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アルペンスキー

Airforce skiing at keystone colorado.jpg

アルペンスキー (英語: Alpine Skiing) は、ヨーロッパアルプス地方で20世紀になって発展したスキー技術である。アルペン(Alpen)とは、ドイツ語で「アルプスの」という意である。スキーの原型であるノルディックスキーから分化し、ビンディングの踵を固定することにより滑降に特化して発達したスタイルである。雪の斜面をターンを繰り返し、ときには直滑降をおり混ぜつつ滑る。斜面は斜度0度から40度以上までのさまざまな斜度で構成されるが、大半の愛好者は斜度10度ぐらいから20度ぐらいまでを好む。滑走速度はレジャー目的では40km/hから60km/h程度までだが、高速系競技では100km/hを越える。大半の愛好者はスキー場で滑走するが、自然の、整備されない山を登って滑り降りる山岳スキーの愛好者も多い。

目次

用具編集

アルペンスキーでは以下のような用具を用いて滑走する。

スキー板編集

アルペンスキーのスキー板は、2本の細長い板からなる。

構造編集

スキー板は、芯材、ソール(滑走面)、エッジ、トップシート、サイドウォールなどから構成される。

芯材はスキー板のもつべき剛性や弾性を実現する中心的な素材である。伝統的には木材が用いられてきたが、近年は発泡樹脂も用いられており、また、ケブラーガラス繊維炭素繊維ボロン繊維ポリエチレン繊維などの化学繊維チタン合金やマグネシウム合金のような金属により強化することで天然素材そのままでは実現できない力学的特性を実現している。

ソールは、スキー板が雪面と接する部分である。現在のスキー板では高密度ポリエチレンが用いられている。特に、上級モデルや競技モデルのスキー板のソールは焼結ポリエチレンを用いることで、滑走時に塗布するワックスがよりよく吸収されるようになっており、雪面に対する摩擦系数の低下による滑走性の向上を図っている。また、競技モデルを中心として、グラファイト粉末を混入して静電気の発生の低減を図ったものも用いられている。

エッジは、アルペンスキーにおけるターンの実現に欠かせない部品である。硬い金属、一般にはを素材とする細長い形状のもので、ソールに沿ってスキー板の左右に、板の先端(トップ)から後端(テール)まで配置される。現在はトップからテールまで、ひと続きとなったエッジがほとんどだが、板の柔軟性を優先するために、数cmごとに切れ目の入ったクラックドエッジも一部で用いられている。エッジは90度、ないしそれよりやや鋭角に研がれているのが一般的であり、ターン時に雪面、ときにはアイスバーンを削ってターン中の足場を確保する。

トップシートとサイドウォールは、スキー板の上面や側面を保護するための部材である。近年は、その形状や材質を工夫することで、スキー板の性能向上につなげている場合が多い。また、スキー板の構造は、もともとはソール、芯材、トップシートを重ねて貼りあわせて側面にサイドウォールを接着したサンドイッチ構造のものが多かったが、トップシートとサイドウォールを一体化したボックス構造、あるいはキャップ構造を採用する板も近年は多い。そのほか、トップシートの上に振動吸収を目的とした小さな部材を取り付けた板も存在する。

形状編集

アルペンスキーのスキー板は、ターン技術を用いた滑走に適した形状をしている。スキー板の先端と後端が太く、ビンディングを介してブーツと繋がる中央部分が細くくびれた形状となっている。滑走時に、スキーヤーがスキー板を傾けて板の上から圧をかけることで、スキー板はたわみ、エッジが雪面に食い込んで足場をつくることで、スキー板全体は雪面に対して弧を描いて接することとなり、その結果、スキーヤーはターンすることができる。

また、スキー板は単体でソールを下にして水平面に置くと、先端近くと後端近くで水平面に接し、中央部分が浮いた弓なり状となっている。これは、人がスキー板を履いて平らな雪面に立つことでソール全体が雪面に接するようになっていて、安定した直滑降を可能にしている。なお、スキー板の先端部分は上に持ち上がっていて、滑走時に雪面に刺さりにくい形状になっている。後端部分はほとんど平らとなっている板が多いが、フリーライド用途のものではツインチップと呼んで後端も先端と同様に持ち上がった形状とすることで逆方向への滑走にも対応したものがある。

アルペンスキーのスキー板の長さは、1980年代までは2m前後のものが一般的であった。レジャー目的の場合、その長さはスキーブーツではなく一般的ななどの履き物を履き、または素足で直立し、腕を真上に上げ、手首を「へ」の字に曲げ、スキーの先端が曲げた手首の下に納まるのが一般的とされ、素足の場合は靴底の厚さに相当するものを加えた長さと考えて良く、長さの許容差は1-1.5cm以内程度が身長に合った適切なものとされた。1990年代カービングスキーの登場とその一般化という技術革新のもと、扱いやすい 150cm から 180cm 程度が一般的となり、2mを越える長さの板は高速系競技と一部のファットスキーでのみ見掛けるという状況になった。また、100cm から 130cm 程度のショートスキーや、70cm 程度のファンスキーまたはスキーボードと呼ばれるものもあり、これらは滑走特性の違いから独自のジャンルとして位置付けられている。

ビンディング編集

ブーツをスキー板に固定させるための器具。爪先を固定するトーピースと、かかとを固定するヒールピースからなる。

ビンディングとスキー板は、直接あるいはプレートを介してトーピースとヒールピースがそれぞれ別に固定されるものが多いが、トーピースとヒールピースが別の部品を介して一体のものとなっていて、その部品がスキー板と固定される場合もある。これはスキー板に直接取り付けた場合にトーピースとヒールピースの間にあるスキー板部分のたわみが阻害されるため、取り付け位置をそれぞれ独立させてスキーのたわみ性能を十分に引き出すためにあり、後述するプレートにも同様の役割を持つ物がある。

1970年代以降のアルペンスキーでは、滑走中の転倒などによるけがを防ぐためブーツから一定以上の力が加わるとブーツを外すリリース機構がついているセイフティビンディングが一般に用いられるようになった。ただし、おおむね1m未満のショートスキー板の場合、板の重量が軽いことや転倒時の脚への負荷の違いを考慮して、セイフティビンディングでない、簡易なものが用いられている。また、山岳スキーでは登行時にかかとが上がることが求められるため、リリース機構がついていない、あるいはトーピースのみにリリース機構がついたものが長年用いられてきたが、2000年ごろから、ゲレンデスキーにおけるカービングスキーの流行やそれに伴う滑走速度の高速化を山岳スキーにおいても実現したい人々の要望に応じるよう、トーピースとヒールピースの両方にリリース機構を有する、ゲレンデスキー用のセイフティビンディングと安全性において匹敵するような山岳スキー用ビンディングも普及するようになった。セイフティビンディングでは、解放時にスキー板が流れるのを防止するためのスキーブレーキがヒールピースに備えられているが、ショートスキー用の簡易ビンディングでは存在せず、また山岳スキー用の場合はまちまちである。スキーブレーキを備えていない場合、スキーヤーは流れ止めと呼ばれる長いひもで身体とビンディングを結びつけて、スキー板が流れ続けることがないようにする必要がある。

セイフティビンディングは、現在の主流はステップイン式とターンテーブル式に二分される。

どちらもトーピースは同様の機構となっていて、ブーツの爪先のコバを前上左右から固定する。固定部材は上下軸によって左右に動くのだが、左右の力に対してはばねの弾性で一定の力までは耐えるが、それを越えると解放する。上方向や斜め方向の力については、とくに考慮していないものと、解放するものとがある。

