アイズナー賞
アイズナー賞(アイズナーしょう)、正式名称ウィル・アイズナー漫画業界賞(ウィル・アイズナーまんがぎょうかいしょう、The Will Eisner Comic Industry Award)は、アメリカで最も権威ある漫画賞の一つで、「漫画のアカデミー賞」と呼ばれる。識者と業界人によって受賞作が選ばれるのが特徴。
アイズナー賞 Will Eisner Comic Industry Awards | |
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The 2000 Will Eisner Comics Industry Award for Best Archival Collection for Peanuts: A Golden Celebration, on display at Snoopy's Gallery and Gift Shop in Santa Rosa, California. | |
受賞対象 | Creative achievement in American comic books |
会場 | サンディエゴ・コミコン |
国 | アメリカ合衆国 |
初回 | 1988年 |
公式サイト | www |
概要
編集アメリカの漫画のうち、創造的な作品に対して贈られる。1988年に、カービー賞の後継として創設された。名前は漫画家のウィル・アイズナーに因み、本人も2005年に死去するまで積極的に式典に参加していた。
「コミックの殿堂」も含めると、部門数は2007年開催時で39部門にも及ぶ。各部門は出版社および作家が選んだ作品の中から5名の委員のそれぞれによって作品がノミネートされ、最終的に業界人(出版社、作家、代理店、書店)による投票で決定される。受賞作は毎年、カリフォルニア州サン・ディエゴのコミコン・インターナショナルで発表される。
歴史
編集Fantagraphics Books社によって1984年に創設されたカービー賞が前身である。1987年に同社の社員で賞の代表を務めていたDave Olbrichと社の間に意見の対立が生じ1988年にFantagraphics Books社はハーベイ賞を、Olbrichはアイズナー賞を創設した。創設された当初は11部門で委員会は置かれず、完全に業界人による投票制だった。
Olbrichが多忙になったため、1990年からはJackie Estradaが代表に着任。1992年から漫画に関し優れた知識を持つ5名の委員が年度ごとに選ばれ、ノミネートに関して決定権を持つように定められた。
日本の作品・漫画家の受賞歴
編集2023年現在、日本人の受賞は下記の通り。なお、米国外の漫画に関してはあくまで「英訳されたアメリカでの出版物」に対して贈られる。
最優秀子供向け出版(9〜12歳)(Best Publication for Kids (ages 9-12))
編集- 2021 Superman Smashes the Klan(『スーパーマン・スマッシュ・ザ・クラン』グリヒル、原作:ジーン・ルエン・ヤン)[1][2]
最優秀ユーモア出版物(Best Humor Publication)
編集最優秀実話作品(Best Reality-Based Work)
編集最優秀コミカライズ作品賞(Best Adaptation from Another Medium)
編集- 2019 Frankenstein(『フランケンシュタイン』伊藤潤二、原作:メアリー・シェリー)[3]
- 2021 Superman Smashes the Klan(『スーパーマン・スマッシュ・ザ・クラン』グリヒル、原作:ジーン・ルエン・ヤン)[1][2]
最優秀国際作品(Best U.S. Edition of International Material)
編集- 1998 Gon Swimmin' , Paradox Press(『ゴン』田中政志)同賞第一回受賞作
- 1999 Star Wars: A New Hope--Manga, Dark Horse(『スター・ウォーズ 新たなる希望』田巻久雄)
- 2000 Blade of the Immortal, Dark Horse(『無限の住人』沙村広明)
- 2001 Lone Wolf and Cub, Dark Horse(『子連れ狼』小池一夫原作、小島剛夕作画)
- 2002 Akira(『AKIRA』大友克洋)
- 2004 Buddha, Vertical(『ブッダ』手塚治虫)1〜2巻
- 2005 Buddha, Vertical(『ブッダ』手塚治虫)3〜4巻
最優秀日本作品(Best U.S. Edition of International Material - Japan)
編集- 2007 Old Boy(『ルーズ戦記 オールドボーイ』土屋ガロン、嶺岸信明)同賞第1回受賞作
