かえる新聞とは、1997年1月から2005年12月にかけて運営されていた投稿型のインターネット上の新聞カエルをテーマとしていた。

概要 編集

すべての投稿が、かえる、蛙、カエルに関するネタだけでなりたっていた。蛙をデザインした造形物や、商品、公園の遊具など、カエル造形物全般や、生物としての蛙そのものの話題など、およそカエルをテーマにしている限り、すべての投稿を記事として紹介している。 SNSの登場以前は、ホームページを更新するために、一定の知識を必要としていた時期であり、投稿型のネット新聞が成り立っていた。近年は、カエル好きの人々が、自分自身で情報発信することが可能となり、投稿型の「かえる新聞」は、機能を終えたともいえる。創始者・主宰者はげこげこ大王7世。

全国的なカエル情報が集まっていたため、主宰者げこげこ大王七世は、カエルに関するコメンテーターとして、テレビや雑誌、情報誌、新聞、ラジオなどに出演した。

「かえる新聞」の創刊 編集

1997年1月、福岡県志免町に住む知人から、「近所の薬局店に置いてあるコルゲン・コーワのケロちゃん人形が、季節ごとに衣装が着せ替えられている」というメールが届いた。メールには、写真が添付してあり、そこには、「ミッキーマウスに変身したケロちゃん人形」が写っていた。

カエルを強引にミッキーマウスにしてしまった写真のあまりの強烈な印象と感動を、メールしてくれた本人に感謝を込めて伝えるために、ページを作り、「げこげこ大王7世」と自称して、新聞形式で報告したのが始まり。

当初は1回限りのつもりで、ネットで公開した。「ネット新聞」らしく、当時の「asahi.com」そっくりのサイトだった。 その後も、同一人物から「和服姿のケロちゃん姿もあった」などが相次ぎ投稿され、その都度掲載。しかし、あくまで知人と自分だけの個人的なページだった。

ところが、何回か「ケロちゃん報道」を繰り返すうちに、このページを偶然みていた第三者から、「大阪の地下鉄駅構内に かえ~るボックスがあった」という投稿を寄せてきたのです。ここから、新聞としての広がりが始まったとされる。

毎週金曜に更新 編集

その後、「かえるグッズ専門店を発見!」「かえる饅頭発見」「印南製カエル饅頭発見!」などのカエル情報が、次々に第三者から寄せられるようになり、ネタが尽きないので、毎週金曜日に新聞の形式で定期更新するようになる。

また、投稿の中には、全国各地にとんでもない規模の「カエル造形物」や「カエル施設」があることが分かってくる。とりわけ、ふるさと創生資金全額を使って、和歌山県印南町が建設した「カエル大橋」、北海道旭川市からはカエルグッズで埋め尽くされた驚愕喫茶「がま記念館[1]福岡県小郡市に所在するカエル造形物満載の「カエル寺・如意輪寺」など、日本三大カエル名所と認定したくなるような規模の、カエル物件情報が続々と寄せられ、一躍、カエルに関する珍妙ニュースは、このサイトから発信された。

1997年から翌年の1998年にかけては、日本のカエルに関する情報を収集するサイトとして、広く認知され、インターネットを紹介する雑誌や、媒体で繰り返し報道されたせいもあり、投稿する人々も続々と増えた。 また、「まぐまぐ」から、PCと携帯向けの「かえる@新聞」「携帯かえる@新聞」を定期配信するなど、カエル好きの人々にとっての情報発信と交流の場になっていた。

「福岡かえる展」 編集

また、「かえる新聞」から派生したイベントとして、1999年には、6月6日の「かえるの日」を祝福する、記念イベントを「福岡かえる展」があげられる。 このイベントは、「福岡かえる展」として、6月4日から10日まで開催され、その後10年間続いた。「かえる新聞」を母体として、始まったイベントとしては最大のものだった。いずれも、福岡市中央区大名の商店街の中心部にある「エンジョイスペース大名」を会場としていた。

第1回「福岡かえる展」には、「今度はカエル!」のスローガンとともに、カエルをあしらったプラカードを先頭に選挙運動を行い当選した、山崎広太郎市長も会場を訪れた。

「福岡かえる展」日程
  • 福岡かえる展 1999年6月1日~6日(日)
  • 福岡かえる展2 2000年6月6日~11日(日)「地球を守ってカエルと暮らそう!」
  • 福岡かえる展3 2001年6月5日~10日(日)「井の中の蛙 世界征服を望む」
  • 福岡かえる展4 2002年6月6日~9日(日)「ケロカップ2002」
  • 福岡かえる展5 2003年5月31日~6月8日(日)「子供にカエル!かえる縁日」
  • 福岡かえる展6 2004年6月1日(火)~6月6日(日)「ケロリンピック2004」
  • 福岡かえる展7 2005年6月6日(月, かえるの日!!)~6月12日(日)「蛙の休日」
  • 福岡かえる展8 2006年6月5日(日)~6月11日(日)「ケロアート2006」
  • 福岡かえる展9 2007年6月4日(月)~6月10日(日) 「ケロフェスタ2007」
  • 福岡かえる展10 2008年6月6日(金)~6月8日(日) 「またいつかかえるてん」
  • 福岡かえる展11 2018年6月8日(金)~10日(日)「帰ってきたカエラーたち」

かえる新聞縮刷版を出版 編集

2005年には、「かえる新聞」に収録した記事の中から、抜粋したものをまとめた本「かえる新聞縮刷版―平成9年(1997年)1月10日創刊号~金蛙2年(2004年)11月17日257号」が、書肆侃侃房より発刊された。

かえる新聞の休刊 編集

この間、かえる新聞は、2004年4月以降から、次第に更新間隔があくようになり、2005年12月20日を最後に停止した。「毎週金曜日」の定期的更新が停滞するようになったことで、投稿件数が漸減したことなどが理由としてあげられる。 しかし、最大の背景は、mixiブログサイトの出現によって、個人がインターネットで自己表現できる道具が広く普及したことで、投稿反映型だった「かえる新聞」ではなく、直接、自分自身で情報発信できるようになり、投稿に依存した形態だった「かえる新聞」は、その役割を終えたともいえる。

その後、10年連続で開催した「福岡かえる展」も、2008年の第10回を以って中断し、10年後の2018年に1度限りの復活開催し、「冬眠」に入った。

脚注 編集

  1. ^ 2006年に閉館。2008年に札幌市手稲区に移転。北海道放送より

外部リンク 編集