ヒールピースは、ブーツのかかとのコバを上から抑えつけて固定する。ステップイン式は、ブーツを固定している部材が左右軸によって前方向に倒れることでブーツのかかとのコバを上から固定し、またヒールピースの位置によって後方からも固定する。固定された部材はばねの力で引っ張られており、指定された強度を越える力がかかることで解放する。ターンテーブル式は、ヒールピース全体が上下軸で動くターンテーブルの上に乗っていて、左右に少し動くことが特徴となっている。ブーツを固定する部材は左右軸によって動くが、ステップイン式とは異なり、部材を持ち上げた状態で上後方から圧縮されたばねの伸長力で固定する。

両方式について、ターンテーブル式のほうが正確に解放するとも言われるが、ステップイン式のほうが扱いやすさに優るため、市場のシェアはステップイン式のほうが大きいが、上級者を中心としてターンテーブル式にも根強い支持があり、両方式とも用いられている(現在ターンテーブル式は準競技用モデルが残るのみ)

なお、セイフティビンディングについては安全性やブーツとの互換性のため、ブーツのコバ高や、個々のビンディングで設定する解放強度に対応する解放力や解放モーメント、スキーヤーにとって適切な解放強度の算出方法などが規格化されており、先行して規格化を行ったDINになぞらえてDIN規格と呼ぶことが多いが、現在はISOで規格化されているものを各メーカーとも用いている。
詳細はS-B-Bシステムを参照。

プレート編集

スキー板とビンディングの間に取り付けられる板。材質はステンレスアルミニウム合金などの金属、プラスチック、あるいは木材であり、長さはビンディングの固定場所より前後に少し長い程度のものが多く、幅はスキー板と揃うものが一般的である。厚さは、目的によりさまざまである。

スキーにおけるプレートの利用は比較的新しく、1990年代からである。高速系競技での振動吸収を目的とした金属製プレートが最初となる。このプレートはスキー板とは前後の2ヵ所で固定され、その上にビンディングが取り付けられた。主な目的は、振動吸収にあった。高速系競技では雪面の細かい凸凹とスキー板がぶつかったときの細かい振動がスキーヤーに返ってくることがあり、それはスキーヤーの操作ミスを引き起こして事故や速度低下の要因となる。そのような滑走に有害な振動を低減させる工夫のひとつとしてプレートが考案され、利用された。この時点でのプレートはもっぱら本格的な競技スキーヤーのみのためのものであった。

しかし、ほどなくして、プレートの高さがカービングターン(後述)にとって有効であることが見出された。その有効性のひとつは雪面とスキーブーツの接触抑止である。カービングターンでは脚をターンの内側に大きく傾けることになるが、このときプレートをつけていないスキー板を利用していると、ブーツの側面が雪面とぶつかることになる。これはスキーヤーにとって減速要素となるとともに、スキー操作を誤らせる要因ともなるが、プレートを利用するとスキーブーツが雪面から遠くなるために、雪面との接触を防ぐことができ、より大きく脚をターン内側に傾けることができるようになる。もうひとつの有効性は、てこの原理により雪面に板を食い込ませやすくなることである。硬いアイスバーンを含む雪面にスキー板を食い込ませようとした場合、力点となるスキーヤーの足裏がエッジから遠くなるほど、大きい力をかけることができるようになる。こうした知見とカービングスキーの一般化に伴って、プレートの利用も一般スキーヤーにまで広がることになった。一方、プレートを高くし過ぎることは、転倒や操作ミスの際に本来とは異なる場所を支点としたてこでの応力がスキーヤーの脚にかかることにもつながり、実際に事故も起きている。そのため、現在ではアルペン競技ではプレートの高さについて、雪面からの高さで制限を設けて規制している。この規制は当初はスキーブーツの裏にプラスチック板を貼ることで高さを稼ぐ、という抜け穴の発明を促したが、現在ではスキー板にブーツを取り付けた状態でのインソールまでの高さも規制対象とすることで抜け穴は塞がれている。

技術系競技用のプレートや高速滑走用以外の一般スキーヤー向けのプレートは、振動吸収に求める内容が異なり、あるいは重視しないため、重い金属製のプレートではなく、軽いプラスチック製、あるいは複数の素材を複合したプレートが用いられる。また、1990年代後半に流行したエクストリーム・カービングのような、カービングターンのみを目的とした滑走では、高さを稼ぐことを主眼として木製のプレートが使われることもあった。これは、加工や成型が容易であり小規模な企業や個人でも製作が可能であったからである。

プレートとスキー板の固定方法は多様である。前後2ヶ所で固定する場合もあれば、中央あるいは前後のいずれか1ヶ所のみを固定する場合もある。さらに2ヶ所固定の場合でも、片方は完全な固定ではなくスキー板のたわみにあわせて可動するものもある。これらの取り付け方法は、スキー板のたわみを阻害しないためのさまざまな工夫において行われている。

プレートの利用が一般化するにつれて、スキー板の各メーカーも設計段階からプレートの利用を前提とした設計をし、プレートを取り付けた状態でスキー板を販売するようになった。これには、プレートが完全にスキー板と一体となっている場合も含む。こうした一体販売は、技術的な長所の追求とともに、スキー板メーカー以外のサードパーティのプレートを買わせない、という販売政策の面も伴う。実際、一体型プレートにあらかじめビンディング取付用のビス穴を備えておき、そのビス穴は自社、あるいは提携先のビンディングのみ対応する、というメーカーも多い。ときとして、自社製品であっても古いモデルとは互換でないビス穴を用いることでスキー板よりも製品寿命が長いビンディングの再利用を拒む場合すらある。

なお、プレートはモーグル競技や山岳スキーでは用いられない。前者は、てこの原理の活用の裏返しとしてターンに必要な脚の動作が大きくなるため、早い切り返しを多用した細かいターンが要求されるモーグル競技に不向きであるため、後者は、単純にプレートの重量がスキー板を脱いで持ち歩くことが少なくない山岳スキーには不向きであるためである。

スキーブーツ編集

スキーの際に人が履く履物。スキーとも呼ぶ。スキーブーツはビンディングを介してスキー板と接続される。1930年代以前は登山靴などが用いられていたが、ビンディングでよりしっかりと固定可能な専用靴として開発されたものである。[1]

アルペンスキーのスキーブーツは、ブーツとしては脛までを覆う長さ、膝下というにはやや短い程度となっている。足首からすねにかけての広範囲が柔軟性に乏しいスキーブーツに覆われることによって、スキーヤーは足首捻挫を起こすことなく、スキー板からの力を受け止め、あるいは積極的にスキー板へ圧力をかけるべく運動することができる。スキーブーツのソールの形状はISOで規格化されており、どのセイフティビンディングとも互換性が保証されている。

1970年代前半までは皮革製が一般的であったが、1960年代後半に登場したプラスチックブーツが1970年代後半には一般的となった。ほとんど全てのスキーブーツは、外側を覆うシェルと、足が直接触れるインナーブーツの二重構造になっている。シェルの素材としては、ポリウレタン弾性などの力学的特性の良さから好んで用いられている。なかでも、ポリエーテルポリオールを原料とするポリエーテルポリウレタンが上級者モデルでは好まれるが、ポリエステルポリオールを原料とするポリエステルポリウレタンも広く用いられている。ポリウレタンは加水分解などにより徐々に分解するため、長期間の利用によりスキーブーツは割れたり崩壊することがある。実際にどれくらいの期間で破損に至るかは組成や利用頻度・保管条件などによりまちまちだが、 全日本スキー連盟(以下、SAJ)日本プロスキー教師協会(以下、SIA)一般財団法人 日本鋼索交通協会が後援し、日本スポーツ用品協同組合連合会が関連している業界団体日本スキー産業振興協会[2]では、製造から5年程度を目安として、滑走中の破損による事故を防止するためにチェック項目を含めて広報している。なお、初級者モデルでは、より柔かいポリエチレンなどが用いられる場合もある。インナーは、シェルと足の間を埋め、適度なクッション性と保温の効果をもたらすために存在する。主な素材は合成樹脂による発泡フォームであり、足と接する内側には起毛やパイル地などの保温性の高い柔かい布が、シェルと接する外側にはすべりのよい合成繊維の布や薄いプラスチック板が用いられていることが多い。

