ユナイテッド・ステイツ・フットボール・リーグ(United States Football League、通称:USFL)はかつて存在し、2022年に復活したアメリカンフットボールのプロリーグである。

かつて1983年から1985年の3シーズンにわたって、春夏シーズン制で3年間興行された。NFLの競争相手であったが、4シーズン目の前に解散した。2022年春、多くのチーム名を引き継いで復活した。

2022年に復活したUSFL編集

USFL
競技アメリカンフットボール
創立2022
参加チーム8
  アメリカ合衆国
前回優勝バーミンガム・スタリオンズ

概要編集

2022年に、FOXテレビネットワークが主なスポンサーとなり、かつてのリーグ名を引き継いで復活した。NFLのオフシーズンである4月から7月にかけてシーズンが行われる。

2022年シーズンは1都市に8チームを集めてレギュラーシーズンが行われた。

2023年シーズンは、チーム数拡大はせず、2から4都市に8チームを集めて行われる予定である[1]。2022年11月にタンパベイ・バンディッツがタンパベイからメンフィスに移転しメンフィス・ショーボーツ(Memphis Showboats)に改名することが発表された[2]

放送編集

各選手のヘルメットにカメラが付けられ、フィールド上を飛ぶドローンが使用される。

ルールの違い編集

NFLと比べ以下のようなルールの違いがある[3]

クロック編集

  • プレイクロックは35秒である。
  • 第1クォーター、第3クォーターではパス不成功でもクロックが止まらない(2022シーズン途中より)[4]
  • 2ミニッツウォーニング内では、ファーストダウン更新の度に時計が止まる。
  • ハーフタイムは15分間。決勝では30分。

キックオフとパント編集

  • キックオフは自陣25ヤードから。キッキングチームはキック地点の線とその1ヤード後ろの線の間に並ぶ。レシービングチームは35ヤード線と45ヤード線の間に8人以上を位置させなくてはならない。
  • キックされたボールがどちらのチームにも接触されずに止まった場合は、レシービングチームのボールとなる。
  • キッキングチームは、キック地点から20ヤード以上進んだ地点ではボールに触れることができない。
  • 上記の標準的なキックオフのほか、オンサイドキックか、あるいは自陣の33ヤードラインから4thダウン12ヤードのスクリメージ・プレー1回を試みることができる。
  • パントでは、レシービングチームの選手は数字のラインの外側に並ぶことができず、ボールがキックされるまでダブルチームでブロックされてはならない。

パス編集

  • 1プレーでスクリメージラインより後からの2回のフォワードパスが許される。
  • パスがスクリメージラインを越さなくても攻撃側のラインメンはラインを超えて前に進むことができる。
  • キャッチ後に片足がフィールド内のグラウンドに触れただけでパス成功となる。

ペナルティーとリプレイ編集

  • 意図的なものを除き、防御側のパス・インターフェアランスのペナルティは最大で15ヤードとなる。
  • リプレイ・チャレンジは各チーム1試合1回まで。失敗すればタイムアウトを失う。成功すれば再びチャレンジできる。
  • サイドラインのチェーン・クルーは廃止され、ボール内のマイクロチップで位置を測定する[5]
  • ロサンゼルスにおかれるリプレイコマンド・センターは判定を覆すことができる

ポイント・アフター・タッチダウン編集

  • タッチダウンの後、チームは1ポイントのキック、3ヤードからの2ポイントコンバージョンに加えて、10ヤードからの3ポイントコンバージョンを選ぶことができる。
  • ファンブル、インターセプト、キック・ブロックで守備側がボールを得てタッチダウンをすると上の攻撃チームの選択によらず2点が与えられる。

オーバータイム編集

  • コイントスで勝ったチームが先に攻撃するか守備するかを選ぶ。両チームが同じゴールライン側を用いる。
  • 両チームが交互に合計3回の2ポイントコンバージョンを試み、成功回数の多いチームが勝利する。
  • 同点の場合は、いずれかのチームが成功するまでサドンデス方式で続く。サッカーのPK戦と異なり、先攻チームが成功した段階でゲームは終了する。
  • 一回の攻撃で一回ずつのタイムアウトを取ることができる。
  • 守備チームがボールを得るターンオーバーがあった場合、その時点でプレイは終了する。

