2012年イギリスグランプリ

2012年イギリスグランプリは、2012年のF1世界選手権第9戦として、2012年7月8日シルバーストン・サーキットで開催された。正式名称は2012 FORMULA 1 SANTANDER BRITISH GRAND PRIX[1]

イギリスの旗 2012年イギリスグランプリ
レース詳細
日程 2012年シーズン第9戦
決勝開催日 7月8日
開催地 シルバーストン・サーキット
イギリス シルバーストン
コース長 5.901km
レース距離 52周(306.747km)
ポールポジション
ドライバー
タイム 1:51.746
ファステストラップ
ドライバー フィンランドの旗 キミ・ライコネン
タイム 1:34.661(Lap 50)
決勝順位
優勝
2位
3位

予選 編集

大雨による約1時間半の中断を挟んで行われたイギリスGP予選では、フェルナンド・アロンソが2010年シンガポールGP以来となるポールポジションを獲得した。

Q1セッション開始直前になって雨が降り出し、少しでも良い条件でタイムを出そうと全車インターミディエイトを履いてピットで列を作った。 Q2進出を賭けた最後のアタックに挑んでいたバトンは、グロックの最終シケインでのスピンによって出されていたイエローフラッグの影響でタイムを更新できず、母国グランプリでのQ1ノックアウトを喫した。

Q2開始頃になると更に雨脚は強まり、ほとんどのマシンがウェットタイヤを履いてピットに列をなした。 セッション開始後も雨は強まり続け、残り6分19秒という所で赤旗中断となった。 1時間半にも及ぶ中断の後セッションは再開され、コンディション回復によって各車中断前のタイムを更新した。 5番手のタイムを残していたグロージャンであったが、セッションの最後にコースオフしてグラベルにつかまり、Q3を走ることはできなかった。

雨は止んだが、コース上にはまだ水が残る状態で行われたQ3セッション。 最後のアタックでアロンソが好タイムをたたき出すと、レッドブルの2台が後ろからいいタイムで通過してくる。 しかし2台とも最終セクターのタイムが伸びず、そのままアロンソがポールポジションを獲得した。

結果 編集

順位 No. ドライバー チーム Q1 Q2 Q3 グリッド
1 5   フェルナンド・アロンソ フェラーリ 1:46.515 1:56.921 1:51.746 1
2 2   マーク・ウェバー レッドブル-ルノー 1:47.276 1:55.898 1:51.793 2
3 7   ミハエル・シューマッハ メルセデス 1:46.571 1:55.799 1:52.020 3
4 1   セバスチャン・ベッテル レッドブル-ルノー 1:46.279 1:56.931 1:52.199 4
5 6   フェリペ・マッサ フェラーリ 1:47.401 1:56.388 1:53.065 5
6 9   キミ・ライコネン ロータス-ルノー 1:47.309 1:56.469 1:53.290 6
7 18   パストール・マルドナド ウィリアムズルノー 1:46.449 1:56.802 1:53.539 7
8 4   ルイス・ハミルトン マクラーレンメルセデス 1:47.433 1:54.897 1:53.543 8
9 10   ロマン・グロージャン ロータス-ルノー 1:47.043 1:56.388 no time 9
10 11   ポール・ディ・レスタ フォースインディアメルセデス 1:47.582 1:57.009 10
11 8   ニコ・ロズベルグ メルセデス 1:47.724 1:57.108 11
12 16   ダニエル・リチャルド トロ・ロッソフェラーリ 1:47.266 1:57.132 12
13 19   ブルーノ・セナ ウィリアムズルノー 1:47.105 1:57.426 13
14 12   ニコ・ヒュルケンベルグ フォースインディアメルセデス 1:46.334 1:55.556 1:54.382 141
15 15   セルジオ・ペレス ザウバー-フェラーリ 1:46.494 1:57.895 15
16 3   ジェンソン・バトン マクラーレンメルセデス 1:48.044 16
17 14   小林可夢偉 ザウバー-フェラーリ 1:46.649 1:57.071 171
18 21   ヴィタリー・ペトロフ ケータハムルノー 1:49.027 18
19 20   ヘイキ・コバライネン ケータハムルノー 1:49.477 19
20 24   ティモ・グロック マルシャコスワース 1:51.618 20
21 22   ペドロ・デ・ラ・ロサ HRTコスワース 1:52.742 21
22 23   ナレイン・カーティケヤン HRTコスワース 1:53.040 22
23 17   ジャン=エリック・ベルニュ トロ・ロッソフェラーリ 1:47.705 1:57.719 231
予選通過タイム: 1:53.718 (107%ルール)
24 25   シャルル・ピック マルシャコスワース 1:54.143 241
追記
^1 - ヒュルケンベルグ、ピックはギアボックス交換により5グリッド降格。小林、ベルニュは前戦ヨーロッパGPで受けたペナルティによりそれぞれ5、10グリッド降格[2]

