アルファロメオ・ジュリエッタ

ジュリエッタGiulietta)はイタリア自動車製造会社のアルファロメオ1954年から1965年まで、および1977年から1985年まで製造販売した小型乗用車。もしくは2010年より発売を開始した乗用車。車名こそ共通だが、いずれも技術的なつながりはない。

初代(750系・101系) 編集

アルファロメオ・ジュリエッタ
750系・101系
 
ジュリエッタ スプリント
 
ジュリエッタ スパイダー
 
ジュリエッタ ベルリーナ
概要
販売期間 1954年 - 1965年
ボディ
ボディタイプ 2ドアクーペ
2ドアオープン(スパイダー)
4ドアセダン
エンジン位置 フロント
駆動方式 後輪駆動
パワートレイン
エンジン 1,290cc 直列4気筒DOHC
変速機 4速MT、5速MT (SS,SZ)
車両寸法
ホイールベース スプリント:2,380mm
スパイダー:2,250mm
ベルリーナ:2,380mm
全長 スプリント:3,980mm
スパイダー:3,900mm
ベルリーナ:4,033mm
全幅 スプリント:1,535mm
スパイダー:1,580mm
ベルリーナ:1,550mm
全高 スプリント:1,320mm
スパイダー:1,335mm
ベルリーナ:1,405mm
車両重量 スプリント:880kg
スパイダー:860kg
ベルリーナ:915kg
系譜
後継 アルファロメオ・ジュリア
テンプレートを表示

第二次世界大戦後、1900によって量産車メーカーへと経営転換を図ったアルファロメオが、さらに生産規模を拡大すべく開発した、より小型のモデルである。

最初に登場したのは、ベルトーネの当時のチーフスタイリストフランコ・スカリオーネがデザインした2ドアクーペの「ジュリエッタ・スプリント」で、翌1955年にベルリーナ(4ドアセダン)と、ピニンファリーナがデザイン・車体製造を行ったスパイダーが追加された。水冷直列4気筒排気量1,290 ccのエンジンは、アルファロメオに相応しくアルミ合金製のDOHCで、初期モデルは54 PSに過ぎなかったが、1959年に大規模なマイナーチェンジが加えられ、101系に発展する際にクラックが入りやすかったシリンダーヘッドが強化されると更なるチューンアップが可能となり、1960年に追加された「SS」(Sprint Speciale) 「SZ」(Sprint Zagato) [1]などのスポーツモデルでは100 PSまでチューンされた。

ジュリエッタ系は一般市民(西ヨーロッパ)でも無理をすれば手が届くスポーティーカーとして大成功を収め、アルファロメオの経営基盤を確立した。

1963年にはジュリア(105系)に発展するが、スパイダーやスプリントはジュリアに改名され、その1,600 ccエンジンが与えられて、1965年まで継続生産された。

第二世代(116系) 編集

アルファロメオ・ジュリエッタ
116系
 
第二世代ジュリエッタ(初期型)
 
後期型
概要
販売期間 1977年 - 1985年
ボディ
ボディタイプ 4ドアセダン
エンジン位置 フロント
駆動方式 後輪駆動
パワートレイン
エンジン 1,357cc 直列4気筒DOHC
1,570cc 直列4気筒DOHC
1,779cc 直列4気筒DOHC
1,962cc 直列4気筒DOHC
1,962cc 直列4気筒DOHCターボ
1,995cc 直列4気筒DOHCディーゼルターボ
変速機 5速MT
車両寸法
ホイールベース 2,510mm
全長 4,210mm
全幅 1,650mm
全高 1,400mm
車両重量 1,100-1,140kg
系譜
先代 アルファロメオ・ジュリア
後継 アルファロメオ・75
テンプレートを表示

ジュリア系は初代ジュリエッタ以上に成功し、1970年代後半まで生産されたが、さすがに旧態化したため、GT系は1976年アルフェッタGT1.6にバトンタッチした(スパイダー系のみは1990年代まで生き残った)。翌1977年、ベルリーナ系が同じくアルフェッタベースの新型にモデルチェンジされた際に与えられた名称が14年ぶりの「ジュリエッタ」であった。

この第二世代はイタリア本国では「Alfa Romeo Giulietta Nuova」、あるいは116系として区別される。106系は機械的にはアルフェッタと共通ながら強めのウェッジシェイプとなり、ハイデッキで、さらに後端を跳ね上げたスポイラー形状となったトランクリッドを持ち、アルフェッタより軽快で新しいデザインとなっていた。