構造編集

現在のアルペンスキーのスキーブーツの構造は、フロントバックル型と呼ばれるものがほとんどとなっている。このほか、フロントバックル型の派生として3ピース型やミッドエントリー型と呼ばれるもの、あるいはソフトブーツといったものがあり、また、全く異なる構造のものとしてリアエントリー型が存在する。以下、フロントバックル型の構造について説明し、ついで他の型についても説明する。

フロントバックル型は、プラスチックブーツに移行する前の皮革製のころからのスキーブーツの基本型で、甲とすねにあるバックルでシェルを締めて足をブーツに固定するのが最大の特徴である。シェルは、多くのものはソール(靴底)と一体となってくるぶしまでを覆うロワシェル(Lower Shell)と、くるぶしからすねにかけてを覆うアッパーシェル(Upper Shell)の2つに分かれており、両者がビスで接合されている。シェルは、ロワシェルとアッパーシェルの両方とも前になる部分が開き、かつ左右から重ね合わさる形状となっていて、そこにバックルとバックル受けが取り付けられている。このような形をとることで、バックルを締めることで足を固定することができるようになっている。バックルはロワシェル部分、アッパーシェル部分それぞれについて1〜3つ存在するが、多くのものは各2となっている。また、アッパーシェルのバックルの上、ブーツの最上部にベルクロテープつきのベルトを備え、これでさらに足を固定するものが近年は多い。ロワシェルの下部はソールが一体となっている。ソールはセイフティビンディングにハメ込むためのコバがトゥとヒールの前後両側に大きく張り出している。一部のメーカーのソールは摩耗時の対策としてビス留めのトップリフトをトゥとヒールの両方に備えており交換可能としている。ロワシェルの内部では、安価な初級モデルを除いて硬質プラスチックや金属製によるミッドソールが入っており、インナーブーツを載せる台の役割を兼ねている。硬いミッドソールは革靴におけるシャンクと同様に強い力がかかったときにソールがゆがむことを防ぐ。これは滑走時に大きな力がかかるスキーブーツではビンディングの誤解放を防ぐ意味でも重要である。なお、革靴のシャンクと異なり、アルペンスキーのスキーブーツでは足指にあわせてソールが屈曲するようにはなっていない。山岳スキー用の兼用靴やテレマークスキー用のブーツでは足指にあわせてソールが曲がるように作られているが、アルペンスキーでは歩行やテレマーク姿勢を考慮する必要がないためである。フロントバックル型のブーツのインナーブーツは、インナーブーツ本体とタンから構成される。インナーブーツ本体は甲から脛の部分が大きく開いていて、タンが下部で固定されているという形状が通常である。タンにはインナーブーツ本体よりも固い素材を用いることが多い。なお、インナーブーツ内には、通常、インソールが入っていて、足裏とフィットするようになっている。

フロントバックル型のバリエーションのひとつは、3ピース型と呼ばれるものである。これは、シェルをロワシェルとリアシェルとフレックスタンの3つから構成するものである。ロワシェルとリアシェルが通常のフロントバックルのシェルに対応するが、前部が大きく開いた形状となる。そこに、蛇腹状に成形されて柔軟性を高めたプラスチックのタンが覆いかぶさり、これをワイヤのみ、あるいはワイヤとバックルの両方で締めて固定する。インナーブーツは通常のフロントバックル型とほぼ同様である。特許や金型の問題から、製造は1社のみだが、根強いファンが存在している。

フロントバックル型のバリエーションのもうひとつは、ミッドエントリー型と呼ばれるものである。これは、快適性を重視したもので、フロントバックル型のシェルのアッパーシェルが前後に分かれて開くものである。フロントバックル型のブーツは、前述のようにオーバラップしたシェル素材で覆われているため、足を出し入れする際にはブーツを手などで押し開く必要があり、この手間はスキー初心者などには受け入れがたいものだとされることが多い。また、一般にフロントバックルブーツのアッパーシェルは、滑走時の姿勢を重視した角度でロワシェルに取り付けられているが、これは休憩時などに立ったままでいたり歩くのに不便である。ミッドエントリー型はこうしたフロントバックル型の欠点を取り除くために開発されたものだが、性能面の問題で熱心なスキーファンを引きつけるものとならなかったこともあり市場に定着できていない。

いまひとつのバリエーションは、ソフトブーツである。フロントバックル型のスキーブーツが快適でないのは、足入れのしにくさとともに、シェルが固いことそのものにもある。そこで、スキーを滑るのに必要な剛性を確保するフレームのなかに柔かいインナーブーツを固定するという形でスキーにおけるソフトブーツが2000年代初頭に実現され、市場に出た。性能面の問題から市場に定着せず、2007年現在は新モデルとしてみることはなくなっているが、レンタルスキー用具としては使われている場合がある。

最後に、フロントバックル型とは全く異なるリアエントリー型である。リアエントリー型は、シェルがフロントシェル(Front Shell)とリアシェル(Rear Shell)の2つに大きく前後に分かれる。リアシェルはふくらはぎからかかとにかけてのブーツ後方の部分となっており、そこが下部をヒンジとして大きく開く。ソールは全てフロントシェルに属している。リアエントリーのブーツでは、リアシェルを開いた状態でインナーブーツも後方が大きく開口していて、そこに足を入れ、リアシェルを閉じてふくらはぎのバックルで締める(リアシェルの内側にはインナーブーツの蓋がついているため、足に直接接する部分はインナーブーツである)が、製品によってはフロントシェルとリアシェルをワイヤで繋ぎ、リアシェルに取り付けたダイヤルでワイヤを巻いて締め付け、解放はボタンを押してワイヤを緩めるタイプもあった。フロントバックルやそのバリエーションのブーツでは、足はシェル全体の締め付けで固定される。それに対して、リアエントリーのブーツのバックルで締め付けられるのは、すねとふくらはぎのみとなる。スキー滑走では足全体がブーツに固定される必要があるので、リアエントリーブーツでは、固定用のプレートをシェルに内蔵し、足首はプレートを介してワイヤで締めつけてブーツに固定し、足の甲に対してはプレートをねじを用いて押しつけるように固定するものが多いが、過去にはシェルとインナーの間にエアバッグを内蔵し、シェルに取り付けたエアポンプで履いた後に空気を出し入れして調節する物もあった。リアエントリーは1980年代に席巻し、一時はトップスキーヤーまでもが用いるモデルが登場したが、1990年代になってその利用が衰退した。リアエントリーブーツは足首を曲げづらく、スキー技術において足首を使えないのは致命的であるためである。ただ、構造上、スキーヤーの足に細かくフィットした形状でないと不快感が出やすいフロントバックル型と異なり調整範囲が極めて広いことや、容易に脱着できること、爪先や甲が浸水してぬれることがないことから、初級スキーヤー向けのレンタル用品としては残り続けている。

