992型レーダー英語: Type 992 radar)は、イギリスマルコーニ(現在のBAEシステムズ)社が開発した2次元レーダー

992型レーダー
21型フリゲート、「F185 アヴェンジャー
マスト頂部に、992Q型が設置されている
種別 2次元レーダー
目的 目標捕捉 (低空警戒・対水上捜索)
開発・運用史
開発国 イギリスの旗 イギリス
就役年 1952年
送信機
形式 マグネトロン
周波数 Sバンド(3,000±50MHz
パルス 2.0マイクロ
パルス繰返数 992P:833pps
992Q:750pps
992R:750, 500, 250pps
送信尖頭電力 2.25MW
アンテナ
形式 992・992M型:パラボラアンテナ
992P型-:スロットアレイアンテナ
直径・寸法 幅6.4m
アンテナ利得 30dB
ビーム幅 幅1.4°×高さ32°
走査速度 15rpm
方位角 全周無制限
その他諸元
重量 640kg(アンテナ部)
電源 440V, 60Hz, 三相交流, 15.6kVA
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概要 編集

第二次世界大戦中、イギリス海軍では、目標捕捉装置(Target Indication Unit, TIU)と呼ばれる装置を導入していた。これは、通常の対空捜索レーダーよりも高精度で、追尾レーダーよりも捜索範囲が広い捕捉レーダーによってまず目標を捕捉し、追尾レーダーに移管することで、射撃指揮を効率化する試みであった。しかし、まだTIU 2が開発途上の1943年の段階で、既に同機で用いられていた293型レーダーの走査速度(アンテナ回転数)の遅さが問題として指摘されていた。このことから、1943年10月、より高速で走査できるレーダーの開発が発注された。これによって開発されたのが本機である[1]

開発は1948年より着手され、1952年に完了した。本機はTIU 3と連接されて、GDS 3(Gunnery direction system)を構成した[1]。最初期型は293Q型に似た「チーズ」型アンテナを採用しており、空中目標への探知距離は30 nmi (56 km)であった。その後、送信機を新型化して探知距離を30パーセント延伸した992M型、導波管スロット・アレイ・アンテナの採用で探知距離をさらに30%延伸した992P型、小改正型の992Q型、ソリッド・ステート化した992R型と発展した。また、シーウルフ個艦防空ミサイルと組み合わされる968型レーダーは、本機を元にした再構成版といえるものになっている[2][3]

992型は、イギリス海軍では996型によって更新され、退役している[2][3]

採用国と搭載艦 編集

  イギリス海軍

  アルゼンチン海軍

  チリ海軍

  パキスタン海軍

参考文献 編集

  1. ^ a b Norman Friedman (2012). British Destroyers & Frigates: The Second World War & After. Naval Institute Press. ISBN 978-1473812796 
  2. ^ a b Norman Friedman (1981). Naval Radar. Naval Institute Press. ISBN 9780870219672 
  3. ^ a b Norman Friedman (1997). The Naval Institute guide to world naval weapon systems 1997-1998. Naval Institute Press. ISBN 9781557502681. https://books.google.co.jp/books?id=l-DzknmTgDUC 

関連項目 編集