2022年シーズン編集

概要編集

2022年シーズンは、8チームで10週間にプレーオフを加えて実施された。アラバマ州バーミンガムに集まって全レギュラーシーズンの試合を行う"バブル・シーズン"として行われた。2022年4月16日から開催され、地上波のFOXスポーツNBCスポーツがそれぞれ14試合と9試合を放送し、ケーブル局のFOXスポーツ1とUSAネットワークがそれぞれ8試合と9試合を中継し、Peacockが4試合を独占配信した[6][7][8]

8チームが2つのディビジョンに分かれる。レギュラーシーズンでは、各チームは同ディビジョンの3チームとは2試合ずつ、別ディビジョンの4チームとは1試合ずつの合計10試合を戦う。両ディビジョンの上位2チームがディビジョン優勝を決める準決勝を行ったのち、ディビジョン間で争われる決勝を経て優勝を決める[9]

主に土曜日と日曜日に試合が行われたが、一部の試合は金曜日および月曜日にも行われた[10]

バーミンガム・スタリオンズが初代のチャンピオンとなった。

ドラフト編集

初のドラフトは2022年2月22日および23日に行われた。初シーズンであるため、ドラフト順はくじであらかじめ決められ、偶数巡目では奇数巡目と逆順で行われた。1巡目はQB、2-4巡目はDEなどと巡目ごとにポジションを定めて行われ、合計で35巡の指名が行われた。

チーム編集

2022年は8チームが参加するが、COVID-19流行のため、本拠地を離れアラバマ州バーミングハムにある2つのスタジアム(Protective Stadium, Legion Field)でのみ試合を行う「バブル・シーズン」となる[11][12][13]。ただしプレーオフ3試合はオハイオ州カントンで行われた[14]

チーム[15] 本拠地(州/市) 競技地 スタジアム [16] 収容人数  ヘッドコーチ
South Division
バーミンガム・スタリオンズ アラバマ州バーミングハム アラバマ州バーミングハム Protective Stadium/
Legion Field
天然芝 47,100/
71,574
Skip Holtz
ヒューストン・ギャンブラーズ テキサス州ヒューストン Kevin Sumlin
ニューオーリンズ・ブレイカーズ ルイジアナ州ニューオーリンズ Larry Fedora
タンパベイ・バンディッツ フロリダ州タンパ Todd Haley
North Division
ミシガン・パンサーズ ミシガン州デトロイト アラバマ州バーミングハム Protective Stadium/
Legion Field
天然芝 47,100/
71,574
Jeff Fisher
ニュージャージー・ジェネラルズ ニュージャージー州イーストラザフォード Mike Riley
フィラデルフィア・スターズ ペンシルバニア州フィラデルフィア Bart Andrus
ピッツバーグ・モーラーズ ペンシルバニア州ピッツバーグ Kirby Wilson

レギュラーシーズン結果編集

サウス・ディビジョン
順位 チーム 勝数 負数 勝率 ゲーム差 勝数-負数 総得点 総失点
1 バーミンガム・スタリオンズ 9 1 .900 - 8 224 169
2 ニューオーリンズ・ブレイカーズ 6 4 .600 3 2 196 164
以上プレーオフ出場
3 タンパベイ・バンディッツ 4 6 .400 5 -2 162 195
4 ヒューストン・ギャンブラーズ 3 7 .300 6 -4 196 208
ノース・ディビジョン
順位 チーム 勝数 負数 勝率 ゲーム差 勝数-負数 総得点 総失点
1 ニュージャージー・ジェネラルズ 9 1 .900 - 8 232 182
2 フィラデルフィア・スターズ 6 4 .600 3 2 262 243
以上プレーオフ出場
3 ミシガン・パンサーズ 2 8 .200 7 -6 211 236
4 ピッツバーグ・モーラーズ 1 9 .100 8 -8 147 243

