アレチハナガサ(荒地花笠、学名: Verbena brasiliensis)は、クマツヅラ科クマツヅラ属に分類される、草丈1-2mほどの多年草の一種。南アメリカ原産で、日本では帰化植物のひとつ。河川敷道端に生育する。

アレチハナガサ
Verbena brasiliensis
Verbena brasiliensis
(2010年6月5日)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : 真正キク類I Euasterids I
: シソ目 Lamiales
: クマツヅラ科 Verbenaceae
: クマツヅラ属 Verbena
: アレチハナガサ V. brasiliensis
学名
Verbena brasiliensis Vell. (1829)[1]
シノニム

Verbena bonariensis auct. non L.

英名
Brazilian vervain

形態・生態

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多年生の草本[2]。草丈は1 - 2メートル (m) [2]は著しくざらつき、断面は四角形である[2]は緑色で、葉縁に大小不揃いな鋸歯がある[2]。葉の上面は細かな葉脈が凹み、粗い毛があってざらつく[2]

花期は夏[2]。花期は一般には8 - 9月頃とされるが、環境条件によって4月から12月までばらつきがある[3]。淡紫色のを咲かせ、径は2 - 3ミリメートル (mm) 、花冠筒はのほぼ2倍の長さがあり、雄蕊雌蕊は短くて筒内に隠れている[2]。萼は先が5裂し、裂片は披針形、萼の基部に包葉が1枚つく[2]。果期に長さ1 - 5 cmの円柱状の果穂になる[2]果実分果)は長さ1.2 mmで、背面は褐色、腹部は白色で、背面に隆起線がある[2]

近縁のヤナギハナガサVerbena bonariensis)に似るが、花筒と萼片の形は特に重要で[2]、アレチハナガサは花筒部が短いため萼からあまりつき出ず花色が淡い[4]

分布・生育地

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南アメリカを原産地とする[5]

日本では、1957年頃から福岡県神奈川県での定着が確認されており、その後も岡山・三重・静岡などでも見つかり、主に港湾に近い土地に雑草化している[2]。現在では本州東北地方北部を除く)・四国九州に帰化している[5]。日本の広い地域で分布が拡大しており、1996年以降の調査では全国の123河川のうち74河川で生育が確認されている[3]セイタカアワダチソウシナダレスズメガヤといった他の外来植物とともに、河川の在来種の植物の生育を妨げるなど植物相に大きな悪影響を与える恐れがあり、問題視されている[3]。一方で、外来生物法による特定外来生物もしくは要注意外来生物の指定はされていない。

脚注

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  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Verbena brasiliensis アレチハナガサ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年8月25日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 長田武正 1976, p. 141.
  3. ^ a b c 江口佳澄、佐々木晶子、中坪孝之「河川氾濫原における外来草本アレチハナガサの繁殖とその生態学的影響」『保全生態学研究』第10巻第2号、日本生態学会、2005年12月25日、119-128頁、ISSN 1342-4327NAID 110004741107 
  4. ^ 岩槻秀明『最新版 街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2014年、484頁。ISBN 978-4-7980-4136-0 
  5. ^ a b 国立環境研究所. “アレチハナガサ”. 侵入生物データベース ―外来種/移入種/帰化動植物情報のポータルサイト―. 2012年8月13日閲覧。

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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