決勝 編集

展開 編集

前日までは大雨に悩まされたイギリスGPも、決勝日はドライコンディション。 ペトロフはマシントラブルによって出走することができず[3]、23台での決勝レーススタートを迎えた。

スタートではアロンソが大きく進路を変更してウェバーをブロック。トップを守って1コーナーに入った。 多くのドライバーがソフトタイヤを選択する中で、アロンソは上位陣でただ一人ハードタイヤを選択。 不利な条件でのスタートを成功させた。 マッサがベッテルをパスして4番手へ。ディ・レスタはパンクにより緊急ピットインを余儀なくされた。

15周目、アウトラップを走っていたマルドナドとペレスがターン6で接触。 マルドナドはこれにより罰金と叱責のペナルティを受けた[4]

38周目には小林がピットで止まりきれずにクルーと接触。 これによりクルー3人が足を負傷し、小林も罰金のペナルティを受けた[5]

レースは2回目のピットを終えた時点で、アロンソ、ウェバー、ベッテル、マッサ、ライコネン、グロージャン、ハミルトン、シューマッハのオーダー。 ここから最後のタイヤ交換を行いチェッカーを目指す。

一人だけハード-ハードとつないできたアロンソは最終スティントでソフトタイヤを装着。 当初は後続に5秒の差をつけていたが、ソフトタイヤがすぐに摩耗してしまいペースダウン。 残り5周というところでウェバーがあっさりとオーバーテイクを成功させた。 その後ベッテルもアロンソに迫るが、追いつくまでには至らず、ウェバー、アロンソ、ベッテルのポディウムとなった。

ウェバーが今季2勝目を挙げ、チェッカー後のチームとの無線では「モナコとイギリスで勝った」と喜びの声を上げた。 今季2勝目はアロンソに次いで2人目。ランキング2位を守った。 イギリス人トップは7位のハミルトン、チームメイトのバトンも10位と振るわない母国グランプリとなった。

なお、イギリスGPでは新しい試みとして、表彰台上でジャッキー・スチュワートによるインタビューが行われた。 この新しい試みは続くドイツGPでも実施され、今後も行うことが検討されている[6]

結果 編集

順位 No. ドライバー チーム 周回数 タイム / リタイア グリッド ポイント
1 2   マーク・ウェバー レッドブル-ルノー 52 1:25:11.288 2 25
2 5   フェルナンド・アロンソ フェラーリ 52 +3.060 1 18
3 1   セバスチャン・ベッテル レッドブル-ルノー 52 +4.836 4 15
4 6   フェリペ・マッサ フェラーリ 52 +9.519 5 12
5 9   キミ・ライコネン ロータス-ルノー 52 +10.314 6 10
6 10   ロマン・グロージャン ロータス-ルノー 52 +17.101 9 8
7 7   ミハエル・シューマッハ メルセデス 52 +29.153 3 6
8 4   ルイス・ハミルトン マクラーレンメルセデス 52 +36.463 8 4
9 19   ブルーノ・セナ ウィリアムズルノー 52 +43.347 13 2
10 3   ジェンソン・バトン マクラーレンメルセデス 52 +44.444 16 1
11 14   小林可夢偉 ザウバー-フェラーリ 52 +45.370 17
12 12   ニコ・ヒュルケンベルグ フォースインディアメルセデス 52 +47.856 14
13 16   ダニエル・リチャルド トロ・ロッソフェラーリ 52 +51.241 12
14 17   ジャン=エリック・ベルニュ トロ・ロッソフェラーリ 52 +53.313 23
15 8   ニコ・ロズベルグ メルセデス 52 +57.394 11
16 18   パストール・マルドナド ウィリアムズルノー 51 +1 Lap 7
17 20   ヘイキ・コバライネン ケータハムルノー 51 +1 Lap 19
18 24   ティモ・グロック マルシャコスワース 51 +1 Lap 20
19 25   シャルル・ピック マルシャコスワース 51 +1 Lap 24
20 22   ペドロ・デ・ラ・ロサ HRTコスワース 50 +2 Laps 21
21 23   ナレイン・カーティケヤン HRTコスワース 50 +2 Laps 22
Ret 15   セルジオ・ペレス ザウバー-フェラーリ 11 接触 17
Ret 11   ポール・ディ・レスタ フォースインディアメルセデス 2 接触 10
DNS 21   ヴィタリー・ペトロフ ケータハムルノー 0 エンジン 18
注釈:[7]

