サウスダコタ級戦艦 (1939)

サウスダコタ級戦艦(サウスダコタきゅう せんかん、South Dakota class Battleship)は、アメリカ海軍が建造した戦艦4隻の艦級。

サウスダコタ級戦艦 (1939)
USS South Dakota (BB-57)
USS South Dakota (BB-57)
基本情報
艦種 戦艦
命名基準 州名。一番艦はサウスダコタ州にちなむ。
就役期間 1942年 - 1947年
同型艦 4隻
前級 ノースカロライナ級戦艦
次級 アイオワ級戦艦
要目 (1942年 - 1945年[1][2]
排水量 35,000トン
軽荷排水量 34,563トン
基準排水量 38,664トン
満載排水量
  • 44,519トン
  • 46,200トン(1945年)
全長 680フィート4.25インチ (207.3720 m)
水線長 666フィート (203 m)
最大幅 108フィート1.5インチ (32.957 m)
吃水 満載: 34フィート11.25インチ (10.6490 m)
機関方式 蒸気タービン 4機4軸
出力 130,000馬力 (97 MW)
速力
  • 27.5ノット (50.9 km/h; 31.6 mph)
  • 27ノット (50 km/h; 31 mph)(1945年)
航続距離
  • 15ノット/17,000海里 (31,000 km) (1945年)
  • 25ノット/6,400海里 (11,900 km) (1945年)
乗員 2,257名、2354名 (BB-58 - 60)
兵装
  • Mk.6 16インチ45口径砲 3連装: 9門
  • Mk.12 5インチ38口径砲 連装: 16 - 20門
  • 1.1インチ 機関砲 4連装: 28門
  • 20 mm 機関砲: 16門
  • 12.7 mm 機関銃: 8丁
装甲
舷側
310 mm (傾斜19度)
甲板
主甲板STS38 mm
装甲甲板
127 mm + STS19 mm
砲防盾
457 mm
主砲座
439 mm
司令塔
406 mm
搭載機
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概要編集

元々は1938年度の予算でノースカロライナ級戦艦2隻を追加割り当てしようとしたが、海軍は新しい設計の戦艦を求め、1937年3月に設計が始められた。先に計画されたノースカロライナ級では実現できなかった対16インチ砲防御を施し、上部構造物のコンパクト化により全長は15 mも短くなっている。1938年に3隻と1939年に1隻が発注され、1939年に3隻と1940年に1隻が起工し、1942年に4隻全艦が就役した。

第二次世界大戦中盤、高速戦艦が最も必要とされる時期に全艦が就役したため太平洋大西洋の両戦線で活躍。最終的には全艦が太平洋に投入され、ノースカロライナ級と共に空母機動部隊の護衛任務やガダルカナル島を巡る戦いでの水上戦闘など対日反攻の初期から活躍した。

前級ノースカロライナ級で弱点とされた防御力の改善をはかるべく、船体を前後方向で短縮して被弾面積の減少を図り、またバイタルパートを集約した集中防御方式が採用された。しかし、設計時には第二次ロンドン海軍縮条約の基準排水量35,000トンで米議会が排水量制限され、パナマ運河通航のための全幅33 mという制限により、それでもなお耐弾性能は満足のいくものにならなかったという。

集中防御の徹底と全長を切り詰めた設計は、大和型戦艦と共通するものであり、日米両国の技術者がその類似性に驚いたという逸話がある。

全長が重巡洋艦並みの短さになったことで速力の低下が懸念されたが、機関の増強によりカタログスペック上はどうにか27ノットが確保された。

本級は、純粋に艦隊決戦用に設計された最後のアメリカ戦艦である。攻防全てにおいて高い次元でバランスがとれた、条約型戦艦の傑作と評価されている。

船体編集

本級の特徴であり、前のノースカロライナ級との大きな相違点である船体構造は、軽量化の賜物である。艦橋構造自体は前級と同様であるが、煙突が小型化され艦橋直後に設置された結果、非常にコンパクトなスタイルとなった。基準排水量35,000 tでコロラド級戦艦のMk.5 16インチ45口径砲(AP Mark 5、砲口初速768 m/s、重量1,016 kg)の対16インチ砲用の防御(ヤード・ポンド法:17,700 - 30,900 yd、メートル法:16.2 - 28.3 km)を達成した。

しかしながら、船殻重量を減少しその分を装甲の強化に当てるために15 m短縮された船体は、結果的に高速力を発揮しにくくした船体でもあった。特に、艦首部の浮力が著しく低下し、盛大な艦首波を作ることもしばしばであった。大戦末期に神風対策で艦首部に40 mm 4連装機関砲が搭載されると、ただでさえ低かった凌波性は恐ろしいまでに低下し、荒天時には操艦に相当な支障が出るほどであった。また、船体圧縮と装甲強化の結果、居住性は著しく低下した。平時でも低い居住性だったものが、搭載物がいろいろと居住区画に(倉庫代用として)積まれた戦時ではさらに低下した。上級士官用の部屋までもスケールダウンを余儀なくされた。

なお、1番艦サウスダコタには艦隊旗艦設備を、他の3艦には戦隊旗艦設備を設けている。また、艦全体のデザインは真珠湾攻撃後のテネシー級戦艦テネシーカリフォルニア両艦とコロラド級戦艦ウェストバージニアにも採り入れられた。