プレーオフ編集

準決勝
試合日 アウェイチーム スコア ホームチーム 放送局 参照
ネットワーク 視聴人数
(百万人)
視聴率
2022年6月25日 3:00 PM フィラデルフィア・スターズ 19–14 ニュージャージー・ジェネラルズ Fox 0.96 0.6 [17][18]
2022年6月25日 8:00 PM ニューオーリンズ・ブレイカーズ 17–31 バーミンガム・スタリオンズ NBC 1.00 0.7 [17][18]
決勝
試合日 アウェイチーム スコア ホームチーム 放送局 参照
ネットワーク 視聴人数
(百万人)
視聴率
2022年7月3日 7:30 PM フィラデルフィア・スターズ 30-33 バーミンガム・スタリオンズ Fox 1.52 0.9 [19][20]

1982年-1986年のUSFL編集

USFL
競技アメリカンフットボール
創立1982年
参加チーム18
  アメリカ合衆国
最終年1986年
最終優勝ボルチモア・スターズ

USFLは、NFLおよびカレッジフットボールがシーズンオフとなる夏にプロフットボールの市場があると見た、ニューオーリンズの実業家デヴィッド・ディクソンによって構想された。ディクソンは、かつてルイジアナ・スーパードームの建設とニューオーリンズ・セインツの創設にかかわる中心メンバーであった[21]

構想によれば、各チームはNFLチームと同じスタジアムを春夏期間のシーズンオフ中に使用し、様々なガイドラインに従うはずであった。だが現実には各チームは財政問題を抱え、かつNFLチームからの圧力でスタジアム確保もままならなかった。サラリーキャップの欠如により、運営コストがコントロール不可能になるほどの年俸を支払うチームも出現した。その結果、チームの移転、合併、売却が続出した。また、NFLおよび他のUSFLチームに対抗して好選手を確保するため、年俸条件のつり上げが起こってチームの財政を悪化させた。

USFLチームの運営幹部およびヘッドコーチはNFLでの経験があり、有望な選手やコーチはUSFLでキャリアをスタートさせ、その何人かは後にプロフットボール殿堂や大学フットボール殿堂に入ることになった。シーズン初年度の1983年にはミシガン・パンサーズが優勝し、1984年にはフィラデルフィア・スターズが優勝し、最終シーズンとなった1985年には、移転してボルチモア・スターズとなって連続優勝した。

1985年、USFLは翌年からシーズンをNFLと重なる秋冬制に変更しようとした。当時のニュージャージー・ジェネラルズのオーナーであったドナルド・トランプを含むオーナーたちは、この変更によりNFLとの合併をもくろんだ。その一環としてUSFLはNFLを反トラスト法違反で訴えたが、わずか3ドルの賠償金を得ただけにとどまり[22]、USFLは1億6千3百万ドルの負債を抱えて終了した。

USFLからNFLに移動した主な選手編集

チーム編集

太字は2022年シーズンで復活したチーム

  • アリゾナ・アウトローズ (1985; アリゾナ・ラングラーズとオクラホマの合併による)
  • アリゾナ・ラングラーズ (1983, 1984; アリゾナとシカゴは選手をトレード)
  • バーミンガム・スタリオンズ (1983–1985)
  • ボストン・ブレイカーズ (1983)
    • ニューオーリンズ・ブレイカーズ (1984; 移転)
      •  ポートランド・ブレイカーズ (1985; 移転)
  • シカゴ・ブリッツ (1983, 1984; アリゾナとシカゴは選手をトレード)
  • デンバー・ゴールド (1983–1985)
  • ヒューストン・ギャンブラーズ (1984–1985)
  • ジャクソンビル・ブルズ (1984–1985)
  • ロサンゼルス・エクスプレス (1983–1985)
  • メンフィス・ショーボーツ (1984–1985)
  • ミシガン・パンサーズ (1983–1984; 1985年にオークランドと合併)
  • ニュージャージー・ジェネラルズ (1983–1985)
  • オークランド・インベーダーズ (1983–1985; 1985年にミシガンと合併)
  • オクラホマ・アウトローズ (1984)
  • フィラデルフィア・スターズ (1983–1984)
    • ボルチモア・スターズ (1985; 移転)
  • ピッツバーグ・モーラーズ (1984)
  • サンアントニオ・ガンスリンガーズ (1984–1985)
  • タンパベイ・バンディッツ (1983–1985)
  • ワシントン・フェデラルズ (1983–1984)
    • オーランド・レネゲイズ (1985; 移転)