第9戦終了時点でのランキング 編集

  • :ドライバー、コンストラクター共にトップ5のみ表示。

脚注 編集

  1. ^ 2012 FORMULA 1 SANTANDER BRITISH GRAND PRIX(The Official F1 Website)
  2. ^ “可夢偉ら4人が降格。決勝スタートグリッド”. AUTO SPORT WEB. (2012年7月8日). https://www.as-web.jp/past/%e5%8f%af%e5%a4%a2%e5%81%89%e3%82%894%e4%ba%ba%e3%81%8c%e9%99%8d%e6%a0%bc%e3%80%82%e6%b1%ba%e5%8b%9d%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%88%e3%82%b0%e3%83%aa%e3%83%83%e3%83%89 2012年7月10日閲覧。 
  3. ^ “ペトロフ「グリッドにつく前にレースが終わった」:ケータハム日曜コメント”. AUTO SPORT WEB. (2012年7月9日). https://www.as-web.jp/past/%e3%83%9a%e3%83%88%e3%83%ad%e3%83%95%e3%80%8c%e3%82%b0%e3%83%aa%e3%83%83%e3%83%89%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%8f%e5%89%8d%e3%81%ab%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%81%8c%e7%b5%82%e3%82%8f%e3%81%a3%e3%81%9f 2012年7月24日閲覧。 
  4. ^ “マルドナドに罰金もFIAの見解はドライビングミス”. AUTO SPORT WEB. (2012年7月9日). https://www.as-web.jp/past/%e3%83%9e%e3%83%ab%e3%83%89%e3%83%8a%e3%83%89%e3%81%ab%e7%bd%b0%e9%87%91%e3%82%82fia%e3%81%ae%e8%a6%8b%e8%a7%a3%e3%81%af%e3%83%89%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%93%e3%83%b3%e3%82%b0%e3%83%9f%e3%82%b9 2012年7月24日閲覧。 
  5. ^ “可夢偉に罰金。“安全に欠けた動き”との判断”. AUTO SPORT WEB. (2012年7月9日). https://www.as-web.jp/past/%e5%8f%af%e5%a4%a2%e5%81%89%e3%81%ab%e7%bd%b0%e9%87%91%e3%80%82%e5%ae%89%e5%85%a8%e3%81%ab%e6%ac%a0%e3%81%91%e3%81%9f%e5%8b%95%e3%81%8d%e3%81%a8%e3%81%ae%e5%88%a4%e6%96%ad 2012年7月24日閲覧。 
  6. ^ “イギリス式表彰台インタビュー、今後も実施か”. AUTO SPORT WEB. (2012年7月12日). https://www.as-web.jp/past/%e3%82%a4%e3%82%ae%e3%83%aa%e3%82%b9%e5%bc%8f%e8%a1%a8%e5%bd%b0%e5%8f%b0%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%80%81%e4%bb%8a%e5%be%8c%e3%82%82%e5%ae%9f%e6%96%bd%e3%81%8b 2012年7月24日閲覧。 
  7. ^ http://www.formula1.com/results/season/2012/872/
前戦
2012年ヨーロッパグランプリ
FIA F1世界選手権
2012年シーズン
次戦
2012年ドイツグランプリ
前回開催
2011年イギリスグランプリ
  イギリスグランプリ 次回開催
2013年イギリスグランプリ