一時的なリアエントリー型の爆発的普及の要因として考えられるのは、当初のフロントバックル型ブーツはシェルに取り付けられたバックルとバックル受けの位置が完全に固定され、そのために締め付け調節が限られた範囲でしか出来ず、体格差により、特にふくらはぎが太い人はバックルが全く届かなくて締め付ける事が出来ない場合があり、何とかバックルを締めたとしても極端な締め付けとなるために強烈な痛み・うっ血内出血などの外傷を起こし、とても履いていられなくなるという致命的欠点を抱えており、その点、リアエントリー型は可動範囲が広い事でふくらはぎの太さの対応範囲にかなりの余裕があるのでふくらはぎが太い人を中心に好まれ、特にトップアスリートとなると必然的に脚全体の筋肉が発達してふくらはぎも太くなるため、その点でも好まれたという事である。その当時であっても、スキーショップによってはフロントバックル型ブーツのシェルに別穴を開けてバックルやバックル受けを付け直すケースも見られたが、シェルの強度の低下が懸念されるためにその後は勧められなくなった。なお、現在のフロントバックル型ブーツのシェルは、最初からふくらはぎのほぼあらゆる太さに対応出来るよう、あらかじめ専用の工具でバックルの取り外し・再取り付けをして位置調節が可能なビス穴がいくつか付けられた設計となっている物もあり[3]、状況が改善している。

S-B-Bシステム編集

S-B-Bシステムとは、S(スキー)-B(ビンディング)-B(ブーツ)システムの事で、この3つの組み合わせと、それにともなう、最も安全に重要なビンディングの解放にともなう調整値算出に関連した規格である。

解放調整値の算出は身長・体重・年齢・ブーツソール長・スキーヤータイプ(技量)の情報により、「国際規格 ISO 10088:スキー・ビンディング・ブーツ(S-B-Bシステム)の組み立て・調整」に準拠して行わなければならない。なお、このISO規格は日本でも1997年JIS化し、「JIS S 7028」としている。

ISOおよびJISにより制定される以前は、ビンディングの調整はスキーショップ以外でも「外れやすいから」という理由で自分で調節するケースもあったが、適切ではないビンディングの調整は必要時に解放されなくて事故となりやすい事と、現在はスキーショップにおいての取り付け・調整作業は「加工」という概念にあたるためにPL法の対象となる事もあり、規格を準拠して、上記の情報を基に適正な解放調整値にしてもらう事が、事故を防ぐという点でも必要である。

前述した業界団体日本スキー産業振興協会ではS-B-Bシステムに関する積極的な広報活動を行っている。

ストック(ポール)編集

素材や構造などはストックを参照。

アルペンスキーにおけるストックの役割は山スキーやクロスカントリースキーの使用目的と若干異なる場合がある。

初中級スキーヤーがレジャースポーツとして楽しむ場合、リフト乗降場において身体を前進させるための手がかりや待機時にバランスをとる杖代わりという認識が多い。しかしストックは、スキースクールにおいて一般的に教わるターン始動のきっかけを作るストックワーク以外に、左右前後のバランスを取るために重要な役割を果たしている。簡単に言うとやじろべえの左右の腕の役割をストックが担っており、ストックを握っている手の位置によって前後のポジショニングがほぼ決まると言える。特にコブ斜面でのバランスはストックによる影響が大きいためストック自体のバランス、振りやすさ、および長さが重要なポイントとなるが、上級者は更なるバランス感覚を磨くためにあえてコブ斜面をノーストックで滑る事がある。

また山スキーやクロスカントリーでは新雪での歩行が伴うためバスケットも比較的大きいが、新雪や深雪斜面であっても滑り降りるだけのアルペンスキーでは大きさの大小は特に気にする必要はない。しかし新雪で転倒した場合、小さいバスケットでは潜ってしまう事もあり、自身のスキースタイルと技量によって選択する必要がある。なお、新雪で転倒して、ストックを突いても潜ってしまい、立ち上がれない場合には、ストックを手から外して×形にクロスさせて雪面に置き、雪面からの支持力を高めて、クロスしたストックの中心に手をついて立ち上がる手段がある。

アルペン競技のスラローム競技では、ストック本来の使用方法以外に可倒ポールから自身の体を守りつつポールを倒すプロテクタ的な役割もはたす。また、その目的でストックのグリップ部分にナックルガードを取り付ける事が多い。

競技用バーン(斜面)は水や硫安・塩カリ等の固化剤の散布によってスケートリンクのように硬いアイスバーンとするため、石突は鋭利で硬質となっている。

バスケットは主に空気抵抗減少を目的として非常に小さいものが装着され、特に高速系競技(滑降(ダウンヒル/Downhill)・スーパー大回転(スーパージャイアントスラローム/Super Giant Slalom, Super G))に使われるストックの場合では空気抵抗がシビアになるために円錐形やピンポン玉形状として、バスケットと呼ぶのが難しい物が付いている事もある。またこの場合のストックのシャフトはクローチング姿勢を取りやすいように体型に合わせて屈曲している物が使われる。

ワックス編集

ワックスはスキーの滑走性の向上と滑走面の保護のために使用するもので、主に固形のもの(アイロンで溶かして塗りこむ)、液体のもの(スプレータイプとリキッドタイプ)、パウダータイプのものがある。

固形のハイドロカーボン(パラフィン)、フッ素などでできたワックスは、専用のアイロンで溶かしてスキーの滑走面に垂らしてからアイロンを動かしてまんべんなく塗りこむ。冷えて固まった後、スクレーパーと呼ばれる厚い定規のようなプラスチック板で余剰分を削り落とす。この一連の作業をホットワックスという。滑走面に浸み込んだ汚れがワックスで浮き出るクリーニング効果もある。雪温に応じてフッ素の配合率が違う複数のタイプを使い分ける。春先など雪温が高くなるほど水分が多くなるので高雪温用はフッ素配合率が高い。

スプレータイプとリキッドタイプのワックスはホットワックスに比べて手軽だが、持続性に欠ける事が多い。滑走面にスプレーまたはリキッドを塗り込んだ後、ワックスコルクや専用のブラシで滑走面を磨くようにして塗りこむと良い。なお、リキッドタイプは小型容器やペーパーに染み込ませた物など携帯しやすい物があり、そのつど塗る事も出来る。またリキッドタイプの容器にワックスコルクの代用となるフェルトが取り付けられている事もある。

スプレータイプやリキッドタイプを主に使用している場合のスキーシーズン終了後は、保管中の滑走面やエッジの保護を目的にワックスを塗っておき、シーズン始めにワックスリムーバーと呼ばれるワックスの剥離剤を塗るなどして古いワックスを落とし、再度新しいワックスを塗り込んで滑走性を良くする事を行うケースもある。

パウダー式のワックスは主にスタートワックスとも言われ、アルペンレースなどのスタート直前に滑走面にふり、スプレー式と同様にワックスコルクで磨いて塗りこむ。持続性はなく、スタート直後、最初の1〜2ターンしか持たない。フッ素100%配合であるため通常のワックスよりも非常に高価である。スタートワックスは固形タイプやリキッドタイプの物もある。

コンマ1秒を競う競技の場合はその日の雪の状況や雪温を調べ、それに最も適したワックスを塗る。

初心者などの間では「ワックスを塗るとスピードが出て危険だ」という誤解が生じがちだが、むしろワックスを塗らなければスキーの板に雪がくっついてしまい、滑らなくなるばかりか転倒する危険もある。そのために初心者でもスキー板の表面にワックスを塗ることはとても大切であり、特にインストラクターは初心者に「歩く」「滑る」「止まる」「回る」のスキーの要素から[4][5]「滑っても止まれる」事を教え、ワックスの必要性と合わせて知ってもらう事が大事である。