- 2008 Tekkonkinkreet: Black & White(『鉄コン筋クリート』松本大洋)
- 2009 Dororo(『どろろ』手塚治虫)
最優秀アジア作品(Best U.S. Edition of International Material - Asia)
編集- 2010 A Drifting Life(『劇画漂流』辰巳ヨシヒロ)
- 2011 20th Century Boys(『20世紀少年』浦沢直樹)
- 2012 Onward Towards Our Noble Deaths(『総員玉砕せよ!』水木しげる)
- 2013 20th Century Boys(『20世紀少年』浦沢直樹)再受賞
- 2014 The Mysterious Underground Men(『地底国の怪人』手塚治虫)
- 2015 Showa A History of Japan(『コミック昭和史』水木しげる)
- 2018 My Brother's Husband(『弟の夫』田亀源五郎)
- 2019 Tokyo Tarareba Girls(『東京タラレバ娘』東村アキコ)[3]
- 2020 Witch Hat Atelier(『とんがり帽子のアトリエ』白浜鴎)
- 2020 Cats of the Louvre(『ルーヴルの猫』松本大洋)
- 2021 Remina(『地獄星レミナ』伊藤潤二)
- 2022 Lovesickness(『死びとの恋わずらい』伊藤潤二)[4]
- 2023 Shuna's Journey(『シュナの旅』宮崎駿)
- 2024 My Picture Diary(『私の絵日記』藤原マキ)[5]
最優秀アーカイブプロジェクト(Best Archival Collection/Project)
編集- 2002 Akira, Dark Horse(『AKIRA』大友克洋)
最優秀ライター/アーティスト(Best Writer/Artist)
編集- 2021 Remina,Venus in the Blind Spot(『地獄星レミナ』、『伊藤潤二短編集 BEST OF BEST』伊藤潤二)
最優秀ペインター/マルチメディアアーティスト(本編作画) (Best Painter/Multimedia Artist (interior art) )
編集- 2018 Sana Takeda, Monstress, Image Comics(『モンストレス』タケダサナ)
- 2022 Sana Takeda, Monstress, Image Comics(『モンストレス』タケダサナ)[6]
最優秀カバーアーティスト(Best Cover Artist)
編集最優秀彩色(Best Colorist/Coloring)
編集- 1992 Akira,Marvel(『オールカラー国際版AKIRA』大友克洋、ただし彩色はアメリカのスタッフによるもの) 同賞第1回受賞作
最優秀漫画関連書籍(Best Comics-Related Book)
編集漫画家の殿堂(The Will Eisner Award Hall of Fame)
編集コミックの殿堂とも翻訳される。
脚注
編集- ^ a b c “アイズナー賞の最優秀カバーアーティストを桃桃子が受賞 ― グリヒルがアートを担当した『スーパーマン・スマッシュズ・ザ・クラン』も2部門受賞”. Amecomi Info. (2021年7月24日) 2021年7月26日閲覧。
- ^ a b c “2021 Eisner Award Winners”. Comic-Con. 2021年7月26日閲覧。
- ^ a b “Eisner Awards: The Complete Winners List”. ハリウッド・リポーター. (2019年7月20日) 2019年7月25日閲覧。
- ^ “伊藤潤二「死びとの恋わずらい」アイズナー賞を受賞、ソノラマプラスでは限定無料公開”. コミックナタリー. (2022年7月23日) 2022年7月24日閲覧。
- ^ 「藤原マキさん「私の絵日記」に米アイズナー賞…つげ義春さんの妻」『読売新聞オンライン』2024年7月30日。2024年8月1日閲覧。
- ^ “「モンストレス」のタケダサナがアイズナー賞で最優秀ペインター賞、2018年に続き獲得”. コミックナタリー. (2022年7月23日) 2022年7月24日閲覧。
- ^ “萩尾望都さん、米漫画賞受賞で殿堂入り「漫画という文化を世界の人々が愛して下さり感謝」”. 読売新聞オンライン (2022年7月23日). 2022年7月23日閲覧。
- ^ “「はだしのゲン」中沢啓治さん、米漫画賞で「コミックの殿堂」受賞…手塚治虫さんらに続き8人目”. 読売新聞オンライン (2024年8月21日). 2024年8月22日閲覧。
参考資料
編集外部リンク
編集- The Eisner Awards - 公式サイト