グランドセイコー

グランドセイコー。SBGR037。

グランドセイコーGrand Seiko)とは、日本の腕時計メーカーであるセイコーが所有する高級腕時計ブランドのひとつ。

日本国内で部品生産から組み立てまで一貫して専門の時計師集団によって作られている。バーゼル・フェアで毎年新作コレクションを発表し、最高レベルの実用腕時計ブランドとして各方面から高く評価されている。

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特徴編集

 
グランドセイコー SBGW005

ブランドコンセプトは「最高の普通」、「実用時計の最高峰」。 初代モデルは1960年に諏訪精工舎(現セイコーエプソン)が、従来最高級モデルであった「ロードマーベル」の更に上級のラインとなる国産最高級腕時計を標榜して開発、発売した。

初期は諏訪製の在来高級モデルの精度と外装仕上げ高度化からスタートしたが、その後1960年代を通じた発展で、当時のセイコーにおけるもう一つの腕時計製造部門である東京・亀戸の第二精工舎(現セイコーインスツル。愛好者からは諏訪精工舎と対比して「亀戸」と通称される)も並行して開発を手掛けるようになった。諏訪、亀戸両社の系列内競合開発過程で、専用の高精度・高振動ムーブメントと質実剛健な外装デザインによる、独特のキャラクターを確立した。

グランドセイコーは、長年、基本が変わらない普遍的なデザインを踏襲しつつ、その時々における最高の技術を投入して作られている。常に極限までの精度、信頼性と仕上げを追究し、決して派手ではないが、スーツなどのフォーマルなスタイルにもカジュアルにも似合うシンプルで上質なデザインが特徴とされている。

また、セイコーが27年間の年月を掛けて完成させた、機械式、クォーツに続く第3の革新的な時計駆動方式であるスプリングドライブを採用していることも特徴である。 機械式、クオーツ、スプリングドライブの3つの駆動装置をつくることができる時計メーカーは世界で唯一、セイコーだけである。なお、スイスの高級腕時計メーカーからスプリングドライブの供給を打診されたセイコーは断ったと言われている[1]

実績編集

スイスニューシャテル天文台とジュネーブ天文台ではクロノメーター検定(精度が基準値を上回るかどうかの検定。順位発表無し)や、スイスの時計業界の技術向上を目的としてクロノメーターコンクール(順位発表有り)を開催していた。

1964年にクロノメーターコンクールに初出展して以降年々順位を上げていたセイコーは、1967年にコンクールで高得点を獲得することを目的として開発した専用のムーブメントCal.052[2]をもって4度目の挑戦を行う。 結果2位を獲得し、スイスの時計業界に対してその存在感を見せ付けることとなった。[3] 1967年のコンクールでは検定途中に順位発表は行わず、参加企業にだけ伝えるという運営規則の変更が成された。これは上位をセイコーが独占しその結果スイス時計の精度が疑われるような事態を避けるためだと言われている。 なお1967年以降、ニューシャテル天文台ではコンクールは一度も開催されていない。 翌1968年のジュネーブ天文台コンクールではセイコーが総合4~10位を独占。1〜3位はスイスのクウォーツ式の時計だったので機械式では実質世界一の精度だった。 こちらのジュネーブ天文台コンクールも1968年以降コンクールは一度も開催されていない。 この開催中止についてスイス側はクォーツ式の登場などにより、精度を競うコンクールの意味が無くなったためと説明しているが、実際はスイス以外の時計メーカーがコンクールで上位を独占するのを避けるためだったと言われている。 更にこれらコンクールの出品者(時計調整者)のうちの一人である中山きよ子は天文台コンクール170年の歴史上初めての女性であったことも特筆される。

1968年、ニューシャテル天文台のクロノメーター検定に、セイコーは100個のグランドセイコーをエントリーし、その内73個が合格した。セイコーは合格した73個のグランドセイコーを1969年に「実用できる」時計として一般向けに18万円で発売している。

続く1969年から1970年にかけて、合格した153個の"Cal.4580"を、45グランドセイコーV.F.A.として市販した。こうしてグランドセイコーは機械式時計として精度と信頼性で世界の頂点に立った。