当初は1,357cc 95PS、1,600cc 109PSの二種類で、アルフェッタより一つ下の車格として明確に区別されていたが、実際には車重はアルフェッタより逆に重く、ボディに入念な防錆処理が施され、内外装の仕上げもより上質であった[2]。このため1979年に1,779cc122PS、1980年に1,962cc 130PSが登場、アルフェッタと同格でよりスポーティなモデルという位置づけとなり、一方のアルフェッタは、よりフォーマルな方向にマイナーチェンジされ、棲み分けが図られた。

1982年にはターボ付172PSの「ジュリエッタ・ターボデルタ」も登場したが、361台が作られたに過ぎない。同年にはVMモトーリ製1,995cc 82PSディーゼルエンジンも追加された。116系ジュリエッタは1985年アルファロメオ・75へと世代交代して消滅した。

第三世代(940系) 編集

アルファロメオ・ジュリエッタ
940系
 
第三世代
概要
販売期間 2011年 - 2020年
ボディ
ボディタイプ 5ドアハッチバック
エンジン位置 フロント
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
エンジン 1,368cc 直列4気筒DOHCターボ
1,368cc 直列4気筒DOHCマルチエアターボ
1,742cc 直列4気筒DOHCターボ
1,598cc 直列4気筒DOHCディーゼルターボ
1,956cc 直列4気筒DOHCディーゼルターボ
変速機 6速MT、6速DCT
車両寸法
ホイールベース 2,634mm
全長 4,351mm
全幅 1,798mm
全高 1,465mm
車両重量 1,355-1,395kg
系譜
先代 アルファロメオ・147
後継 アルファロメオ・トナーレ
テンプレートを表示

2009年12月2日、147の後継車両としてネーミングを復活させることを発表し、画像を公開。2010年のジュネーブショーでワールドプレミア後、5月よりイタリアで発売を開始した。 日本国内では2012年2月より発売開始。当初は50台限定の「アルフィスティ」を除き、全車右ハンドルのみの設定だったが、同年8月に左ハンドル車も設定された。

また、2010年のスーパーバイク世界選手権第5戦よりセーフティカーに使われていた。

2021年12月で販売を終了した。

デザイン・ボディサイズ
デザインは、かつてピニンファリーナに在籍していた現フィアットグループのデザインディレクター、ロレンツォ・ラマチョッティが統括するアルファスタイリングセンターの作品である。
ボディサイズに関しては、全長4,351×全幅1,798×全高1,465㎜(日本仕様は4,350×1,800×1,460㎜) 、ホイールベース2,634㎜(日本仕様は2,635㎜)、トレッド1,554/1,554mm(日本仕様は1,555/1,555㎜)となっている。
プラットフォーム
“コンパクト”と名づけられたジュリエッタのプラットフォームはまったく新たに開発されたもので、優れたロードホールディングと俊敏性に加えて快適さを実現し、さらに高度な安全性をも備えている。高剛性シャシ、フロントの進化型マクファーソンストラット、リアのマルチリンクの各部にアルミを多用したサスペンション、デュアルピニオン式ギアボックスに電動パワーアシストを採用したステアリングなどによって実現されている。今後、フィアット、クライスラーグループのCDセグメントの車種に幅広く採用される予定となっており、2012年1月の北米国際オートショー(NAIAS)ではクライスラー側の1番手としてダッジ・ダート(ホイールベース2,703mm)が、同4月の北京モーターショーでは中国で生産される[3]フィアット・ビアッジオ(ホイールベース2,708mm)が発表されている。また、2013年に発表されたジープ・チェロキー(KL型)や2014年登場のクライスラー・200のベースとしても使用される。
駆動方式
駆動方式は横置きFF
エンジン
エンジンはすべて直列4気筒で、イタリアではガソリンエンジンは3種類、ディーゼルエンジンが3種類用意されている。ガソリンエンジンはすべてが16バルブターボチャージャー版で、1.4TB 120PS仕様(マルチエアなし)、1.4TBマルチエア170PS、1750TBは直噴ガソリンターボエンジンで235PS。ディーゼルエンジンは全て16バルブ+コモンレール+ターボで、1.6L(1.6JTDM 105PS)と2.0L(2.0JTDM 140PS、2.0JTDM 170PS)の3種類が用意されている。ちなみにガソリンエンジンの中で1750TBは直噴ガソリンターボエンジンは、ホットモデルのクワドリフォリオ ヴェルデ(四つ葉のクローバー英国ではクローバーリーフという名称)にのみ搭載されている。
トランスミッション
トランスミッションは当初6速MTのみであったが、2011年6月にミトに続きアルファロメオ初の6速乾式デュアルクラッチオートマチック(アルファTCT)が設定された。ただし、搭載されるエンジンは、当初ガソリンの1.4マルチエアTB 170PSとディーゼルエンジンの2.0L(2.0JTDM 170PS)に限られていたが、2015年モデルよりクワドリフォリオ ヴェルデにも搭載され、最終型に至るまでTCT一択となった。

