ、electronic circuit)とは、電気回路の一種で、エレクトロニクス(電子工学)的な性格が強い、たとえば、真空管ダイオードトランジスタ等の能動素子を構成要素に含むといったような、電気回路のことである。

目次

特徴編集

電子回路にはアナログ電子回路とデジタル電子回路がある[1](他にも、高周波回路と低周波回路、大電力回路と小電力回路などなど、いくらでも多数の分類がある)。信号を増幅したり、計算したり、データを転送したりといったことができる[2]。回路は個々の電子部品や半導体チップなどの基材に作り込まれた素子などの間を、電気伝導体のワイヤで相互接続したり、プリント基板などを利用したり、フォトリソグラフィなどを利用して配線パターンを作成したり、はんだ付けしたり、などといった方法で電気的に接続して作られる。

集積回路では、ケイ素などの半導体でできたチップ、あるいは、その他の基材の表面に半導体を加工したチップの上に素子と配線を形成する[3]。集積回路も電子回路の一種だが、この記事ではもっぱら集積回路は不可分な一個部品として扱う。集積回路の内部の電子回路については集積回路の記事を参照のこと。

プリント基板は試作には向いていないため、新規設計の評価にはブレッドボードユニバーサル基板などを一般に使用することもある。それらは開発途中で素早く回路に変更を加えることができる。

プリント基板が多用されるようになる以前は、ワイヤラッピング配線や、ラグ板などを利用した空中配線により、電子回路は作られていた。

種類編集

ここでは(単に便宜上)アナログ回路デジタル回路、アナログとデジタルの混合信号回路(アナログ-デジタル変換回路デジタル-アナログ変換回路など)に分けている。一般に電子回路について、そのように分けなければならない理由は特に無い。

アナログ回路編集

 
アナログ回路(増幅回路)の回路図

アナログ回路は、電流または電圧が時と共に連続的に変化する電子回路である。アナログ回路の基本構成として直列回路並列回路がある。直列回路では、同じ電流経路上に電子部品が並んでいる。例えば、クリスマスのイルミネーションで使用する電球が並んだ線がある。この場合、電球のどれか1つが切れると全部の電球が消える。並列回路では、それぞれの電子部品に同じ電圧がかかり、各部品の電気抵抗値に応じて電流が分配される。

 
配線、抵抗器、電源の概念図

アナログ回路の基本構成部品として、配線抵抗器コンデンサコイルダイオードトランジスタがある(最近では、メモリスタも基本素子の1つとして加わっている)。配線を直線で表し、各部品を記号で表した回路図で表現するのが一般的である。アナログ回路の解析にはキルヒホッフの法則を利用する。すなわち、ある節点(配線が交わる点)での全電流の総和は常に0であり、閉路を形成する配線上の電圧の総和は0になるというものである。配線は一般に電気抵抗がなく電圧がかからない理想的な電気伝導体とみなす。電気抵抗リアクタンスを付与するには、明示的に抵抗器コイルのような受動素子を追加する。トランジスタなどの能動素子は、制御された電流源または電圧源として扱われることが多い。例えば電界効果トランジスタはソース・ドレイン間の電流源としてモデル化でき、その電流はゲート・ソース間の電圧で制御される。

回路の大きさとその回路が扱う信号周波数の波長が近い場合、より洗練された手法を使用しなければならない。配線は伝送線路として扱われ、一定の特性インピーダンスを持つことが望ましい。始点と終点におけるインピーダンスから伝送される波と反射波が決定される。このような考慮は扱う周波数がGHz以上の場合に重要となる。集積回路は配線が短いため、10GHzぐらいまでは素子の集まりとして扱える。

代替となるモデルとして、基本電子ユニットとして独立電源と電磁誘導を採用することがある。この場合、二次電子部品として周波数に依存した負性抵抗ジャイレータ負性インピーダンス変換回路などを扱える。

デジタル回路編集

デジタル回路では電気信号が離散値をとるものとし、それらが真理値や数値を表す[4]。ほとんどの場合、情報を二値に符号化するのに合わせ、回路の電気的な状態を2状態に離散化する。その方法の一例としては、基準電位(グラウンド)に対して0Vと5Vといったように低い電圧と高い電圧を使うというもので、それぞれLowとHighなどという。LowとHighに、0と1とか偽と真などといった意味をどう割り当てるかは任意である(正論理と負論理)。電気的な状態としては交流信号の位相など、他にも色々な手法がある。

組合せ回路はブール論理の関数であるANDORNOTなどについて、ループが発生しないように構成され、出力は入力の変化の順序に依存しない。順序回路は「たすき掛け」と呼ばれるフィードバック接続により双安定であり、「直前の出力を保持する」という状態が可能である。

デジタル回路により「任意の計算機能を構成できる」ことを説明すること、すなわち、計算の理論において「計算可能関数」と呼ばれるものであればなんであれ計算できる、ということを説明するには紙幅が足りないが、コンピュータがデジタル回路の組合せでできていることから、実際的にはあきらかである。

フリップフロップを使ったメモリをSRAMと呼ぶ。よく使われているDRAMはコンデンサに電荷を蓄えるメモリである。

デジタル回路は個々の論理ゲートが信号を再生成しているため、減衰や利得やオフセット電圧などのアナログ設計で考慮すべきところを無視でき、同程度の複雑さ(部品数)ならアナログ回路よりも設計が容易である。結果として、単一のシリコンチップ上に多数の論理素子を集積した複雑なデジタル回路を低価格で大量生産できる。そのようなデジタル集積回路は、電卓、携帯電話、コンピュータなどの現代の電子機器で広く使われている。

デジタル回路はマイクロプロセッサなどの汎用計算チップやASICなどの特定用途向けの論理回路で使われている。工場出荷後に論理回路構成を変更できるFPGAなども広く使われている。

混合信号回路編集

混合信号回路またはハイブリッド回路は、アナログ回路の要素とデジタル回路の要素を同時に含んでいる。例えば、コンパレータマルチバイブレータ位相同期回路 (PLL)、ADC(アナログ-デジタル変換回路)、DAC(デジタル-アナログ変換回路)などがある。最近の無線回路や通信回路は混合信号回路を使っている。例えば受信機では、アナログ回路で信号の増幅と周波数変換を行い、それをデジタルに変換した後はデジタル回路で処理を進める。

構成要素編集

雑音編集

脚注・出典編集

  1. ^ 岩田聡『電子回路 新インターユニバーシティ』2008年、1頁
  2. ^ Charles Alexander and Matthew Sadiku (2004). Fundamentals of Electric Circuits. McGraw-Hill. 
  3. ^ Richard Jaeger (1997). Microelectronic Circuit Design. McGraw-Hill. 
  4. ^ John Hayes (1993). Introduction to Digital Logic Design. Addison Wesley. 

関連項目編集

外部リンク編集