規格編集

ロレックス等のスイス高級時計メーカーは自社製品がスイス公認クロノメーター規格の検査に合格することが、高級時計である証のひとつだとしている。一方、セイコーは公認クロノメーター規格よりさらに厳しい検査基準を制定し、これを「グランドセイコー規格」(GS規格)とした。1960年代中期以降のグランドセイコーは全てグランドセイコー規格に合格したものである。

発売当初「クロノメーター」を名乗っていたものの、スイス公認試験を直接受けていない製品がクロノメーターを名乗ることにスイス側から批判があり、このためクロノメーターの呼称を取り下げたうえで、より厳しい自社規格のGS規格を制定してこれにもとづく製造、調整を図るようになった事情があった。

1969年、機械式腕時計のそれまでの常識を覆し、天文台クロノメーター基準をも超える月差60秒というグランドセイコーV.F.A.(Very Fine Accuracy )規格を制定。61グランドセイコーV.F.A(諏訪精工舎・自動巻)、45グランドセイコーV.F.A.(第二精工舎・手巻)が登場した。

1988年、新しいグランドセイコー規格とともに、年差10秒を実現した最高級クォーツとしてグランドセイコーが復活。

1998年、新時代の(機械式)グランドセイコー規格とともに、機械式グランドセイコーが復活した。

保守編集

セイコーは、グランドセイコーの修理に必要な部品もしくは代替部品をムーブメント(時計駆動装置)含む製品生産終了時点から最低10年間は保持することを公称している。

現在、1988年以降に作られたグランドセイコーのムーブメントは全て生産が継続している。なお、スイスの高級時計メーカーではロレックスを除いて部品の長期保持を公表している時計メーカーはない。

歴史編集

  • 1960年12月 - 初代グランドセイコーが諏訪精工舎で開発、発売。外装仕上げを従来最高級型のロードマーベル以上にグレードアップした。搭載したCal.3180は、マーベル(1956年発売)→ロードマーベル(1958年発売)系統のキャリバーよりも基本開発年次が新しく、サイズも大きくて構造面でのゆとりがある高級腕時計「クラウン」(1959年発売)用5振動Cal.560をベースに強化、高度に調整して精度を高めたものである。発売時の価格は25000円で、1960年の上級国家公務員初任給が12,000円であった当時、日本製腕時計でも破格の高級品であった。
  • 1964年 - 2代目グランドセイコー(430)登場。カレンダー搭載モデルの誕生。
  • 1966年 - 初の自動巻グランドセイコー(62GS)が登場。
  • 1967年 - 第二精工舎(亀戸)がグランドセイコーの生産を開始(44GS)。
  • 1968年 - 高振動機械を搭載した45GS(手巻・亀戸)、61GS(自動巻・諏訪)が登場。ニューシャテル天文台クロノメーター検定にキャリバー4520Aを出品。
  • 1969年 - 前年に天文台クロノメーター検定に出品・合格した73個を天文台クロノメーターとして販売。
  • 1969年 - 天文台クロノメーター検定に30個の個体を出品し25個が合格。(キャリバー4580)。
  • 1970年 - 天文台クロノメーター検定に150個の個体を出品し128個が合格。(キャリバー4580)。
  • 1970年 - 薄型小型軽量化を進めた56GS(自動巻・諏訪)が登場。
  • 1975年 - クオーツの普及とともに高級実用機としての使命を終え、一旦姿を消す。
  • 1988年 - 高級クオーツとしてグランドセイコーが復活。
  • 1993年 - 高級クオーツキャリバー9F系を搭載したグランドセイコーが登場。
  • 1998年 - 機械式のグランドセイコーが復活。新設計の9S系ムーブメントを搭載。
  • 2004年 - スプリングドライブ(キャリバー9R65)搭載モデルが登場。
  • 2007年 - スプリングドライブ クロノグラフモデル(キャリバー9R86)が登場。
  • 2009年 - 10振動の機械式モデル(キャリバー9S85)が登場。

脚注編集

  1. ^ 日本が誇る「最高の普通」 グランドセイコー [1]
  2. ^ 雫石時計工房の製品 キャリバー052 [2]
  3. ^ 世界の腕時計 No.11 ワールドフォトプレス (2002/01) ISBN 978-4846520441

参考文献編集

外部リンク編集