日本語でキラーソフトというと、キラーアプリケーションのなかで、特定の家庭用ゲーム機]や携帯ゲーム機が普及することに貢献したソフトウェアである[1]和製英語。文献によってはキラーアプリケーションという項目の中でこの「キラーソフト」についても(ついでに)説明している(IT用語辞典BINARYなど)。英語でも同様である(概要の節で説明)。

概要編集

本来の英語の表現、和製英語の由来

英語ではkiller-applicationあるいはkiller game あるいはsystem-sellerと呼ばれる[2][3][4][5]。英語では基本的にはkiller application(キラーアプリケーション)という用語で、ビジネス用アプリケーションソフトも、個人用アプリケーションソフトも、ゲーム用ソフトも、ともかくプラットフォームや機種の売上に貢献するアプリケーションソフトをまとめて扱ってしまうことが多い。英語では「soft」がゲームソフトだけを指すとは絶対に考えない。そもそも「アプリケーション」というのはアプリケーションソフトウェアを短縮した表現で、ビジネス用アプリケーションソフトだけでなくゲームソフトも紛れもなくアプリケーションソフトウェアの一種だから、英語のネイティブは少し頭を働かせて、あるプラットフォームや機種の売上に貢献したアプリケーション・ソフトウェアであれば全部「キラーアプリケーション」という用語の中で扱う。基本的に一つの言葉「キラーアプリケーション」で済ませてしまうのである。

どうして日本でこんな呼び方をされるようになってしまったか由来は不明だが、日本ではゲーム機に関しては「キラーソフト」という言葉が使われていた[6]

英語ではそもそも「killer application」とか「killer app」という言い方はあるが、killer softとは言わない。またゲーム機の売上に貢献したゲームソフトだけを指したいときに「キラーソフト」と呼ぶことは無い。(ともかく英語がまともに話せる人にとっては、「softソフト」や「software ソフトウェア」では範囲が漠然としすぎているのである。英語ネイティブはせめてもう少し限定してアプリケーション(や 略してアプリ)と呼ぶ。

意味

英語ではkiller applicationやsystem-sellerという用語でまとめて論じることが多いわけだが、いずれも意味は基本的に同じであり、基本的にはキラーアプリケーションの定義文(一般論)をじっくり読めば、あとは個別の分野の話に置き換えるだけの話であり、ビジネス用ソフトウェアのキラーアプリについて理解できれば、ゲーム機に関連してen:killer application(「キラーソフト」)という場合も何のことを指しているか分かる。パソコンの領域に関して「キラーアプリケーション」と言えば、特定のパソコン機種の売上に貢献した(売上を牽引した)アプリケーションソフトのことを指しているわけなので、同様に、ゲームソフトの領域で英語でen:killer application(日本語でキラーソフト)と言えば、特定のゲーム機の売上を牽引したゲームソフトのことを指す。

真っ先に挙げられる例

IT用語辞典BINARYは【キラーアプリケーション】という項目の末尾にゲームソフトの事例も挙げており、例えばファミリーコンピュータにおける「スーパーマリオブラザーズ」はキラーアプリケーション(キラー・ゲームソフト)であったわけであるし、ニンテンドーDSにおける「脳を鍛える大人のDSトレーニング」(脳トレ)なども、キラーソフトであったということができる[6]とした。

世界のキラーソフトの例編集

キラーソフトだと信頼できる情報源にて記述が(日本語であれ英語であれ他の言語であれ)確認できた作品を挙げる。上で挙げた出典のIT辞書BINARYでも「[AAA]というコンソールの、[XXX]というゲームソフト」という形式でも挙げているので、当記事でも「[ゲーム機種名] の [ソフト名]」という形式で挙げる。(出典通りの順番に挙げるべき。逆順に挙げると独自研究ぎみである)。機種とソフトの結合関係がその機種の売上を強力に牽引しているのだから、機種名とソフト名を並べて列挙する。ただしアーケードゲームをゲーム機に移植したものは、その後ろに(アーケードゲームから移植)と書く。あえてソフト制作会社の会社名は省く(キラーアプリは制作会社と結びつく概念ではなく、機種名と結びつく概念だからである。(なお読者がもし制作会社を知りたいならマウスのポインタをソフト名に合わせると制作会社名はポップアップで表示されるので簡単に知ることができる)。