服装編集

また、スキーヤーは、以下のような服やアクセサリーを身につけるのが一般的である。

スキーウェア編集

防寒具としてはもとより、一般のスキーヤーの間ではファッションとしての要素も併せ持つ。かつては蛍光色や原色などの、雪の白に対して映える色使いが主だったが、近頃はスノーボーダーの影響からか、ストリート系、ルーズファッションと呼ばれる街着に近い型が流行している。硬い雪面等から身を守れるよう、堅牢な作りとなっている。

レーシングスーツ編集

レース時に着用されるウェアである。空気抵抗を減らすため、ポリウレタン混紡等の薄い伸縮性生地を用い、身体に密着するように製作される。表面はカレンダー処理等の方法で高い平滑性を持たせたり、空気の流れを整えるためのパターンが着用時に浮き出るような特殊な加工が施されることもある。テレビジョン中継等、各種メディアへの露出度が高いことから、各チームの個性を演出すべく目立つデザインのプリントがされている場合が多く、選手のスポンサー企業のロゴなどがあしらわれることもある。通常上下一体のワンピース型であり、レーシングワンピースとも呼ばれる。その保温性はスキーが行われるような環境で着用するには全く不十分であり、スタートの直前までは防寒用のスキーウェアをレーシングスーツの外側に重ね着しておくことが普通である[6]。スーパー大回転、大回転、回転競技用のスーツには、ポールへの衝突から身体を保護するプロテクターを組み込んだものもある[7]。1970年代には表面をビニルコーティングしたスーツが用いられていたが、スピードが出すぎて危険なこと、また汗が内部から蒸散せず、皮膚障害の原因になりかねないことから、国際スキー連盟(以下、FIS)により通気性[8]の素材を用いなければならないルールが制定された。重要な公式大会の滑降、スーパー大回転、大回転競技では、あらかじめFISによる通気性等のテストを受け、プロンブと呼ばれる合格証を取り付けたスーツでなければ着用できない。プロンブが不要の回転競技では、ツーピースタイプのレーシングスーツを着用する場合もある。

ゴーグルまたはサングラス編集

速度が出るごとに威力が増す降雪や気流、雪面から照り返す強い太陽光から目を守るために装着する。吹雪などで前方の視界が確保できないことは危険であるし、また強い太陽光は目を傷める可能性がある。

ゴーグルの中にはレンズが着色されていてサングラスの機能を兼ねるものも多くある。安価なゴーグルやサングラスの中には、色つきでも紫外線を遮断しないものがあり、かえって目を傷める(可視光が遮られて瞳孔は拡大するが紫外線量は変化しない)ため注意を要する。

また水平方向から目に入る紫外線以外に、雪面(海ならば海面)からの照り返しと呼ばれる反射によって斜め方向から目に届く紫外線があり、偏光サングラスおよび偏光グラスのゴーグルは斜め方向から入射される紫外線から目を保護する。

サングラスの場合、ゴーグル程の冷気や雪の吹き込みなどを防ぐ効果は無いが、逆に通気性の良さから、大汗をかきやすいためにゴーグル内部が汗による水蒸気で曇りやすい人には割と好まれている。この場合、ベンチレーター(換気装置)付きのゴーグルでも曇りが取れないとか、曇り止めを使うと防げるが、水蒸気がレンズ全面に貼り付いて水膜を生じ、視界が悪化するというケースもあって、後述する特別な事情がない限りは特に好まれる。

SAJでは、事故の際に割れたサングラスで顔面を負傷する事例がある事からゴーグルの着用が勧められていて[2]、義務では無いものの、スキーバッジテストSAJスキー指導員及び準指導員検定(実技)・全日本スキー技術選手権大会においての受験者や選手はほぼ全員ゴーグルを着用している。

スキーグローブ編集

低温下でも指先の感覚を失わないよう、分厚い作りになっている。手のひら側には革や樹脂などの滑り止めが施され、ストックを安定して掴むことができるよう工夫されている。

帽子またはヘルメット編集

競技では、ときに時速100kmにも達する速度で滑走するため、転倒時などに頭を守るためのヘルメットを着用する。髪の空気抵抗を抑える役割も持つ。回転競技では可倒式ポールとのコンタクトが強いため、顔面保護のためにチンガードがつくものもある。

一般のスキーヤーでは無帽の者も珍しくないが、転倒したところへ他のスキーヤーが衝突し、エッジで頭を切ったり衝突時の衝撃を受ける等で頭部から出血する事もあるため、怪我の予防から帽子をかぶる事が望ましいが、なるべくならヘルメットを着用する事が、後述する点からも特に望まれている。

一般的に、海外からのスキーヤーに比べ、日本のスキーヤーのヘルメット着用率は低く、欧米における一般スキーヤー着用率が80%と言われているのに対し、日本におけるスキーヤーの事故発生受傷時のヘルメット着用率は37%[2][9]となっており、前述のゴーグル同様にSAJではヘルメット着用を勧めていて、検定等受験者や選手はほぼ全員着用している。

SAJはFISに準じていて、アルペンスキー用のヘルメット規格は「CE EN1077」または「ASTM F2040」が推奨されている。なお、アルペン競技用はFISの規定にのっとって「CE EN1077」のみ認められている[2]。いずれの場合でも、サイズがフィットする物でゴーグルと相性が良いものを選ぶのが良く、使用前の点検は欠かせない。

スキー用に限らず全てのヘルメットに言える事だが、一度でも衝撃を受けたヘルメットは衝撃吸収力が損なわれている事から使用しない方が良い。また、安全上分解・切削・加工等の改造を行ってはならない[2]

プロテクター編集

主に競技用。転倒時の硬い雪面や、ターンする際のポールから体を守るために装着する。すね当て、臀部、大腿部、下半身全体を防護するもの、全身を防護する鎧のようなものまで様々。ウェアの下に装着し、外見ではプロテクターが目立たないタイプも普及している。

一般向けには初心者や小児の怪我防止に簡易な膝当てなどが使用されることがある。

滑走技術等編集

参考資料:日本スキー教程/全日本スキー連盟・著[4]に掲載されている順に表記する。

滑走以外の技術編集

スキー初心者に、主に初歩動作として教える技術だが、様々な状況で使える技術となっている。

歩行編集

スキーブーツは構造上足首が固定されていることから、初心者は歩行時に戸惑う事があるため、まずはブーツを履いた状態での歩行になれる必要があり、主に次の2つがある。いずれの場合でも、初心者はストックも使ってバランスを取りながら行うと良い。

1)かかと・つま先をつけて歩く
雪面をかかと → ブーツ底面 → つま先の順につけて歩く、普通の歩き方に近い。なお、氷結面やタイル床等の滑りやすい場所ではかかとをつけた段階で滑って転びやすい事があり、注意が必要。

2)ベタ足で歩く
氷結面等の滑りやすい場所で歩きやすい歩き方である。ブーツの底を雪面や氷結面と平行に置きながら、つま先は前に向けた状態として、小さい歩幅で歩く。スキーブーツを履かない段階で意識して練習する方法もある。余談だが、この歩き方は普段の生活で積雪路面や凍結路面等の滑りやすい場所を歩く時にも有効で、一部の地域では「ペンギン歩き」と呼ばれる事もある。

また、スキーを履いた状態で2)と同様に歩く方法もある。スキーを履いての歩行はリフト乗車時などでよく使われるため、基本技術となっている。

推進滑走編集

スキーを履いた状態で、両ストックを雪面に突いて前から後に押し込んで推進力を得て滑る技術。歩くよりも速く移動出来る。また、「歩く」から「滑る」へのスキーの本質に触れる技術でもある。

スケーティング編集

スキーをV字(スキーの先端を開いた状態)にして、左右交互に踏み出して滑る技術。平地で行う時はストックによって押し出す推進力も合わせて使う。初心者にはエッジの役割と荷重の移動を覚えるのに有効な技術であるほか、上級者、特にアルペン競技においては加速を得るための重要な技術である。

