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アレックス・セント・クレア

アレックス・セント・クレア（Alex St. Clair、1941年9月14日 - 2006年1月5日）は、アメリカ合衆国のロック・ミュージシャン。1964年にキャプテン・ビーフハートことドン・ヴァン・ヴリートとキャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンドを結成したギタリストである。

アレックス・セント・クレア
Alex St. Clair
出生名 アレクシス・クレア・スノウフェー
生誕
死没
ジャンル
職業
  • ロック・ミュージシャン
担当楽器
活動期間
1964年 - 1968年
1973年 - 1974年
レーベル
共同作業者
  • キャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンド（1964年-1968年）
  • キャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンド（1973年-1974年）

略歴 編集

セント・クレアは1941年9月14日、アメリカ合衆国カリフォルニア州でスノウフェー家に生まれた。 出生名はアレクシス・クレア・スノウフェー（Alexis Clair Snouffer）。カリフォルニア州ランカスターのアンテロープ・バレー・ハイ・スクールで同級生のドン・グレン・ヴリートやフランク・ザッパと知り合い、一緒にR＆Bのレコードを聴くようになった[1]。スノウフェーとザッパは知り合って2週間後にそれぞれギターを買い、独学で弾き始めた[2]。また、彼等は学校のバンドに参加して、ザッパはドラムス、スノウフェーはトランペットを演奏した[3]。

ザッパは在学中にR＆Bバンドのザ・ブラック‐アウツ（The Black-Outs[注釈 1]）を結成してドラムスを担当していた[注釈 2][4]が、1959年に単独でロサンゼルスに移った[3]。スノウフェーは残されたザ・ブラック‐アウツのメンバーらとジ・オーメンズ（The Omens）を結成して[注釈 3]1962年まで約4年間活動し、その後、タホ湖のカジノで2年間働いた。

1964年、スノウフェーはランカスターに戻って、ダグ・ムーン[注釈 4]（ギター）、ジェリー・ハンドレー[注釈 5]（ベース・ギター）、ポール・G・ブレイクリー（ドラムス）を集め、ヴリートを誘ってボーカリストとして迎えてブルース・バンドを結成した。彼等はブレイクリーの力量に問題があることがわかると、ザッパがカリフォルニア州のクカモンガに所有していたスタジオZ[注釈 6][5]に出入りしていたヴィック・モーテンセンを代わりに迎えた。この頃、スノウフェーはアレックス・セント・クレア、ヴリートはドン・ヴァン・ヴリートと改名した。

ヴァン・ヴリートは、自分のステージ名を当時ザッパと共同で制作していた低予算のSF映画Captain Beefheart vs. The Grunt People[6][7]の登場人物名であるキャプテン・ビーフハートにし、バンド名をキャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンドにした。やがてモーテンセンがベトナム戦争に徴兵されたので、セント・クレアはリチャード・ヘプナー（ギター）を加入させて自分はドラムス担当になった[8]。1966年、キャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンドはヴァン・ヴリート（ボーカル、ハーモニカ）、セント・クレア（ドラムス）、ムーン（ギター）、ヘプナー（ギター）、ハンドレー（ベース・ギター）の顔ぶれで、A&M・レコードから2作のシングルを発表[9]。その後へプナ―は脱退し、ブレイクリーが再加入してセント・クレアはドラマーからギタリストに戻った[10]。彼等は新設のブッダ・レコードと契約を結び、ブレイクリーに代わるドラマーにジョン・フレンチを迎えて、翌1967年、デビュー・アルバムの制作へと向かっていった[11]。

詳細は「キャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンド」を参照

セント・クレアは3作のアルバム制作に参加した[注釈 7]後、1968年5月のヨーロッパ・ツアーの終了後にハンドレーと共に脱退[12]。1972年の暮れにヴァン・ヴリートの依頼で再加入し[注釈 8][13]、1973年2月からのアメリカ、カナダ、イギリスを廻る4カ月のツアーと、1974年初頭の新作アルバムの制作に参加した[注釈 9]後、1974年5月、ヴァン・ヴリートを除いたメンバー全員と共に再び脱退した[14]。

2006年1月、死去。

キャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドのアルバム『シャイニー・ビースト（バット・チェイン・プラー）』（1980年）の収録曲'Owed T'Alex'は、1966年にセント・クレアの事を取り上げて書かれた曲である[15]。

キャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンドとキャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドにヴァン・ヴリートに次いで長く在籍したフレンチは、著書"Beefheart: Through The Eyes of Magic"をセント・クレアに捧げて、彼を「全てを始めた人物」と呼んでいる[16]。ムーンは同書でフレンチに応じて、グループが結成された当初はヴァン・ヴリートではなくセント・クレアが主導権を握っていたと回想している[17]。

ディスコグラフィ 編集

以下、全てキャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンドもしくはキャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンド名義である。

オリジナル・アルバム
編集アルバム

脚注 編集

[脚注の使い方]

出典 編集

  1. ^ 『グロウ・フィンズ:レアリティーズ 1965–1982』添付ブックレット。16ページ。
  2. ^ 『グロウ・フィンズ:レアリティーズ 1965–1982』添付ブックレット。14ページ。
  3. ^ a b Barnes (2011), p. 12.
  4. ^ Zappa & Occhiogrosso (1989), p. 45.
  5. ^ Zappa & Occhiogrosso (1989), pp. 41–44.
  6. ^ Barnes (2011), p. 14.
  7. ^ Zappa & Occhiogrosso (1989), p. 54.
  8. ^ Barnes (2011), p. 22.
  9. ^ Barnes (2011), pp. 22–26.
  10. ^ Barnes (2011), p. 25.
  11. ^ Barnes (2011), p. 29.
  12. ^ Barnes (2011), pp. 63–65.
  13. ^ Barnes (2011), p. 181.
  14. ^ Barnes (2011), pp. 190–191.
  15. ^ Barnes (2011), pp. 232–233.
  16. ^ French, John (2010), Beefheart: Through the Eyes of Magic, Proper Music Publishing, ISBN 978-0-9561212-5-7 
  17. ^ French (2010), p. 77.

注釈 編集

  1. ^ ザッパの自伝での綴りに準拠。
  2. ^ ザ・ブラック‐アウツのメンバーは、ザッパ、Johnny Franklin、Carter Franklin、Wayne Lyles、Salazar兄弟、Terry Wimberly。
  3. ^ メンバーは、スノウフェー、元ザ・ブラック‐アウツのTerry WimberlyとSalazar兄弟、アンテロープ・バレー・ハイ・スクールでスノウフェー、ヴリート、ザッパの後輩にあたるジム・シャーウッド（サクソフォーン）など。シャーウッドは後年ザッパ率いるザ・マザーズ・オブ・インヴェンションのメンバーになったモーターヘッド・シャーウッドである。
  4. ^ スノウフェー達がアンテロープ・バレー・ハイ・スクールのseniorの時に同校の新入生だった。ザッパの未発表音源集Mystery Disc（1998年）に、1963年にザッパと録音した音源が収録されている。
  5. ^ アンテロープ・バレー・ハイ・スクールのスノウフェー達の3学年後輩。
  6. ^ ザッパは1961年にポール・バフ（Paul Buff）というレコーディング・エンジニアに出会い、レコーディングの基本を学び、1963年にバフがクカモンガに所有していたパル・レコーディング・スタジオを買い取った。
  7. ^ 『セイフ・アズ・ミルク』（1967年）、It Comes To You In A Plain Brown Wrapper（未発表）、『ストリクトリー・パーソナル』（1968年）。
  8. ^ 脱退したエリオット・イングバーの後任。なおバンド名は1970年にキャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドに変わった。また、1968年にセント・クレアとハンドレーが脱退した後、ヴァン・ヴリートはメンバー全員に自分が思いついたステージ名を与えるようになったが、再加入したセント・クレアは例外になった。
  9. ^ 『アンコンディショナリー・ギャランティード』（1974年）。
  10. ^ キャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンドはセント・クレアが在籍していた1967年にIt Comes To You In A Plain Brown Wrapperと題した2作目のアルバムを制作したが、彼等が当時在籍していたブッダ・レコードは、このアルバムの制作を中止させ録音された音源を全てお蔵入りにした。1971年、ブッダ・レコードはこれらの音源の一部をアルバム『ミラー・マン』として発表した。
  11. ^ 1966年にA&M・レコードから発表した2作のシングルを中心に編集された5曲入りの12インチEP。

参考文献 編集

  • Barnes, Mike (2011), Captain Beefheart: The Biography, Omnibus Press, ISBN 978-1-78038-076-6 
  • French, John "Drumbo" (2010), Beefheart: Through the Eyes of Magic, Proper Music Publishing, ISBN 978-0-9561212-5-7 
  • Zappa, Frank; Occhiogrosso, Peter (1989). The Real Frank Zappa Book. Poseidon Press. ISBN 0-671-70572-5 

関連項目 編集

 

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