当時ギネスブックに「世界一売れたゲーム」として登録されており、世界的にファミリーコンピュータの売上に貢献した。(ちなみにこの記録を抜いたのは後の『Wii Sports』である)。
ソ連製の落ち物パズルゲームで、セガの移植でアーケードゲームで流行していたものをゲームボーイ発売直後に任天堂が権利を取得してゲームボーイに移植して発売した。老若男女を問わない単純で分かりやすいこのゲームがゲームボーイを牽引したと任天堂社長だった山内溥が語っており、400万本以上が売れてゲームボーイの爆発的普及に繋がった[10][11]
オリジナルはアイレムのアーケードゲームで、PCエンジンへの移植にあたっては容量の都合から前半と後半の4面ずつに『R-TYPEI』と『R-TYPEII』に分けてリリースされた。前半ステージを収録した『I』は、アーケードゲームと遜色ない移植として、PCエンジン本体の売れ行きを伸ばす起爆剤となった[12]
任天堂のマリオに対抗するべくセガが生み出したキャラクターによる超音速アクションゲーム。メガドライブの高速処理能力をふんだんに生かし、世界で1500万本が売れて、メガドライブ本体の売れ行きを伸ばす起爆剤となった。
1992年夏にスーパーファミコンに移植され、発売直後にミリオンセラー。累計で600万本が売れて、スーパーファミコン本体の需要を引っ張る原動力となったソフト[14]
元のアーケードゲームは世界初の3Dポリゴン対戦格闘ゲームで従来の対戦格闘と異なる斬新な要素は多くのファンを獲得し、セガサターンに移植したことで初期のセガサターンの普及を支えた。
プレイステーション(初代)と同時発売のローンチタイトル。まだプレイステーションを所有していないユーザーがゲームソフトだけ先に購入して、一時は本体を上回る本数が出荷されていた。スーパーファミコン世代のマシンでは不可能な3D表示能力を見せつけプレイステーションの売上げを牽引した[18][19]
「2バーション同時発売」や「バージョン間での通信対戦・交換」などといった斬新な要素で口コミが広まり、当時ポリゴン表示が可能なプレイステーションセガサターンといった据置機の台頭で縮小していたゲームボーイ本体の売上を復活させた。2バージョン合計の出荷本数は822万本と上記の『スーパーマリオブラザーズ』を上回る。
日本国内で320万本を売り上げたRPGで、シリーズで初めて任天堂以外のハードから発売されたことやシリーズ初のフルポリゴン化、ムービーの採用でも話題になり、前作を大幅に上回る売り上げを達成しPlayStationの販売にも貢献した。
グランツーリスモ3(GT3)と言えば英語圏では真っ先に思い浮かべるのが「PS2のkiller app」という呼び方[21]。欧米では自動車のエンスージアスト(熱狂的なファン)や自動車レース好きの人口比率が日本に比べてはるかに高く、PS2のグラフィックエンジンの能力を存分に引き出したグランツーリスモ3のリアルな3Dは欧米で大反響を呼び、PS2とグランツーリスモ 3の同梱版も用意され[22]、GT3は世界で1489万本売れ、PS2の世界での売上を牽引した。(ただし日本はエンスージアストの割合が極端に低くGT3の売上は100万本超といったところなので、日本人の中にはGT3が世界的なキラーアプリだということに気づいていない人が相当数いる。)
日本においてそれまでのゲームキューブ普及台数約30万台を上回る初週売上約35万本を記録、そのままハード売上を牽引して日本で最も売れたゲームキューブ用ソフトとなった。
口コミや報道などで話題を呼び、「脳トレ」という流行語を生んだ。国内400万本近くを販売し、DSの普及を牽引した。
日本国外ではWii本体とのセットで販売され、Wiiの特徴や長所を購入者にいきなり体験させ知らしめる役割を果たし、Wiiの売上を牽引した。世界累計売上本数は8000万本以上と上記の『スーパーマリオブラザーズ』を抜いて世界で最も売れたゲームとなった。
実際の売上は10万本程度ながら本作の発売後からXbox Liveの加入率で日本が世界一になり、国内のみの販売ながらダウンロードコンテンツの売上は世界第3位に位置づけられるなど、Xbox Liveについてはキラータイトルとして挙げられる。
『ポータブル 2nd』ではPSPの作品としては日本国内で初となるミリオンセラーを達成し[26]、『ポータブル 2nd G』はPSPにおいて世界で最も売れたタイトルとなり、『ポータブル 3rd』においてはPSPの作品として最も速く出荷本数400万本に到達[28]するなど、日本におけるPSP本体の普及を促進させる一因となった。
「インクを発射し、地面に撒き散らして縄張りを張る」や「ジャイロセンサーで照準操作」で話題を集めたTPS。当時販売不振だったWii Uの販売台数を押し上げ、日本国内の同ハードで最も売れたゲームソフトとなった。任天堂の第5代代表取締役社長である君島達己は本作について、「1本のソフトがハードの流れを変えることが当社の歴史上、何回も起こっている。スプラトゥーンも『これがあればハードごと買ってもいい』と多くの方に思っていただけるソフト」と評している[29]
発売前からキラータイトルとして期待されており、初週の売上は推定64.6万本で、前作『スプラトゥーン』の初週14.7万本を大きく上回った。また、『マリオカート8 デラックス』の63.9万本を上回り、Nintendo Switch用ソフトにおける過去最高の販売本数を初週で更新した[31]
初週の売上は推定183.2万本で、シリーズ最高の初週売上を記録すると同時に、Nintendo Switch用ソフトとして歴代1位の初週売上を記録した[32]。また、日本国内ゲームソフト売上本数が1位(950万本)で、世界でも販売本数が発売1年で3,263万本を記録した[34]

