ゴルゴノプス (Gorgonops) は古生代ペルム紀後期の約2億4,800万年前に現在の南アフリカに生存していた単弓類絶滅した属名の由来は、ギリシア神話ゴルゴーンから。1876年、リチャード・オーウェンによって命名された。模式種は G.torvus。当時としては極めて強力な捕食者であったが、ペルム紀末(P-T境界)の大絶滅を生き延びることはできなかった。

ゴルゴノプス
生息年代: 古生代ペルム紀後期ウージャーピン期,
260–254 Ma
ゴルゴノプスの復元図
ゴルゴノプスの復元想像図
地質時代
ペルム紀後期
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱 : 四肢動物上綱 Tetrapoda
: 単弓綱 Synapsida
: 獣弓目 Therapsida
階級なし : 獣歯類 Theriodontia
亜目 : ゴルゴノプス亜目 Gorgonopsia
: ゴルゴノプス科 Gorgonopsidae
: ゴルゴノプス属 Gorgonops
学名
Gorgonops
Owen1878
  • G. torvus模式種
  • G. longifrons
  • G. whaitsi
  • ?G. dixeyi
  • ?G. kaiseri
  • ?G. eupachygnathus

特徴と生態編集

全長2メートルほどの大型の捕食動物(2メートルという大きさはゴルゴノプス類の中では大型の部類であり、標準的な体躯のリカエノプスの約2倍である)。ペルム紀後期に繁栄した捕食者、ゴルゴノプス亜目の代表的なである。同グループには、最大種イノストランケビアの様に、4メートル以上に達するものも存在した。

下顎下端に達するほどの長い犬歯と発達した切歯をもち、顎関節は90度近く開いた[1]。また、ディノケファルス類などといったそれまでの肉食獣弓類と異なり、下顎に筋突起が発達し始めている。そのため咬む力も大きかったと思われる。とはいえ、より派生的な獣歯類のテロケファルス類キノドン類よりも筋突起の発達具合は弱い。

彼らはこういった犬歯や顎を用いて、ディノケファルス類ディキノドン類パレイアサウルス類分椎類などを捕食していたと思われる。特にパレイアサウルス類は皆、皮骨性の装甲をまとっていたため、長大な犬歯はそれを貫くためのものだったのではないかと推測されている。犬歯の厚みは後の剣歯虎よりもやや厚いが、基本的にはサーベル状の薄く鋭利な構造だった。

ゴルゴノプスの歯は、顎前方の切歯と犬歯が長く発達している一方で、後方の頬歯は短く退化気味である。(一部の種では完全に頬歯が消失している。)

脳の研究からゴルゴノプスを含むゴルゴノプス類は、通常姿勢では鼻先をやや下に傾斜させていた事が示されている。

顎骨に多数の小さな窪みがあり、これは洞毛の痕跡ではないかといわれる。このことから、既に体毛をもち、体温の保持ができたとも考えられる。当時のパンゲア大陸は半ば砂漠化しているような土地も多かったため、そのような地域での急激な気温の変化に対応するために体毛を獲得していた可能性がある。

ゴルゴノプスと彼らを含む初期の獣歯類は、それまでの獣弓類や爬虫類よりも脚全体が長くなっている。そのため現在のオーストラリアワニのようなギャロップ走行が可能だだったとされている。 前足は依然として半直立だったが後ろ足は現代の哺乳類のように直立していたとみられる。 さらにゴルゴノプス類はそれまでの捕食者(ディノケファルス類)よりも頭部や牙を軽量化していたため、当時としてはかなり機動力に富む捕食者だったと考えられる。

ロバート·バッカー(著)の恐竜異説によると、化石の産出状況(肉食の種類よりも植物食の種類が極端に豊富)や、形態的特徴(四肢や頭部の特徴)から、ゴルゴノプスを含む派生的な単弓類(獣弓類)は、それまでの基盤的な単弓類盤竜類よりも代謝が高く、その代謝効率は現生哺乳類と盤竜類の中間に当たる。とされている。 ただし上記の研究は化石化のプロセス等を考慮しきれていないとして疑問符が投げかけられる事もある。(金子隆一氏の『哺乳類型爬虫類』など)

分布編集

南アフリカカルー盆地などから化石が産出している。

脚注編集

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  1. ^ 土屋健『カラー図解 古生物たちのふしぎな世界 繁栄と絶滅の古生代3億年史』講談社、2017年、222頁。ISBN 978-4-06-502018-0

 

参考文献編集

(ゴルゴノプス類の脳についての研究)

(ゴルゴノプス類の四脚と頭部についての論文) ·https://publikationen.uni-tuebingen.de/xmlui/handle/10900/49062

関連項目編集