よど型巡視艇(よどがたじゅんしてい、英語: Yodo-class patrol craft)は海上保安庁巡視艇の船級。区分上はPC(Patrol Craft)型、公称船型は35メートル型。また消防巡視艇とも通称される[2]。建造費は1隻あたり17.5億円(平成23年度第3次補正予算)[1]

よど型巡視艇
Japan Coast Gurad Nunobiki.jpg
基本情報
艦種 35メートル型PC
命名基準 の名前
就役期間 2002年 - 現在
前級 はまぐも型
ぬのびき型 (消防艇)
要目
総トン数 125トン
全長 37.0m
最大幅 6.7m
深さ 3.4m
主機 ディーゼルエンジン×2基
推進器 ウォータージェット推進器×2基
出力 5,200馬力
速力 25ノット以上
レーダー 航海用×1基
光学機器 赤外線捜索監視装置[1]
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設計編集

本型は、先行するはまぐも型をもとに、消防能力を更に強化したものである。船型は角型を基本とし、また高さのある放水塔を備えるため、復原性能に配慮した船型としている。船体は高張力鋼を用いた軽構造、上部構造物はアルミニウム合金製である[3]

主機関としては高速ディーゼルエンジン2基を搭載している。放水時の操船・船位保持性能確保のため、推進器はウォータージェット推進器とされているほか、船首吃水線下にはバウジェットも装備されている。また主機関は、推進器を駆動するとともに、増速機を介して消防ポンプ(毎分11,300リットル)2基も駆動する。なお機関室の吸気は、消火活動時には防爆ラインより上方の船体上部構造物より取り入れる。排気は注水によって充分冷却したあとで行われる[3]

電源としてはディーゼル発電機2基を搭載し、航海時には1基、出入港および消火活動時には2基で運転する。また予備電源としてシール型蓄電池を搭載している[3]

火災状況監視および効率的な放水のため、赤外線捜索監視装置が搭載された[1]。なお操舵室の操船コンソールは操舵装置・主機操縦装置・機関状態表示装置・航海装置・通信装置を組み込んだものである[3]

装備編集

消防装置としては下記のような装備を有する[3]

  • 放水銃
    • 伸縮式放水塔(毎分4,400リットル; 泡消火液・水兼用)×2基
    • 操舵室上(毎分6,000リットル; 泡消火液・水兼用)×1基
    • 船首甲板上(毎分2,000リットル; 泡消火液・水兼用)×1基
  • 粉末放射銃(毎秒45キログラム)×1基
  • 自衛噴霧ノズル
    • 毎分200リットル×5本
    • 毎分150リットル×4本

このうち、伸縮式放水塔は、最大伸張時には海面上約17メートルに達する。また自衛噴霧ノズルは操舵室前面を重点として、甲板室周囲に配置されているが、消火活動時の視界確保のため、噴霧高さを高低2段に切り替え可能である。主機関の出力増強によって、放水量は毎分16,800リットルに達したが、これは消防艇として建造されたぬのびき型消防艇をも上回る能力である[2]。なお消火剤としては、泡原液を約13,400リットル、粉末消火剤を約2,000 kg搭載する[3]

操船コンソールの直後、操舵室のほぼ中央部に消防システムの集中監視盤が設置されており、放水銃の連動制御を行うとともに、監視カメラを通じて火災状況を監視できる。また可燃性ガスや有毒ガスを検出するためのガス検知装置を装備している[3]

同型艇編集

平成12年補正計画と平成13年度第2次補正計画で4隻が予算化された。その後、東日本大震災を受けて平成23年度第3次補正予算で10年ぶりに6隻が予算化された。これらは、老朽化が進んでいたひりゆう型消防船とぬのびき型消防艇を更新した。

※巡視艇の船名は、随時、改名されることがある。

計画年度 # 船名 竣工 所属
平成12年度
補正
PC-51 よど 2002年(平成14年)3月29日 鹿島(第三管区
平成13年度
第2次補正
PC-52 ことびき 2003年(平成15年)3月27日 岩国(第六管区
PC-53 なち
→ りゅうおう
2003年(平成15年)3月27日 徳山(第六管区)
→ 水島(第六管区)
PC-54 ぬのびき 2003年(平成15年)3月27日 姫路(第五管区
平成23年度
第3次補正
PC-55 ふどう 2013年(平成25年)1月28日 神戸(第五管区)
PC-56 りゅうせい 2013年(平成25年)2月14日 室蘭(第一管区

→ 苫小牧(第一管区)

PC-57 たかたき 2013年(平成25年)2月15日 千葉(第三管区
PC-58 あおたき 2013年(平成25年)3月21日 四日市(第四管区
PC-59 なち 2013年(平成25年)3月29日 徳山(第六管区)
PC-60 みのお 2013年(平成25年)3月29日 堺(第五管区)

参考文献編集

  1. ^ a b c 山﨑壽久 (2011年). “巡視船艇整備事業 評価書 - 消防型大型巡視艇(PC型)6隻建造”. 2015年11月22日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2015年11月21日閲覧。
  2. ^ a b 「警備救難業務用船 (海上保安庁船艇の全容)」『世界の艦船』第800号、海人社、2014年7月、 72-73頁、 NAID 40020105550
  3. ^ a b c d e f g 装備技術部水路部灯台部「海上保安庁の新型船艇と航空機 (特集・海上保安庁)」『世界の艦船』第595号、海人社、2002年5月、 150-155頁、 NAID 40002156317

関連項目編集