出典編集

  1. ^ 小学館『デジタル大辞泉』【キラーソフト】[1]
  2. ^ [2]
  3. ^ Christopher Dring (2013年10月14日). “Titanfall 'will be a big, big system seller for Xbox One'”. MCV. 2014年4月2日閲覧。
  4. ^ Daniel Kaszor (2014年3月10日). “Titanfall is great, but it’s probably not the console seller Microsoft is hoping it would be”. Financial Post. 2014年4月2日閲覧。
  5. ^ Johnny Hart (2014年3月14日). “Respawn engineer: System seller ‘Titanfall’ not originally intended for Xbox One”. Examiner.com. 2014年4月2日閲覧。
  6. ^ a b キラーアプリケーション IT用語事典BINARY ウェブリオ株式会社
  7. ^ a b キラーアプリケーションとは(killer application)、『IT用語辞典バイナリ』(Weblio運営)
  8. ^ 企画・監修 東京都写真美術館『ファミリーコンピュータ 1983-1994』太田出版、2003年、p.109
  9. ^ 横井軍平、牧野武文『横井軍平ゲーム館』アスキー、1997年、p.140
  10. ^ 井上理『任天堂 驚きを生む方程式』日本経済新聞出版社、2009年、p.214
  11. ^ 馬場宏尚『任天堂が危ない』エール出版社、1993年、p.145
  12. ^ a b 「ゲーム19XX年」『ユーズド・ゲームズ』1999 AUTUMN VOL.12、キルタイムコミュニケーション、p.93
  13. ^ 馬場宏尚『任天堂が危ない』エール出版社、1993年、p.16
  14. ^ 馬場宏尚『任天堂が危ない』エール出版社、1993年、pp.27、171
  15. ^ a b ウワーマン (2020年3月20日). “3DO REALが日本で発売された日。『スパIIX』や『Dの食卓』、『ポリスノーツ』がいち早く遊べた大手電機メーカー開発の変わり種ハード【今日は何の日?】”. ファミ通. KADOKAWA. 2020年5月30日閲覧。
  16. ^ 電撃PlayStation400号(メディアワークス刊)
  17. ^ 山下敦史『プレイステーション大ヒットの真実』日本能率協会マネジメントセンター、1998年、p.120
  18. ^ 岩谷徹『パックマンのゲーム学入門』エンターブレイン、2005年、p.80
  19. ^ 麻倉怜士『ソニーの革命児たち』IDGコミュニケーションズ、1998年、p.106
  20. ^ 10th Anniversary PlayStation & PlayStation2全ソフトカタログ」(メディアワークス刊)
  21. ^ [3]
  22. ^ The PlayStation 2 GT3 Racing Pack
  23. ^ ディーン・タカハシ『マイクロソフトの蹉跌 プロジェクトXboxの真実』ソフトバンクパブリッシング、2002年、p.440
  24. ^ 田下広夢 (2008年1月21日). “【ゲーム業界ニュース】スマブラXはそんなに売れるのか!?”. All About. 2011年9月12日閲覧。
  25. ^ 夕刊フジBLOG:「アイマス」人気で、「Xbox Live」加入率が世界一!”. 夕刊フジ (2007年3月3日). 2008年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年9月12日閲覧。
  26. ^ a b 『モンハンポータブル2nd』がPSP初のミリオンタイトルに!”. ファミ通.com (2007年3月6日). 2011年9月12日閲覧。
  27. ^ 田下広夢 (2008年5月11日). “【ゲーム業界ニュース】結局PSPをどうするのか”. All About. 2011年9月12日閲覧。
  28. ^ カプコンの『モンスターハンターポータブル 3rd』が発売1ヶ月間で国内400万本を突破!~ 2010年度国内市場の販売No.1タイトルを目指す ~”. カプコン. 2011年9月12日閲覧。
  29. ^ 「スプラトゥーン」は任天堂を救うか 「ピクミン」以来の意欲作が大ヒット! (4/6ページ)”. SankeiBiz (2015年12月19日). 2020年11月27日閲覧。
  30. ^ 7/21「Nintendo Switch」最大のキラータイトル「スプラトゥーン2」発売! いまだに続く本体品薄状況にイライラも”. 価格.comマガジン (2017年7月26日). 2020年11月22日閲覧。
  31. ^ 【週間ソフト販売ランキング TOP50】スイッチ『スプラトゥーン2』が64.6万本で1位(7月17日~23日)”. 電撃オンライン (2017年7月27日). 2020年11月22日閲覧。
  32. ^ a b 【週間ソフト販売ランキング TOP50】『あつまれ どうぶつの森』が183.2万本(3月16日~22日)”. 電撃オンライン (2020年3月26日). 2020年11月22日閲覧。
  33. ^ 任天堂「あつ森」で月40万円稼いだ28歳転売ヤー。驚きの手口とは”. bizSPA!フレッシュ (2020年7月2日). 2020年11月22日閲覧。
  34. ^ 任天堂が2020年度の決算を発表。売上高1兆7589億円、純利益4803億円(前期比85.7%増)に。『あつ森』累計販売3263万本”. ファミ通 (2021年5月6日). 2021年5月14日閲覧。