コゴメウツギ(小米空木[6]学名: Stephanandra incisa)は、バラ科コゴメウツギ属落葉低木生垣などに利用される[7]

コゴメウツギ
福島県会津地方 2008年5月
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : シモツケ亜科 Spiraeoideae
: コゴメウツギ属 Stephanandra
: コゴメウツギ
Stephanandra incisa
学名
Neillia incisa (Thunb.) S.H.Oh (2006)[1]
シノニム
和名
コゴメウツギ(小米空木)

名称 編集

和名「コゴメウツギ」の由来は、アジサイ科ウツギに似た花をつけ[7]、小さな白い花を粒に見立てたことによる[6]中国名は、「冠蕊木」(小米空木、深裂野珠蘭)[1]

分布と生育環境 編集

日本朝鮮半島[7]中国[7]台湾の東アジア地域に分布する。日本では、北海道日高地方)、本州四国九州に分布する[6]。低山地や丘陵地に生え、林縁などでふつうに見られる[7][6][8]

特徴 編集

落葉広葉樹低木で、高さは1 - 2メートル (m) になる[6]。樹形は株立ちになり、細いをよく分枝して[6]、主幹の先端は下に垂れる。若い枝は紅褐色を帯びて軟毛があり、細くて折れやすい[6]。樹皮は淡灰褐色で薄くはがれる[8]。一年枝は茶褐色で毛があり、ごく細くてジグザグに曲がり、2本平行して出ることがある[8]

は、長さ3 - 7ミリメートル (mm) の葉柄をもって枝に互生し、形は三角状広卵形[6]。葉の先端は尾状に伸びて尖り[6]、基部は心形または切形になり、葉身は長さ2 - 4センチメートル (cm) [7]、幅1.5 - 3.5 cmになる。葉の両面に軟毛があり[7]、裏面に5 - 7対の側脈がある。葉縁は羽状に中裂または浅裂し、裂片は重鋸歯になる[6]

花期は5 - 6月[6]。今年枝の先端や葉腋から、花序軸を伸ばして総状花序を出し、径4 - 5 mmの黄白色の5弁を多数咲かせる[7][6]裂片は長さ2 mmで5個、花弁は萼裂片より長い。雄蕊は10本あり、花弁より短く、雌蕊は1個で直立する[6]果実は球形で[6]、長さ2 - 3 mmの袋果となり、基部には萼が残る[7]。冬に果実が残っていることも多い[8]

冬越しの際に小枝の先端が枯れて、卵型で紅紫色の冬芽が枝に互生する[8]。冬芽は芽鱗5 - 8枚に包まれており、葉痕との間に副芽をつけることが多い[8]。葉痕は三角形で托葉痕があり、維管束痕が3個見られる[8]

下位分類 編集

  • シマコゴメウツギ Neillia incisa (Thunb.) S.H.Oh var. macrophylla (Hid.Takah.) Yonek. [9]

脚注 編集

参考文献 編集

  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、160頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』 5巻、学習研究社〈増補改訂 ベストフィールド図鑑〉、2009年8月4日、79頁。ISBN 978-4-05-403844-8 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、178頁。ISBN 4-522-21557-6 
  • 佐竹義輔ほか編『日本の野生植物 木本Ⅰ』平凡社、1989年。