エリック・キャンベル (野球)

アメリカ合衆国のプロ野球選手

エリック・シングルトン・キャンベルEric Singleton Campbell, 1987年4月9日 - )は、アメリカ合衆国コネチカット州ノーウィッチ出身の元プロ野球選手内野手外野手)。右投右打。

エリック・キャンベル
Eric Campbell
阪神タイガース時代
(2017年8月10日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 コネチカット州ノーウィッチ
生年月日 (1987-04-09) 1987年4月9日(37歳)
身長
体重
6' 3" =約190.5 cm
215 lb =約97.5 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 一塁手三塁手外野手
プロ入り 2008年 MLBドラフト8巡目
初出場 MLB / 2014年5月10日
NPB / 2017年4月25日
最終出場 MLB / 2021年5月29日
NPB / 2017年6月6日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

経歴 編集

プロ入りとメッツ時代 編集

 
ニューヨーク・メッツ時代
(2016年)

2008年MLBドラフト8巡目(全体254位)でニューヨーク・メッツから指名され、プロ入り。契約後、傘下のA-級ブルックリン・サイクロンズでプロデビュー。66試合に出場して打率.260、4本塁打、28打点、1盗塁を記録した。

2009年には、A級サバンナ・サンドナッツで、公式戦95試合に出場。打率.248、5本塁打、47打点、6盗塁を記録した。9月2日にA+級セントルーシー・メッツへ昇格すると、公式戦7試合に出場した。

2010年には、ルーキー級ガルフ・コーストリーグ・メッツ、A+級セントルーシー、AA級ビンガムトン・メッツでプレー。AA級ビンガムトンでは50試合に出場して打率.279、6本塁打、30打点、1盗塁を記録した。

2011年はAA級ビンガムトンでプレーし、126試合に出場して打率.247、4本塁打、46打点、6盗塁を記録した。

2012年もAA級ビンガムトンでプレーし、115試合に出場して打率.297、9本塁打、50打点、10盗塁を記録した。

2013年はAAA級ラスベガス・フィフティワンズでプレーし、120試合に出場して打率.314、8本塁打、66打点、12盗塁を記録した。

2014年には、AAA級ラスベガスで開幕から33試合に出場。打率.355、3本塁打、24打点、3盗塁という成績を残した。5月10日には、メッツとのメジャー契約締結[1]を経てフィラデルフィア・フィリーズ戦でMLB公式戦にデビュー。6回裏に代打として出場すると、犠牲フライでMLB公式戦初打点を記録した[2]。MLB公式戦全体では、85試合の出場で、打率.263、3本塁打、16打点、3盗塁を記録。内外野をこなせるユーティリティープレイヤーとして、左翼手20試合で無失策DRS0、三塁手19試合で1失策・守備率.971・DRS0、一塁手18試合で1失策・守備率.992・DRS + 1、右翼手3試合で無失策・DRS + 1という成績を残した。またこの年に松坂大輔とはチームメイトとなるが、松坂の渡米後初登板である2007年のエキシビジョンゲームで、ボストンカレッジの「9番・三塁手」として先発出場していた(松坂が2回で降板したため対戦はなし)[3]

2015年には、メッツ屈指の人気選手であるデビッド・ライトが故障で戦線を離脱したことを背景に、三塁手としてMLB公式戦へ起用される機会が増加。公式戦71試合に出場すると、前年と同じ3本の本塁打を記録する一方で、打点や盗塁で自己記録を更新した。また、打率.197ながら出塁率.312を記録するなど、選球眼の高さを発揮。守備面では、48試合で三塁を守ったものの、8失策、守備率.921、DRS -3と振るわなかった。その一方で、AAA級ラスベガスの公式戦では、33試合の出場ながら.363という高打率を残している[4]

2016年には、MLB公式戦40試合に出場したが、打率.173、1本塁打、9打点と低迷。その一方で、83試合に出場したAAA級ラスベガスの公式戦では、打率.301、7本塁打を記録した[4]。オフの11月1日に40人枠から外れてマイナー契約でAAA級ラスベガスに降格し、7日にFAとなった[5]

阪神時代 編集

2016年12月2日にNPB阪神タイガースと1年契約を結んだ[6]。三塁手としての起用を想定した契約[7]で、背番号は29[8]。推定年俸は7,000万円[9]