方向転換(トップ開き・テール開き)編集

最も簡単に向きを変える方法である。また、エッジの引っかかりを利用して前方または後方に滑らないように出来る事から、同時にエッジの役割も習得出来る。

1)トップ開き
スキーのテールを支点にして、ゲレンデの山側にV字に大きく開く → 反対側のスキーを平行に揃える(平地または緩斜面の場合)か少しだけV字に開いた状態(傾斜が強い場合)にスキーを移動させる事をくり返し、ゲレンデの山側を向く方向に回り込む。

2)テール開き
スキーのトップを支点にして、ゲレンデの山側にハの字(スキーのテールを開いた状態で、プルークと同じ)に開く → 反対側のスキーを平行に揃える(平地または緩斜面の場合)か少しだけハの字に開いた状態(傾斜が強い場合)にスキーを移動させる事をくり返し、ゲレンデの谷側を向く方向に回り込む。

キックターン編集

斜面で静止状態で方向転換するための技術。両方の板をフォールラインに対して垂直方向に揃えてエッジを立てて静止している状態から、谷脚を爪先を上にするように持ち上げ、板のテールを前方に出す。その状態から板のトップを谷側を経由して倒しながら後方に持っていき、山側の板と逆方向で平行になるように着地させる。これによって、脚は極端な爪先開きの体勢となる一方、上体は谷を向く方向となる。続けて山脚を持ち上げて身体の捻れを解くように谷側に移動させて両方の板が平行になるように着地させる。これによって方向転換が完成する。

他の方法として、谷脚のスキーを持ち上げてそのままトップを谷側かつ後方に回転させつつ山側にそろえ、脚が極端な爪先開きの体勢、かつ上体が谷を向く方向となったところで、入れ替わって谷側となったスキーのテールを立てて雪面に突き、それを支点として板のトップを谷側を経由して倒しながらスキー先端を同じ方向に揃えるという、前述の方法とほぼ逆の動きをするキックターンもある。

急斜面や狭い場所、スキーレッスンなどにおいて安全な方向転換のためには欠かせない技術で、初心者の段階から習得を求められるものである。

転び方・起き方編集

転倒時は傷害の発生が多い事と、初心者においては不慣れや恐怖心から転ぶ事が多いという点から、安全な転び方を習得する事も必要である。

転倒する時は、安全面から「1)腕をつかない」「2)膝をつかない」「2)出来るだけ山側におしりをつく」事を心掛けると良い。通常は山側に横倒れに転ぶ方法が安全とされている。また上級者や競技者に多いが、高速時にジャンプしてスキーのテールから着地した際、身体が後ろに倒れているのをリカバリーしようとして、逆に「膝前十字靱帯(ACL)損傷」という傷害を起こすケースがあるため、この場合は無理に立とうとしないでそのまま後ろに倒れたまま転んだ方が安全とされる[2]

起き上がる際は、スキーをなるべくフォールラインと垂直に、かつ谷側に置き、身体は山側に置く体勢を取る。そして山側に持ってきた身体の方にストックを突いて、ストックを補助にして腕の力で立ち上がる。急斜面ならば手をつくだけで立ち上がれる場合もある。なお、新雪でストックが潜ってしまう場合は前述の方法もある。

転倒時、スキーが交差してどうしても立ち上がる体勢が取れない場合、ためらわずにスキーを外してから立ち上がる手段を取った方が良い。

階段登行・開脚登行編集

斜面を歩いて登るための技術。いずれもエッジを利用する事から、初心者にエッジの有効性を知ってもらう事にも役立つ。

階段登行は、両方の板をフォールラインに対して垂直方向に揃えたまま、山脚をさらに斜面の上へと、脚を上下させることで移動し、次いで谷脚も同様に移動することを繰り返す。子どもの初心者には「カニ歩き」や「横歩き」という呼称にするとイメージしやすい事もある。

開脚登行は、斜面を上に見る方向で正面を向き、爪先を開いたV字の状態で両方の板の内エッジを雪面に食い込ませることで足場を確保し、双方の脚を交互に前方に出すことで登っていく。

両方の技術が可能な場所では開脚登行のほうが大きく踏み出すことができるために効率的に登ることができるが、急斜面では開脚登行は安全に行うことが難しくなるため、階段登行のほうが有効な技術となる。

現実のゲレンデでは、滑走中に転倒したり物を落としたりして止まって引き返す必要がある事から斜面の登り返しが必要となる場所もあり、こうした技術は滑走を続けるためには必須で、初心者の段階から習得を求められるものである。

なお、階段登行の技術を応用して斜面を下る事もあり、初心者が急斜面で滑走困難になった場合などで有効な事もある。

滑走技術編集

直滑降編集

板を平行に保ち、斜面をフォールライン方向にまっすぐ降りていく技術。アルペンスキーに限定されない全てのスキー運動の基本となる。緩斜面において初心者が初めに学ぶ滑降技術でもある。斜度がきつくなりスピードが高速になるにつれ、直滑降を維持して滑走するのは高度な技術となる。高速系種目では両スキーの外エッジを足場として安定した直滑降を行っている。縦に降りるとも言う。板を平行にする事を二の字、またはパラレルと言う。

初心者の直滑降の練習時は、緩斜面の終端が平坦に近くなって自然に止まれる地形を利用する事が望ましいが、地形が利用出来ない場合はプルークによる制動(停止)を合わせて行う。また、直滑降とプルーク制動を連続して行う練習法もある。これは昔からある直滑降習得時に合わせて行う事が多い技術と練習法の一つで、現在のSAJにおいては「プルークでの制動と滑降の連続」と呼称しているが、スキー歴が長い人は古くからの呼称であるシュテムファーレンと言う事もある。シュテムとは本来制動を意味するドイツ語であるが、板を平行からハの字に動かす動作そのものもシュテムまたはシュテム動作と呼ぶ。それのファーレン(後述参照)であるので、直滑降に始まり、テールを開いたり閉じたりする運動となる。これにより迎え角(進行方向に対するスキーの角度)を調整でき、スピードコントロールに繋がる。両開きが難しい場合に片開きを行う場合があり、その場合は片シュテム・片制動・レの字と呼ぶ。片シュテムなどは日本スキー教程に記述がないが、滑走時にプルークの応用として使う事もあり、両開きが難しい場合に片側に体重を掛けて雪を退かせる技術で、初心者レッスン・シュテムの導入・山岳スキー・パトロールなどで使われる事もある。

直滑降を習得する段階において、膝と上体を屈伸させる上下運動を習得させる方法があり、その補助として3本のストックを組み合わせてゲートを作るか、インストラクターがストックを1本水平に持ち、その下をくぐらせて練習する事がある。

クローチング編集

主に高速滑走時にとる姿勢。アルペンレースの大回転以上の高速系で用いる事が多い技術だが、緩斜面でスピードを落とさない滑走技術としても使われるので、現在は初期段階から教えている。板は平行に肩幅かそれより若干広く開き、足首と膝を屈曲して腰を落とし、上半身は前に倒す。腕を曲げてたたんだ状態で拳を前方に向け(あるいは拳と腕を突き出すスキーヤーもいる)、手の平を上に向けてストックを握り、ストックは脇から身体に沿わせるように後方に出す。顔は前方を見る。直滑降か、脚を左右に傾けて行うクローチングターンと呼ばれる浅いターンが基本的な滑りとなる。

クローチングは基本的に、体勢を低くすればするほど空気抵抗が減少する事が科学的に証明されており、中腰姿勢に比べて最も低いクローチング姿勢は空気抵抗が60%程度低くなる。なおかつ、最も低い姿勢でも腕をたたんだ状態に比べて腕を伸ばした状態だと空気抵抗が45%程度上昇する[10]