兵装編集

主砲はノースカロライナ級戦艦に引き続いて16インチ・マーク6型砲が搭載され、高角砲も引き続き5インチ38口径連装砲が搭載された。ただし、サウスダコタのみは艦隊旗艦設備を設けた関係で兵装の一部を搭載できなくなった。中心となる砲熕兵装に関しては、ノースカロライナ級戦艦とまったく同一といってもよい。相違点としては、主砲防御について天蓋の装甲が強化された代わりに、側盾装甲は若干弱められた。

対空兵装は、当初は28 mm 4連装機銃と12.7 mm単装機銃のペアが想定されていたが、竣工時は40 mm 4連装機関砲が追加搭載された。大戦中は随時対空兵装の更新に努めたが、各艦により微妙な差異がある。例えば、マサチューセッツは大戦中、訓令どおりに40 mm 4連装機関砲を18基計72門を搭載したが、他はそれより少なかった。

また、20 mm機銃の搭載数も艦によって異なるが、40 mm 4連装機関砲搭載と引き換えに搭載数を若干減らしているのは共通である。いずれの艦も艦首部に40 mm 4連装機関砲を搭載したが、その代償は「船体」の項目で述べたとおりである。

防御編集

ノースカロライナ級ともっとも異なる点として、垂直防御が挙げられる。前級はあくまで14インチ砲に対応した防御しか施されていなかったが、サウスダコタ級では初めから対16インチ砲用の防御方式がとられた。主水線防御を前級の外装式から内装式に改め、縦隔壁上に垂直防御が施された。縦隔壁のうち、装甲のある部分とない部分ははっきりと段差がついている。というのも、船殻重量の軽量化の観点からこの段差を埋めなかったからである。このため、日の当たり方によっては客船のプロムナードデッキのように明確な段差を確認することができる。外板はSTSプレート32 mm、内装装甲は上部と下部に分けられ、上部は310 mm厚、下部も上の部分は310 mm厚で一部は152 mm、下の部分は最も薄い部分で25 mm、19度傾斜して張り、装甲の裏面にはSTSプレート22 mmが結合されていた。水平防御はノースカロライナ級と似通っており、中央部分の装甲が4層に分けられている点が異なる。装甲厚は上より38 mm(主甲板)、127 mm + 19 mm(装甲甲板。舷側部は135 mm + 19 mm)、16 mm(弾片防御甲板)、8 mm(中甲板)となっている。対応防御はコロラド級戦艦のMk.5 16インチ45口径砲(AP Mark 5、砲口初速768 m/s、重量1,016 kg)では17,700 - 30,900 yd(16.2 - 28.3 km)、本艦のMk.6 16インチ45口径砲(AP Mark 8、砲口初速701 m/s、重量1,225 kg)では20,500 - 26,400 yd(18.7 - 24.1 km)である。

水中防御はノースカロライナ級と同様、TNT 318 kgの魚雷弾頭に対抗できる設計となっている。ただし、バルジは垂直防御同様内装式に改められた。三重底であるという点も前級と同様である。しかし、1939年に衝撃吸収能力は前級より劣っていたという試験結果が出た。液層区画を改正されたものの、なお不十分とされ、結局は完全解決されることはなかった。

機関編集

ノースカロライナ級と同様だが、船体が寸胴になった関係で機関出力は前級より1万馬力引き上げられた。もっとも、排水量の関係上、機関そのものより汽缶や主機をパワーアップさせて相対的に機関出力を向上させた。試運転では27.8ノットまで可能だったが、対空兵装などの装備増設で排水量が増加し、1945年には27ノットで低下した。姉妹艦のアラバマは42,740トンのときに133,070馬力で27.08ノット、44,840トンのときに135,420馬力で26.7ノットを発揮したという。

同型艦編集

艦番号 艦名 発注 起工 進水 就役 退役
BB-57 サウスダコタ
USS South Dakota
1938年
12月15日
1939年
7月5日
1941年
6月7日
1942年
3月20日
1947年
1月31日
BB-58 インディアナ
USS Indiana
1939年
11月20日
1941年
11月21日
1942年
4月30日
1947年
9月11日
BB-59 マサチューセッツ
USS Massachusetts
1939年
7月20日
1941年
9月23日
1942年
5月12日
1947年
3月27日
BB-60 アラバマ
USS Alabama
1939年
4月1日
1940年
2月1日
1942年
2月16日
1942年
8月16日
1947年
1月9日

登場作品編集

映画編集

沈黙の戦艦
記念艦となっている「アラバマ」が、物語の舞台となるアイオワ級戦艦ミズーリ」の艦上シーンの撮影に使用されている。そのため、「アラバマ」の艦上は「ミズーリ」風に改装されており、トマホーク装甲ボックスランチャーファランクスCIWSなどのセットが各所に設置されている。

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ Battleships: United States Battleships, 1935-1992、p. 97-103
  2. ^ U.S. Battleships: An Illustrated Design History、p. 448

参考文献編集

  • 大塚好古「アメリカ戦艦発達史 "1939年型戦艦"の「サウス・ダコタ」級」『歴史群像太平洋戦史シリーズ58 アメリカの戦艦』学習研究社、2007年、ISBN 978-4-05-604692-2
  • William H. Garzke、Robert O. Dulin「Battleships: United States Battleships, 1935-1992」、1995年、ISBN 978-1557501745
  • Norman Friedman「U.S. Battleships: An Illustrated Design History」、1983年、 ISBN 0-87021-715-1

関連項目編集

外部リンク編集