2017年には、スローペースで調整していた春季キャンプ終盤の紅白戦で打席に立った際に、空振りで左手首を負傷[10]。後の診察で腱鞘炎の発症が判明したことを受けて、オープン戦の期間中から患部のリハビリを優先していた[11]。公式戦開幕後の4月12日からウエスタン・リーグ公式戦8試合に出場すると、本塁打こそ出なかったものの、一塁手左翼手にも起用されながら打率.261を記録。4月25日[12]の対横浜DeNAベイスターズ戦(阪神甲子園球場)8回裏に、代打で一軍デビューを果たした。2日後(4月27日)の同カードに「5番・一塁手」として初めてスタメンに起用されると、3回裏の第2打席で一軍初安打、7回裏の第4打席に打った適時打で一軍初打点を記録している[13]。その後はチーム事情で出場の機会がほぼ代打に限られたため、自身の希望で昼に阪神鳴尾浜球場でのウエスタン・リーグ公式戦へ出場してから、夜に甲子園で一軍の公式戦へ臨むこともあった[14]。しかし、5月25日の読売ジャイアンツ戦(甲子園)に「6番・三塁手」としてスタメンに起用されると、一軍公式戦での初本塁打と適時二塁打で3打点を挙げてチームを勝利に導いた[15]。だが以降は25打席連続無安打を喫するなど打撃が振るわず、6月7日に出場選手登録を抹消[16]。さらに、この事態を重く見た球団がジェイソン・ロジャースを獲得した7月以降は、一軍に復帰できなかった。後にロジャースも二軍へ降格したため、9月28日にウエスタン・リーグの最終戦(甲子園での対広島東洋カープ戦)へロジャースと共にスタメンで出場すると、一軍のレギュラーシーズン終了を待たずにアメリカへ帰国した[17]。オフの11月30日、日本野球機構に提出する保留者名簿が期限を迎え、ルイス・メンドーサ、ロジャース、ロマン・メンデス、キャンベルの4選手が退団になった。12月2日、自由契約公示された[18]

マーリンズ傘下時代 編集

2018年マイアミ・マーリンズとマイナー契約を結び、招待選手としてメジャーのスプリングトレーニングに参加した。シーズンでは傘下のAAA級ニューオーリンズ・ベビーケークスでプレーし、95試合に出場して打率.313、6本塁打、68打点、8盗塁を記録した。オフの11月2日にFAとなった[5]

アスレチックス傘下時代 編集

2019年1月24日にオークランド・アスレチックスとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加することになった。シーズンでは傘下のAAA級ラスベガス・アビエイターズ[19]でプレーし、94試合に出場して打率.276、16本塁打、65打点、6盗塁を記録した。オフの11月25日に再びアスレチックスとマイナー契約を結び、2020年のスプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[20]2020年12月2日にFAとなった[5]

マリナーズ時代 編集

2021年より、現役を引退してアメリカ北東部の大学野球サマーリーグであるフューチャーズ・カレッジエイト・ベースボール・リーグ英語版に所属するノーウィッチ・シーユニコーンズ英語版の監督に就任した[21]が、5月に現役復帰を発表してシアトル・マリナーズとマイナー契約を結び、同月21日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[22]。5月31日に傘下のAAA級タコマ・レイニアーズへ降格し、6月2日に40人枠から外れてマイナー契約となった(そのままAAA級タコマに所属。)[23]。その後、複数回の負傷者リスト入りを経て、同年7月28日に再び引退した[5]

選手としての特徴 編集

AAA級では、2013年から4シーズン続けて3割台の打率を記録している[4]。守備面では、マイナーリーグ時代に、捕手中堅手以外のポジションで公式戦に出場した経験をもつ[5]。2014年から2016年までのMLB公式戦には、三塁手として通算74試合、一塁手として44試合、左翼手として26試合、右翼手として3試合、二塁手・遊撃手として2試合ずつ起用。さらに、シーズンを通じてラスベガスに所属していた2013年には、投手としてAAA級の公式戦1試合に登板している[7]

人物 編集

14世紀スコットランド国王ロバート1世の遠い血縁に当たるとする説があるが[24]、キャンベル自身は否定している[25]

詳細情報 編集

年度別打撃成績 編集

















































O
P
S
2014 NYM 85 211 190 16 50 9 0 3 68 16 3 0 0 3 17 0 1 55 5 .263 .322 .358 .680
2015 71 206 173 28 34 8 0 3 51 19 5 3 1 2 26 1 4 37 11 .197 .312 .295 .607
2016 40 88 75 9 13 1 0 1 17 9 1 0 0 1 10 1 2 24 2 .173 .284 .227 .511
2017 阪神 21 54 47 5 9 2 0 1 14 5 0 0 0 0 7 0 0 17 2 .191 .296 .298 .594
2021 SEA 4 12 11 1 3 0 0 0 3 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 .273 .333 .273 .606
MLB:4年 200 517 449 54 100 18 0 7 139 44 9 3 1 6 54 2 7 117 18 .223 .312 .310 .622
NPB:1年 21 54 47 5 9 2 0 1 14 5 0 0 0 0 7 0 0 17 2 .191 .296 .298 .594
  • 2021年度シーズン終了時