ディビジョン構想編集

NFLとの裁判の前、インディペンダンス・ディビジョンとリバティー・ディビジョンの二つに分ける構想があった。

参照編集

[脚注の使い方]
  1. ^ Ourand, John (2022年6月27日). “USFL back for second season, says Fox's Shanks” (英語). Sports Business Journal. 2022年6月27日閲覧。
  2. ^ 'WE’RE HOME': PRO FOOTBALL RETURNS TO MEMPHIS WITH ICONIC USFL SHOWBOATS”. USFL Official League Website. 2022年11月15日閲覧。
  3. ^ New USFL adds 3 point conversions and best of three rule twists” (英語). ESPN.com (2022年3月23日). 2022年3月23日閲覧。
  4. ^ USFL makes a rule change to keep games under 3 hours”. 2022年5月6日閲覧。
  5. ^ Smith, Michael David (2022年4月9日). “USFL to eliminate chains, measure first downs with chip in ball and yellow line on TV” (英語). ProFootballTalk. 2022年4月10日閲覧。
  6. ^ USFL proposes hosting relaunch season in Birmingham in Spring 2022” (英語). WVTM13 (2021年10月11日). 2021年10月11日閲覧。
  7. ^ USFL possibly returning to Birmingham” (英語). WBRC6 (2021年10月12日). 2021年10月12日閲覧。
  8. ^ “USFL Reaches Media Rights Agreement with NBC Sports” (プレスリリース), NBC Sports, (2021年12月15日), http://www.thefutoncritic.com/news/2021/12/15/usfl-reaches-media-rights-agreement-with-nbc-sports-930111/20211215nbc01/ 2021年12月15日閲覧。 
  9. ^ USFL announces division structure, playoff format for inaugural season”. FBSchedules (2021年11月17日). 2021年11月17日閲覧。
  10. ^ New USFL reveals team names, cities, logos for 2022 season”. FOX 13 Tampa Bay (2021年11月22日). 2021年11月22日閲覧。
  11. ^ BJCC officials in discussions to host all United States Football League games in Birmingham” (英語). CBS42 (2021年10月11日). 2021年10月12日閲覧。
  12. ^ WATCH: Gene Hallman talks possibility of USFL coming to Birmingham” (英語). CBS42 (2021年10月14日). 2021年10月14日閲覧。
  13. ^ Birmingham Parks and Rec Board votes to put Legion Field in play for the USFL”. CBS 42 (2021年10月21日). 2022年1月3日閲覧。
  14. ^ USFL announces inaugural playoffs, championship game in Canton, Ohio” (英語). FOX Sports. 2022年2月17日閲覧。
  15. ^ Pickman, Ben. “USFL Unveils Logos, Team Names Ahead of Return Season” (英語). Sports Illustrated. 2022年1月6日閲覧。
  16. ^ One step closer to United States Football League in The Magic City | Bham Now” (英語). bhamnow.com (2021年11月2日). 2022年1月6日閲覧。
  17. ^ a b SKEDBALL: Weekly Sports TV Ratings 6.20-6.26.2022 | Showbuzz Daily”. showbuzzdaily.com. 2022年6月28日閲覧。
  18. ^ a b Mitchell, Mike (2022年6月28日). “USFL 2022: Playoff TV Ratings On FOX/NBC” (英語). usflnewshub.com. 2022年6月28日閲覧。
  19. ^ SKEDBALL: Weekly Sports TV Ratings 6.27-7.3.2022 | Showbuzz Daily”. showbuzzdaily.com. 2022年7月6日閲覧。
  20. ^ Paulsen (2022年7月6日). “USFL title game is league's most-watched since opening weekend” (英語). Sports Media Watch. 2022年7月6日閲覧。
  21. ^ Dave Dixon, driving force behind Superdome, dies”. 2017年1月9日閲覧。
  22. ^ The USFL proved part of its case against the NFL only to see the jury sack the winners for a loss”. 2017年1月9日閲覧。

関連項目編集

外部リンク編集