各国のグレード 編集

イタリアで設定されているグレード(トリムレベル)は、次のとおり。

ベーシックグレード
  • ジュリエッタ
エンジン:1.4TB 120PSと1.6JTDM-2 105PS
トランスミッション:6速MTのみ。
中間グレード
  • プログレシップ
  • ディスティンクティブ
エンジン:1.4TB 120PS、1.4TBマルチエア 170PS、1.6JTDM-2 105PS、2.0JTDM-2 140PS、2.0JTDM-2 170PS
トランスミッション:6速MT、TCT(ただし1.4TBマルチエアと2.0JTDM-2の170PS仕様のみ)
上級グレード
  • エクスクルーシブ
エンジン:1.4TBマルチエア 170PS、1.6JTDM-2 105PS、2.0JTDM-2 140PS、2.0JTDM-2 170PS
トランスミッション:6速MT、TCT(ただし1.4TBマルチエアと2.0JTDM-2の170PS仕様のみ)
スポーツモデル
  • クワドリフォリオヴェルデ
エンジン:1750TBは直噴ガソリンターボエンジン
トランスミッション:6速MTのみ 2015年より TCTのみ

日本でのグレード 編集

2013年モデル 編集

ベーシックグレード
  • スプリント
エンジン:1.4マルチエア
トランスミッション:アルファTCT(6速デュアルクラッチトランスミッション)のみ
全グレード共通装備に加え、16inアルミニウムホイールとタイヤ、ハロゲンヘッドランプ、ファブリックシート、6スピーカーオーディオなどを装備
右ハンドルのみ
中間グレード
  • クラシカ
エンジン:1.4マルチエア
トランスミッション:アルファTCTのみ
スプリントに17inアルミニウムホイールとタイヤ、バイキセノンヘッドランプ、本皮革シート、パワーシート、パドルスイッチ(パドルシフト)などを装備
右ハンドルのみ
  • コンペティツィオーネ
エンジン:1.4マルチエア
トランスミッション:アルファTCTのみ
スプリントに本皮革/ファブリックコンビシート、ブレンボ製キャリパー、ダーク色ハウジング・バイキセノンヘッドランプ、プライバシーガラス、アルマイト仕上げドアミラーハウジング、17inアルミニウムホイールとタイヤ、サイドスカート、スポーツサスペンションなどを装備
右ハンドルのみ
  • スポルティーバ
エンジン:1.4マルチエア
トランスミッション:アルファTCTのみ
コンペティツィオーネに18inアルミニウムホイールとタイヤ、専用エンブレム、クアドリフォリオ キッキングプレート、本皮革シートなどを装備
右ハンドルのみ
上級グレード
  • クアドリフォリオ ヴェルデ
エンジン:1.8リットルガソリンターボ
トランスミッション:6MTのみ
スポルティーバに1.8リットルターボエンジン、18inアルミニウムホイールとタイヤ、ボーズ製オーディオシステム、ツインエキゾーストパイプなどを装備する反面、1.4リットル全車に標準装備のスタート&ストップシステムが省かれる
左・右ハンドルの設定あり

2014年モデル 編集

ベーシックグレード
  • スプリント
エンジン:1.4マルチエア
トランスミッション:アルファTCTのみ
2013モデルのスプリントに17inアルミニウムホイールとタイヤ、バイキセノンヘッドランプ、パドルスイッチ(パドルシフト)などを装備しながら、価格を引き下げた。
右ハンドルのみ
上級グレード
  • スポルティーバ
エンジン:1.4マルチエア
トランスミッション:アルファTCTのみ
2013モデルのスポルティーバにアルカンターラシートを装備し、レザーシートをオプション設定しながら、価格を引き下げた。
右ハンドルのみ

参考文献 編集

脚注 編集

  1. ^ ザガートが車体設計と組立を担当。
  2. ^ 粗悪なソ連製の材を加工前にざらしにしたあげく、防錆処理も十分に行なわれなかったアルファスッドの悪評を払拭するため。これにかぎらず、ノルド系(ミラノ産)はスッド系に対し、採算度外視とも思える設計や仕上げが多く見られる。
  3. ^ 生産は、広州汽車との合弁による、湖南省長沙市en:GAC Fiat

外部リンク 編集