年度別守備成績 編集

内野守備


一塁 二塁 三塁 遊撃
















































2014 NYM 18 125 5 1 15 .992 1 3 3 0 2 1.000 19 5 28 1 3 .971 2 1 1 0 0 1.000
2015 5 30 3 0 4 1.000 - 48 28 65 8 5 .921 -
2016 21 114 12 1 11 .992 1 1 0 0 0 1.000 7 2 6 0 0 1.000 -
2017 阪神 5 34 2 1 4 .973 - 7 3 7 2 1 .833 -
MLB 44 269 20 2 30 .993 2 4 3 0 2 1.000 74 35 99 9 8 .937 2 1 1 0 0 1.000
NPB 5 34 2 1 4 .973 - 7 3 7 2 1 .833 -
外野守備


左翼 右翼
























2014 NYM 20 18 2 0 1 1.000 3 6 0 0 0 1.000
2015 4 8 1 0 0 1.000 -
2016 2 2 0 0 0 1.000 -
MLB 26 28 3 0 1 1.000 3 6 0 0 0 1.000
  • 2020年度シーズン終了時

記録 編集

NPB

背番号 編集

  • 29(2014年 - 2017年)
  • 5(2021年)

登場曲 編集

脚注 編集

  1. ^ Anthony DiComo (2014年5月10日). “Mets set to call up Campbell from Triple-A”. MLB.com. 2014年5月11日閲覧。
  2. ^ Scores for May 10, 2014”. ESPN MLB (2014年5月10日). 2014年5月11日閲覧。
  3. ^ Boxscore: Boston College vs. Boston - March 2, 2007”. MLB.com (2007年3月2日). 2019年9月8日閲覧。
  4. ^ a b c 阪神新助っ人候補、右打ち三塁キャンベルにオファー”. 日刊スポーツ (2016年11月19日). 2016年12月19日閲覧。
  5. ^ a b c d e MLB公式プロフィール参照。2022年10月28日閲覧。
  6. ^ エリック・キャンベル選手との契約締結について 2016年12月3日閲覧。
  7. ^ a b スポーツニッポン (2016年12月18日). “虎新助っ人キャンベルは七刀流?捕手、中堅以外OK 登板経験も”. 2016年12月19日閲覧。
  8. ^ 背番号の決定について 阪神タイガース 2016年12月3日閲覧。
  9. ^ SANKEI DIGITAL INC (2016年12月2日). “【プロ野球】阪神が新外国人キャンベル獲得、ゴメスに替わる右の三塁手”. 産経ニュース. 2021年9月4日閲覧。
  10. ^ 阪神キャンベル負傷で病院直行 開幕三塁構想に暗雲 日刊スポーツ 2017年3月18日閲覧。
  11. ^ 阪神キャンベル、けんしょう炎離脱 鳴尾浜で別調整 日刊スポーツ 2017年3月18日閲覧。
  12. ^ 初昇格の阪神キャンベル一塁、三塁、左翼で守備練習 日刊スポーツ 2017年4月25日閲覧。
  13. ^ 阪神・キャンベルが来日初打点 初スタメンでマルチ安打 デイリースポーツ 2017年4月27日
  14. ^ 阪神キャンベルが助っ人では異例の親子試合 チーム関係者も同情 東京スポーツ 2017年5月16日
  15. ^ 阪神キャンベル1号「これだけ時間がかかるとは」 日刊スポーツ 2017年5月25日
  16. ^ 二軍で好調の阪神新井が一軍昇格、キャンベルが降格 日刊スポーツ 2017年6月7日
  17. ^ “ジェイソン・ロジャース選手の帰国について”. 阪神タイガース. (2017年9月28日). http://hanshintigers.jp/news/topics/info_5189.html 2017年10月3日閲覧。 
  18. ^ 自由契約選手 | 2017年度公示”. 日本野球機構 (2017年12月2日). 2017年12月6日閲覧。
  19. ^ 2019年にラスベガス・フィフティワンズより球団名変更及びアスレチックス傘下
  20. ^ Ian Browne (2019年11月25日). “A's ink Campbell, Goins, 7 more to Minors deals” (英語). MLB.com. 2019年12月20日閲覧。
  21. ^ Norwich Sea Unicorns hire Eric Campbell as manager”. MiLB.com (2021年4月29日). 2021年5月5日閲覧。
  22. ^ Mariners Place Four Players On Covid-Related Injured List” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年5月22日閲覧。
  23. ^ Anthony Franco (2021年6月2日). “Mariners Place Justin Dunn On Injured List, Outright Eric Campbell” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年6月3日閲覧。
  24. ^ 「ニューヨーク・メッツ」『2016MLB選手名鑑全30球団コンプリートガイド』 日本スポーツ企画出版社 79頁
  25. ^ キャンベル、国王の末えいではなかった 「そういう話は聞いたことがない」 2017年1月28日 デイリースポーツ

関連項目 編集

外部リンク 編集