プルークファーレン編集

板をハの字にして直滑降する技術。ファーレンとは乗り物に乗って進むと言う意味のドイツ語。ハの字とは、板のトップがくっついていて、テールが開いているスタンスの事で、これをプルークと呼称し、時に両開きや全制動、あるいは単にハの字とも言う事がある。

緩斜面から平らになる地形がない場合、初心者は直滑降に加えこれを習得する。股関節の捻り(内旋と呼ばれる)によるテールの押し出しのテクニックが必要なので、補助として、トッブを合着させる「トライスキー」の器具使用や、トップを手で摘んで滑らせてやると良い。停止する時以外はあまり無駄な力を入れない方が上手く滑る事が出来るとされる。停止の際はスキーのテールを思いっきり開き出して踏み込み、時には膝を内側に入れてエッジを立てて止まる。

慣れてくるに従って、テールを開く幅を小さくしたり大きくしたりする事を繰り返してスピードに緩急をつける手法も取り入れる。

プルークファーレンが上手く出来ない場合、特に初心者で用具に関する知識不足や劣悪なスキー用具の使用(主に左右スキーのエッジの研ぎ方・立て方が違っている事があるなど)によるケースも多いため、問題がある場合は用具の変更やチューンナップ等での対応も視野に入れた方が良い。

プルークボーゲン編集

単にボーゲンとも呼ばれる。プルークスタンス(前述参照)を取り、荷重と迎え角による制動を掛けながら、曲がるための外スキー(カーブの外側に位置するスキー)にかける荷重を交互に変えながらターンする技術である。プルークスタンスを作ることにより次のターンの迎え角ができているため、安全のための制動系技術のひとつとなっていて、状況に応じて全てのスキーヤーが用いる基本技術である。

一般的に「プルークボーゲン=初心者のための技術」というイメージがあり、初級者はボーゲンを卒業してパラレルターンへ移行したがることがあるため、結果的にボーゲンが未熟なスキーヤーもいる。しかし、プルークボーゲンは滑走プルークシュテムターンを経てパラレルターンに至るための重要かつ主要な技術となっている事と、プルークスタンスの一方の脚をもう一方の脚に揃えるとパラレルスタンスとなるので、上級者といえども、体勢を確認し、作り上げるためにあえてプルークボーゲンを行う事もあるほか、上級者が使う連続小回りターンはスキー板の反動、センターポジション、左右のリズムをタイミング良く組み合わせる事が必要で、このすべてを一緒に練習出来る基本技術ともなっている。したがって本技術の練習を積んでいる中級者は早く上級者へ移行でき、長年上級者の技術へステップアップ出来ない中級者は本技術が未熟とも言える。

斜滑降編集

板を平行に保ち、フォールラインに対して板を斜めに位置させ、そのまま斜め方向に滑走する技術。トラバースとも言う。

滑走プルーク編集

プルークボーゲンからの発展で、現在ではパラレルターンに移行する段階で習得する技術の一つとなっている。過去にはプルークターンとも呼ばれていた。

ターン開始時にプルークボーゲンから外脚をさらに外に踏み出して外スキーのカービングを強め、フォールラインから先は外スキーのエッジングを強めてカービング運動を行うターン技術である。プルークボーゲンでの脚と雪面が二等辺三角形を描いているのに対し、滑走プルークでは雪面・垂直となった内脚(カーブの内側にある脚)・斜めとなった外脚で直角三角形を描いている。その過程上、内脚をパラレル(平行)にする動作につながる。

横滑り編集

板を平行に保ち、フォールラインに対して板を直角ないし斜めに位置させ、膝を谷側に傾けることでエッジを緩めて板の長手方向に対し横または斜め方向に滑走する技術。方向はフォールライン・斜め前・斜め後ろと3通りある。

横滑りの技術のうち、フォールラインに近い浅い斜滑降から谷回り(フォールラインに向かって回る事)して行う横滑りは、結果的に自然と弧を描く軌道になるため、スキッディングターン(後述)の技術習得につながる。

一時期、SAJ1級の試験科目がゲレンデシュプルングから横滑りに変わった事がある。20mほど斜めに横滑りをしてキックターン後、今までとは逆方向へ20mほど斜めに横滑りをしてゴールするだけの単純なものであったが、センターポジションに乗れていない人や両脚の微妙なコントロールが出来ない人は苦戦していた。しかし1級を受験する技量のスキーヤーにとってはボーナス種目でもあった。

その横滑りは現在、改めて1級の種目において行われている。斜滑降でスタートし、外向傾姿勢を取りながら斜め前横滑りをし、ピボットにて向きを変える事を4回繰り返す。

現在のSAJスキー準指導員及び正指導員検定(実技)の種目では、急斜面・ナチュラル(ある程度の滑走跡が残るが、不整地(コブ)ほどではない斜面)にて、横滑りを行うスペースが指示された上で行うこととなる[11]

シュテムターン編集

ターンの切り替え時に内スキー(次の外スキー)を山側に踏み出してスタンスを「ハの字(プルーク)」とした後、外スキーに乗り込んでからスキーをパラレル(平行)にしてターンする技術をシュテムターンと呼び、プルークボーゲンからパラレルターンに移行する段階で行う技術の一つである。

プルークからの移行において、なかなかターン時にパラレルに揃えられない場合、ターン中はプルークとして、ターン終了ポイントからターン開始ポイントに向かう形で徐々にパラレルに持っていく練習法を取る事もある。

SAJでは、上記の滑走プルーク・横滑り・シュテムターン(シュテム動作)は、基礎パラレルターンに移行するための「3本の矢」という一体の物として扱った指導を行っている。

パラレルターン編集

板を平行にしたままターンする技術。プルークボーゲンから、横滑り・滑走プルーク・シュテムターンを経て習得される技術である。ターン前半からの外脚加重により、軽くなった内脚の膝を返してエッジを外し、両脚を同調させて平行のままターンする。後述する制動要素の多いスキッディング(横ずれ)と推進要素の多いカービングに分類される。実際の滑走では両者の中間的なものが多く見られる。

ターン時はプルークボーゲンやシュテムターンと同じで外脚荷重が基本である。シュテムターンを習得すれば大抵の斜面と雪質を降りることが出来るが、シュテムは小回りのターンや狭いところが苦手である。コブや高速でのターンに対応する為にはパラレルターンが必要になってくる。

スタンスは脚をほぼ揃えているスタンス(過去には密脚と呼ばれていた)と、肩幅程度に開いているスタンス(同じく開脚と呼ばれていた)がある。現在のSAJでは脚をほぼ揃えるスタンスを主としているが、高速での小回りでは脚を開くと踏ん張りが利きやすい事があるので、滑りに合わせてスタンスを使い分けると良い場合もある。

現在のSAJでは、通常のパラレルターンについては「パラレルターン大回り」と呼称し、後述の「パラレルターン小回り」と合わせて使われている。

パラレルターン小回り(ショートターン・ウェーデルン)編集

パラレルターンのうち、早いリズムで外スキーから次の外スキーまで踏み換えながら滑る方法で、主に上級者のターン技術。

後述のテールを振るウェーデルンを取得する課程においてプルークボーゲンで早いリズムでターンをおこなうプルークウェーデルンと呼ばれる技術もある。

1980年代に入り、海外のスキー板の滑走性能が飛躍的に進歩して、従来のひねり運動にあまり頼らずサイドカーブによるカービングターンで弧を描くウェーデルンが使われ始めていたが、従来のスキッディング(ずらし)操作の性能が優れていたスキー板も健在だったため、両方の技術が同時に存在していた。

