静岡2女性殺害事件(しずおかにじょせいさつがいじけん)とは、2005年2010年に女性が殺害された事件である。

概要

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2005年10月頃、静岡県駿東郡清水町のリフォーム業の男Aは約990万円の債務返済を免れるため、当時、不倫関係にあった交際相手の女性Bを静岡県沼津市西椎路の自宅アパート室内で首を絞めて殺害。その後、女性Bの預金口座から数回にわたり現金計約2000万円を不正に引き出した。女性Bの遺体はしばらくは自宅に保管していたが、2006年1月頃に青いビニールシートでくるんでドラム缶に入れた後、静岡県沼津市東原の空き地に隠匿した[1]。 2005年の終わりごろから女性Bと家族が連絡が取れなくなり行方不明になった。家族は2006年に捜索願を静岡県警察本部御殿場警察署に提出。しかし、この当時は足取りが全く掴めなかった。

その後、男Aは妻と別れて女性Cと再婚。しかし、2010年2月23日に静岡県駿東郡清水町久米田の自宅で女性Cを殺害して遺体を御殿場市の空き家に捨てた[2]。女性Cの家族は静岡県警察本部大仁警察署に捜索届を提出。

2010年3月5日振り込め詐欺の手口で女性から100万円近くを騙し取ったとして詐欺容疑で男Aが逮捕された。その後、男は詐欺罪起訴された。男が起訴された後、静岡県御殿場市萩原にある物置小屋で青いビニールシートで包まれた女性Cの遺体が発見された。そして、2010年6月に男Aを女性Cの殺人死体遺棄罪で追起訴した。

2010年8月12日、男Aの「遺体をドラム缶に入れ、静岡県沼津市内に遺棄した」との供述に基づき捜索した所、沼津市東原の空き地にあったドラム缶から、青いビニールシートにくるまれ一部が白骨化していた女性Bの遺体が発見された[3]

このため、2010年8月13日、男Aを女性Bに対する殺人容疑で再逮捕した[4]

その後、静岡地検沼津支部は女性Bに対する強盗殺人罪で男Aを追起訴した。

裁判経過

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2011年6月13日静岡地裁沼津支部(片山隆夫裁判長)で裁判員裁判による初公判が開かれ、男Aは起訴内容を認めた。

2011年6月15日検察側は「犯行は強固な殺意に基づき、冷酷かつ残虐。遺族も極刑を望んでいる」と女性の遺族の処罰感情も踏まえた上で「生命をもって罪の償いをさせなければいけない」として裁判員裁判での全国9例目となる死刑求刑した[5]弁護側は起訴内容については大筋で認めて事実関係についての争いはなかったが、被告が犯行当時に前科がなかったことなどから無期懲役とするように求めた[5]

2011年6月21日、判決公判が開かれ、男Aに求刑通り死刑を言い渡した。裁判員裁判での死刑判決は全国で7例目で静岡地裁では初[6][7]。判決では一連の犯行について「殺害方法はいずれも残虐で、動機も身勝手極まりない」と指摘した[6]。また、弁護側が主張した情状酌量については「更生の可能性がないとまではいわないが、格別有利な情状とはいえず、採用できない」と退けた[7]。 その上で女性の遺体を遺棄、金品を奪うなどした行為は非人間的として「責任は重大で、極刑をもって臨むほかない」と結論づけた[6]。弁護側は判決を不服として即日控訴した[6]

2012年7月10日東京高裁山崎学裁判長)は「強固な殺意に基づく冷酷かつ残虐な犯行で、一審判決が重すぎて不当とは言えない」として被告側の控訴を棄却した[8]。 判決では「被告は好き勝手な女性関係を続け、都合が悪くなると邪魔者とみて殺害した。動機は身勝手で短絡的だ」と指摘した[8]。弁護側は最高裁上告した。

2014年12月2日最高裁第三小法廷大谷剛彦裁判長)は上告棄却の判決を言い渡した。この判決により男Aの死刑が確定した[9]。弁護側は「計画性はなかった」などと死刑回避を求めたが、第三小法廷は「殺害が計画的でないことや、反省を示している点などを考慮しても、刑事責任は重大で死刑を認めざるを得ない」と判断した[9]

2021年9月20日時点で[10]、男Aは東京拘置所収監されている[11]

脚注

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  1. ^ “男はなぜ、元交際相手の遺体入りドラム缶を放置したのか…犯行から浮かび上がる未熟な精神構造(1/5ページ)”. MSN産経ニュース. (2010年8月22日). https://web.archive.org/web/20110204165959/https://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110125/crm11012522140285-n1.htm 2011年2月4日閲覧。 
  2. ^ “男はなぜ、元交際相手の遺体入りドラム缶を放置したのか…犯行から浮かび上がる未熟な精神構造(2/5ページ)”. MSN産経ニュース. (2010年8月22日). https://web.archive.org/web/20110206163256/http://sankei.jp.msn.com//affairs/news/110125/crm11012522140285-n2.htm 2011年2月6日閲覧。 
  3. ^ “妻殺害の被告「別の女性遺棄」供述通り遺体発見”. 日本経済新聞. (2010年8月12日). https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1205J_S0A810C1000000/ 2024年10月16日閲覧。 
  4. ^ “妻殺害の被告を再逮捕 元交際相手も殺害の疑い”. 日本経済新聞. (2010年8月13日). https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG13026_T10C10A8CC0000/ 2024年10月16日閲覧。 
  5. ^ a b “静岡・女性2人殺害:被告に死刑求刑--裁判員裁判”. 毎日新聞. (2011年6月16日). https://web.archive.org/web/20110621000945/http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110616ddm041040187000c.html 2011年6月21日閲覧。 
  6. ^ a b c d “交際女性と妻殺害に死刑 裁判員裁判7例目”. 日本経済新聞. (2011年6月21日). オリジナルの2018年4月9日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180409105804/https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2103C_R20C11A6CC1000/ 
  7. ^ a b “死刑判決7例目 静岡の裁判員裁判、2女性殺害の被告に”. MSN産経ニュース. (2011年6月21日). https://web.archive.org/web/20110625000538/http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110621/trl11062117130003-n1.htm 2011年6月25日閲覧。 
  8. ^ a b “静岡の女性2人殺害、二審も死刑 東京高裁”. 日本経済新聞. (2012年7月10日). オリジナルの2015年4月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150402125544/https://www.nikkei.com/article/DGXNZO43621270R10C12A7CC1000/ 
  9. ^ a b “静岡の2女性殺害、死刑確定へ 最高裁が上告棄却”. 産経新聞. (2014年12月2日). https://web.archive.org/web/20180223051426/http://www.sankei.com/smp/affairs/news/141202/afr1412020019-s.html 2018年2月23日閲覧。 
  10. ^ 年報・死刑廃止 2021, p. 235.
  11. ^ 年報・死刑廃止 2021, p. 232.