1990年代に入り国内外のトップスキーレーサーが使っていたカービングターンが実現可能なカービングスキーが普及し、カービングターンが認知されるようになった。つまりカービングスキーができる前の1980年代から従来のスキー板によってカービングターンは実現されていたが、広く認知されたのはカービングスキーが一般的となり一般上級者でも実現可能となった1990年代後半からで、SAJでも90年代後半に入り、ウェーデルンを教程から削除し、使用しなくなった。これはウェーデルンという言葉の意味がもともとドイツ語で「犬が尻尾を振る」という意味であるためで、この時期に登場したカービングスキーによるショートリズムでも丸いターン弧を刻むことができ、ずらしてターンを刻むという意味に合わなくなったためである。よって従来ロングターンをパラレルターン、ショートターンをウェーデルンとしていたのをそれぞれパラレルターン大回り、パラレルターン小回りと呼ぶようになった。しかしSIAでは独自の教程を設けており、現在でも使用している。また、捻り(と反動)を使ったショートターンと弧を描くショートターンの2つが使えると、より実践的であらゆる斜面に対応できる。

スキッディングターン編集

パラレルターンの一種であり、山スキーに踏みかえた後に、スキー板をずらして制動しながら回旋してから山まわりに移行することでターンする技術。ターンの外脚がプルークターンやシュテムターンと近い動きをするため、パラレルターンの中では易しい技術であり、また制動性が高いことから安全を重視して滑る技術でもある。

カービングターン編集

パラレルターンの一種であり、ターン開始時に脚をターン内側に傾けて、意図的な荷重や外力を利用した荷重によってスキー板をたわませて曲面を作り、これを雪面に食い込ませることで足場を作ってターンする技術。スキッディングターンと異なり板の制動要素が少ないため、高速滑走が可能となる。かつてパラレルターンの中では難しい技術であり、1990年頃まではごく一部のスキーヤーのみの技術であったが、カービングスキーの登場により、現在は一般スキーヤーにも可能な技術となった。

なお、カービングとは「彫り込む(CARVE)」の意味であって「曲がる(CURVE)」の意味ではない。これは、カービングターンにおける雪面のシュプールがまるで彫刻刀によって彫り込んだように見える事からイメージされ、名付けられていることによる。

実際に完全なカービングターンで滑ることができる状況は限られており、圧雪され、かつ大会バーンのように一般スキーヤーから隔離されて安全性が確保された状況が多い。通常のゲレンデではスキッディングターンを組み合わせて滑る場合が多い。

ステップターン編集

ステップターンはステッピングターンとも呼び、踏み出しと踏み蹴りの二つがある。

踏み蹴り 
ターンの切り替え時に外スキーを踏み蹴って内スキー(次の外スキー)に乗り込んで行き、減速せずにターンすることができる。
踏み出し 
切り替え時に内スキー(次の外スキー)を山側に踏み出し(重心は外スキーと内スキーの間)、乗り込んでスキーを押しずらしていく。スタンスを「ハの字」(プルーク)にして踏み出したシュテムターンもステップターンの一種である。

前者の踏み蹴りはかつてアルペンレースでポールをクリアしていく時に多用されたが、サイドカーブのあるカービングスキーの普及により、踏み蹴らなくともエッジ角度を強めるだけでスキーが切れ上がるようになったため軌道を変える必要がなくなり、以前よりは使わなくなってきている。また、現在のSAJの指導項目ではシュテムターンのみ残っているが、ステップターンを使ってはいけないという訳では無い

後者の踏み出しにおけるシュテムターンの場合は初級者が外スキーの踏み換えを覚える際やレベルに関わらず斜面状況が悪い場合に安全に滑り降りるための技術として多用される。

ジャンプターン編集

山岳スキーなどにおいて極端に狭い斜面などにおいてターンする際にジャンプして板を浮かしながら板の方向を変える技術。

SAJ バッジテスト・SIA 技術検定編集

SAJ(全日本スキー連盟)、SIA(日本プロスキー教師協会)はスキーヤーの技能レベルを客観的に判断する独自のスキーバッジテストや技術検定を設けている。

競技編集

山岳スキー技術として誕生したアルペンスキーは、次第に如何に速く斜面を滑り降りるかという競技に発展した。現在ではヨーロッパを中心に非常に人気の高い競技スポーツとなっており、特にオーストリアスイスなどアルプスの国々では国技であり、勝者は国民的英雄である。

第4回冬季オリンピックから正式競技として採用されている。

概要編集

山を滑り降りる速さを競う競技であるが、コースには旗門と呼ばれる2本1組の旗またはポールが並べられ、その旗門を順番に通過しながら滑り降りる。旗門を通過できなかった場合は失格となる。種目によって、旗門数、旗門のインターバル、コース長、標高差が大きく変わってくる。

1回の滑走または2回の滑走の合計タイムで順位を競う。

種目編集

大会編集

世界第一線級の国際大会は、オリンピックの他に次のようなものがある。

コース編集

自然の山の地形を最大限に活かすアルペンスキーのコースは、それぞれに特徴がある。コース長、標高差、最大斜度はコースによって様々であり、旗門のセットは毎回違うため、陸上競技のような世界記録というものは存在しない。ただし、滑降競技のように毎回ほぼ同じコースレイアウトでレースが実施される場合、歴史あるコースではコースレコードというものが存在する。

世界的に有名なアルペンスキーのコースとしては、オーストリアキッツビューエルスイスウェンゲンアーデルボーデンなどがあり、日本にはオリンピックや世界選手権の舞台となった、八方尾根雫石志賀高原などがある。

チェアスキー編集

下肢等に障害のある競技者においては、座席とスキー板をサスペンション等で連結したチェアスキーを使用して行う。

著名なプレイヤー編集

脚注編集

  1. ^ 大修館書店編集部「最新スポーツルール百科2007」大修館書店、2007年、p.292.
  2. ^ a b c d e f 参考資料:日本スキー教程「安全編」/山と渓谷社ISBN 978-4-635-46022-4
  3. ^ SALOMONウェブサイト「メンズ:スキーブーツ」NORDICAウェブサイト「BOOTS / MEN'S」LANGEウェブサイト「BOOTS」各種などにおけるブーツの画像にはバックル位置調節のためのビス穴が見受けられ、実際に調節可能となっている。
  4. ^ a b 参考資料:日本スキー教程/山と渓谷社ISBN 978-4-635-46021-7
  5. ^ 参考資料:日本スキー教程では「歩く」「滑る」「登る」「方向転換」の4要素としているが、ワックスに関する説明として前2項目を分かりやすく言い換えた物とした。また、後2項目はワックスに関わらないと思われるため割愛した。
  6. ^ レーシングスーツと重ね着することを前提としたウェアは、ブーツを履いたままでも素早く脱ぐことが出来るよう、裾部まで開放できるファスナーを備えたものが多い
  7. ^ 滑降競技用スーツにプロテクターを組み込むことは禁止されている。
  8. ^ 何度かの改定を経ているが、2009年のルールでは10mm水柱の圧力をかけた場合に1平方メートルあたり毎分30リットル以上の空気を通さなければならない。
  9. ^ 2015/2016シーズン全国スキー安全競技会調べ、参考資料:日本スキー教程「安全編」p.63/山と渓谷社ISBN 978-4-635-46022-4
  10. ^ 日本スキー教程p.47(書中における参考資料:渡部和彦、大築立志:体育の科学22(4):270 - 273、1972)より。
  11. ^ 参考資料:資格検定受検者のために2019 p.46-49/山と渓谷社ISBN 978-4-635-46020-0